クラウドファンディングは不特定多数の人間から、事業に必要な資金を募って、事業を運用していく仕組みです。
事業者にとっては、クラウドファンディングを使えば銀行以外から資金を調達することができるため大きなメリットがあります。
その結果、クラウドファンディングは日本でも多くの会社が利用するようになっています。
また、投資する立場の人としては、自分のみで多額の資金を用意するのではなく少額から投資ができため資産運用に関するハードルが下がっていると言えます。
しかし、クラウドファンディング投資はメリットだけではありません。
もちろんデメリットもあります。
そこで、今回は各種のクラウドファンディング投資にはどのようなデメリットがあるのかについて解説しましょう。
なお、クラウドファンディングは大きく次の5種類に分けることができます。
それぞれについてデメリットを解説していきます。
- 購入型
- 株式投資型
- 不動産投資型
- 融資型
- 寄付型
クラウドファンディングのデメリット一覧
まず、5種類のクラウドファンディングのデメリットを一覧にした表でまとめておきます。
種類 | デメリット |
---|---|
購入型 | 返金されない可能性が極めて高い |
株式投資型 | 投資した会社が上場できずリターンがない可能性が高い |
不動産投資型 | 損失が発生する可能性がある |
融資型 | 貸し倒れが発生して損失が発生する可能性がある |
寄付型 | 寄付した事業が実行されない可能性がある |
「購入型」のデメリット
購入型クラウドファンディングは、サービスや商品の開発などを行う事業者に対して、投資家が一定金額のプロジェクト型商品を購入することで資金を援助する仕組みです。
事業者は資金が集まったら、その資金をもとに事業やサービスを開発し、商品やコンテンツをリターンとして投資家に提供します。
投資家のデメリットは、基本的に返金が行われないことです。
プロジェクトが成立した場合、その資金をもとにプロジェクトが開始されます。
プロジェクト自体の成否に関わらず、資金は返金されません。
開発するコンテンツや商品が難易度の高いものであり、満足な内容の商品やサービスが開発されないことも十分に起こりえます。
投資家へのリターンがほとんど望めなくなってしまったケースでも、投資家に対して返金は行われません。
商品やコンテンツを期待していた人にとっては、損失が発生していると言える状況です。
革新的なサービスや画期的な商品になるほど、開発のハードルは高くなりリターンが生まれないこともあるのです。
一方で、投資対象がお金さえあれば開発が容易なものであれば、十分なリターンを見込むことができます。
「株式投資型」のデメリット
株式投資型クラウドファンディングは、上場前のベンチャー企業の株を購入できるクラウドファンディングです。
企業にとっては株を売って資金調達できるメリットがありますし、投資家にとってはその企業が上場すれば、株価の値上がりによって大きな売却益を得ることができるメリットがあります。
しかし、投資した企業が必ず上場できるとは限らないことがデメリットです。
むしろ、商品の開発やサービスの開発に失敗し、倒産してしまうリスクを十分考えておかなくてはならないのです。
上場しなければ、ずっと株を所有していても、他人に譲渡することもできず塩漬けになってしまいます。
自分の投資用資金を、長期間拘束される結果に終わるでしょう。
さらに、倒産という事態になれば、投資したお金の全てが損失となってしまうこともあるのです。
また、株式投資型クラウドファンディングの場合、株を購入するできる金額は、1社あたり個人で50万円と決まっています。
多数の株を購入してその会社の経営権を得ることもできません。
あくまで投資として購入するので、会社が上場しなければまったく無意味なのです。
もちろん、上場が成功すれば投資したお金が何十倍・何百倍にもなる可能性があります。
投資先をきちんと見極めていかないと損失が発生する可能性が高くなってしまいます。
「不動産投資型」のデメリット
不動産投資型クラウドファンディングは、不特定多数の人間から集めたお金をもとに、不動産会社が物件を購入する形式のクラウドファンディングです。
物件の運営による収入や、売却益を投資家に分配する仕組みです。
個人にとっては、少額から不動産投資ができるメリットがあります。
反面、購入した不動産で家賃収入が得られなかった、売却益が出なかった場合は損失が発生するというデメリットがあります。
例えば、都心区分マンション投資の不動産投資型クラウドファンディングであれば、家賃収入は手堅い(空室リスクが低い)ため、大きな損失は起こりません。
しかし、地方のホテルや空き家を購入し、リノベーションを施して再生するプロジェクトでは、収入や売却価格がどの程度になるか見込みにくいです。
利益が出ない、売却しても購入価格に及ばないというケースも十分にあり得ます。
購入対象の不動産の立地や築年数、周辺環境を見て、どの程度の資産価値があるのかをきちんと判断してから、投資対象を選ぶようにしましょう。
「融資型」のデメリット
融資型クラウドファンディングは、別名「ソーシャルレンディング」と呼ばれます。
不特定多数の投資家から資金を集め、ソーシャルレンディングサイトを運営する会社が資金を必要としている事業者に融資を行う仕組みです。
その融資するお金に金利を上乗せした金利が投資家の収入となります。
投資家には、貸付期間中、定期的に分配金が支払われます。
不動産投資型クラウドファンディングと異なり、貸付金利が収入源となっているので収入自体は安定しています。
しかし、不動産投資型クラウドファンディングは、運営元の物件情報や運営元の会社情報が明らかになっているのに対し、融資型クラウドファンディングは融資先や担保は、一部の情報しか公開されません。
そのため、倒産する可能性の高い会社に、知らず知らずのうちに投資をしていたり、担保価値がほぼゼロに低いような動産や不動産が担保になっている案件に投資してしまうことがあります。
貸し倒れが起きた際のリスクが非常に高いことがデメリットです。
実際に、融資型クラウドファンディングでは、貸し倒れが頻発したり、投資家に対し、担保評価額の3割しか返金されなかったなどの事態が相次いで起こっています。
金融庁でもそのような状況を受け、融資型クラウドファンディングを運営する会社に対し、融資先の情報を公開するように伝えています。
ただし、融資先の情報開示は義務ではないため、十分な情報公開が行われているとは言えない状況です。
貸し倒れが起きた時の資金回収率に問題があるのが、融資型クラウドファンディングのデメリットです。
「寄付型」のデメリット
寄付型クラウドファンディングは、もともとリターンを求めるものではないため、あまりデメリットを感じる人はいないでしょう。
寄付型クラウドファンディングは、社会貢献の意味合いが強い事業なものに対し行われます。
そこでデメリットがあるとしたら、寄付をしたのに事業が実行されなかったということでしょう。
お金が戻ってこないことは承知の上と言っても、騙されたと知れば心理的瑕疵につながります。
また、寄付は寄付先が自治体や公益法人、認定NPO法人であれば、寄付したお金の約40パーセントが所得税から控除されるため、節税効果を期待できます。
しかし、会社などへの寄付は節税にならず、単なる贈与扱いです。
節税になる寄付対象をよく調べておかないと、ただ単に手持ちの現金が減るだけの結果に終わります。
節税効果が限られている点がデメリットでしょう。
まとめ
クラウドファンディングにはさまざまな特徴がありますが、自分が投資した先が満足に事業を運営しなかったということにより、投資家が損失を被る事態は発生しています。
そのため本当に成立する可能性の高い事業や、商品開発、また不動産物件の詳細をよく確認してから投資先を選びましょう。
そうしないと、思わぬ損失が発生する可能性があるのです。