ソーシャルレンディング投資に興味はあるけれど、どうやって始めたら良いのか迷っている方もいるかも知れませんね。
そんなときに参考になるのが、ソーシャルレンディング投資を何年も続けている投資家の意見です。
「リスク対策はどうすれば良いのか」「どういった会社に投資するべきなのか」投資を始める際に参考になる意見をたくさん吸収できることでしょう。
そこで、クラウドアンサー編集部では、著名投資ブログ「IPOで稼ぐメカニックの株ログ」で知られるメカニックさんにインタビューを実施しました。
IPOの情報収集、情報発信を目的に投資ブログを始めたというメカニックさん。
今ではそのブログ内でもIPO投資、ロボアドバイザー投資と並び、ソーシャルレンディングがメインのコンテンツとなっているそうです。
すでにソーシャルレンディング投資歴が6年を超えるメカニックさん。
ときには苦汁をなめたこともあったそう。
それでも今なおソーシャルレンディング投資を続ける理由は何か?
ソーシャルレンディング投資の魅力やメカニックさんならではの投資先の選び方について語ってもらいました。
目次
「IPOで稼ぐメカニックの株ログ」で有名なメカニックさんについて
メカニックさんは、株式のIPO情報配信などを行うブログ「IPOで稼ぐメカニックの株ログ」を2013年から運営していらっしゃいます。
2020年2月現在、ブログのメインコンテンツは次の3つとのこと。
- IPO情報
- ソーシャルレンディング
- ロボアドバイザー
ソーシャルレンディングの情報を求める読者は多く、数ある投資ブログの中でも読者数が多い著名サイトの一つです。
では、そんなメカニックさんにブログやソーシャルレンディングを始めたきっかけについて聞いてみました。
ブログを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
IPO投資に興味を持ち、確認の意味を含めてブログを始めました。
そしたら同じようにIPOの情報を求めている人にも見てもらえるようになり、そこからさまざまな投資についても記事にしていった感じです。
その中でソーシャルレンディングに興味を持ったのはなぜですか?
IPO投資の場合、リスクは低いですが抽選に当たらなければ利益が出ないため確実性が低いです。
なかなか投資したくてもできないわけです。
そんなときに、たまたま「クラウドバンク」の広告を見て、ソーシャルレンディングのことを知りました。
それが2014年頃でしたね。
「自分で資産運用するわけではない。それでいて収入が入ってきて、さらに毎月配当がある。」そんなところに魅力を感じました。
そして、ソーシャルレンディングの記事も次第に取り上げるようになったという感じです。
元々、株でもIPOに注目しているぐらいですから、こまめなトレードが必要な投資はあまり好きではありません。
投資した後は中長期のスタンスで、のんびり配当を受け取れるところも良かった点です。
メカニックさんのソーシャルレンディング投資の経歴
はじめからソーシャルレンディングの投資ブログを起ち上げたわけではなく、偶然見かけたことがソーシャルレンディング投資のきっかけだというメカニックさん。
これまでのソーシャルレンディング投資経歴と、2020年時点でのソーシャルレンディング投資の状況はどうなっているのでしょうか?
現在ソーシャルレンディングはどの程度投資していますか?
現在は540万円ほどです。
2019年のソーシャルレンディング投資による利益は、税引き後で約12万円でした。
ソーシャルレンディング会社は10社ほどに分散投資しています。
ブログでも公開していますが、投資先は次の会社が中心です。
あと、ソーシャルレンディングではないですが、不動産投資型クラウドファンディングにも投資していて、特に「CREAL(クリアル)」に多く投資していますね。
投資する会社を選ぶ際の基準はありますか?
正直なところ、以前はリターンがどの程度あるか、つまり利回りを基準に投資をしていました。
しかし、それでラッキーバンクなどで損失が発生したこともあり、今はリターンよりリスクの低さを重視するように変わりました。
信頼の置ける会社ということが一番重視するポイントです。
例えば、Fundsは上場企業中心の融資ですから、融資先の透明性と信頼性が高いです。
OwnersBookは運営元が上場企業です。
問題があれば株価に影響しますから、そういった株主からの評価にさらされる会社は、問題を起こしにくいでしょう。
クラウドバンクはソーシャルレンディング投資を始めた頃から利用していますが、今まで一度もデフォルトも返済遅延もないですから、実績を信頼できます。
損失を発生させてしまったことはありますか?
かつては分散投資先として、maneoをプラットフォームとしていたソーシャルレンディング会社に投資していたこともありますし、ラッキーバンクやみんなのクレジットも利用していました。
結果的に、そちらで損失は発生しています。
その経験から、むやみに複数のソーシャルレンディングサイトに分散投資するのではなく、信頼の置ける会社数社に絞って分散投資すべきだと考えるようになりました。
メカニックさんからソーシャルレンディング業界に提言したいことは?
2014年からソーシャルレンディング投資を始めて7年目に突入し、かつては運営されている大半のソーシャルレンディング会社に投資していたメカニックさん。
今は低リスクであるかどうかを重視しながら投資しているとのこと。
そこで、投資家という立場からソーシャルレンディング業界に望むことを聞いてみました。
投資家保護のためにこのような取り組みをして欲しいというご意見はありますか?
既存のソーシャルレンディング会社の中では後発だけあって、Fundsの取り組みは素晴らしいと思います。
融資先の名前が出ていればお金を借りる方は変なことはできませんし、上場企業ならなおさらです。
ただ、案件は現在潤沢とは言えません。
抽選制度を採用して公平な機会を提供している点も素晴らしいですが、案件の供給がもっと行われれば投資家はもっと増えるでしょう。
ただ、それでも無理に案件数を増やそうとして変な会社に融資するよりは良いです。
目先の利益や営業成績よりも、投資家の方を向いていると感じます。
情報開示、融資先の信頼性、あとは独自性があればもっと投資したくなる人は増えるかもしれませんね。
案件における「独自性」とはどのようなものでしょうか?
例えば、Fundsでは大阪王将の割引券、最近では観劇のチケットなど配布していましたよね。
その他の会社では、クラウドリアルティやCREALでは宿泊施設の割引券などの特典や優待を受け取ることができます。
そういった単なる金銭の損得だけではないプレゼントがあれば、投資家はサイトや融資先の会社に対する愛着が湧きます。
Fundsは、実際にそのようなファンを獲得する取り組みに成功していますね。
投資である以上リターンはもちろん重要ですが、楽しみながら投資できるような取り組みも投資家の裾野を広げるためには必要ではないでしょうか。
ソーシャルレンディング案件の分野において登場して欲しいものはありますか?
どうしても不動産案件中心になってしまうので、もっとさまざまな事業へ投資ができれば良いとは思っています。
もちろん、不動産開発案件は取得する不動産が担保につくため、投資家にとってはリスクが低くなります。
そのため、投資する人は多いです。
でも、今後を考えると海外への分散投資、円以外の通貨で資産を持つことも考えたいですね。
ですから、クラウドクレジットは30万円ほど投資しています。
ただし、クラウドクレジットの場合、運用後は円で戻ってくるため、為替相場の動き次第でリスクがあります。
そのため、クラウドクレジットは全部「為替ヘッジ」をつけた案件に投資しています。
また、損失の発生率が他のソーシャルレンディング会社よりも高いため、そこは実績を確認しながら損失が発生しにくい案件に投資しています。
海外の場合はデフォルトの発生を想定して、トータルでプラスを狙うといった方法が良いでしょう。
今後は、円ではなく海外の通貨で資産を持つこともリスク対策のために必要が出てくると思っています。
クラウドバンクは米ドルで資産を持てるため注目しています。
メカニックさんが2020年現在注目している投資方法
元々、株式のIPOを中心としたブログを運営しているだけあり、メカニックさんはさまざまな投資方法に目を向けています。
そこで、2020年現在メカニックさんが注目しているソーシャルレンディング会社と、ソーシャルレンディング以外の投資方法について聞いてみました。
ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディング会社で注目している会社はありますか?
CRE Fundingです。
東証一部上場企業である株式会社シーアールイーが運営するサイトですし、自社の案件を中心に募集を行うようです。
そのため、信頼性の高いソーシャルレンディングサイトになることを期待しています。
まだ詳しい情報はまだ出てきていませんが、株式会社ZUUが運営するソーシャルレンディングサイトにも注目しています。
株式会社ZUUは上場企業ですし自社で大きなメディアを持っていますから、これまでソーシャルレンディングを知らなかった層にもリーチできるのではないでしょうか。
あとは、プロパティエージェント株式会社が運営する「Rimple(リンプル)」ですね。
Rimpleは東証一部上場企業が運営する不動産投資型クラウドファンディングサイトです。
他社のポイントを自社内で使えるポイントに変換して投資できる点がユニークですよね。
最近は、楽天ポイントなど独自ポイントを使って投資できるサイトが増えています。
若年層の投資家を取り込むことができるのではないでしょうか。
ソーシャルレンディング以外で注目している投資方法はありますか?
株式投資型クラウドファンディングです。
ブログでも積極的に情報を公開しています。
これまで、株式投資型クラウドファンディングサイトに登録した会社で、エグジットに成功した会社は1社しかありません。
それでも、個人で小額からエンジェル投資ができることは貴重な体験です。
投資することで、社長さんに会って話を聞くこともできます。
私が好む金銭以外のリターンがある投資手法として、個人的に魅力を感じています。
メカニックさんが考える今後のソーシャルレンディング業界
特徴的な案件の提供や投資家保護の取り組みが、今後のソーシャルレンディング業界に必要だと語るメカニックさん。
今後のソーシャルレンディング業界はどうなっていくと考えているのでしょうか?
2020年のソーシャルレンディング業界はどのようになっていくでしょうか?
誠実に投資家の方を向いて業務に取り組む会社こそ伸びるのではないかと思います。
私は、分散投資目的で過去に20社近いソーシャルレンディングサイトを利用していました。
その中で業務に誠実に取り組んでいた考えられる会社はまだ存続していますし、そうでない会社はほぼいなくなってしまった状態です。
また、情報開示の面で言えば、ソーシャルレンディングに固執するのではなく、不動産投資型クラウドファンディングとの併用も良いでしょう。
特に、CREALは第三者から見た客観的な投資案件の分析などもしっかり掲載しています。
ソーシャルレンディングの場合、融資先の情報を公開しても、その融資先の会社が中小企業だとどうしてもリスクがありますからね。
一つの投資だけを利用するのではなく、円とドルで資産を持ったりソーシャルレンディングとロボアドバイザーを利用したり、海外株式を持ったりと、ポートフォリオをしっかりと構築することが大切だと思います。
投資家が安心して投資できるシステムづくりと投資家の意識の変化が必要ということですか?
そうですね。
各サイトのサービスの多様化がもっと進んでも良いと思いますし、情報開示においてもまだまだやれることはあると思います。
その代わり、リターンはそこまで追求しなくても良い。
利回りは3パーセントほどでも良いのではないでしょうか。
選択肢としてハイリスク・ハイリターンの案件もあっても良いでしょうが、投資初心者が安心して投資できる案件がもっと増えれば、裾野が広がると思います。
最後にクラウドアンサーの読者へメッセージをお願いします!
ソーシャルレンディング会社の中では行政処分を受ける会社が出ましたが、結果的にはそれが幸いして業界の健全化が進んだと思います。
「Web2.0」という言葉が2005年ごろに流行りましたが、ソーシャルレンディングもようやく「2.0」と呼べそうな局面を迎えるようになりました。
ソーシャルレンディングが多くの人にとって身近な投資になって欲しいと思いますし、きちんと危険な案件を見抜けるような視線も持ってもらいたいと思います。
良くない会社があればしっかり「NO!」と言い、投資家としての意見もソーシャルレンディング会社側に伝えていくようにすれば、さらに業界の健全化が進むのではないでしょうか。
まとめ
多様な投資に精通し、積極的な情報発信に努めているメカニックさん。
ソーシャルレンディングへの姿勢は、業界を取り巻く状況の変化に合わせて変わってきているようです。
リターンの提供よりも、リスク対策が必要となってきているソーシャルレンディング。
しっかりと各ソーシャルレンディング会社がリスク対策に取り組み、その結果安心して投資できるようになれば、ソーシャルレンディングを利用するメリットはまだまだ大きなものがあります。
また、ソーシャルレンディング市場も一層拡大していくでしょう。
メカニックさんは、ご自身のブログ「IPOで稼ぐメカニックの株ログ」でソーシャルレンディング投資やその他の投資記録を公開しています。
気になった方は、ぜひブログを見てみてくださいね。