小口投資ができる投資先として、近年人気のソーシャルレンディング。
さまざまな特徴を持つソーシャルレンディングサイトが登場しており、その投資対象も内容も千差万別です。
今回は、2021年5月から運営を開始した東南アジアで運用される案件を専門に扱うソーシャルレンディングサイト「アンシンバンク」の特徴やメリット、投資する際の注意点についてお伝えしていきます。
目次
ソーシャルレンディングサイト「アンシンバンク」の概要
アンシンバンクを運営しているのはどういった会社なのでしょうか?
運営している会社のことを知ることで、取り扱う案件の特徴について理解を進めやすくなります。
運営会社概要
社名 | サン・キャピタル・マネジメント株式会社 |
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所在地 | 大阪市中央区瓦町4丁目4番7号おおきに御堂筋瓦町ビル3F |
登録番号 | 第二種金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第318号 |
加入協会 | 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 |
代表者 | 前田利和 |
設立 | 昭和47年2月2日 |
アンシンバンクを運営しているのはサン・キャピタル・マネジメント株式会社という金融商品を取り扱う会社で、本社は大阪市中央区にあります。
金融商品取引や外国債券などの金融商品売買を取り扱っており、創業は1972年と2021年には創業50年目を迎える歴史ある会社です。
一方で、2016年に大阪府から行政処分を受けた経歴がありますが、その後も事業を継続しているので、行政処分を真摯に受け止め事業の改善に取り組んでいると考えられそうです。
登録免許に関しては第二種金融商品取引業登録を行っていますが、自社で貸金業登録は行っていません。
アンシンバンクの投資スキームを見ると、以下のような図が掲載されています。
出典:アンシンバンク
直接的に資金を必要とする会社に貸付を行なっているのは、サン・キャピタル・マネジメントのグループ会社であるBHD社となっています。
BHD社はインドネシアの会社であり、日本の貸金業法とは別の法律で運用されていると考えられます。
そして、BHD社がインドネシア国内で資金を必要とする企業へ融資を行うのです。
アンシンバンクの案件の特徴
次に、アンシンバンクが取り扱う案件はどのような特徴を持っているのかをクローズアップしてみましょう。
大きな特徴としては、東南アジア案件を取り扱っていること、また利回りが7パーセントと高めであることが挙げられます。
アンシンバンクの案件の特徴
- 東南アジアの案件を扱う
- 融資先は小規模法人や個人
- 利回りは7%と高い水準
東南アジアの案件を扱う
アンシンバンクの第一号案件は、東南アジアの中でも特に人口の多い国の一つであるインドネシアの、小規模事業者向けP2P融資マッチングサイト「Asetku」への貸付ファンドとなっています。
インドネシアをはじめとした東南アジアは、いわゆる先進国と呼ばれる国は少ないものの、21世紀に入って人口や産業規模がともに大きく発展しており、今後は大きな経済圏を形成することが期待される国が数多くあります。
そんな成長著しい国への投資ということで、高い確率で利益が出ていることが期待できます。
融資先は小規模法人や個人
アンシンバンクの貸付先を見ると、インドネシアにあるP2Pによる貸付を行う企業「Asetku」への融資案件となっています。
他のソーシャルレンディングサイトの海外向けの案件では、マイクロファイナンスという個人や小規模事業社への融資案件を専門に扱う機関への融資案件が見られました。
アンシンバンクのインドネシアファンドにおいても、最終的な資金貸付先は小規模事業者や個人事業主となっています。
P2Pレンディング機関に貸したお金は、複数の小規模事業者に融資されます。
つまり、アンシンバンクに投資したお金は分散されるので、投資家は自動的に分散投資できるのです。
利回りは7%と高い水準
アンシンバンクの案件情報には、融資時の金利の数字が記載されています。
投資家への配当金利は7パーセント、融資金利は10.5パーセントとなっており、アンシンバンクの営業者報酬は3.5パーセントです。
利回り7パーセントは、2021年現在日本で運営されているソーシャルレンディングサイトと比べると高い水準です。
これ以上の利回りを提供している会社は「LENDEX(レンデックス)」「Crowd Credit(クラウドクレジット)」に限られています。
Crowd Credit(クラウドクレジット)では、国によっては利回り10パーセントを超える案件もあります。
ただ、経済発展が著しい国への投資案件ではなく、経済成長が進んでいないロシアのような国への案件もあり、一定のリスクがあります。
アンシンバンクでは、経済発展中の国への投資、分散投資、さらに利回りが高いという3つの特徴を兼ね備えているのです。
アンシンバンクのメリット
では、投資家の視点から見て、アンシンバンクに投資すればどのようなメリットが挙げられるでしょうか?
利回りの高さと、途上国への投資で社会貢献ができる点がメリットにつながってきそうです。
メリット
- 高い利回りを得ることができる
- 成長著しい東南アジアの諸国に投資できる
高い利回りを得ることができる
アンシンバンクの第一号案件の利回りは、7パーセントという高い数字になっています。
日本の他のソーシャルレンディングサイトの利回りを見ると、利回りは3~5パーセント前後の案件が多いため、アンシンバンクは平均より高い水準の利回りを提供しています。
投資家にとっては、資金を効率良く運用し収益性を高めることができるメリットがあるのです。
成長著しい東南アジアの諸国に投資できる
アンシンバンクの投資分野は、成長著しい東南アジアです。
東南アジアは経済規模が年々発展しつつ、同時に人口も大きく増加しているという世界でも有数のエリアとなっています。
そういった場所へ投資をすることで、高い確率で資産運用を成功できるでしょう。
アンシンバンクのデメリット
メリットを知る以上に、投資をする際にはデメリットやリスクについても知っておく必要があります。
デメリットやリスクを知っておけば、その対策を考えることができるからです。
アンシンバンクに投資する際に注意するべき点としては、為替リスクや途上国であることなどがあると言えるでしょう。
デメリット
- 為替変動リスクがある
- 途上国への融資なのでコロナ禍での先行きが読みにくい
- 担保がない
為替変動リスクがある
アンシンバンクでインドネシアに投資する際は、まず日本円で入金します。
しかし、実際に運用する際にはアンシンバンクが円をインドネシアの現地通貨「ルピア」に両替されます。
そして現地企業の「Asetku」が資金を運用した後に、再度日本円に両替して投資家に返金されます。
基本的には為替変動リスクはAsetku社が負うことになっており、一定の為替変動の範囲内であれば投資家が為替変動による損失を追うことはありません。
しかし、あまりにも大きな為替の変動が起きてしまうと、Asetku社がリスクをカバーできなくなり、投資家の資金の損失が発生する可能性もあります。
そして、インドネシアのメイン通貨は世界の主要通貨ではないため、大きくその価値が変動する可能性があります。
仮にリーマンショック級の為替相場の変動が起きてしまうと、投資家の為替損が発生することも考えられます。
為替相場の変動には注意をしておかなければならないでしょう。
途上国への融資なのでコロナ禍での先行きが読みにくい
アンシンバンクの案件は、インドネシアを中心とした東南アジア諸国です。
発展が著しい発展途上国ということもありますが、反面経済や政情不安が起こることもあり、コロナ禍で大きな経済への影響が発生する可能性があります。
例えば、新型コロナウイルスの感染者数を見ても、シンガポールやベトナムのようなほぼ患者がいない国もあれば、フィリピンやタイそしてインドのように感染規模が拡大している国があります。
インドネシアは2021年5月10日(月)時点では、大きな感染拡大は発生していませんが、ワクチンの接種もまだ進んでおらず、感染を抑制できているともいえません。
コロナ禍が収束していない以上、一定の経済市況リスクがあるのです。
担保がない
アンシンバンクでは、インドネシアのP2P事業者への融資を行っています。
融資時においては担保が設定されていないため、貸し倒れが起こっても資金を回収できません。
保証に関しては、第1号ファンドではインドネシアの企業ASI社による保証が設定されています。
ただし、あまりにも資金未回収が大きい場合や、ASI社の事業資金に余裕がなければ満額保証とはいかないこともあるでしょう。
一方で、小口融資を行うことでリスクの軽減を図っています。
例えば、100万円の融資を行った場合、その100万円は100の小規模事業者に1万円ずつ小口融資し、幾ばくかの貸し倒れが発生することを想定した上で、年利7パーセントという利回りを設定しているのです。
貸し倒れが発生することを前提にした利回りなので、担保がない点は必ずしもデメリットになるというわけではありません。
アンシンバンクの口コミ・評判
インターネット上で、アンシンバンクは投資家からどういった評判を獲得しているでしょうか?
ポジティブな評判とネガティブな評判に分けて、SNS上にあがっている意見を紹介します。
ポジティブな口コミ評判
ポジティブな評判としては利回りの高さ、また海外へ分散投資できる点が挙げられています。
日本国内のソーシャルレンディング案件の利回りが3~5パーセント前後と低下傾向にある中、年利7パーセントという高い利回りを獲得できるのが、アンシンバンクの魅力と感じる投資家もいました。
また、日本国内の案件に資金を集中することが危険だと考える人は、東南アジアに分散投資できる点はリスクヘッジの点で有効だと捉えています。
ネガティブな口コミや評判
一方、ネガティブな評判という点では、東南アジアという途上国への融資を不安に感じている人もいるようです。
これらの国は確かに人口も増え経済も発展していますが、コロナ禍という地球全体を巻き込んだ危機の中では、先行きが読めず投資先として不安であるという声もあがっています。
東南アジアでは、インドの中心に感染者が拡大しているため、まだ経済が安定するのは先ではないかという不安を抱いている人もいます。
運用通貨が主要通貨でないため、為替変動リスクに対する懸念を抱く方もいます。
アンシンバンクがおすすめの方
では、アンシンバンクはどういった投資志向を持つ方におすすめできる投資先でしょうか?
ポイントは、海外相手に投資できるということにメリットを感じる人向けだといえます。
おすすめの方
- 高利回りの案件に投資したい方
- 東南アジアの経済成長に貢献したい方
- 海外案件に分散投資をしたい方
高利回りの案件に投資したい方
アンシンバンクの投資先としての魅力は、やはり利回りが高い点です。
利回りが高ければ、利益を再投資して複利運用するスピードを早めることもできます。
投資の目的が「できるだけ副収入が欲しい」という方にとっては、アンシンバンクはおすすめできる投資先です。
東南アジアの経済成長に貢献したい方
アンシンバンクは、東南アジアへの融資を専門とするソーシャルレンディングサイトです。
東南アジアは、人口は多いものの、国民の経済格差も大きく資金がないがゆえに事業を展開できない人も多くいます。
そこで、アンシンバンクを通じてそういった国々へ資金を回すことで、途上国の経済発展に貢献できるのです。
アンシンバンクで資産運用をすれば、途上国の経済発展に寄与できるメリットを感じることができます。
海外案件に分散投資をしたい方
アンシンバンクを利用することで、自分の資金を日本国内だけではなく海外で運用できます。
経済発展しているエリアであれば高い確率で収益を出すことができ、日本国内の経済市況の影響を避けられます。
自分の資金の運用先をさまざまなエリアに分けたい方にとって、アンシンバンクは使いやすいサイトと言えるでしょう。
アンシンバンクの口座開設手順
では、アンシンバンクで投資家登録をするには、どのような手順が必要でしょうか?
実際に画面を見ながらアンシンバンクの口座開設手順を説明します。
PCでの会員登録
まず、パソコンでアンシンバンクのホームページにアクセスします。
右上にある「ユーザー登録」をクリックしましょう。
メールアドレスの入力画面に遷移するので、そこでメールアドレスを記入します。
スマホでの会員登録
スマートフォンでも同様に、画面右上にある「ユーザー登録」をクリックします。
そうすると、メールアドレス入力画面に遷移するので、メールアドレスを入力しましょう。
アカウント登録申請
メールアドレスに「検証コード」が送信されるので、ユーザー登録画面でその検証コードを入力します。
この検証コードの有効時間は10分なので、急いで入力する必要があります。
そしてパスワードを設定し、利用規約を確認してチェックボックスにチェックを入れ、「同意する」ボタンをクリックします。
これでアカウント申請が完了します。
出資者登録
投資を実際に行うには、出資者登録が必要です。
出資者登録の際には、金融機関口座の情報入力及び個人情報を証明する必要書類の画像のアップロードが必要です。
必要な本人確認書類
本人確認書類は、以下の中から提出します。
顔写真付きのものは1通、顔写真なしのものは2通提出する必要があります。
顔写真付きのもの(1通) |
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顔写真なしのもの(いずれかのうち2通) |
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金融機関情報
金融機関情報は、以下の情報を入力します。
- 口座名義(カナ)
- 金融機関名を選択ください
- 支店名
- 預金科目
- 口座番号
出資金の償還や、分配金を受け取るために使われます。
また、投資家本人様名義と一致する金融機関口座を登録しなくてはなりません。
個人情報の入力
次は、個人情報を入力していきます。
- 電話番号
- 氏名(漢字)
- 性別
- 生年月日
- 職業
- 住所
- 年収
- 主な収入源
- 余裕金融資産の額
- 資金の性格
- 取引動機
- 投資経験
日本国外に居住する方、外国籍の方は出資者登録できません。
個人情報を入力したら以下の書類を確認します。
- 貸付型ファンド取引約款
- 反社会的勢力の排除に関する誓約書
- 電磁的方法による書面の交付に関する承諾書
これらの情報を入力、アップロードした後、アンシンバンクの審査を通過すれば自宅に書留はがきが発送されます。
書留はがきを受け取れば出資者登録が完了し、投資できるようになります。
まとめ
アンシンバンクは、東南アジアの小規模事業者への資金融資を専門に行うソーシャルレンディングサイトです。
海外での案件を専門に取り扱うサイトといえばクラウドクレジットもありますが、アンシンバンクは東南アジアに融資先を限定することで高い専門性を確保していると言えるでしょう。
日本国内でのソーシャルレンディング案件に投資先を集中すると日本国内の経済市況で問題があった際に、一気に資金が損失する可能性があります。
そんな事態を避けるためには、ぜひアンシンバンクを使い東南アジアへ投資を行ったり、クラウドクレジットを使って多種多様な国への分散投資を心がけたりすると良いでしょう。
海外で運用されるソーシャルレンディング案件は日本国内の案件よりも利回りが高めになる傾向があります。
もちろん、それぞれの国におけるカントリーリスクもあるので、リスクを知った上で分散投資の一環として、海外案件に投資してみてはいかがでしょうか?