2019年に、金融庁は「年金だけで老後30年の生活費を補うのは難しく、2,000万円の貯蓄が必要」と発表しました。
少子・高齢化が進行している現在の日本では、若者が高齢者の年金を支えることが難しく、国民一人ひとりがリタイア後の生活費を補う手段を自分で用意しなければならないのです。
実際、「iDeCo(イデコ:確定拠出型年金)」や「積み立てNISA」など、コツコツと積み立てながら資産運用ができる制度が国によって導入されています。
そのため、若年層の方でも投資や資産運用に興味を持つ方が増えていることでしょう。
資産運用や貯金は早く始めれば始めるほど、老後の資金を用意しやすくなります。
そこで、今回は20代から投資を始め、すでに5,000万円以上を投資に回している若手投資家「タクスズキ氏」にお話を伺いました。
これから投資を始めたい方、資産運用に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
タクスズキ氏のプロフィール
タクスズキ氏は、投資ブログ「20代が個人で資産運用してみるブログ」を運営している若手投資家です。2020年4月5日時点で5,600万円を資産運用に回しており、その金額は随時更新されています。
また、Twitterアカウントでも、日々の投資記録などを発信しています。
タクスズキ氏は、投資を始めてまだ3年ほどだそうです。
その投資方針を中心として、インタビューを実施しました。
投資を始めた時期やきっかけからお伺いできますか?
投資を始めたのは2017年です。
働いてまとまったお金ができたので、「そのまま使ってしまうのはもったいないな。増やす手段は何かないかな?」と考えたことが投資を始めるきっかけでした。
最初に着目した投資は何でしたか?
ネットで色々探している中で、たまたま見つけたのが「クラウドバンク(Crowd Bank) 」でした。
そこからソーシャルレンディングに興味を持ち、クラウドバンクのセミナーにも参加して投資を始めました。
ソーシャルレンディング、特にクラウドバンクを選んだ理由はありますか?
株やFXはメジャーだけど、毎日値動きがあるから落ち着いて投資できません。
それは自分の性分に向いていませんし、どれくらいの利益になるかも計算できませんよね。
一気にお金が増えるわけではありませんが、それよりもコツコツとお金がどれくらい増えるかがわかるソーシャルレンディングの方が魅力的に映りました。
クラウドバンクに関しては、投資を始めた時点では貸し倒れや返済の遅延が発生したことがなかったので、その点を評価して投資を始めました。
今は「Funds(ファンズ) 」などの他のソーシャルレンディングサイトにも投資しています。
FX自動売買やロボアドバイザーなど「インカムゲイン型」の投資が中心でしょうか?
そうですね、安定した収入を獲得できますし、値動きにストレスを感じることもありません。
ロボアドバイザーも自動取引ですから、自分で取引することなしに利益を狙えます。
ソーシャルレンディングの次にロボアドバイザーを始め、その後FXの自動売買を始めました。
仮想通貨に興味はお持ちでないのですか?
仮想通貨は長期保有を前提に投資しています。
値動きは激しいですが投資としての将来性は高いと思っているので、敢えて値動きを気にすること無く、ホールドし続けています。
タクスズキ氏のソーシャルレンディング投資実績
2020年4月現在、5,000万円以上の資金を運用しているタクスズキ氏。
数ある投資手法の中でも、最も投資金額が多いのがソーシャルレンディングです。
では、どのサイトにどれほどの金額を投資し、どれほどの収益を得ているのでしょうか?
投資家にとって最も気になる点を聞いてみました!
2020年4月時点でソーシャルレンディングにはどれほどの金額を投資していますか?
ソーシャルレンディングに投資しているのは2,500万円です。
特にFunds(ファンズ)の比重が高く、先日1,600万円を投資したばかりですね。
メインはクラウドバンクですが、Fundsは融資先の手堅さを評価して、先日まとまった資金を投資しました。
これだけの金額を投入したので、ひと月あたり10万円ほどの配当金が入る予定です。
Fundsは毎月配当でないので、これが改善されたらより良いサービスになると思います。
クラウドバンクとFundsの2社に重点的に投資されている理由はありますか?
クラウドバンクは「実績」ですね。
現在日本で営業しているソーシャルレンディングサイトでは募集額が第2位ですし、サービスの運用歴が長いにも関わらず、一度も貸し倒れがありません。
行政処分こそ受けましたが、その後は体制を整備しています。
また、今あるソーシャルレンディングサイトの中で、Funds(ファンズ)は最も低リスクの運用スキームを構築しています。
利回りはクラウドバンクよりも低いですが、
- 上場企業を中心に融資している
- 情報を開示している
- リコースローンである
といった点を評価しています。
2017年から行っているソーシャルレンディング投資で損失を発生させたことはありますか?
基本的に高利回りの案件はリスクが高いだろうと思って避けていましたが、lucky Bank(ラッキーバンク)は不動産担保が設定されていたこともあって10万円だけを投資していました。
それでも損失が発生したことはないですね。
ソーシャルレンディングの投資先を見る際は利回りでリスクを判断することが多いですか?
利回りが高いということは、基本的には貸付金利が高いのでリスクが高いと考えますね。
利回り5パーセントを超える案件には注意しています。
利回り以外には、
- ソーシャルレンディングサイトの過去の実績
- 融資先が開示されているか
- 担保はどうなっているか
を確認しています。
今後もソーシャルレンディングへの投資金額は増やしていくご予定ですか?
再投資はもちろん、続けていきたいと考えています。
利益を再投資してこそ複利効果も生まれますし、高い利回りを獲得できます。
ただし、リスクをきちんと見極めて慎重に投資先を選んでいきたいですね。
高利回りの案件を回避していた自分の勘は、正しかったと思っています。
海外の案件に投資を行っていますか?
一部行っています。
実績を見る限りでは、海外の案件は国内よりも貸し倒れや返済遅延の発生率が高いので、リスクは高いと判断せざるを得ません。
そこで、投資先を選ぶ際は、
- 為替ヘッジ(両替予約権)が設定されていて為替変動のリスクがない案件
- 類似の案件や融資先で償還の実績があるもの
にしています。
タクスズキ氏が考える日本のソーシャルレンディング業界の現状
資産の保全性やリスクを重視しつつも、積極的にソーシャルレンディングへの投資を拡大していきたいと語るタクスズキ氏。
ソーシャルレンディング投資を3年行ってきた中で、日本のソーシャルレンディング業界の抱える問題や必要なものについても聞いてみました。
2018年~2019年にかけて返済遅延や訴訟が相次ぎましたが、その前後でソーシャルレンディング業界は変わったと思いますか?
匿名化が解除されただけで、ソーシャルレンディング会社のやっていることはそう大きくは変わっていないのではないでしょうか。
もちろん、融資先の名前が明らかになっていれば、投資家は融資先について確認できます。
しかし、個人では調べられる情報の範囲に限界があります。
私は元々高利回りの案件はハイリスクだろうと思って避けていたので、考え方は大きく変わっていません。
ただ、投資家としてはリスクを強く意識するようにはなったのではと思います。
手堅い投資を行いたい人にとって少しは良い環境になってきたのではないでしょうか。
日本のソーシャルレンディング業界が成長するために必要なものは何だと思いますか?
ソーシャルレンディングという投資は、どのような投資方法であるのか、名前を聞いても連想しにくくわかりにくい。
つまり、キャッチーさがないので、もっとわかりやすく、始めやすい投資にすることが大事だと思います。
例えば、最近はポイントでできる資産運用が増えていますから、ソーシャルレンディングでもそういった取り組みをしても良いと思います。
Fundsのように投資が1円からできるようにするなど、若い人にアピールする取り組みが必要だと感じます。
少額から始められれば損失は自然と限定されますし、ポイントなら現金ではないので「まあ、やってみよう」という気になります。
ソーシャルレンディングは、そういった「手軽さ」をアピールすればいいと思います。
近頃「不動産投資型クラウドファンディング」も人気ですがソーシャルレンディングと比べてどちらに魅力を感じますか?
不動産投資型クラウドファンディングでは、「CREAL(クリアル) 」に投資しています。
それぞれにメリットがあるので、どちらに絞るということはなく、併用してリスクの分散を図れば良いのではないでしょうか。
例えば、CREAL(クリアル)の場合はマンションの運用ファンドを通じて家賃収入が配当されるので、不況に強いですよね。
ソーシャルレンディングでは不動産の案件以外もあるので、そのような投資先を選んで投資すればリスクの分散になります。
もしソーシャルレンディング投資をやめるとしたらどんなことが起きた時でしょうか?
基本的には考えていませんが、より収益が出る可能性が高く、投資家の元本の保全を図る投資手法が出てくれば、それに興味を持つことはあるでしょうね。
これからのソーシャルレンディング業界に望むもの
「ソーシャルレンディングは、まだまだ多くの人にとって身近な投資になっていない」タクスズキ氏はそう語ります。
そこで、タクスズキ氏がソーシャルレンディング業界に望むことを聞いてみました。
ソーシャルレンディングでこんな案件やサービスが欲しいと思うものはありますか?
配当が毎月得られる年利5パーセントの案件ですね。
Funds(ファンズ)は良いソーシャルレンディングサイトだとは思うのですが、配当が3ヶ月に一度という案件が多いです。
たとえ金額が少なくても、毎月の配当であれば「お金をもらっている」という喜びがより感じられます。
そのことがソーシャルレンディング投資に喜びや魅力を感じるきっかけにつながるのではないでしょうか。
再投資もしやすいですしね。
ソーシャルレンディングを取り巻く環境について意見や要望はありますか?
まずは、分離課税の導入です。
ソーシャルレンディングの所得は雑所得ですから、最大で55パーセントも課税されてしまいます。
でも、株やFXの利益のように分離課税が導入されれば、税率は20.315パーセントまで下がりますから、メリットは大変大きいです。
今は少額で投資する人は少ないのですが、分離課税を導入しないと大口の投資家も入ってきにくいですからね。
ソーシャルレンディング会社の働きかけで変えていって欲しい点です。
あとは、融資先の財務状況の開示です。
お金を借りる側がきちんと返せる見込みがあるかを知るうえで、お金を貸す側にもっと情報提供してもらえたらと思います。
それに、開示されている場合でも半年前や1年前の数字であることがあります。
最新の財務状況を開示する義務が設けられれば、もっと安心して投資できるのではないでしょうか。
タクスズキ氏のこれからの目標
ソーシャルレンディングの拡大には、分離課税制度の導入が必要だと語るタクスズキ氏。
さまざまな投資を行ってきたからこそ感じられる、ソーシャルレンディングの欠点なのかもしれません。
タクスズキ氏は、ソーシャルレンディング以外にもさまざまな投資を行っています。
そこで、いま注目している投資や今後の目標についても聞いてみました。
ソーシャルレンディング以外で注目している投資はありますか?
米国株のETF(上場投資信託)ですね。
直近は新型コロナウイルスの影響で相場は下落していますが、ETFであればリスクを軽減できますし、やはり米国株は世界の中心として成長が見込めます。
ETFを選ぶ理由は、個々の値動きを見ないで良いからです。
放っておいても自動的に資産が増えることが理想ですから、毎日の値動きを見て不安になるよりも長期視点に立って先を見据えながら状況を見守ることができる、ある意味でスルーする力を身につけたいですね。
徐々に運用金額を増やしていらっしゃいますが目標の運用金額・収入はありますか?
投資元本で2億円、運用益で年間5パーセント、1,000万円ですね。
ソーシャルレンディングに限らず投資哲学があればお聞かせください。
まず、投資金額を増やすには不要な出費をしないことです。
使わなくても良いお金を節約することです。
その上で、放っておいてもお金が増える可能性の高い投資に資金を投入し、自分では慌てずに何度もトレードするものを避けます。
「平穏に資産が毎日少しずつ増えていく」ことが理想ですし、その運用結果はきちんとブログとツイッターで掲載することもポリシ-ですね。
読んでくれている方に対しては真摯に、本当の運用結果を日々配信していかなくてはならないと思います。
まとめ
ソーシャルレンディングを中心に多額の資金を運用しているタクスズキ氏。
投資先の保全性を重視しながらも、資産運用の重要性をブログで事実とともに伝えており、これから投資を始めたいという方にとって大変参考になるでしょう。
「20代が個人で資産運用してみるブログ」では、ソーシャルレンディングやFXの自動売買など、多数の不労所得を得られる投資手法について、リアルタイムでレポートされています。
投資初心者、そして投資先を増やしていきたいという方も、ぜひチェックしてみてください。