不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にすることで、高額の融資を受けることができます。
返済期間も長期にすることが可能なため、資金調達方法の一つとして注目されています。
しかし、「不動産担保ローンにリスクはない?」「どんなデメリットがある?」といったように気になっている方も多いことでしょう。
そこで、今回は不動産担保ローンの主なデメリットやリスクについて紹介していきます。
この記事をご覧いただくことで、不動産担保ローンのリスクを把握でき、より適切な利用方法やリスク回避ができるようになりますよ。
目次
デメリット①:返済できないと不動産を失う
不動産担保ローンは、土地や建物を不動産を担保にすることで融資を受ける仕組みです。
問題なく返済が終了すれば担保設定が解除され、土地や建物を失うことはありません。
しかし、返済が滞ってしまうと、担保にした土地や建物は失うことになります。
金融機関が資金回収のために担保を売却するためです。
たとえば、新居が担保になっている場合は新居を失いますし、実家や別荘が担保の場合はこれらを売却されてしまいます。
1年返済を怠ると危険
返済が滞り、どれくらいの期間で担保が売却されるかは金融機関によって異なります。
一般的には、次のようなスケジュールで進んでいきます。
月 | 対応 |
---|---|
1ヶ月目 | 支払いの催促がある |
2ヶ月目 | 督促状が届く |
3ヶ月目 | 最終通告がある |
3ヶ月目〜6ヶ月目 | ローン一括返済請求が届く |
7ヶ月目 | 代位弁済通知が届く |
8ヶ月目〜9ヶ月目 | 差押通知書、競売開始決定通知書が届く |
10ヶ月目 | 現況調査が行われる |
12ヶ月目〜16ヶ月目 | 期間入札通知書(競売)が届く |
17ヶ月目〜18ヶ月目以降 | 競売が開始され売却が決まる |
あくまでも一例ですが、返済が滞り1ヶ月〜2ヶ月経つと危険です。
信用情報にも登録されますし、いよいよ担保を売却するための手続きが始まります。
デメリット②:諸費用が高い
不動産担保ローンのデメリットの一つが、諸費用がかかり金額が高いことです。
住宅ローンなど同様に諸費用がかかることを認識して資金計画を立てる必要があります。
では、不動産担保ローンの諸費用についてみていきましょう。
諸費用の相場
まず、不動産担保ローンを借りる際にかかる諸費用の項目は以下のとおりです。
手数料 | 費用の目安 |
---|---|
事務手数料 | 融資額の2%~3% |
印紙税 | 数万円ほど |
登記費用 | 10万円前後 |
不動産鑑定費用 | 数十万円ほど |
事務手数料は融資額の2パーセントから3パーセントほど、印紙代は契約金額によって異なり数万円程度、登記費用は司法書士報酬も合わせて10万円前後、不動産鑑定費用は数十万円程度必要になるケースもあります。
同じ不動産でも、金融機関によって諸費用が5万円以上違うことも珍しくはありません。
金融機関選びをする際にチェックしておきましょう。
デメリット③:金利が高い
不動産担保ローンは、金利が高いこともデメリットです。
他の融資と比較したときの金利相場
たとえば、不動産担保ローン以外の代表的ローンの金利は次のとおりです。
不動産担保以外のローン | 金利 |
---|---|
国の教育ローン | 年1.71% |
三菱UFJ銀行教育ローン(ネットDE教育ローン) | 年3.975%(変動) |
イオン銀行住宅ローン | 年0.69%(固定) |
みずほ銀行多目的ローン | 年6.5%(固定) |
一方、不動産担保ローンの場合は、次のとおりです。
不動産担保ローン | 金利 |
---|---|
楽天銀行 | 年2.85%〜年9.45% |
東京スター銀行 | 年0.85%〜年8.35% |
住信SBIネット銀行 | 年2.95%〜年8.9% |
※2019年8月時点
下限金利は低いですが、申込者の属性や信用情報、担保価値の評価が高くないと適用されません。
上限金利が適用された場合は、一般的な他のローンよりも金利が高く、多くの手数料負担を抱えることになります。
デメリット④:追加で担保が必要になる場合がある
不動産担保ローンは、返済途中で追加担保を請求されることがあるため注意が必要です。
たとえば、担保価値5,000万円の新築物件を担保にして3,500万円の融資を受け、20年近く返済して残りのローン残高が2,000万円まで減ったとします。
このとき、新築だった物件も築20年となっているため、当初と同じ担保価値にはなりません。
もし、担保価値が1,500万円まで下がってしまっていた場合は、担保価値よりも融資額の方が多い状態になってしまい、追加担保などを請求されることがあります。
「融資額>担保価値」になった場合の対処方法
先ほどお伝えしたような「融資額>担保価値」という状態になった場合、金融機関から追加担保を請求される可能性があります。
この場合、次のいずれかの対処が必要です。
- 追加で建物や土地を担保にするか
- 保証人を追加する
- 融資額<担保価値となるように繰り上げ返済する
デメリット⑤:登記情報で公開される
不動産担保ローンのデメリットとして、登記情報で公開されることがあります。
不動産担保ローンを利用するにあたり、不動産に抵当権が設定され登記簿に情報が記載されます。
登記簿に載っている情報は、登記所で第三者が確認することが可能です。
登記簿には登記目的や原因、金額、利息、債務者などの情報が載っています。
好んでこのような情報を見る第三者はいないと思いますが、情報が公開されることは把握しておきましょう。
デメリット⑥:土地の価値だけの金額が借りられるわけではない
不動産担保ローンでは、土地の価値が5,000万円だからといって5,000万円融資を受けることはできません。
不動産担保ローンでは、金融機関がリスクヘッジのために次のように融資金額の上限を設けています。
- (担保価値)×(一定割合)
「一定割合」の相場は7割と言われていますが、中にはもっと水準が高い金融機関もあります。
「担保価値=融資金額」ではないことを理解して資金計画を立てる必要があります。
デメリット⑦:資産価値の高い不動産しか利用できない
不動産担保ローンは、土地や建物など不動産を持っていれば誰でも利用できるわけではありません。
売却できないような不動産の場合は利用できません。
金融機関からすれば、担保は資金未回収を防ぐための重要なものだからです。
たとえば、再建築不可や利便性の悪い土地、災害の可能性が高い土地など、売却した際に買い手がいないような土地は担保価値がないと判断されやすいです。
あくまでも、金融機関が求めているものは売れる不動産です。
価値が高く買い手がすぐに見つかりそうな不動産であれば、スムーズに融資を受けることができるでしょう。
デメリット⑧:途中解約違約金が発生する
不動産担保ローンによっては、中途解約違約金条項がついている場合があります。
条項がついている場合、借入残高の1パーセントから3パーセントほどの違約金が発生してしまうため注意が必要です。
デメリット⑨:審査に時間がかかる
不動産担保ローンのデメリットの一つが、審査に時間がかかることです。
無担保ローンであるカードローンやキャッシング、ビジネスローンなどの場合は、最短で即日融資を受けられます。
審査はスコアリングのため、30分ほどで審査結果がわかることも珍しくありません。
しかし、不動産担保ローンの場合は、申込者の属性や信用情報に加えて、担保となる不動産の審査も行います。
不動産の審査は金融機関が依頼する不動産鑑定士が行うのが一般的で、
- 鑑定士の手配
- 審査
- 結果
と一連の流れに1週間から2週間ほどかかることがあります。
そのため、申し込みをして融資を受けるまでに1週間から3週間ほどはみておいた方が良いでしょう。
中には、最短即日融資に対応している不動産担保ローンもありますが、申し込みの時間や申込者・担保状況など、いくつかの条件をクリアしないと即日融資を受けることは難しいです。
このように、不動産担保ローンだと緊急で資金調達が必要な場合に対応できない可能性があります。
カードローンとの比較
カードローンと不動産担保ローンの2つで悩む人は多いものです。
この2つのローンを比較してみましょう。
比較項目 | カードローン | 不動産担保ローン |
---|---|---|
融資までの期間 | 早い | 時間がかかる |
審査 | 厳しくない | 厳しい |
融資金額 | 上限金額は300万円~500万円と少額 | 数千万円~1億円以上の大きな額も可能 |
金利 | 10%~15%と高め |
下限金利:3%~4% 上限金利:10%以下 |
カードローンは無担保ローンであるため、融資までがスピーディーで審査基準がそれほど厳しくないことが特徴です。
一度審査に通れば、枠内で何度でも借入れすることができます。
しかし、カードローンの場合は、審査の評価が高い人でも上限金額が300万円から500万円ほどのため、それ以上の資金が必要な場合には対応できません。
また、適用金利がパーセントほどのケースが多く、返済期間も最長で80回ほどなので、毎月の負担は大きいです。
一方、不動産担保ローンの場合、カードローンほど融資スピードは早くありません。
ただ、数千万円から1億円以上といった大きな額の融資を受けることができますし、最長35年での返済が可能です。
金利は下限金利は3パーセントから4パーセント、上限金利が10パーセント以下のものも多いです。
審査基準や審査スピードを求めるのであればカードローンの方が有利ですが、融資額や返済期間、返済負担などを考えると不動産担保ローンの方が幅広いニーズに応えられます。
デメリット⑩:法人向けの不動産担保ローンは銀行にはあまりない
都市銀行、地方銀行、ネット銀行など、多くの銀行で提供されている不動産担保ローンは、基本的に個人向けのものです。
法人向けの不動産担保ローンを提供している銀行はありません。
なぜなら、銀行が提供する他のローン商品で不動産担保をつけているケースが多いためです。
不動産担保をつけることで審査が通りやすくなったり、金利を引き下げるなどしています。
そのため、わざわざ不動産を担保にして融資をするローン商品を増やす必要はないのです。
もし、法人で不動産担保ローンの利用を希望する場合は、銀行ではなくノンバンクで利用しなければなりません。
ノンバンクの場合、銀行よりも審査が通りやすいメリットがある一方、金利が高いため返済負担が大きくなり、安定的なキャッシュフローの確保が難しくなるリスクがあるため注意が必要です。
ソーシャルレンディングなら不動産担保ローンのデメリットをカバーできる!
これまで、不動産担保ローンのデメリットを10個お伝えしてきました。
これらのデメリットを回避して資金を調達することができる方法として、「ソーシャルレンディング」があります。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングは、お金を借りたい人・企業とお金を貸したい人・企業をマッチングするインターネット上のサービスです。
案件に投資としての妥当性や収益性の高さを感じた個人投資家が、1万円といった小口での投資ができ、投資された企業は投資家に定期的に分配金を出します。
企業としては不動産担保ローンの審査が難しくても、ソーシャルレンディングであれば資金調達できる可能性があり、投資家としては分配金を得ることで運用益を得られることがメリットです。
実際に、多くの企業がソーシャルレンディングで資金調達を行っています。
一つの選択肢として検討しても良いでしょう。
ソーシャルレンディングで資金調達を行うメリット
不動産保ローンが使いにくい、使えないという場合には、ソーシャルレンディングで資金調達を行うことを検討してみてください。
ソーシャルレンディングで資金調達を行うメリットとして、次の5つのような点が挙げられます。
メリット①:不動産担保がなくても資金調達できる
不動産担保ローンは、その名前の通り不動産がなければ融資を受けられません。
ソーシャルレンディングは不動産担保以外にも、次のものを担保・保証にして融資を受けることができます。
- 動産担保
- 代表者連帯保証
- 債権
また、1ヶ月から3ヶ月など短期での返済を前提にしている案件は、無担保で融資を受けられることもあります。
メリット②:法人への融資を前提としている
不動産担保ローンは個人への融資が中心であり、金融機関によっては法人への融資を行っていません。
逆に、ソーシャルレンディングは個人向けの融資を対象としていません。
法人への融資を行うソーシャルレンディング会社しかないので、法人の事業資金が必要な場合には、ソーシャルレンディングの方が使いやすいです。
メリット③:審査の時間が短い
不動産担保ローンは、不動産の査定に時間がかかります。
審査を申し込んでから1週間、不動産の規模が大きければ2週間から3週間かかることがあります。
一方、ソーシャルレンディングはあらかじめ与信を受けていることが前提になりますが、与信審査を通過している場合は融資案件の審査が1日から3日ほどしかかかりません。
つまり、短期での資金調達が可能なのです。
メリット④:資産価値の低い不動産でも融資を受けられる
不動産担保ローンの担保となる不動産は、資産価値が高く価格が下落しにくいことが求められます。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は、資産価値の下落はそれほど見られません。
単純な金銭的な評価がどれほどであるかが審査の対象になります。
例えば、都心から離れていて坪単価は安いけれど、1万坪の広さがあり評価額が2億円の土地を担保にする場合は、1億円以上の融資を受けられるでしょう。
メリット⑤:登記情報が公開されることがない
不動産担保ローンは、登記情報が公開されてしまうことが大きなデメリットです。
しかし、ソーシャルレンディングは融資先(借り手)の情報を匿名化すること可能です。
つまり、ソーシャルレンディング会社に匿名で融資を受けたい旨を伝えれば、匿名で募集してくれます。
金融機関や取引先に買い入れをしていることが発覚することなく、資金調達することができます。
こんな場合におすすめの融資方法
これまで、ソーシャルレンディングのメリットをお伝えしてきました。
特に、次の2つのような場合に向いている資金調達方法だということができます。
ケース①:短期で売却できる不動産を購入する時
短期で売却できて、かつ大きな売却益を見込める不動産や事業がある場合は、ソーシャルレンディングで資金調達をしましょう!
仮に、1億円を貸付金利12パーセントで借りたとしても、3ヶ月で返済すれば金利は300万円ほどです。
購入してから短期で転売が見込めるような不動産や事業の場合、利益が支払金利を大きく上回ります。
高金利だとしても、ソーシャルレンディングでの資金調達が向いています。
ケース②:一時的な資金調達
一時的な資金調達にも、ソーシャルレンディングは向いています。
ソーシャルレンディングは早期償還を行っても、特に違約金などを求められることがありません。
対して、不動産担保ローンは繰り上げ返済をすると、中途解約違約金を求められることがあります。
不動産担保ローンは長期返済、ソーシャルレンディングは短期返済という使い分けをするのが良いでしょう。
ソーシャルレンディングでの資金調達については、こちらで詳しく解説しています。
一度目を通しておくことをおすすめします。
まとめ
不動産担保ローンの主なデメリットを10個ピックアップして解説しました。
大事なポイントをまとめると、次の5点が挙げられます。
- 不動産担保ローンは多くのリスクやデメリットがあるため利用する際は注意する
- 売れる不動産を所有している場合でない利用できず、「担保価値=融資額」ではない
- 審査に時間がかかるケースがあるため、急ぎの場合は注意が必要
- 銀行に法人向け不動産担保ローンはないため、ソーシャルレンディングが選択肢となる
- ソーシャルレンディングは不動産担保ローンの弱点を補うことができる
不動産担保ローンによる資金調達を検討している方は、今回紹介したリスクも考慮したうえで、判断・リスク管理をするようにしてください。
また、ソーシャルレンディングなど他にも資金調達方法はあるため、しっかりと比較したうえで判断してください。
ソーシャルレンディングについては、こちらで詳しく解説していますので、一度目を通しておいてください。
また、資金調達に関するご相談は下の問い合わせフォームから受け付けています。
必要事項にご記入してお送り頂ければ幸いです。