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ファクタリングとは
ファクタリングとは、その企業が持っている債権や売上金を、ファクタリングの買取を行う会社に依頼し、買い取りで現金化する仕組みのことを指します。
どのようなメリットがあるのかと言うと、債権回収リスクのカバーです。
売掛金の回収先となる会社が倒産した場合、売掛金が回収できなくなる可能性があります。
しかし、ファクタリング買取会社に売掛金を買い取ってもらえば、そういったリスクを懸念することなく、現金化をスムーズに進めることができます。
ファクタリング会社は、買取の際に手数料を取ることによって利益を出しています。
ファクタリングで売上金を買い取ってもらうと、自分たちの利益はやや目減りしてしまうリスクがあることを知っておく必要があります。
ここでは、ファクタリングの仕組みをより具体的に詳しく説明していきましょう。
また、ファクタリングを利用する際にはどのような点に注意すれば良いのかについてもお伝えしていきます。
ファクタリングのメリット
ファクタリングの概要だけ聞くと、わざわざお金を払って売掛金を現金化するのにどんな意味があるのかと思う方もいるかもしれません。
しかし、多くの会社では売掛金を現金化できるまでは、ある程度のタイムラグが発生し、その期間のキャッシュフローが悪化することがあります。
キャッシュフローが悪化すると、従業員への給料の支払いができなかったり、必要な備品や設備導入ができないことがあります。
そんなときに、売掛金を現金化できるということは大きなメリットがあるのです。
特に、銀行から融資を断わられてしまったとき、また銀行や取引先にキャッシュフローがないことを知られることなく資金調達したいときには、ファクタリングを利用する価値が特に大きいです。
他にも、売掛先の財務状況が悪くなり倒産しそうになったときであっても現金化が可能なこともおおきなメリットです。
また、貸借対照表などのバランスシートに、資産や負債が計上されないというメリットもあるのです。
ファクタリングのデメリット
もちろん、ファクタリングにデメリットがないわけではありません。
まず、融資のように担保さえあれば大きな金額を調達できるわけではありません。
売掛金の分、つまり他者に対する債権のしか現金化することはできません。
売掛金や債権などがあってこそ、初めて現金化が可能なのです。
そういう意味では融資とは大きく違います。
そして、もちろんファクタリング会社へ手数料を支払う必要があります。
この手数料は、
- 3社間ファクタリングの場合:債権の5%前後
- 2社間ファクタリングの場合:10%~20%ほど
といったように、介在する会社数によっては非常に大きな金額になります。
売上がスムーズに現金化できる見込みがあれば、ファクタリングを利用する局面はあまりないかもしれません。
ファクタリングの仕組み
続いては、ファクタリングでは具体的にどのように現金化を行うのか、そのスキームについてお伝えしましょう。
基本的には、資金を調達したいと考えるあなたの会社が、ファクタリング業者に売上債権売掛金の権利を譲渡します。
1億円の売掛金があったとしたら、5パーセントの500万円がファクタリング業者の収入となります。
そして、あなたたちの会社には9,500万円がファクタリング会社から支払われます。
ファクタリング業者は、売掛金の対象者である会社から売掛金1億円の回収を行います。
手形取引の場合、売掛金の回収までには設定されたタイミングまで、現金が振り込まれません。
また、金融機関からの融資を受ける際には審査に時間がかかるため、月末の資金繰りが苦しいときであっても速やかに資金調達ができません。
そんなときこそ、ファクタリングで素早く現金化できるファクタリングを利用するメリットは大変大きいのです。
ただし、ファクタリングを前提に資金繰りの予定組んでをしてしまうと、会社の収入が目減りして後々の会社の運営が厳しくなる可能性があります。
常時ファクタリングで資金調達を行うことは避けておいた方が無難です。
ファクタリングには2社間と3社間に分かれる
先ほど少し触れましたが、ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」というものがあります。
それぞれの違いを確認しておきましょう。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、
- 債権を持つ「あなたの会社」
- 債務のあるあなたの会社の「取引先」
- 「ファクタリング会社」
の3社が絡みます。
あなたの会社は、債務を持つ会社に対してファクタリングを行うことを通知し、許諾を得ます。
そして、債務のある会社はファクタリング会社に支払いを行います。
ファクタリング会社にとっては承諾を自分たちで得る必要がないので、その分手数料が少なくなります。
現金化まで多少時間はかかりますが、目減りはしにくいです。
2社間ファクタリング
一方で、2社間ファクタリングの場合は債務のある会社は許諾を得ないので、ファクタリング会社が自分たちで交渉し、一定のリスクを負います。
そのため、2社間ファクタリングの場合は、手数料が3社間ファクタリングの場合よりも高くなるのです。
ファクタリング会社に債権の買取を依頼するときには、必ず2社間ファクタリングなのか、3社間ファクタリングなのかを確認してから買取を依頼しましょう。
ファクタリングに必要な手数料・諸費用・必要書類
では、ファクタリングする際に必要になる費用や書類についてお伝えしていきましょう。
手数料
ファクタリングの諸費用は、先ほどお伝えしたように、2社間では10パーセントから20パーセントほど、3社間では5パーセント前後です。
諸費用
ファクタリングでは、ファクタリング会社に支払う手数料以外にも次の費用が発生することに注意してください。
- 登記費用
- 紹介料
- 印紙代等
登記費用には、司法書士に支払う費用も含まれています。
つまり、次のような費用が発生します。
- 債権譲渡登記及び抹消時事務代行報酬
- 債権譲渡契約書作成事務代行報酬
債権譲渡を行うためには、司法書士への報酬以外にも印紙代が必要となります。
- 債権譲渡契約書印紙代
- 登録免許税(債権譲渡登記)
- 登録免許税(抹消登記)
- 登記事項証明書交付
- 振込手数料
また、事務費用や司法書士に支払う日当や交通費も必要になることがあります。
必要書類
ファクタリング契約を行うには、利用する会社側が書類を用意しなければいけません。
- 商業、法人登記簿謄本
- 法人代表者登記印鑑証明書
- 納税証明書
といった書類を用意します。
また、会社によっては別途書類を用意しなければならないこともあります。
ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングと銀行融資は、それぞれ利用する際のメリットが異なります。
その違いを比較してみましょう。
銀行融資の場合
銀行から融資してもらう場合、資金調達までの時間に1ヶ月ほどかかります。
メインバンクとの関係性にもよりますが、担当者に融資の審査を行ってもらい、自社で書類を揃えてから審査の結果が出るまでにかかる期間です。
その代わり、金利は低いことが多く、融資を受ける会社によっては1パーセントから2パーセントといった低金利で可能なこともあります。
ただし、逆に会社の信用状態が低い場合は、5パーセントや10パーセントといった高金利になることケースもあります。
また、融資を受けるためには債権や不動産などの担保、連帯保証などが必要になってきます。
ファクタリングの場合
ファクタリングは、現金化できるまでの時間が大変短いことが銀行融資と比較した際の特徴です。
事務処理が早いファクタリング会社であり、金額がさほど大きくなければ、即日現金化できる可能性もあります。
多少ファクタリングの契約までに時間がかかっても、3営業ほどで現金化できることがほとんどです。
その代わり、手数料は銀行の融資よりも高くなる傾向にあります。
つまり、先ほどお伝えした次のとおりです。
- 3社間ファクタリング:5%前後
- 2社間ファクタリング:20%~30%
担保は必要ありませんが、債権そのものが担保の代わりになります。
ファクタリングでトラブルを回避するポイント
ファクタリングは、法律上認められた債権の売買ですが、大きな金額が動く取引はどうしても問題が発生する可能性が高まります。
そこで、ファクタリングに関するトラブルを回避するためのファクタリング業者選びのポイントをお伝えしましょう。
ポイント①:条件が非常に良いが手数料は30%以上の場合は避ける
30パーセント以上といったように、あまりにも手数料が高すぎる業者は、避けるようにしましょう。
いくら現金が必要な状況でも、手数料があまりにも高ければ後々の会社経営に問題を起こしかねません。
健全な営業を行っているファクタリング業者であれば、2社間ファクタリングだとしても20パーセント以内で手数料は収まります。
ポイント②:2社間ファクタリングで手数料が5パーセントと非常に安い場合は避ける
逆に、手数料が安すぎるファクタリング業者にもリスクがあると考えましょう。
2社間ファクタリングで一桁代の手数料相場ということは、まずあり得ません。
手数料以外の別の部分で利益を出そうとしているか、格安な手数料で債権を集め、会社がある日突然消えてしまうといったケースも起こり得ます。
ポイント③:手数料の金額が曖昧な場合は避ける
ファクタリング業者は、事前にきちんとファクタリングに関する手数料を明示している会社がほとんどです。
数字を教えておかないと、後々のトラブルが発生しやすいからです。
そのため、手数料が曖昧で書類などに詳しい数字が記載されていないような会社でファクタリングを行うことはできる限り避けることをおすすめします。
また、基本的に初回の取引の手数料は高めですが、2回目になると信用が生まれて手数料が安くなることがほとんどです。
2回目のファクタリングでも手数料の値下げを行ってくれない会社は、あまり利用する価値がありません。
そして、契約書よりも割高な手数料を後から請求されるようなケースを避けるために、請求書の内容はきちんと確認しておきましょう。
さらに、印紙代や司法書士への報酬といった、手数料以外の金額で利益を取ろうとしてくる会社もあります。
手数料だけ見て他の諸費用の金額を確認しないと、こういったトラブルに巻き込まれることがあります。
特に、司法書士の相場は初めて利用する人にとってはよくわからないものです。
総合的なコストをきちんと確認してから、ファクタリングを依頼する会社を選んでいきましょう。
いずれにせよ、契約書をしっかりと確認しておかないと何らかのトラブルがあった際に不利になるのは自分です。
ファクタリング業者を利用する場合には、契約書の内容と金額、手数料、そしてそれぞれの費用の内訳がしっかりと記載されているかを確認しましょう。
特に、利用が初回であればあるほど、きちんと確認してからファクタリングを行うようにしてください。
まとめ
ファクタリングは、速やかに現金化できることが最大のメリットです。
ただし、手数料は3社間でも5パーセントほどになり、2社間ともなれば多額の手数料がかかります。
ファクタリングは銀行融資よりもスピード感があるので、ついつい利用すると何度も資金繰りのために活用することを前提にしてしまう会社もあります。
きちんと使い時を選びながら利用し、常時ファクタリングに頼る状況は避けるようにしてください。
うまくファクタリングを使えば、会社経営での資金リスクを大きく軽減できるでしょう。
なお、資金調達に関するご相談は下の問い合わせフォームから受け付けています。
必要事項にご記入してお送り頂ければ幸いです。