ソーシャルレンディングに投資すると、見返りとして「分配金」という不労所得をもらうことができます。
他の投資方法に比べ少ない資金でたくさんの分配金が期待できるため、ソーシャルレンディングは人気が高まっています。
この記事では、分配金の計算方法や、目標の不労所得の金額ごとにどんなソーシャルレンディングの案件を選べば良いのかを解説していきます。
間違えやすい表面利回り・実質利回りといった用語や、確定申告が必要なケースについてもお伝えしていくので、この記事を読めば分配金に関する基礎知識を身につけることができるでしょう。
目次
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のフリーライターです。
投資歴は4年、運用資産は1,000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
ソーシャルレンディングはまだマイナーな投資方法ですが、筆者の不労所得の要でもあるため、ぜひ大勢の方に知って欲しいと思っています。
この記事では投資家にとってとても大切な分配金についての基礎知識をお伝えしていきます。
ソーシャルレンディングにおける「分配金」とは
ソーシャルレンディングにおける分配金とは、投資家が見返りに得られる利益のことです。
いくら分配金がもらえるかは案件によって異なるため、計算してみてから実際に投資するかどうかを考えください。
ソーシャルレンディングでは、分配金は毎月または3ヶ月毎といった間隔で支払われます。
銀行の利息のようなイメージで、ソーシャルレンディングの口座に分配金が入金されます。
分配金は引き出して好きなことに使っても良いですし、またソーシャルレンディングの投資に使って増やしても良いでしょう。
分配金利回りの目安
ソーシャルレンディングの場合、分配金利回りは2パーセントから10パーセントの範囲に収まることが一般的です。
ソーシャルレンディング会社や案件によって差があるため、目安となる幅が広くなっています。
他の投資商品の分配金利回りは、投資信託は1パーセントから3パーセントほど、株式投資は1パーセントから5パーセントほどです(株式の場合は配当金利回り)。
ソーシャルレンディングの方が高い利回りを狙えることがわかるでしょう。
つまり、同じ金額を投資する場合、ソーシャルレンディングは投資信託や株式よりも多くの分配金をもらえる案件があるということです。
少ない資金で大きな利益狙えるので、ぜひ活用したいサービスです。
リスクと利回りは比例する
気を付けておきたいのが、リスクと利回りはおおむね比例することです。
利回りの高さだけで投資する案件を選んでしまうと、リスクが高い案件と知らずに手を出しているかもしれないので、気をつけてください。
投資には元本割れのリスクがあり、ソーシャルレンディングも同様です。
基本的には、利回りが低い方がリスクが低く、利回りが高い方がリスクが高いと考えておきましょう。
案件ごとにリスクは異なるため必ずとは言えませんが、リスクと利回りは概ね比例します。
これを頭に入れておき、利回りが高すぎる案件には少額のみ投資するといったリスク管理を徹底しましょう。
分配金に着目したソーシャルレンディングの選び方
ソーシャルレンディングの案件を選ぶとき、いくら分配金をもらえるかが気になりますよね。
分配金が目当てでない投資家はいないと思いますので、案件を選ぶときにチェックしておきたい分配金に関する項目を2つお伝えしていきます。
想定利回りの高さ
想定利回りが高いほど、少ない資金で多くの分配金をもらうことができると予想できます。
そのため、想定利回りは要チェックです。
リスクも高くなるので一概に高い利回りが良いとは言い切れはしませんが、他の投資方法では実現できない高利回りもソーシャルレンディングなら可能です。
ウェブサイトで投資先を探していると、案件ごとに「想定利回り」や「予定利回り」などの数値が掲載されています。
これを使って、投資家がもらえる分配金を計算することができます。
自分が投資する資金に想定利回りをかけることで、分配金を求めてみましょう。
例えば、想定利回りが5%で、自分が10万円を投資できると仮定しましょう。
このとき、分配金としてもらえる金額は次の式で計算できます。
- 分配金=10万円×5%=5,000円
したがって、この案件だと1年間で5,000円の分配金をもらうことができます。
ただし、ここから約20パーセントが所得税として源泉徴収され、ソーシャルレンディングの口座に振り込まれます。
そのため、想定よりは少ない金額になるはずです。
もっと分配金を多く欲しい場合は、利回りが高い案件を選ぶか、投資する金額を増やしましょう。
分配金がもらえる間隔
意外と見落としがちなのが、分配金がもらえる間隔・タイミングです。
毎月入金してくれる場合もあれば、3ヶ月ごとの入金になる場合もあります。
ソーシャルレンディングの会社ごと、または案件ごとに間隔が異なるため、調べた上で投資をしましょう。
特に、ご自身の給料を補うためにソーシャルレンディングを始める方は、毎月分配されることを期待していると思います。
なのに3ヶ月ごとの入金だったら期待外れですし、家計の消費計画が狂ってしまうかもしれません。
目標の分配金別・利回りの選び方
毎月いくらの分配金を目標とするかによって、投資に使う金額や投資先の利回りが異なります。
毎月5,000円から10万円までの目標ごとに、どれくらいの資金でどんな利回りの案件に投資をすれば良いのかを考えていきましょう。
毎月5,000円
毎月5,000円の分配金を目指すのは、そこまで難しくはありません。
用意できる資金によって目指す利回りが異なるので、資金ごとに見ていきましょう。
投資資金 | 利回り |
---|---|
50万円 | 12% |
80万円 | 7.5% |
100万円 | 6% |
150万円 | 4% |
200万円 | 3% |
利回り12%の案件を選べば、投資資金が50万円と少なくても、毎月5,000円の分配金が期待できることがわかります。
利回りが高いほどリスクも大きくなるため、納得できる人だけ投資してみてください。
少ない資金でも大きな利益を狙えるソーシャルレンディングならではのメリットが表れています。
毎月1万円
毎月1万円の分配金を目指すためには、もう少し資金が必要となります。
どんな案件に投資をしたら良いのか、予算別に見ていきましょう。
投資資金 | 利回り |
---|---|
100万円 | 12% |
120万円 | 10% |
150万円 | 8% |
240万円 | 5% |
400万円 | 3% |
ソーシャルレンディングの利回りが2パーセントから12パーセントほどであることを踏まえると、毎月1万円の分配金が欲しい場合は100万円以上の資金が必要です。
言い換えれば、100万円から400万円の資金がある方は、毎月1万円の分配金による不労所得を目指すことができます。
毎月3万円
毎月3万円の分配金を目指すための資金と利回りについても見ていきましょう。
投資資金 | 利回り |
---|---|
300万円 | 12% |
500万円 | 7.2% |
600万円 | 6% |
720万円 | 5% |
800万円 | 4.5% |
ソーシャルレンディングで毎月3万円の分配金を目指すには、300万円以上の資金が必要です。
とはいえ、ソーシャルレンディングは他の投資方法よりも利回りが高いため、実現しやすい方です。
他の方法の場合は、もっと大きな資金が必要になるでしょう。
毎月5万円
毎月5万円の分配金を目指す場合は、もっと資金を増やしたり、利回りが高い案件に投資する必要があります。
詳しく見ていきましょう。
投資資金 | 利回り |
---|---|
500万円 | 12% |
600万円 | 10% |
800万円 | 7.5% |
1.000万円 | 6% |
1,200万円 | 5% |
ソーシャルレンディングで毎月5万円の分配金を目指すには、500万円以上の資金が必要です。
このあたりになると、そこまでの資金は出せないという方も多くなってくると思います。
無理をしてリスクのある投資をする必要はないため、あくまでも余剰資金だけで500万円以上がある方は、毎月5万円の分配金も可能だということを理解しておいてください。
毎月10万円
毎月10万円分配金を目指す場合の資金と利回りについても解説していきましょう。
不労所得が毎月10万円に達したら、早期退職(セミリタイア)も視野に入るのではないでしょうか?
投資資金 | 利回り |
---|---|
1,000万円 | 12% |
1,500万円 | 8% |
2,000万円 | 6% |
毎月10万円の分配金が欲しいなら、少なくとも1,000万円の資金は必要です。
多くの方にとっては現実的ではないかもしれませんが、早期退職を目指す方にとっては退職前に稼ぐ金額の目標になるかと思います。
1,000万円の資金があれば毎月10万円の不労所得を目指すこともできるので、1,000万円をソーシャルレンディングで運用できるようになってから退職という考え方もできるでしょう。
利回りの用語の違い
ここまで「利回り」という言葉を多用してきましたが、実は利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
違いを分からずに運用していると、「1万円の分配金がもらえると思っていたのに、8,000円しかもらえなかった」のように目論見が外れてしまうことがあります。
そのため、2つの違いについて理解を深めていきましょう。
表面利回り
表面利回りとは、手数料や税金を考慮しない場合の利回りです。
年間の分配金収入を投資した金額で割った指標で、次の式で計算することができます。
- 表面利回り(%)=(年間の分配金収入)÷(投資した金額)×100
例えば、1年でもらえる分配金が5,000円で、投資した金額が10万円の場合、表面利回りは次のように計算できます。
- 表面利回り=5,000円÷10万円×100=5.0%
表面利回りは簡単に計算できるメリットがある反面、手数料や税金など付随して発生する費用を加味できていないデメリットがあります。
ソーシャルレンディングに限りませんが、表面利回りが高くて魅力的な投資案件でも、コストがかかりすぎて大して儲からない案件は存在します。
そこで、コストを加味した利回りである「実質利回り」も併せて見ていく必要があります。
実質利回り
実質利回りとは、手数料や税金も考慮した場合の利回りです。
年間の分配金収入からコストを差し引き、投資した金額で割った指標であり、以下の式で計算することができます。
- 実質利回り(%)=(年間の分配金収入-手数料-税金)÷(投資した金額)×100
例えば、1年でもらえる分配金が5,000円で、投資した金額が10万円、手数料0円の場合の実質利回りを計算してみましょう。
まず、税金を求めると、税率は利益に対して約20%なので以下の式で計算できます。
- 税金=5,000円×20%=1,000円
税金が1,000円と分かったので、実質利回りは以下のように計算できます。
- 実質利回り=(5,000円-0円-1000円)÷10万円×100=4.0%
実質利回りは4%となりました。
同じ条件でも表面利回りは5%だったため、実質利回りは表面利回りよりも小さくなっています。
ソーシャルレンディングの場合、実質利回りを計算すると表面利回りよりも小さくなることがほとんどです。
いくら表面利回りが魅力的でも、手数料や税金がかさんで実質利回りは低くなってしまうことがあります。
逆に言えば、表面利回りだけを見て投資案件を判断すると、騙されてしまうリスクがあります。
必ず手数料や税金を確認し、実質利回りを調べてメリットがあると判断できたら投資をしましょう。
ちなみに、手数料を0円としたのは、ほとんどのソーシャルレンディング会社では投資家が負担する手数料を無料としているからです。
ソーシャルレンディングの分配金の確定申告
実質利回りの項目でも触れましたが、ソーシャルレンディングの分配金には税金がかかります。
場合によっては確定申告も必要になるため、分配金に関する税金の基礎知識も押さえていきましょう。
分配金には税金がかかる
ソーシャルレンディングの分配金には、税金がかかります。
基本的には、ソーシャルレンディング会社が税金を源泉徴収をしてから、投資家の口座に入金しています。
源泉徴収の場合、所得税率は20.42%です(所得税20%、復興特別所得税0.42%)。
しかし、これは目安として差し引かれる税金であり、後で正確な税金を算出して、追加で納税したり支払いすぎた分を還付してもらったりしなければなりません。
分配金の所得区分は「雑所得」で、他の給与所得などと合算した所得に所得税率をかけた金額が、正しい所得税となるからです。
どうして源泉徴収されているのに再度税金を計算しなおさなければならない面倒な仕組みなのかと言うと、所得税の税率が累進課税であることが一因です。
1年が終わってみないと、自分の税率が何パーセントなのか確定しないため、ソーシャルレンディングの分配金の税金も源泉徴収で仮払いしておくというイメージになります。
確定申告が必要な場合
雑所得は、すべての人に確定申告の義務があるというわけではありません。
ですが、これが逆にややこしく、確定申告が必要な人まで申告を怠る事態が起きています。
自分はどちらに当てはまるのか、きちんと理解しておきましょう。
確定申告が不要なのは、会社が年末調整をしてくれるサラリーマンのうち、雑所得の合計が20万円以下になる場合だけです。
雑所得の合計なので、ソーシャルレンディングの分配金以外にも雑所得がある場合は合算し、それでも20万円以下なら確定申告はしなくても構いません。
つまり、会社で年末調整がある会社員の方も、分配金が20万円以上になったり、他の雑所得と合計して20万円以上になる場合は、確定申告が必要です。
ただし、これに該当しなくても、他の条件で確定申告が必須となっている方は、雑所得も併せて申告しなければなりません。
給与所得は確定申告したけど、雑所得は隠しておくといったことのないように気をつけてください。
例えば、個人事業主の場合は収入から経費を控除した後の所得額が38万円以上となる場合、確定申告が必要となります。
会社員の場合、給与所得が以下のような条件に一つでも当てはまる場合、確定申告が必要となります。
本記事の本筋とは外れるので概要のみ掲載しますが、当てはまりそうな方は詳しく調べてみましょう。
会社の年末調整だけではダメですので、覚えておいてください。
確定申告が必要となるケース(会社員の場合) |
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まとめ
ソーシャルレンディングの分配金について解説しました。
毎月5,000円の分配金をもらうくらいであれば、意外と少額でもできることがご理解いただけたでしょう。
リスクと利回りは概ね比例するため、利回りの高さだけで投資案件を選ぶのは危険ではあります。
余剰資金で投資することを守り、少ない資金で大きな不労所得を得る喜びを味わっていただければと思います。