2020年2月に発生したコロナショックは、国内外の投資対象に大きな影響を与えています。
例えば、日経平均株価は2020年2月から3月にかけて約30パーセントも値を下げ、東証REIT指数に至っては約50パーセントも値を下げました。
その後はやや落ち着きを取り戻しつつあるものの、まだまだ先行きは混迷しています。
そんな状況下では、どのような投資対象を選ぶべきなのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
今回、クラウドアンサー編集部は「ラグビー日本代表」という異色の経歴を持つ投資家のがたか氏に取材を実施。
ソーシャルレンディング投資の魅力と、のがたか氏が選ぶ投資先を中心に伺いました。
気鋭の投資家はこの状況をどう見ているのでしょうか?
のがたか氏の経歴
出典:30代運用男子!!
のがたか氏は投資ブログ「30代運用男子!!」を運営する若手投資家です。
投資対象は仮想通貨、ロボアドバイザー、投資信託、ソーシャルレンディングなど多岐にわたります。
投資ブログは親しみやすいイラストを交える形になっており、投資初心者へのガイド記事も充実し人気ブログとなっています。
また、ツイッターアカウント(@noggylog)も活用して情報を毎日発信しています。
そんなのがたか氏は、過去にはなんとラグビー日本代表に選ばれたこともあるという体育会系。
一見して投資とは無縁とも思えるスポーツマンであるのがたか氏が、なぜ投資ブログを開設するに至ったのか、まずは経緯から聞いてみました。
投資を始めたきっかけを教えてください。
私は社会人チームでラグビーをやっていたのですが、スポーツマンは常に引退を意識しなければいけません。
27歳になりラグビーができなくなった今後の自分の人生を考えたとき、「自分に何か武器があるのか?何もないのではないか?」と考えました。
そこで、お金を稼ぐだけではなく、まずは増やす方法を身につけたいと思い投資に興味を持つようになりました。
2020年5月現在33歳ですから、6年前のことですね。
最初に始めようと思った投資は何でしたか?
いろいろな本を読んで勉強しましたが、当時は初心者向けと言われることが多かったIPOと投資信託から始めました。
当時、IPOには私の兄が投資しており、兄に色々と教えてもらいながらやりました。
リスクも小さいですしね。
投資信託も自力で運用せずに済むので、「これなら仕事をしながらでも両立しやすい」と考えたことが投資先を選ぶ際のポイントになりました。
幸いにも、IPOではまとまった利益を出すことができましたし、投資信託でも利益を出すことができました。
投資ブログを始めようと思ったきっかけはありますか?
2017年に仮想通貨のブームが来ました。
2017年初頭に「これから仮想通貨が来るぞ」という話を耳にしたため、私も購入しました。
そして、年末までに購入した金額の10倍にもなり、「これはいいな」と思ったんです。
それと同時期に「ブログの情報発信も収入が入る」という話を耳にして実行に移し、成功しました。
それから、実体験を中心に発信していこうかなと思うようになったのです。
だいたい2017年の秋くらいのことですね。
仮想通貨に関する体験談が人気だったのですか?
正直なところ、仮想通貨に関する記事はあまり読まれませんでした。
そこで徐々に投資初心者向けの記事を増やしていったところ、多くの人が読んでくれるようになりました。
2018年の中頃だったと思います。
2020年5月の時点での投資対象・運用資金の割合を教えていただけますか?
まず、仮想通貨に運用資金の半分を入れています。
自分が仮想通貨好きだからです。
今の投資先としてトレンドでもありませんし、読者のニーズもそれほどはないのかもしれませんが、趣味で運用しています。
トレードをせずにホールドすることが前提ですが、それでも利益は上がっています。
次に、手堅い投資先としてロボアドバイザーと投資信託に投資しています。
この2つには全体の2割ぐらいの資金を入れています。
ロボアドバイザーには運用を任せることが可能なので、手間がかかりません。
初心者の方にもおすすめできる投資先だと考えています。
ブログでも運用の様子を公開中です。
また、FXでは全運用資金の25パーセントを運用しています。
FXも自分で取引するのではなく、自動売買を中心にシステムトレードで手間がかからない方法を取り入れています。
残りの5パーセントを、ソーシャルレンディングなどさまざまな投資先で運用しています。
ソーシャルレンディングについて
出典:のがたか氏Twitter
のがたか氏は、ソーシャルレンディングにおいても資金を運用しています。
そこで、ソーシャルレンディングを選んでいる理由、そしてそれほど多額の資金を運用しない理由、そしてのがたか氏が考えるソーシャルレンディングの魅力とリスクについて聞いてみました。
ソーシャルレンディングではどういった会社を選んでいますか?
これまでに投資したことがあるのは「クラウドバンク(Crowd Bank)」クラウドクレジット(CrowdCredit)」「Funds(ファンズ)」「などです。
この3社を選んだ理由は、実績を重視しているからです。
「クラウドバンク(Crowd Bank)」は、2020年現在営業中の日本のソーシャルレンディングサイトの中では、累計募集金額第2位、900億円以上を集めた実績があります。
それほどの金額を集めて融資しながらも、これまで一度もデフォルトを起こしたことがありません。
回収率が100%です。
それだけに、投資家として信頼がおけるソーシャルレンディングサイト会社だと思っています。
「クラウドクレジット(CrowdCredit)」は海外の案件が中心ですから、デフォルトや返済の遅延などは過去にありましたがありますが、案件数が豊富であり、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けている実績があります。
そういった実績がある会社を経由すれば、業界全体で過去に発生したデフォルトや返済の遅延は起こりにくいのではないかと思っています。
リスクを取ってでも利回りを追求したかったので選びました。
また、「Funds(ファンズ)」「は運営開始からまだ1年ほどですが、上場企業やそれに準ずる会社に融資を限定するなど、新しい取り組みや投資家資産の保全を第一に考えた取り組みを評価しています。
2019年3月の金融庁の匿名化解除後の動きも早かったですし、融資先の情報開示もしっかりと行っていますよね。
ソーシャルレンディングではリターンとリスクのどちらを重視していらっしゃいますか?
リスクです。
リターンが大きかったソーシャルレンディング会社の大半は、2020年現在営業を停止しています。
リスクの大きさとリターンの大きさは、一致するものだなと感じています。
そこで、2020年5月時点におけるソーシャルレンディングリスクを考えた末に、今は一旦撤退しています。
現在はコロナショックの影響があり先が読みにくく、ちょうど4月で償還があったこともあり、現金という形で資産を持つようにしています。
コロナ禍では現金にしておいた方が安全だとお考えですか?
そうですね。
いろいろな相場の値動きが大きいので、一旦現金にしておいたほうが急激な資産の減少避けられると思います。
また、相場が下落しているだけに、現金があれば格安な値段まで下がった投資対象に資金を投入できるメリットがあります。
そのため、投資信託やロボアドバイザーのようにホールドを続けるものもありますし、チャンスがあれば資金を投入しても良いものもあるでしょうね。
運用資金全体のバランスを見ながら投資先を選んでいるということですね。
そうですね、基本的にソーシャルレンディングでは余剰資金を運用しています。
なので、余裕のある時はリターン重視でやっていたこともあります。
ただし、今のようにコロナ禍で市場全体にリスクがあるときはリスク対策を取りながら、リスクが低い投資先を選んでいます。
投資家のリスク対策としてソーシャルレンディングはさらなる情報の公開が必要だと感じることはありますか?
匿名化が解除されて以降、融資先の会社名などが公開されるようになるなど、公開される情報量は増えましたよね。
しかし、すべての案件において融資先の会社名が明らかになっているわけではありませんし、極端な話、創業したばかりの会社への融資だった場合、会社名を明らかにしたところで会社に関する情報がほとんどないこともあるでしょう。
創業初年度の会社の財務状況などがわかっても、あまり意味はないですしね。
それよりも、担保の価値をもっと知りたいですね。
不動産を担保にしている案件は多いですが、そのLTV(Loan to Value:総資産有利子負債比率)の数値がわかればリスクを推し測る上で参考になりますから、保証や担保についての情報をもっと出して欲しいと思います。
不動産投資型クラウドファンディングでは詳細な情報が公開されていますが、投資していますか?
不動産投資型クラウドファンディングにも投資しています。
「CREAL(クリアル)」や「ファンタスファンディング(FANTAS funding)」などに投資しています。
これまでソーシャルレンディング投資で損失が発生したことはありますか?
ソーシャルレンディングに3年ほど投資していますが、幸いにもデフォルトに遭遇したことはありません。
ソーシャルレンディング業界をのがたか氏はどう見るか?
ソーシャルレンディングに投資しつつも冷静に投資先を見分け、あくまでもポートフォリオの一環という姿勢で臨むのがたか氏。
ソーシャルレンディング業界が拡大していくためには何が必要であるのかについて聞いてみました。
ソーシャルレンディング業界がもっと成長するためには何が必要だとお考えでしょうか?
ソーシャルレンディングという投資方法は、個人が簡単にお金を貸せるという意味でとても興味深い投資だと思っています。
ただ、知名度の低さを感じます。
「ソーシャルレンディング」という言葉を聞いたことがある人は、非常に少ないのではないでしょうか?
市場の規模が1,000億円を超えたのが2017年であり、まだわずか3年前です。
その後も成長は続けていますが、運営会社の問題などもあり、今は市場の拡大もやや落ち着いてしまっている印象です。
まずはソーシャルレンディング会社がしっかりと実績を積み、知名度や信用度を高めることが必要だと考えています。
知名度や信用度を高めるにはどういった活動が必要だと思いますか?
投資に興味のある方に「ソーシャルレンディングとは何か?」をしっかりと伝えれば、知名度が上がると思います。
例えば、「Funds(ファンズ)」は上場企業への融資を専門にするなど、知名度のある会社との関りを持っていますよね。
そこで、「Funds(ファンズ)」と証券会社が手を組んで会員を募集したり案件を墓集したり、大きな会社と手を組んでいくと良いのではないかと思っています。
2019年3月の匿名化解除の前後でソーシャルレンディングに対する印象が変わり、徐々に信頼を獲得できていると感じています。
そのため、投資家を裏切るようなことをせず、着実に成長を続けて欲しいですね。
これからのソーシャルレンディング業界に望むもの
のがたか氏は、ソーシャルレンディング自体に魅力こそ感じているものの、まだあまり世間では受け入れられていないと感じているようです。
さまざまな投資手法に精通しているのがたか氏がソーシャルレンディングに望むものとは一体どういうことなのでしょうか?
個人的にソーシャルレンディングに対して望むものはありますか?
ソーシャルレンディングは自分で運用する必要がありませんし、収益の目処が立ちやすい良い投資方法だと思っています。
コロナショックによる市場が落ちついていけば、また余剰資金を積極的に投入していきたいと思っています。
ですから、株のように購入することで融資先の企業を応援できる案件などがもっと出てきて欲しいですね。
特典があることで金銭面以外でもメリットを享受できますし、サービスを利用することで融資先の会社に愛着も湧いてきます。
特に、「Funds(ファンズ)」はそういった特典が多いので投資していて楽しいですね。
これからソーシャルレンディングを始めたいという方にアドバイスはありますか?
ソーシャルレンディングは「貸金」なので、返済が行われないリスクを考えておかなければなりません。
それだけに、案件ごとにしっかりと精査してから投資先を選んで欲しいと思います。
最近は、ソーシャルレンディング各社で融資先の会社や投資分野の分散が進んでいます。
そのため、しっかりと案件を精査すれば分散投資はしやすくなっていると思います。
特に、「Funds(ファンズ)」は不動産会社以外の融資の案件が多く、しっかりと情報を公開しています。
財務の内容などを念入りに確認した上で投資先を選んでもらればと思います。
ソーシャルレンディング以外の投資対象について
のがたか氏は、投資家として多種多様な投資先に資金を投入していることでも知られています。
そこで、のがたか氏がソーシャルレンディング以外に注目している投資先について話を聞いてみました。
先行きが見えないコロナショックの状況下で、のがたか氏はどんな投資先に注目しているのでしょうか?
いま注目している投資先を教えてください。
個人的には、まだまだ仮想通貨に注目しています。
最初に大きな利益を出すことができたのが仮想通貨なので、思い入れが強いです。
ただ、ボラティリティは大変高いため、誰にでもおすすめできるわけではないですね。
私個人ではありませんが、ブログ読者の方が注目しているなと感じたのは積立投資です。
今は各種の相場が下落しているため、リスクが低い積立投資を始める良いチャンスだと考えている方が多いようです。
また、証券会社の口座開設件数も大きく伸びているようで、株やFXなどの相場が動く投資を始めることに興味を持つ方が増えているようです。
数々の投資の中でコロナショックの影響が大きかった投資先、反対に小さかった投資先は何でしょうか
「影響がなかった」という投資方法はありません。
全体的に下がりました。
仮想通貨はもともとボラティリティが高いためそれ相応に下がりましたし、各国の株価と連動する投資信託も下がっています。
個別株はやっていませんが、航空株は大幅に下がっている反面、Amazonのようなネット通販や映像配信サービス関連は値を上げています。
これから先は、そういった個別の銘柄にも興味を持つべきなのかなと思いました。
ソーシャルレンディングに関しては、4月で全額償還になりました。
タイミングが良かったのか、損失どころか配当利回りが予定よりも下がることはありませんでした。
これから先に伸びる投資先の予想を聞かせてください。
興味がある投資先は、今も昔も仮想通貨です。
ただし、これは趣味なので儲かるかどうかは別としておいてください。
投資初心者の方におすすめするのであれば、今はロボアドバイザーです。
運用に手間がかかりませんし、リスクのコントロールを自分の裁量でできるからです。
投資先を個別に勉強する時間はないけれど投資を始めてみたいという方は、まずはロボアドバイザーから始めて徐々に勉強していけば良いと思います。
実際に投資していると、関心の持ち方が変わってきて知識の吸収量が違いますからね。
他の投資に関しては相場が下がっているため、積立系の投資が良いのではないでしょうか。
今なら有利な条件で始められると思います。
まとめ
のがたか氏は、仮想通貨のようなボラティリティの高い投資から積立のようなリスクの低い投資まで、多種多様な投資を実践していらっしゃいます。
リスクとリターンをコントロールしながら、ソーシャルレンディングも資金の状況によって有益な投資先として活用しています。
同時に、ソーシャルレンディングの問題点を冷静に見つめながら、今後市場を拡大していくにはどうしたら良いのかについても考えています。
のがたか氏のブログ「30代運用男子!!」では、投資初心者の方にわかりやすくそれぞれの投資のやり方、内容を解説しているブログです。
ソーシャルレンディングについても詳しく書かれているので、興味のある方はのぞいてみてください。