ソーシャルレンディングで確実に利益を出していくためには、案件で運用される事業内容をよく吟味しなければなりません。
不動産であれば、その運用される不動産の立地や事業を確認して、需要のある不動産案件を選ぶ必要があります。
また、事業資金調達目的のソーシャルレンディング案件であれば、可能な限り事業内容をチェックしておく必要があります。
ソーシャルレンディング案件をチェックしていると、太陽光発電装置取得のための資金調達を目的とした案件がよく提供されています。
業界内募集金額実績第3位のCrowd Bank(クラウドバンク)でも、積極的そのような案件を取り扱っています。
しかし、太陽光発電は固定価格買取制度の終了がささやかれるなど、今後ビジネスとしての可能性にやや不安なところがあります。
太陽光発電装置案件に投資しても大丈夫なのでしょうか?
実際の案件をもとにして、可能性について考えてみましょう!
目次
国が固定価格買い取り制度の終了を検討中
太陽光発電装置で発電された電気の固定価格買取制度(FIT)の終了は、すでに国が検討中であるとしています。
2009年から導入されたFIT制度ですが、2009年の導入開始から10年が経過し、初期に契約した太陽光発電装置の固定価格買い取りが終了する見込みです。
この制度では、10年間は固定価格で買い取るという契約が行われているため、FIT制度が終了したとしてもすぐに収益がなくなるわけではありません。
例えば、2015年に契約した太陽光発電装置は、2025年まで一定価格で売却することができます。
また、FIT制度が終わった後も、電力会社各社が買取を行ってくれます。
ただし、価格自体は大幅に下落する見込みです。
将来的に固定価格買取制度は終了の見込み
具体的にFIT制度がいつ終了するかというアナウンスはなされていません。
しかし、次の理由などから、近い時期に終了のアナウンスが行われる可能性が高いといえます。
- 一般家庭の負担額が大きかった
- 太陽光発電自体が十分に普及した
- 太陽光発電投資ビジネスの過剰な宣伝により詐欺目的の会社が現れた
特に、法人が太陽光発電装置の設置で利益を上げるのに対し、その費用を一般家庭が負担している実情は、国民から大きな不満の声が上がっています。
また、太陽光発電投資が過熱しており、中には詐欺的な行為を消費者に対して行う業者もあったのです。
2009年の開始時に運用開始した業者は10年間で十分な利益を確保できますが、今後新たに設置する場合は、買取価格が下がっているため、満足に利益を上げることが難しくなっています。
現在運用中の設備は影響がない
一方で、繰り返しにはなりますが、現在運用中の太陽光発電設備及び、風力など他の自然由来エネルギー発電設備は、10年間の電力の買取価格が保証されています。
そのため、一定期間の収入が確保されていることは変わりありません。
つまり、先の運用期間が長く買取価格で高い価格が設定されている設備であれば、まだまだ収益は十分にあげることができるのです。
Crowd Bank(クラウドバンク)の太陽光案件をチェック
では、実際に直近でソーシャルレンディング会社で募集された太陽光発電案件を確認してみましょう!
業界第3位の募集実績を誇るCrowd Bank(クラウドバンク)では、頻繁に太陽光発電案件を提供しています。
クラウドバンクの太陽光発電案件の概要
では、2019年8月にクラウドバンクが募集を行った太陽光発電装置の案件を検証してみましょう。
当該案件の概要は次のとおりです。
案件名 | 太陽光発電ファンド第1053号 |
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目標金額 | 2,000万円 |
最低投資額 | 1万円 |
目標利回り(税引前) | 年率6.8% |
運用期間 | 13ヶ月 |
クラウドバンクの案件の中では、平均的な利回りと運用期間だと言えるでしょう。
資金使途は次のように記載されています。
プロジェクトは本営業者から次の資金使途で資金を借り入れ、担保となる太陽光発電事業又は同事業を保有する合同会社の売却により得られる収益等から本件融資の返済を行います。
融資先は、大分県における太陽光発電事業の権利・土地(地上権)を有する合同会社4社を既に取得しております。今回調達する資金を用い、既存開発エリア近隣における太陽光発電事業の権利・土地を有する合同会社を追加取得し、一体的に開発を行った上で太陽光発電事業の権利関係又は合同会社自体を売却し、本営業者からの融資の弁済を行う予定です。
資金を調達して既存の太陽光発電事業を行う合同会社の買収を実施。
開発を実施して価値を高めたあとに売却する見込みです。
チェックポイント:事業内容
当該案件では、取得する太陽光発電装置の価値が事業の成否を左右するといえます。
13ヶ月後に売却できるような内容でなくてはなりません。
しかし、既存設備の買取価格などは公開されていないため、知りたい場合は個別に問い合わせる必要があります。
チェックポイント:担保の詳細
案件情報内では、担保の内容を確認することができます。
今回融資先が担保として差し入れる物件は2013年度に認定を取得し、36円/kWh(税別)の調達単価となっております。新規に認定される案件と比較して収益性が高くなりやすいことから、相対的に希少性が高い案件と見ることができます。
担保として、2023年まで36円/kWh(税別)での買取が保証された太陽光発電装置が設定されるとしています。
これは収益が確実なものであり、担保価値は高いと言えます。
ただし、その面積や見込み収入金額は記載がありません。
買取価格は高いものの、装置設置面積は非常に狭い可能性があります。
投資の安全面を確認したい場合、そこまで把握しておく必要があります。
公開されている情報だけで安全な投資先であるのかを判断するのはやや難しいかもしれません。
まとめ
新規太陽光発電装置の取得の場合、太陽光の買い取り価格は非常に低くなってしまいます。
ただし、すでに取得している太陽光設備と合わせて価値を高めていくため、既存設備の収益性価値が高ければ、全体を平均したときの買取価格はそこまで低くならない場合もあります。
一方で、担保としている設定されている太陽光発電装置の買い取り価格は非常に高いものであり、担保価値は十分だと言えます。
ただし、装置設置面積が明らかにされていません。
実際どの程度の価値がある担保なのか、不動産のようにLTV()の数字が公開されていないため、担保価値は未知数です。
情報開示の中でも詳細の担保価値は期待されていないため、不動産案件と比べるとややリスクは高いと考えられます。
その場合、事前にCrowd Bank(クラウドバンク)に太陽光発電装置の面積や、調達資金額に対して担保価値は十分なのかを確認することをおすすめします。
太陽光発電だからといって、今後一切運用が難しくなるというわけではありません。
これから先のしばらくの期間高い買取価格が設定されて装置であれば、収益を上げられる可能性は十分にあります。
短期的な売却を目指している案件でも、担保の価値次第では十分に投資する価値があるでしょう。
ただし、これから装置を設置し運用を開始する案件の場合は、買取価格が安くなるためリスクが高いです。
案件ごとに、買取価格の確認が重要です。
今回ご紹介したCrowd Bank(クラウドバンク)社については、こちらで詳しく解説しています。