目次
ソーシャルファイナンスとは
出典:ソーシャルファイナンス
最近注目のクラウドファンディング投資。
その中でも、太陽光に由来する自然エネルギー関係の開発案件に投資できるサイトに「ソーシャルファイナンス」があります。
ソーシャルファイナンスはどういった会社が運営しているのか、またどのような投資ができるのかなど、投資先としての妥当性についてこ紹介していきましょう。
株式会社フィットの子会社が運営する「不動産投資型クラウドファンディング」
ソーシャルファイナンスは、株式会社フィットの子会社「ソーシャルファイナンス株式会社」が運営するクラウドファンディングサイトです。
会社名 | ソーシャルファイナンス株式会社(四国財務局(金商)第25号) |
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代表 | 代表取締役社長 宮入 義勝 |
所在地 | 〒771-0130 徳島県徳島市川内町加賀須野1069-23 |
事業内容 | クラウドファンディング事業 |
業務内容 | 金融商品取引業(第二種金融商品取引業)及び関連事業質屋営業 |
資本金 | 20,000,000円【平成30年2月20日現在】(資本準備金2.000万円) |
登録免許 | 四国財務局長(金商)第25号
徳島県公安委員会許可第801050000002号 |
加入団体 | 一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 |
2019年3月から小口投資型クラウドファンディングサイトの運営を始め、これまでに太陽光発電装置の開発案件を投資家に提供しています。
現在注目されているクラウドファンディング型投資は、小口資金でもインカムゲインが得られる投資手法として若年層に人気があります。
また、事業者は大手の金融機関に頼らずに個人投資家から資金を調達できるというメリットがあるのです。
つまり、個人投資家は手軽に投資でき、事業者側は手軽に資金を集められます。
そのため、日本でも徐々に普及しつつある投資手法なのです。
株式会社フィットの概要
クラウドファンディング型投資の人気は高いのですが、投資家に不利益をもたらすような法令順守意識の低い運営会社が存在しないわけではありません。
そこでソーシャルファイナンスの親会社である株式会社フィットについて、よく知っておく必要があります。
株式会社フィットは、東証マザーズ上場企業です。
東京と徳島に本社があり、関西にも支社があります。
また、クリーンエネルギーの開発事業や不動産事業などを中心に事業を行っており、太陽光発電装置、投資型マンションの開発、スマートホームの導入事業、そして、賃貸物件の管理・運営などを行っています。
創業から10年が経過しましたが、短期間で東証マザーズ上場を果たしていることもあり、信頼はおける会社だと言って良いでしょう。
屋号 | 株式会社フィット |
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資本金 | 979百万円(2019年4月30日現在) |
設立 | 2009年4月1日 |
代表取締役 | 鈴江崇文 |
本社 | 東京都渋谷区渋谷3丁目28-13渋谷新南口ビル2階 |
TEL | 03-5778-9436(代表) |
徳島本社 | 徳島県徳島市川内町加賀須野1069-23 |
TEL | 088-665-1500 |
上場証券取引所 | 東京証券取引所マザーズ市場(証券コード1436) |
従業員 | 79名(2019年4月30日現在) |
事業内容 | クリーンエネルギー事業
スマートホーム事業 フランチャイズ事業 |
営業届出 | 建設業者許可番号国土交通大臣許可(特-30)第25619号
宅地建物取引業者免許番号:国土交通大臣免許(02)第008312号 不動産特定共同事業許可番号:徳島県知事第1号 |
関連会社 | ソーシャルファイナンス株式会社金融商品取引業者登録(四国財務局長(金商)第25号)
質屋営業法(徳島県公安委員会許可第801050000002号) |
ソーシャルファイナンスの案件の特徴
投資家として気になるのは、投資先としてのソーシャルファイナンスの妥当性ではないでしょうか。
クラウドファンディング投資でも、しっかりと情報を確認する必要があります。
利回りがあまりに高い案件の場合、貸付リスクが高くなります。
また、法人の場合はFIT制度(固定価格買い取り制度のこと)における太陽光開発案件の運用期間は20年に設定されているため、期間内に利益を出さなければなりません。
では、ソーシャルファイナンスの案件の内容を具体的に見てみましょう。
特徴①:再生エネルギー関係の案件中心
ソーシャルファイナンスの案件は、太陽光発電など再生エネルギー関連事業のものが中心です。
太陽光発電施設は、FIT制度のおかげで収益を出せる可能性が高いです。
特徴②:予定分配率は6%~8%
第1号の太陽光案件の予定分配率(元本償還額+予定利益分配率)は6パーセントから8パーセントになっています。
運用期間は20年ですが、これは事業者向けのFIT制度の期間として妥当なものです。
ソーシャルレンディングと比較すると、20年の運用期間は特に長期にわたるものです。
ただ、ソーシャルファイナンスへの投資後でも、権利の譲渡や解約は可能です。
その点がソーシャルレンディングとの大きな違いだと言えるでしょう。
また、太陽光発電装置の事業者や所在地情報を明らかにしています。
ファンド名 | SF太陽光発電ファンド第1号 |
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所在地 | 岡山県岡山市御津新庄2869番地170、179、185、224
岡山県岡山市御津矢原1663番地31、63、78、199 |
事業主体 | 合同会社SF太陽光発電ファンド1号 |
このほか、1KWあたり32円で中国電力と買取契約を結んだ情報も公開しています。
情報の開示に積極的な姿勢は大いに評価すべきでしょう。
投資家は投資先の妥当性を判断したうえで投資することがです。
特徴③:随時元本の返済が行われる
ソーシャルファイナンスの案件の詳細には、20年間の運用予定表が掲載されています。
こちららは100万円を投資した場合を想定しており、20年間で約47パーセントの利益が出る試算です。
出典:ソーシャルファイナンス
ソーシャルレンディングと異なり、ソーシャルファイナンスの投資案件は毎年一定額の元本を償還します。
例えば、10年目終了時点では、運用されている資金が100万円ではなく44万5,000円となっています。
この時点で、55万5,000円が投資家のもとへと戻っています。
ソーシャルレンディングの場合、案件の運用終了まで元本が返済されません。
しかし、ソーシャルファイナンスでは毎年少しずつ元本が償還されることで、元本を大きく喪失するリスクを回避することができます。
ソーシャルファイナンスのメリット
では、ソーシャルレンディングや他の不動産投資型クラウドファンディングと比較して、ソーシャルファイナンスの案件に投資するメリットにはどのようなものがあるでしょうか?
メリット①:安全性を確保しながら利回りも確保できる
ソーシャルファイナンスの太陽光案件は安全性と利回りを両立させています。
20年間の運用計画表では、100万円を投資すれば合計47万円の利益が出ると試算しています。
47万円÷20年=2万3,500円/年。
見方によっては、100万円の投資に対して年利2.35パーセントと考えることができます。
この数字だけでは、決して利回りが高いとは言えません。
しかし、ソーシャルファイナンスの案件は毎年一定金額の元本が償還されます。
そのため、元本を一気に失うリスクは低いです。
一口20万円からと最低投資額のハードルはやや高いですが、まとまった収入を定期的に得たいのであれば、20万円は決して高い金額ではありません。
FIT制度が適用される20年の間に太陽光発電装置の運用が好調であれば、安定して利益を受取れることになります。
メリット②:運営元のバックボーンがしっかりとしている
最初に紹介したように、ソーシャルファイナンスの親会社は東証マザーズ上場企業である株式会社フィットです。
上場時には、反社会勢力との交際や法令順守意識、業務スキームなど、さまざまなチェックを受けます。
また、社員数が80名ほどと一定の規模があり、黒字を達成していることから短期間の倒産リスクは低いものと見られます。
小規模な会社が多く、投資家に満足する利益を提供できなかったソーシャルレンディング投資と比較しても、安定度の高い投資先と言えるでしょう。
メリット③:権利の譲渡が可能
ソーシャルレンディングは運用期間中の解約ができませんが、ソーシャルファイナンスに関しては次のような記載があります。
譲渡手数料
やむを得ない理由により、匿名組合出資を譲渡する場合(譲渡には営業者の承諾が必要となります。出資者には、50,000円(税抜)を営業者にお支払いいただきます。
また、譲渡等にかかる郵送物の郵送料にかかる費用も別途営業者にお支払いいただきます。
あくまでも個人の都合ではなくやむを得ない理由との但し書きはありますが、匿名組合出資契約の譲渡が可能です。
営業者に5万円の手数料を支払うことで、自分の出資契約を他社(または他者)に譲渡できるのです。
20年もの長期の投資にリスクを感じる人もいるでしょうが、譲渡先が見つかれば権利を他人に譲渡することができます。
ソーシャルファイナンスのデメリット
投資である以上、ソーシャルファイナンスの案件にもリスクやデメリットはあります。
メリットだけではなく、デメリットについても把握しておきましょう。
デメリット①:案件数が少ない
ソーシャルファイナンスの第1号案件は、2019年2月に公開されました。
その後、2019年9月現在までに提供された案件はこの一件のみです。
投資家としては、投資機会の少ない会社となっています。
いくら条件が良くても、投資できる案件数が少なければ利益を出すことができません。
一案件あたりの規模も、5,760万円と太陽光案件にしてはそれほど大きな金額ではありません。
積極的な案件の提供が望まれるところです。
デメリット②:担保が不明瞭
ソーシャルファイナンスの太陽光案件では、太陽光発電装置の所在地がしっかりと明記されています。
そのため、現地で運用状態や立地を確認することが可能です。
一方で、リスクを示す但し書きとして、次のようにと明記されています。
太陽光発電装置の運営において、自然災害などによって想定通りの利益が出ないこともある
もし、太陽光発電装置の運営がままならなくなった場合、土地を売却して投資家に返金するものと思われますが、担保についての記載がありません。
所在地がわかっているため、運営を目的とした土地がどの程度の売却価格になるのかは計算できますが、投資家に担保に関する情報を明確に提供していないところはやや不親切かもしれません。
デメリット③:事務手数料がかかる
ソーシャルファイナンスで投資する際には、1件あたり3,500円の事務手数料が発生します。
ソーシャルレンディングでは投資に伴う手数料は特に発生せず、あくまでも銀行口座の振込手数料だけの会社が大半です。
最低投資額が20万円と高額であることから、まとまった資金を持っている方向けの不動産投資型クラウドファンディングかもしれません。
まとめ
ソーシャルファイナンスは、現在太陽光発電の案件だけを提供しています。
20年の長期案件だけあって、利回りは6パーセントからから8パーセントと高めです。
また、運営元の名称や太陽光発電装置の所在地についてもしっかりと明記しています。
20年間の長期運用だけに、運用期間中に発電装置が自然災害などの被る可能性があり、決してリスクは無視できるものではありません。
しかし、リスクや運営元などの情報をしっかりと開示しているため、投資家が投資の妥当性を判断できるメリットがあります。
「多少のリスクは許容できる」「ミドルリスク・ミドルリターンを得たい」人はぜひ、投資先としてソーシャルファイナンスを選んでみてはいかがでしょうか?