「クラウドファンディング」という言葉が広く一般にも馴染んで久しいですが、実際に使ったことがある人は少ないのではないでしょうか?
「クラウドファンディングなんて自分には無縁だな」と思っていませんか?
実は、クラウドファンディングは資金調達する起案者として使うことができるほか、お金を稼ぐ投資をするために出資者(投資家)として使うこともできます。
利回りが高くて魅力的なクラウドファンディングのやり方について、「起案者」と「支援者」の両方の側面から学んでいきましょう。
目次
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のライター。
投資歴は4年、運用資産額は1,000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
クラウドファンディングは「投資型」のサイトを使っており、支援者としてリターンをもらっています。
クラウドファンディングは資金調達だけでなく収入を得る手段としてもメリットがあるので、一人のユーザーの目線から詳しくお伝えしていきます。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて資金調達したい人と出資したい人を結びつけるサービスです。
「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせて生まれた言葉で、大勢の人から少しずつ資金を調達できるため、「クラウドファンディング」と呼ばれています。
クラウドファンディングに参加するのは、資金調達をしたい「起案者」と出資をする「支援者」です。
起案者と支援者のどちらで参加するかによって、クラウドファンディングのやり方やコツが異なります。
ご自身はどちらでクラウドファンディングをやるのかイメージしながら読み進めてください。
「起案者」としてクラウドファンディングを使う
プロジェクトなどを立ち上げるために資金調達を行う人のことを、「起案者」と呼びます。
起案者としてやりたい事業があるとき、クラウドファンディングで資金調達する人も増えてきています。
起案者としてクラウドファンディングを使うメリットは、自分がお金を持っていなくても資金調達できることです。
また、銀行から十分な融資はしてもらえなかった人でもチャレンジできるのが良いところです。
クラウドファンディングで成功するには、支援者に「ぜひ応援したい!」という気持ちになってもらうことが重要です。
そのため、利己的な事業だと資金が集まりにくいですが、ボランティアや社会貢献の側面があるプロジェクトだと、資金調達のハードルは下がります。
多くの人に共感してもらえそうなアイディアをお持ちの方は、クラウドファンディングでの資金調達にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
「支援者」としてクラウドファンディングを使う
支援者は投資家とも言い換えられ、プロジェクトに出資する人のことを指します。
クラウドファンディングのサイト上にはたくさんの起案者がユニークなプロジェクトを掲載しているので、その中から出資したいものを選んで応募する流れで支援します。
クラウドファンディングには種類があり、大きく分ける次の3つに分けることができます。
クラウドファンディングの種類 |
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「寄付型」は、寄附なのでリターンがありません。
「購入型」は、支援の対価として物を受け取るクラウドファンディングです。
「投資型」は、支援すると起案者から利息や配当が支払われるので、クラウドファンディングを使ってお金を稼げると人気があります。
支援者は、物やお金のリターンが欲しいのか、寄附をしたいのかによって、使うべきサイトが異なります。
そのため、自分がクラウドファンディングを使って何を得たいのかを考えてから始めると良いでしょう。
【起案者】クラウドファンディングのやり方
まずは「起案者」がクラウドファンディングを始める前に知っておくべき知識について解説していきます。
起案者のクラウドファンディングのやり方を、次の8つのステップに分けて説明していきましょう。
起案者のクラウドファンディングのやり方
- プロジェクトの目標を決める
- 使うサービスを決める
- プロジェクトの登録・投稿をする
- プロジェクトの審査を受ける
- クラウドファンディングで資金を募る
- プロジェクトの成果を報告する
- 支援者へのお礼を行う
- プロジェクトの終了
ステップ①:プロジェクトの目標を決める
まず、プロジェクトの内容が決まっていなければなりません。
最も重要なのが「目標」なので、内容を決めていない人は目標を決めるところからスタートしましょう。
目標を決めるには、自分が地域や社会において課題だと感じていることを思い出すと良いでしょう。
課題を見つけたら、その課題を解決することが目標になります。
あとは、どうすれば課題を解決できるのかなどを考えてプロジェクトの中身を作っていきます。
ステップ②:使うサービスを決める
プロジェクトの中身が決まったら、使うクラウドファンディングのサイトを選びましょう。
先ほどお伝えしたように、クラウドファンディングには「寄付型」「購入型」「投資型」の3種類があり、プロジェクトの内容によってどれを使うのが良いかが異なるからです。
例えば、災害復興のボランティア活動に充てる資金なら、「寄付型」で調達すると良いでしょう。
リターンがなくても支援してくれる人が大勢いるからです。
イベント開催などのプロジェクトであれば、「購入型」を使うのが良いと考えられます。
支援してくれた人へのリターンとして、イベントの記念品などのプレゼントを設定すると良いでしょう。
「投資型」は、個人の資金調達にはあまり使われません。
企業などが事業の資金を調達するのに使うことがあるので、経営者の方には投資型がおすすめです。
ステップ③:プロジェクトの登録・投稿をする
使うクラウドファンディングのサイトを決めたら、会員登録します。
すでにプロジェクトの説明なども頭の中やメモにある状態だと思いますので、早速投稿しましょう。
やり方が分からない場合、サイトのヘルプページを参照してください。
文章だけでなく、写真やイラストなどがあるとイメージが湧きやすく、支援者を募りやすくなります。
できれば、写真など目で見て分かる素材を用意して投稿するのがおすすめです。
ステップ④:プロジェクトの審査を受ける
クラウドファンディングのサイトでプロジェクトを投稿したら、運営側による審査を受けます。
審査にかかる期間はサイトによって異なりますが、即日から3営業日程度のことが多いです。
審査結果はメールで送られてきます。
審査に落ちた場合でも、どの審査項目を満たさなかったのかがわかるサービスが多いため、修正して再チャレンジすることができます。
審査項目をすべて満たすまで修正しなければならないので、修正の回数が多くなってしまうこともありますが、根気よく修正していけばクラウドファンディングの審査にはいつか通ることがほとんどです。
ステップ⑤:クラウドファンディングで資金を募る
審査に通過したら、クラウドファンディングの募集を始めることができます。
プロジェクトを公開して、支援を募りましょう。
もしツイッターやFacebookなどのSNSアカウントを持っているなら、クラウドファンディングを開始したことをSNSでも発信しましょう。
プロジェクトを大勢の人の目に触れさせるほど、資金調達のチャンスが上がるからです。
ここまでが、クラウドファンディングを始めるやり方です。
次の項目からは、プロジェクトが動き出した後の流れです。
ステップ⑥:プロジェクトの成果を報告する
支援してくれた人には、定期的にプロジェクトの成果を報告しましょう。
お金を出してくれた支援者は、あなたのプロジェクトに興味があるということです。
支援者のお金がどんな風に使われているのか、お礼を兼ねて伝えましょう。
ステップ⑦:支援者へのお礼を行う
プロジェクトを進めるとともに、支援者へのリターンも進めていきましょう。
寄付型なら不要ですが、購入型なら支援者が購入したものを作って送付します。
投資型なら、期限を守って利息を支払いましょう。
ステップ⑧:プロジェクトの終了
プロジェクトが終了し、支援者へのリターンの配布も終わったら、クラウドファンディングの資金調達は完了となります。
以上がクラウドファンディングのやり方の流れですが、誰でも簡単に資金調達できるわけではありません。
次の項目では、成功するために気を付けるべきポイントについてお伝えしていきます。
【起案者】クラウドファンディングで成功する3つのポイント
プロジェクトの起案者がクラウドファンディングで資金調達に成功するためには、次の3つのポイントを押さえることが重要です。詳しく説明していきましょう。
- 他人が読んでもわかりやすい説明を書く
- 少額のコースを設定する
- 魅力的なリターンを設定する
他人が読んでもわかりやすい説明を書く
クラウドファンディングで資金が集まらないときの最大の原因は、読みづらくてどんなプロジェクトなのかわからないことです。
他人が読んでもわかる文章で、プロジェクトの目標や内容を説明しましょう。
自分では分かりやすいと思っても、他人が読むと分かりにくいといったこともあります。
クラウドファンディングの申請をする前に家族や友人など身近な人に読んでもらい、一回読めば分かる文章になっているかアドバイスをもらうと良いでしょう。
少額のコースを設定する
購入型の場合、リターンの種類を変えていくつかコースを作ることができます。
この特徴を生かして、ちょっとしたお返しがもらえる少額のコースの定員を多く設定しましょう。
調達したい金額によって異なりますが、目安は500円から1,000円ほどです。
逆に、高額な支援をしてくれる人は少ないので、5万円以上のコースは定員少なめに設定するのが良いでしょう。
少額のコースを設けることで、「少しなら応援できる」という支援者をたくさん集めることができ、結果的に資金を多く調達することができます。
魅力的なリターンを設定する
購入型と投資型はリターンが欲しいから支援する人が多いため、支援者にとって魅力的なリターンにしましょう。
特に、「購入型」のプロジェクトで返礼品に迷走しているケースを見かけますが、支援者のメリットを意識してお礼を考えましょう。
例えば、プロジェクトの過程を写真集にして郵送するという返礼品の場合、誰が写真を撮るかによって魅力が異なります。
プロのカメラマンが撮るならリターン欲しさに支援してくれる人もいるかもしれませんが、素人が撮る場合は厳しいでしょう。
このように、「自分があげたいもの」ではなく、「他人が欲しいもの」をよく考えるようにしましょう。
起案者がクラウドファンディングのやり方で気を付けるべきポイントは、以上のとおりです。
【支援者】クラウドファンディングのやり方
続いて、「支援者」側のクラウドファンディングのやり方を解説していきましょう。
支援者の方が審査や手続きが簡単にできます。
次の6ステップで始められるので、詳しく解説していきましょう。
- 使うサービスを決めて登録する
- 支援するプロジェクトを選ぶ
- 入金・決済してプロジェクトを支援する
- プロジェクトの進捗を確認する
- リターンを受け取る
- プロジェクトを終了する
ステップ①:使うサービスを決めて登録する
支援者の方も、まずはどのクラウドファンディングを使うか決めて会員登録します。
災害ボランティアなど無償でも社会貢献できるプロジェクトを支援したい人は、「寄付型」のクラウドファンディングを使いましょう。
リターンが欲しい方は「購入型」か「投資型」から選びます。
購入型は物やお礼のメッセージなどが、購入型は利息となるお金がリターンになります。
ステップ②:支援するプロジェクトを選ぶ
クラウドファンディングのサイトに登録したら、支援するプロジェクトを選びます。
サイトによっては膨大な案件を扱っているため、ジャンルやカテゴリで絞り込むことができます。
プロジェクトを選ぶときは、リスクの大きさを考えるようにしましょう。
事業の成否に関係なく応援したい場合を除き、基本的にはリスクに見合ったリターンが欲しいと思います。
客観的に見て、プロジェクトが成功する可能性はどれくらいあるのか考えてから支援しましょう。
ステップ③:入金・決済してプロジェクトを支援する
支援するプロジェクトが決まったら、コースを選んで出資します。
クレジットカードを使って決済したり、振り込みで入金したりするので、やり方がわからない場合はクラウドファンディングのサイトのヘルプを確認してください。
多くの案件では、1,000円以下で支援できる少額のコースが設けられています。
クラウドファンディングを使うのが初めてで不安に感じる方は、少額のコースで試してみることをおすすめします。
ステップ④:プロジェクトの進捗を確認する
起案者の資金調達が終わると、プロジェクトが走り始めます。
定期的に進捗の報告が送られてくるので、内容を確認しましょう。
「寄付型」や「購入型」の場合、進捗はあまり気にならず放置してしまう方もいますが、投資型のクラウドファンディングの場合は進捗もしっかり把握しておきましょう。
投資型の場合、満期になると出資したお金が全額返ってきますが、企業のプロジェクトが破綻すると返って来なくなる可能性があるからです。
定期的な報告くらいには目を通し、運用がうまく行っているか確認した方が良いでしょう。
ステップ⑤:リターンを受け取る
プロジェクトが進むと、支援者はリターンを受け取ることができます。
購入型なら返礼品が、投資型なら利息が受け取れます。
残念ながら、あらかじめ決められていたはずのリターンが一向に届かないこともあります。
起案者には説明責任があるため、何か事情があってリターンの用意が遅れている場合も、理由や対処について報告があるはずです。
もし、プロジェクトの失敗などによってリターンを用意できる目処が立たない場合、基本的には起案者が支援者に返金することになります。
しかし、それすらできない状況になっていることもあり得ます。
クラウドファンディングには、リターンを得られないリスクや、出資したお金が返って来ないリスクがあることを覚えておきましょう。
ステップ⑥:プロジェクトを終了する
プロジェクトが無事に完了すれば、クラウドファンディングでの出資は終了です。
投資型の場合、満期を迎えたら出資したお金が返ってきます。
以上が支援者側から見たクラウドファンディングのやり方です。
解説から察している方もいらっしゃるかもしれませんが、投資型のクラウドファンディングを使えばお金を増やすことができます。
投資先として人気が出てきているので、次の項目ではクラウドファンディングで稼ぐためのポイントを解説していきます。
【支援者】クラウドファンディングで稼ぐ3つのポイント
支援者が投資型クラウドファンディングで稼ぐためには、次の3つのポイントが重要です。
リスクを下げつつ利回りの高い投資をするために、サイトや案件選びのチェック項目として参考にしてみてください。
- 業者選びを慎重に行う
- 分散投資をする
- 担保・保証つきの案件に投資する
業者選びを慎重に行う
投資型クラウドファンディングは、事業者選び、すなわちサイト選びが最も重要と言っても過言ではありません。
業者の審査能力が低いと、掲載されている案件のレベルも全体的に低くなってしまうからです。
投資家が求めるのは、利息がもらえて満期に出資した元本が返ってくる案件です。
しかし、業者の審査能力が低いと、ビジネスを行う能力が低い企業のプロジェクトまで掲載してしまうことになります。
このような案件だと、利息が支払われなかったり、満期になっても元本が返還されない「貸し倒れ」が起きてしまうことがあるのです。
したがって、投資型クラウドファンディングのやり方で最も重要なのが業者選びなのです。
過去の実績のページを見て、信頼できる業者を選びましょう。
分散投資をする
一つの案件に大金を投資するのではなく、複数の案件に少しずつ投資をする「分散投資」をしましょう。
集中投資すると、その案件で貸し倒れが起きたとき、すべての資金が溶けてしまうリスクがあります。
一方、分散投資をしていれば、1つのプロジェクトが破綻しても全財産がなくなるわけではありません。
投資型クラウドファンディングに限った話ではありませんが、投資をするときは資金を分散させるのがリスクを下げるコツの一つです。
ダントツで魅力的な案件を一つ見つけた場合でも、そこに集中投資するのではなく、他の案件も見て分散投資しましょう。
担保・保証つきの案件に投資する
投資型クラウドファンディングの案件には、「担保」や「保証」がついている場合とついていない場合の2種類があります。
担保や保証とは、プロジェクトが失敗して投資家のお金を返せなくなったとき、担保となる不動産の売却などによって資金を作り、投資家に一部を返済する仕組みのことです。
すなわち、担保や保証がついている案件の方が貸し倒れリスクが低いと考えられ、投資するのにおすすめです。
担保や保証がついていない案件は、貸し倒れしたときに資金が返って来ないかもしれないため、基本的には投資を避けた方が無難です。
まとめ
起案者と支援者の両方から見たクラウドファンディングのやり方を解説してきました。
起案者は手軽に資金調達でき、支援者は出資によってリターンが得られるため、クラウドファンディングは両者にとってWin-Winな仕組みです。
起案者がプロジェクトを成功させるためのポイントや、支援者が投資型クラウドファンディングでお金を稼ぐためのポイントも解説しました。
説明したポイントを押さえれば怖いものはないと思いますので、ぜひクラウドファンディングを使ってみてはいかがでしょうか?