ソーシャルレンディングの仕組み
ソーシャルレンディングの仕組みは、一言でいえば「お金を貸して投資したい人と借りたい人をインターネット上で結び付けるマッチングサービス」です。
資金を集めたり、貸し借りしたりして利益を得る行為(融資)には金融商品取引業者や貸金業者の登録が必要です。
これらの必要な登録をした事業者が貸し手と借り手の間に入り、仲介することで「個人の投資家でも気軽に融資を行い、利益を得られる」ようにしたのがソーシャルレンディングなのです。
仕組みはクラウドファンディングの一種
ソーシャルレンディングの仕組みは元々、資金提供を求める成長企業と資金提供者をインターネット上で結びつける「クラウドファンディング」の一種です。
クラウドファンディングの資金提供の形は寄付や特定の商品購入などさまざまなものがありますが、その中で資金を「融資(貸付)」して提供するものをソーシャルレンディングや「貸付型クラウドファンディング」「融資型クラウドファンディング」と呼びます。
つまり、
「融資や貸付を行うクラウドファンディング」=「ソーシャルレンディング」
ということなのです。
3者が関わるソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングの仕組みには、
- 貸し手(投資家)
- ソーシャルレンディング運営事業者
- 借り手(中小企業)
の3者が関わっています。
それぞれがどのように関わっているのかを解説していきましょう。
1.貸し手(投資家)
ソーシャルレンディングにおける貸し手とは、私たち投資家のことです。
従来、お金を貸して利益を得る融資業は銀行や消費者金融など大手金融機関だけのものでした。
しかし、ソーシャルレンディング運営事業者が融資の間に入り、個人投資家でも融資で利益を得られる仕組みができました。
投資家は、ソーシャルレンディング運営事業者が用意しているプラットフォームを利用し、複数の案件(ファンド)から自分が投資したい案件を選んで投資するという流れになっています。
投資の平均利回りは約8%ほどです。
投資家の投資した資金は、直接借り手企業に融資されるわけではありません。
運営事業者が、複数の投資家から資金を集めたうえで貸付を行います。
複数の投資家が関わることから、個人投資家は数万円ほど(1万円から投資できる案件もあります)から気軽に投資することが可能です。
かつ、高い利回りを得られる仕組みになっているのです。
2.ソーシャルレンディング運営事業者
ソーシャルレンディングにおける運営事業者とは、不特定多数の投資家から資金を集め、集めた資金を原資に貸付を行う会社のことです。
「第二種金融商品取引業者」と「貸金業者」の登録をしています(※)。
※事業者1社で両方登録をしている場合もあれば、事業者を分社化して登録を2つに分けている場合もあります。
運営事業者が貸付を行う相手は、中小企業がメインです。
日本の企業の大半は規模の小さい中小企業であり、事業に必要な資金を欲している企業は数多くあります。
運営事業者はそうした中小企業の資金需要に注目し、複数の投資家から集めた資金を元手にして高金利で貸付を行う仕組みを作っているのです。
高金利で貸付を行うことで、事業者の利益の取り分を差し引いても投資家は高い利益を得ることができます。
また、銀行からの資金調達では不十分な中小企業は、事業に必要な資金をスピーディに得ることができます。
貸し手と借り手、需要と供給のバランスを見事にマッチさせた仕組みがソーシャルレンディングなのです。
3.借り手(中小企業)
ソーシャルレンディングにおける借り手とは、運営事業者から資金の融資を受ける中小企業のことです。
過去には個人向け融資の案件もありましたが、現在のソーシャルレンディング市場では個人向け融資はほとんどありません。
借り手が高金利で融資を受ける理由には、次のような理由があります。
- 設立後年数がまだ浅く、銀行の融資条件に該当しない
- 銀行でも融資を受けているが、追加の資金調達をスピーディに行いたい
- 少額だけ、短期間だけ借りたいが、少額の短期間融資は銀行が嫌がる傾向がある
決して「銀行でお金を借りられない弱小企業ばかり」というわけではありません。
銀行は融資条件が厳しく、大企業優先に融資します。
しかし、国内の企業は大半が中小企業で、銀行はこれら中小企業の細かい資金需要に対応しきれません。
ソーシャルレンディング運営事業者は、銀行ほどの資金力はありません。
しかし、多数の投資家から資金を集めて借り手に提供する仕組みを作っているため、中小企業の細かく、かつ短期的な資金需要を満たすことができるのです。
まとめ
ソーシャルレンディングの仕組みについて解説しました。
もう一度おさらいしておきましょう!
私たち投資家は、気軽に高利回りの投資をしたいと思っています。
でも、リスクはあまり取りたくないし、面倒な手間や複雑な勉強はできるだけしたくないというのが本音のところ。
借り手である中小企業は、銀行からの資金調達には限界があると感じています。
少し利回りが高くても、事業の発展に必要な資金をできるだけ早く調達したいと思っているのです。
この貸し手(投資家)と借り手(中小企業)、それぞれのニーズを満たしたのがソーシャルレンディングという仕組みなのです。
特定の登録を済ませた事業者が借り手と貸し手の間に入ることで、融資のハードルを下げ、より使いやすい金融サービスとして昇華させました。
理解すればとてもシンプルな仕組みですし、高い利回りの理由も納得できますよね。
ソーシャルレンディングの仕組みを知れば、投資はより楽しくなるはずです。
投資を楽しみながら進めるためにも、仕組みは必ず理解しておきましょう。
こちらの記事では、初心者の方に向けて「ソーシャルレンディングとは何か?」について解説しました。
あわせて読んでおくと、より一層理解を深めてもらうことができると思います。