不動産担保ローンは、担保がある場合の借り入れ方法として広く普及しています。
融資額が大きく長期の返済期間で借り入れができることから、人気の高い資金調達方法です。
しかし、不動産担保ローンを検討していながらも「金利が高いのでは?」「どうやったら返済負担を少なくできる?」といった、疑問を持っている方も多いことでしょう。
そこで、今回は不動産担保ローンの金利や安く融資を受けるコツについて解説していきましょう。
目次
不動産担保ローンの特徴
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして、銀行などの金融機関からローンを借り入れするものです。
金融機関は、土地や建物の担保価値をもとに審査を行い、融資可能額を決定します。
不動産を担保にするため、担保なしでローンを借り入れする無担保ローンよりも借入金額が大きく、返済期間が長いという特徴があります。
不動産担保ローンの主な特徴・メリットは次のとおりです。
- 高額のローンを利用することができる
- 長期の返済期間で利用できる
- 連帯保証人をつけずに利用できる
- 低金利で借り入れができる
このように、不動産担保ローンは一般的なローンと異なる特徴・メリットがあります。
ただし、次のようなデメリットもあることを覚えておきましょう。
- 申し込みをしてから借り入れができるまでに時間がかかる
- 不動産鑑定費用や抵当権、根抵当権の登記費用、事務手数料といった費用がかかる
- ローン返済できない場合は担保にしている不動産が処分される
不動産担保ローンは金利の幅が大きい
不動産担保ローンの特徴の一つとして、金利の幅が大きいことがあります。
例えば、
- 東京スター銀行:年率0.85%〜8.35%
- 楽天銀行:年率2.85%〜9.45%
といったように、レンジが広いことがわかります。
他の金融機関も、同様に金利幅が大きい傾向にあります。
仮に、ローンを100万円借りるとした場合の手数料は、単純計算で次のようになります。
- 金利の年率0.85%の場合:約8,500円
- 金利の年率8.35%の場合:約8万3,500円
不動産担保ローンは高額かつ長期で利用することが多いため、適用される金利によって手数料負担が大きく異なります。
不動産担保ローンは非常に金利の幅がありますが、担保評価や申込者の信用度があり、審査の評価が高ければ低い金利が適用され、審査の評価が低い場合は高い金利が適用されます。
少しでも返済負担を抑えるためには、審査で高い評価を受けて金利を低くする必要があります。
低金利で融資を受けるための8のコツ
少しでも低い金利で融資を受ければ、返済負担が小さくなりキャッシュフローを確保しやすくなります。
ここでは、不動産担保ローンを低金利で利用するためのコツを、8つに分けて紹介していきましょう。
コツ①:使用用途が限られたものを利用する
不動産担保ローンを低金利で利用したい場合は、使用用途が限られたものを選択することが一つの方法です。
不動産担保ローンに限ったことではありませんが、使用用途が限られたローンは金利が低く、用途が自由なローンは金利が高い傾向があるからです。
住宅ローン、セカンドハウスローン、リフォームローン、アパートローン、つなぎローンなど、使途が決まっているローンの場合、使いみちは限定されますが金利は低めです。
逆に、使途が自由で何にでも使えるローンは便利ではある一方、金利が高くなるため、できるだけ使途が限られたものを利用して金利を低く抑えましょう。
コツ②:担保に対して少額の融資を受ける
不動産の担保価値よりもローン借入額を少なくすることは、低金利で利用するコツの一つです。
金融機関はローン利用者の返済が滞った場合に担保を売却して資金回収するため、担保価値より融資額が少ない方がリスクが低いのです。
たとえば、担保価値が2,000万円で融資額が100万円の場合と、担保価値100万円で融資額も100万円の場合とでは、金融機関が負うリスクは大きな差があります。
リスクが低いほど、融資の条件が良くなる可能性が高くなります。
コツ③:変動金利を利用する
不動産担保ローンの金利を低く抑えたい場合は、「固定金利」ではなく「変動金利」を利用しましょう。
不動産担保ローンに限ったことではありませんが、基本的にローンを利用する際は固定金利と変動金利の2つの金利タイプがあります。
固定金利とは一定期間金利が固定されていて、変動金利は金利が市場金利に合わせて変動します。
固定金利は毎月返済額が一定で返済計画が立てやすいメリットがある一方で、目先の金利は高めに設定されています。
変動金利は金利が一定ではなく上昇する可能性もあるため、目先の金利は低めに設定されています。
そのため、変動金利を選択すれば固定金利よりも低い金利で融資を受けることが可能です。
ただし、変動金利の場合は後で金利が上昇するリスクもあることを理解しておく必要があります。
コツ④:複数の金融機関に打診する
少しでも低金利で不動産担保ローンを利用したい場合は、複数の金融機関にあたってみるようにしましょう。
不動産担保ローンは都市銀行や地方銀行、ネット銀行といった多くの金融機関がを取り扱っており、それぞれで金利や審査基準が異なるからです。
そのため、同じ担保・申込者であっても、A社だと年率8.0パーセント、B社は年率8.5パーセント、C社は年率7.5パーセントといったように、適用金利がことなります。
何か製品を買ったりサービスを利用する際に、複数業者で見積もり出してもらい比較するように、不動産担保ローンを利用する際も複数金融機関に打診をして、比較するようにしましょう。
そうすることで、少しでも金利が有利な条件でローンを利用できるようになります。
コツ⑤:上昇幅が少ないタイプを利用する
低金利で不動産担保ローンを利用するためのコツの一つが、上限金利が低いものを利用することです。
先ほどお伝えしたように、不動産担保ローンの金利は年2.0パーセントから8.0パーセントなど、下限金利と上限金利に開きがあります。
そして、審査によって適用される金利が異なります。
そのため、上限金利が高いローンだと、高い金利が適用されるリスクがあります。
一方で、上限金利が低い不動産担保ローンを利用すれば、審査の評価が低かったとしても、他よりも高い金利が適用されることを防ぐことができます。
理想は、金利幅が狭く、下限金利・上限金利ともに水準が低いローンです。
そうすれば、審査さえ通れば評価の良し悪しに関わらず、ある程度手数料負担を抑えることができます。
コツ⑥:ネットのみで審査を行う金融機関を利用する
ネット上で申し込みから融資まで完結できる金融機関を利用することも、低金利で不動産担保ローンを借りるコツの一つです。
都市銀行や地方銀行のように、各地に店舗があり窓口で相談しながら申し込みをするような金融機関の場合、人件費や建物関連費用がコストとしてかかります。
そのため、そのコスト分が金利に転嫁されるため、ローン金利が高くなる傾向にあります。
しかし、ネット銀行であれば店舗がなく、人件費や建物関連費用を抑えられるためその分金利が低く設定されます。
ネット銀行を上手く活用すれば、少ない手数料負担で不動産担保ローンを利用することが可能です。
コツ⑦:資産価値の高い不動産を担保にする
先ほどお伝えしたように、不動産担保ローンは下限金利と上限金利に差があり、審査によって適用金利が変わります。
適用金利は、担保価値や申込者の信用度によって変動し、金融機関が損失を出さないようにするため、担保価値が低い場合は金利は高く、担保価値が高い場合は金利は低く設定されます。
そのため、資産価値の高い不動産を担保にすれば、低い金利が適用される可能性が高くなるのです。
担保となる不動産を一つしか持っていない場合は選びようがありませんが、不動産を2つ以上保有している場合は、価値の高い不動産を担保にすることも検討すると良いでしょう。
担保価値が高いほど有利な条件で融資を受けることができるのです。
コツ⑧:担当者と関係性を構築する
融資担当者と関係性を築いておくことは、少しでも有利な条件で不動産担保ローンを利用するためのコツの一つです。
金融機関内では、担当者に申込者(借り手)の状況をしっかりと伝えてもらうことで、審査に影響を与える可能性があります。
担当者と関係性を作ることができれば、資金使途や希望金額、担保不動産の状況、申込者の性格といったさまざまな情報を共有することができます。
また、担当者と関係性を構築できれば、金融機関が融資をしたいと考えている時期を教えてもらえる可能性があります。
金融機関は計画している利益を出さなければならないため、融資件数が少ない場合は、通常よりも審査が甘くなる可能性があるのです。
融資先の属性が金利に影響を与える
不動産担保ローンは、融資先(借り手)の属性が金利に影響を与えます。
なぜなら、担保価値だけでなく申込者の状況も審査対象となるためです。
たとえば、返済能力が高くこれまでの利用状況に何ら問題がない場合は、信用力が高いと判断され、低金利が適用される可能性があります。
逆に、申込者が過去に滞納歴がある場合や返済能力が低い場合は、信用力が低いと判断されます。
その結果、高金利が適用されるか、ローン自体が利用できない可能性もあります。
担保価値も大事ですが、申込者の属性で適用金利が異なることを覚えておきましょう。
もし、審査を受けると属性が低い評価を受けそうな場合は、不動産担保ローンの代わりに「ソーシャルレンディング」を利用することのも一つの手です。
ソーシャルレンディングであれば、金融機関の不動産担保ローンよりも属性の影響を受けることなく、融資を受けることができるからです。
ソーシャルレンディングで融資を受けることも選択肢の一つ
資金調達の手段として有能な不動産担保ローンですが、必ずしも万能なわけではありません。
他の資金調達方法も知っておけば、いざというときの選択肢が増えます。
そこで、最近知名度をあげつるある「ソーシャルレンディング」で資金を調達する方法を紹介しましょう。
ソーシャルレンディングの仕組み
まずは、ソーシャルレンディングがどのような仕組みなのかについて解説していきましょう。
ソーシャルレンディングは、お金を借りたい人・企業と、貸したい人・企業をマッチングするサービスです。
借り手はウェブサイト上で投資家から小口の資金を集め、貸し手に対しては定期的に分配が行われる仕組みです。
また、借りた金額の一定割合をサービス提供会社へ手数料として支払います。
もちろん、必ず融資を受けられる(資金が集まる)わけではないため、注意が必要です。
また、投資家への分配が滞るようなことがあれば、ソーシャルレンディング業者や投資家とのトラブルになる可能性があるため、十分に気をつけなければなりません。
ソーシャルレンディングで融資を受けるメリット
続いて、ソーシャルレンディングで資金を調達するメリットについて解説していきましょう。
メリット①:属性が悪くても融資を受けやすい
不動産担保ローンの場合、担保価値に加えて申込者の属性も審査対象となるため、属性が悪いと金利が高くなるどころか、融資すら受けられない可能性があります。
そのため、担保価値が高くても属性が悪い場合は、申し込んでも希望どおりの結果にならない可能性が高いです。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は金融機関の審査ほど融資先の属性が重要視されない傾向にあります。
つまり、属性が悪かったとしても融資を受けられる可能性があります。
そのため、申込者の属性に不安がある場合は、ソーシャルレンディングでの資金調達を検討してみると良いでしょう。
メリット②:不動産担保ローンを受けられない人でも借りられる可能性がある
ソーシャルレンディングを利用して融資を受けるメリットの一つは、今回紹介した8つのコツを達成できない場合でも借りられる可能性があることです。
ソーシャルレンディングの場合、投資家が貸し手となり、共感することができる借り手に対して投資を行うシステムだからです。
借り手は貸し手に対して分配金を支払う必要がありますが、その利率は多くの金融機関の不動産担保ローンの上限金利よりも低いものです。
そのため、少ないコストで希望通りの資金を調達できる可能性があります。
また、都市銀行、地方銀行、ネット銀行といった多くの金融機関に打診をして比較する必要もありませんし、担当者との関係性を構築するために時間を割くことも不要です。
そして、変動金利か固定金利かといった選択をする必要もありません。
メリット③:審査に要する時間が短い
不動産担保ローンは、担保である不動産の審査を厳密に行うため、大規模な資金調達を行う場合は1週間以上も審査に時間がかかることがあります。
そのため、急に資金が必要になった場合は間に合わないことも考えられます。
しかし、ソーシャルレンディングの場合、予め融資先としての審査を通過していれば、案件ごとの融資審査に要する時間は2日から3日ほどです。
つまり、不動産担保ローンに比べて融資までに要する時間が短いのです。
また、不動産を担保にする場合、鑑定書があればすぐに融資を受けられることもあります。
ソーシャルレンディングで融資を受けることは、こういった時間的なメリットも大きいのです。
メリット④:必ずしも不動産担保が必要なわけではない
不動産担保ローンで融資を受けるには、必ず担保となる不動産が必要です。
しかし、ソーシャルレンディングでは不動産担保を必要としない場合があります。
つまり、債権や代表者連帯保証、動産担保で融資が受けられることもあるのです。
債権を現金化したいという場合は、ソーシャルレンディングを検討してみても良いでしょう。
ソーシャルレンディングでの資金調達はこんな場合におすすめ
これまで、ソーシャルレンディングの仕組みとメリットについて解説していきました。
では、どういった場合に利用するのがおすすめの融資方法なのでしょうか?
次の3つのいずれかに当てはまる場合は、ソーシャルレンディングでの融資を検討してみてはいかがでしょうか?
ケース①:大規模な不動産を購入したい
ソーシャルレンディングは、不動産の購入資金の調達手段として頻繁に利用されています。
購入する不動産自体を担保にして、融資を受けることができるからです。
不動産担保があれば融資が受けやすいことは、不動産担保ローンとの共通点です。
ケース②:短期間で利益が出る見込みのある事業を進めたい
「短期的な収益が見込めるが、資金が足りない」そんなときの資金調達手段としてもソーシャルレンディングは頻繁に利用されています。
早期償還でも違約金などは発生しないため、不動産担保ローンよりリスクが少ないからです。
金利を高く設定しても早期償還を行えば、支払い金利は少ない額で済むのです。
ケース③:転売できる投資商品の購入
太陽光発電装置など、転売で利益が出せる商品の購入にもソーシャルレンディングは向いています。
ソーシャルレンディングは多様な担保を設定できるので、購入商品自体を担保にすることで、審査を通過しやすくなります。
速やかに転売できれば、支払い金利もさほど大きな金額を払う必要はありません。
スピード感のある資金調達と売買が必要なときほど、ソーシャルレンディングは威力を発揮してくれます。
まとめ
不動産担保ローンの金利と、安く融資を受けるコツについて解説しました。
不動産担保ローンは融資額が大きく長期間利用できるといった特徴がありますが、金利幅が広く申込者の属性や担保価値によっては適用金利が高くなります。
不動産担保ローンを検討している方は、今回ご紹介した安く融資を受けるコツを参考にして、少しでも有利な条件で利用できるようにしてください。
また、ケースによってはソーシャルレンディングを併用することで、よりスムーズに資金を調達することができます。
それぞれの資金調達方法の特徴をしっかりと把握し、自分にとって最適な手段を利用していきましょう。
ソーシャルレンディングについては、こちらで詳しく解説していますので、一度目を通しておいてください。
また、資金調達に関するご相談は下の問い合わせフォームから受け付けています。
必要事項にご記入してお送り頂ければ幸いです。