ソーシャルレンディングの投資先を選ぶ際には、当市場起こり得る数々のリスクを考えなければなりません。
そして、残念ながら、日本のソーシャルレンディング業界で今最も懸念しなければいけないのは案件リスクではなく、事業者リスクです。
問題のあるソーシャルレンディング事業者に投資すると、その会社に投資していた資金を一気に失ってしまう可能性があります。
【2019年9月17日追記】
maneoが株式の約85%をNLHD社へ譲渡することが判明しました。
詳しくはこちらで解説しています。
目次
maneo(マネオ)では貸し倒れ案件が続出している
maneoマーケットでは、2019年現在貸し倒れ案件が続出しています。
2019年5月には、宝塚市・石垣島での案件で返済期日を過ぎても投資家に元本が返されないという、返済遅延が発生しています。
そして、maneoの中で最も大きな問題になっているのが、2018年夏に発覚した川崎市の不動産投資案件です。
川崎市の不動産案件は、20億円の価値を持つ土地を担保に設定し、16億円を集めました。
しかし、その後maneoは返済遅延の状態に陥りました。
その担保物件は、川崎市麻生区の山林にある元病院跡地だということが雑誌や新聞にて報道されています。
maneoはこの物件の売却活動に入っていますが、投資家の募集金額に比すれば、わずかな金額しか返済することができないのではないかと考えられます。
maneo(マネオ)は投資家への情報開示を一切行っていない
maneoマーケットは、2018年7月に関東財務局からの処分勧告を受け、
- 社外の監視体制の強化
- 投資家への情報開示
といったさまざまな指導を受けています。
その指導内容を受け、2018年10月と2019年3月末の2度に渡り、maneoマーケットでは今後自社で投資家保護を行い、情報開示に努めるとの発表を行っています。
その内容がこちらです。
出典:マネオ
しかし、この発表をしたものの、maneoは具体的な行動を行っていません。
前社長の瀧本氏はmaneoマーケットの株を売却し、会社への影響力を失ったのかどうかはまだ明らかになっていません。
スポンサーが見つかったという報道もなく、そして最も投資家として見逃せないことは、投資家への保護方針である「情報開示」が一切行われていない点です。
maneoマーケットおよびmaneo(マネオ)のシステムを利用していたいわゆる「maneoファミリー」での返済遅延総額は200億円以上に達しています。
そのような状況であり、かつ対外的には業務改善を行うと発表しているものの、具体的な業務改善は行なっていません。
maneo(マネオ)は投資家への対応が不十分か?
maneoマーケットは、投資家に対する対応が他のソーシャルレンディング会社に比べて十分ではありません。
次の2つが大きな懸念点としてあります。
懸念点①:貸し倒れ後の事後処理ができていない
maneo(マネオ)は返済遅延を複数発生させていますが、その貸し倒れが起きた後の回収を満足に行うことができていません。
先ほどお伝えした川崎市の不動産案件に代表されますが、その後もmaneoは現在5件以上の返済遅延を発生させています。
これだけ貸し倒れが起きている状態ながら、返済できたのは東京都千代田区案件のみであり、それも回収は当初の発表より遅れる形になりました。
どのようなフローで資金回収を行っているのか、また資金回収を行うときに投資家に対して本当にこの内容で良いのかといった確認は行いません。
すべてが事後報告です。
懸念点②:匿名化解除方針の指示に従っていない
もうひとつのmaneo(マネオ)の懸念点として、金融庁が2019年3月末に発表した融資先の情報開示方針に従っていないことがあります。
クラウドバンクやSAMURAI、SBIソーシャルレンディングと言ったソーシャルレンディング会社各社は、限定的ではありますが融資先の情報開示や、不動産担保の情報開示などを行っています。
投資家に対してしっかりと情報を提供し、投資の是非をしっかりと投資家自身で判断してほしいという考えが見て取れます。
しかし、maneo(マネオ)の場合は、情報開示を一切行っていません。
maneo(マネオ)は第二種金融商品取引業免許を失う可能性がある
2019年現在、maneo(マネオ)は投資家から集団訴訟を受けています。
maneoとJCサービス、グリーンインフラレンディングは、2019年4月に第1回公判が行われ、当サイトでも速報記事として取り上げました。
2019年6月4日(火)には、第2回公判が行われる予定になっています。
すでに、ソーシャルレンディング業界ではラッキーバンク、トラストレンディングの2社が第二種金融商品取引業免許を失っています。
これらの会社は、今後ソーシャルレンディング案件を組成して、投資家から資金を集めることができません。
会社の主な事業が成り立たなくなれば、他に事業がない限りは利益を挙げられなくなり、倒産の可能性も出てきます。
maneo関係では、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディングで集団訴訟が進行中であり、その他にもクラウドリース関係での諸相が起こる可能性を含んでいます。
こういった訴訟が相次ぎ、maneo(マネオ)の業務体制の不備や、詐欺的な行為で募集を行っていたことが発覚すれば、maneoが第二種金融商品取引を剥奪される可能性も十分にあります。
第二種金融商品取引を剥奪されてしまえば、maneoは倒産してしまい、健全に運用中の案件でもmaneoに投資していた資金は満足に返って来ない可能性が十分にあるのです。
そして、maneoが投資家への対応を満足に行わないという理由には、案件の内容や融資先に問題があるため発表できないという可能性が高いです。
つまり、今後maneoが第二種金融商品取引業免許を失う可能性は、十分に考えられます。
まとめ
maneo(マネオ)に投資すると、損失が発生する可能性があります。
それよりも、しっかりと案件組成や事後処理のできている、SBIソーシャルレンディング、オーナーズブックなどの方が、安全に投資できるでしょう。