日本政府は、現在好景気に沸いていると発表しています。
その反面、マイナス金利政策の影響もあり、融資については金融機関は静観の様相を見せています。
簡単に融資がついていた時代と違って、中小企業にとってはなかなk資金調達ができない時代になっているのです。
「今後事業を広げていくために融資を受けたいが、なかなか審査に通らない」と悩んでいる経営者も多いものです。
銀行融資を受けやすくするためには、融資担当者の仕事内容や銀行の裏側を知ること、そして銀行から融資をしたくなる状況づくりが大事です。
そこで、今回は銀行の方から融資をしたくなる状況づくり8選について紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
銀行からお金を貸したいと思われる状況をつくるために
多くの経営者が経験したことあるかもしれませんが、お金が必要なときに銀行に融資をお願いしてもなかなか上手くいかないものです。
逆に、融資が必要でないタイミングに限って、銀行の方から融資話を持ちかけてきます。
銀行は「晴れている日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」とよく言われますが、まさにその通りだと言えます。
銀行から融資を受ける場合は、お願いするよりも、銀行から「お金を貸したい」と思われているときの方が審査は通りやすいものです。
銀行の営業マンから「お金を借りませんか?」と話を持ち込んでくるぐらいですので、よほどのことがない限りは審査に通ることが一般的です。
そのため、お金が必要になったときに融資を受けやすくするには、お願いする立場ではなく、銀行から融資をすすめられる立場であることが大切です。
銀行から融資を勧められる立場になるためにも、まずは融資担当者の仕事内容や銀行の裏側を知り、その上で融資をしたくなる状況づくりを構築していきましょう。
融資担当者の仕事内容と銀行の裏側
まずは、融資担当者がどのような仕事をしているのかについて解説していきましょう。
そうすれば、銀行が融資に対してどのように考えているかが見えてくるでしょう。
融資担当者は一人で多くの案件を抱えている
銀行の規模やエリアにもよりますが、多くの融資担当者は一人で多くの案件を担当しています。
企業だけでなく個人事業主も担当するため、案件数は300を超える場合もあります。
仮に、1担当者が抱えている案件数が300だとした場合、融資担当者が1ヶ月で訪問できる数は50件から60件、多くても80件から100件ほどでしょう。
仮に100件だとした場合、月の営業日が20日とすると、1日に5件は訪問しなければならないペースです。
これはなかなかのハードスケジュールだと言って良いでしょう。
また、融資担当者の仕事は営業まわりだけではありません。
社内で審査の稟議書等を作成する業務もあります。
すべての案件を1件1件回るためには、場合によっては半年近くかかる可能性があります。
厳しいノルマがある
銀行に限った話ではありませんが、融資担当者にもノルマが課せられています。
そのノルマは、企業や個人事業主への融資金額や件数だけでなく、クレジットカードや投資信託、口座開設や定期預金など幅広く、それぞれに厳しいノルマが課せられているケースは多いものです。
2019年現在は景気が良いわけでもなく、企業の資金調達方法も多様化し、銀行も競争が激化していることもあり、毎日・毎月のようにノルマに追われて余裕がない融資担当者は少なくありません。
情報を欲している
融資担当者は、融資先の新規開拓や既に融資している企業の状況把握を効率的におこなうため、役立つ情報を欲しています。
競合の情報や業界の情報など、多くの情報を収集することで効率的に営業ができ、良い結果を出せるからです。
銀行の業績次第で担当者の行動は変わる
多くの会社に該当しますが、決算間近になり今期の業績が目標を達成している場合は、できるだけ売上を来期に回そうとします。
逆に、目標を下回っている場合はなんとしてでも目標を達成すべく、営業に力を入れるものです。
銀行でも、決算前に目標融資額に達していない場合は、数字をつくるために融資に積極的になります。
銀行や部署の業績に融資担当者の行動も左右されてしまうのです。
融資担当者は借り換えされることを恐れている
融資担当者は、ノルマを達成すれば営業成績を評価されますが、担当する企業や個人事業主が他行に借り換えした場合は評価が下がってしまいます。
銀行からすれば、得られる利益(利息)がなくなるだけでなく、競合に顧客を取られることになるため、借り換えは最も避けたいことの一つです。
借り換えされてしまった際は、融資担当者の管理力を問われてしまいます。
そのため融資担当者は、他行への借り換えが起きて自分への評価が下がることを恐れています。
銀行から融資したいと思われる8つの状況づくり
お金が必要で大変なときにスムーズに融資を受けられるように、銀行の方から融資をしたくなるような状況を作れるようにしておきましょう。
銀行がお金を貸したい状況は、どうやって作ることができるでしょうか?
次の8つに分けて解説していきましょう。
- 融資担当者と会う場合は多くの情報を提供する
- 定期的に銀行に足を運ぶ
- 融資担当者には現場や商品・サービスを見てもらう
- 決算書について相談する
- 銀行から何度か融資を受ける
- 融資担当者の厳しいノルマをサポートする
- 融資の相談は担当者にする
- 資金繰りについてこまめに相談をする
1. 融資担当者と会う場合は多くの情報を提供する
融資担当者は、融資先の新規開拓や既存融資先の状況把握のため、営業に役立つ情報を欲しています。
そのため、融資担当者が「この人に会うと有益な情報が手に入る」「つながっておくととてもプラスになる」と思えるように、競合や業界、地域の情報を提供するようにしましょう。
融資担当者から毎月のように訪問したいと思われる関係性ができれば、担当者や銀行が業績で困っているときに融資の話を真っ先に持ち込んでくれるはずです。
2. 定期的に銀行に足を運ぶ
融資担当者があなたのところに何度も来てくれる関係性になれば、融資を受けやすくなります。
困ったときに、すぐに融資の話をしてくれるでしょう。
しかし、担当者が足しげく通ってくれる関係性になるまでには時間がかかる可能性があります。
そのため、担当者が来るのを待つだけではなく、自ら銀行に足を運ぶようにしましょう。
定期的に銀行を訪問することで、融資担当者や課長などとコミュニケーションが取れるようになります。
そこで少しでも信頼を得ることができれば、銀行が売上を上げたいときに融資話を持ってくるようになるのです。
また、銀行の融資審査はアナログ的な面も強いため、普段からコミュニケーションを取り、信頼がある人の方が審査が通りやすい可能性が高いです。
雑談でも構いませんので、顔を覚えてもらうためにも定期的に訪問をしましょう。
3. 融資担当者には現場や商品・サービスを見てもらう
先ほどお伝えしたように、融資担当者は一人で多くの案件を抱えています。
200件から300件といったように、多くの案件を抱える人が1企業や1個人事業主の事業内容を深く理解することはとても難しいことです。
そのため、融資担当者が訪問してきた際や自らが銀行に足を運ぶ際は、現場や商品・サービスについて詳しく知ってもらえるようにアピールをしましょう。
融資担当者なので、決算書に載っている情報はすぐに把握・理解してくれます。
よほど業績が良ければ融資の話を持ち込んでくれますが、そうでない場合は融資の話がまったく来ません。
担当者には、決算書ではわからない現場の雰囲気や商品・サービスの特徴を理解してもらえるよう説明を重ねていくことが大事です。
競合他社との違いや市場における自社商品・サービスの優位性、顧客満足度、新製品の開発状況といった事業について深く理解してもらうことで、融資の検討をしてくれる可能性が高まります。
4. 決算書について相談する
決算書を作成する際は、税理士だけでなく融資担当者にも相談したうえで確定させると良いでしょう。
経営者や税理士としては、少しでも節税できるように目一杯経費や減価償却費を計上して利益を抑え税負担を小さくしようと考えます。
しかし、こういった節税対策は、あくまでも経営者や税理士目線の決算書の作成方法です。
融資担当者に決算について相談すれば、融資話を持ち込みやすく審査に通りやすい目線でアドバイスをしてくれます。
融資審査を受ける際に決算書は重要な役割となるのでで、担当者に相談することは非常に重要です。
融資担当者に相談をする場に税理士も同席できれば、より良いものになるでしょう。
5. 銀行から何度か融資を受ける
銀行から何度も融資を受けている企業や個人事業主であれば、返済実績を積み上げています。
そのため、「この企業・個人事業主であれば融資を受けてくれる」「完済が続いているので問題ないだろう」といったように捉えてもらうことができ、銀行から優先順位の高い顧客として扱われる可能性があります。
逆に、これまで融資実績がない企業・個人事業主が、いきなり数百万円から数千万円規模の事業資金の融資を希望してきても、返済実績がない中での融資判断は銀行にとって難しいものです。
融資許可が下りたとしても、希望金額に届かない可能性があります。
お金に余裕があるのに無理に融資を受ける必要はありませんが、こまめに融資を受けて融資実績や返済実績をつくっておくことが、多額の資金調達を助けることにもなることは知っておいた方が良いでしょう。
6. 融資担当者の厳しいノルマをサポートする
先ほどお伝えしたように、融資担当者には厳しいノルマが課せられています。
「企業や個人事業主を助けたい」「銀行の利益に貢献したい」というよりも、日々のノルマをクリアすることだけを考えている融資担当者は決して少なくありません。
ノルマをクリアしていないと社内の評価が下がり査定にも影響するため、融資担当者は営業に必死です。
そのため、新規開拓や既存顧客への営業も、成果につながるところを優先して回ります。
融資担当者が何度も訪問してくれるようになる一つの方法として、ノルマクリアをサポートすることがあります。
口座開設やクレジットカード発行、投資信託、定期預金など、無理のない範囲で契約したり興味のある企業・個人を紹介すれば、自分に会うことにメリットを感じてくれます。
また、恩を売ることもできるため、こちらが苦しんでいるときに助けてくれる可能性があります。
7. 融資の相談は担当者にする
「融資担当者に相談するよりも、支店長に直接話をした方が早い」などと考え、いきなり支店長に融資の相談をする経営者や個人事業主も少なくありません。
しかし、融資担当者を飛ばしていきなり支店長に相談をしてもプラスに働くことはないでしょう。
なぜなら、支店長からすると「融資担当者の管理ができていないから直接相談にきた」と思われてしまうからです。
そして、融資担当者の評価が下がることになってしまいます。
結果として融資担当者は立場がなくなり、このような状況をつくった企業・個人事業主に対してネガティブな思いが出てきます。
融資の際に、稟議書を作成するのは支店長ではなく融資担当者です。
支店長は、支店にとっての上客10社から15社ほどしか担当しません。
そのため、直接支店長に相談するといったようにルール違反を犯してしまうと、融資担当者にそっぽを向かれてしまい、審査が通る可能性や融資提案を受ける可能性が下がる恐れがあります。
8. 資金繰りについてこまめに相談をする
融資担当者と会うときは、資金繰りについてこまめに相談するようにしましょう。
事業計画書や販売先・仕入先一覧など、具体的な資料を見せながら資金繰りの状況を説明していきます。
そうすることで、融資担当者は「●●頃に▲▲円の資金調達が必要になる」など、資金需要のタイミングを掴むことができるからです。
これにより、企業や個人事業主が資金調達を希望するタイミングに融資を持ちかけてくれる可能性が高まります。
融資担当者としても、資金繰りの情報を知ることで効率的に営業ができるようになります。
まとめ
融資担当者の仕事内容と、銀行の裏側、そして銀行の方から融資をしたくなる状況の作り方を8つに分けて解説しました。
ポイントをまとめると、次の3点が挙げられます。
- 融資担当者の仕事内容・銀行事情を把握しニーズに応える
- 融資話を持ちかけやすいように日頃から関係性を構築する
- リスクがなくすぐに取り組めることには着手する
銀行は、お金が必要なときに限って融資をしてくれないものです。
そのため、少しでも審査通過の可能性を高め、融資話を持ちかけてくれるような状況をつくることが大切です。
そうすることで、融資を受けられる可能性を通常よりも高めることができますよ。
なお、資金調達に関するご相談は下の問い合わせフォームから受け付けています。
必要事項にご記入してお送り頂ければ幸いです。