不動産投資をしている人は、よく「収益物件」という言葉を使います。
収益物件とは不労所得を生んでくれる物件のことで、憧れている人も多いと思います。
しかし、投資なので成功して収益が出ることもあれば、失敗してローンの返済に苦しむ可能性もあります。
この記事では、収益物件への投資を考えている人のために、収益物件とは何か、メリット・デメリットなどについてお伝えします。
目次
収益物件とは
不動産投資とは、マンションやアパート、オフィスビルなどを購入して始める投資です。
投資なので利益を得る目的で始めるものですが、利益の生み方には2種類あり、家賃やテナント料で利益を得るものが収益物件です。
詳しく解説していきましょう。
不動産投資の2種類の利益
不動産投資の利益は2種類に分けることができます。
利益の種類①:インカムゲイン
1つは、保有しているマンションなどの部屋を貸し出し、入居者から家賃収入を受け取る方法です。
これを「インカムゲイン」と呼びます。
インカムゲインは「毎月〇万円」と決まったお金を定期的に得られるものなので、不労所得と言えます。
サラリーマンなど現役世代の方にとっては生活費の足しになり、引退後の方にとっては年金代わりの収入になります。
利益の種類②:キャピタルゲイン
もう1つの不動産投資の利益は、「キャピタルゲイン」です。
キャピタルゲインは、物件を安く買って高く売ることで、その差額を利益とするものです。
将来的に値上がりすると思われる物件を早く買っておく投資で、成功すれば大きなキャピタルゲインを得られます。
ただし、物件の将来性を見極めるスキルが必要であるため、難易度が高いです。
収益物件は家賃収入を生む
収益物件とは、「インカムゲイン狙い」で投資する不動産のことです。
家賃収入やテナント料を定期的に、かつ長期間にわたって得られるマンションやアパート、オフィスビルなどをのことを指します。
不労所得を得ることができ生命保険の代わりにもなるということで、収益物件への投資が注目を集めています。
次の項目では、収益物件が人気の理由について詳しく解説していきます。
収益物件が人気の理由(メリット)
ここでは、収益物件を持つメリットを4つ解説していきます。
- 不労所得を得られる
- レバレッジが効く
- 生命保険の代わりになる
- 節税対策になる
収益物件が人気の理由をわかってもらうことができるはずです。
メリット①:不労所得を得られる
収益物件の最も大きなメリットは、家賃収入として不労所得を得られることです。
いまご自身が賃貸物件に住んでいる場合、入居者として住んでいる物件のことを考えてみてください。
物件のオーナー側から見てみると毎月大きな金額の家賃が手に入るため、羨ましいほどのメリットでしょう。
しかも、部屋の掃除は基本的に入居者がやってくれます。
デメリットで解説するようにオーナーにも苦労はありますが、入居者が部屋のメンテナンスを主体的に行ってくれるため、オーナーの負担はかなり軽減されており、文字どおり「不労所得」を得られるのです。
メリット②:レバレッジが効く
レバレッジとは、「少ない資金しかなくても、資金が大きい人と同様に投資をして、大きな利益を得る」ことを指します。
もともとは理科の用語で、てこの原理で「大きなものを小さな力で動かす」ことを指しました。
収益物件にも、レバレッジ効果が期待できます。
物件は数千万円から数億円といった金額のため、ほとんどの人にとっては自己資金でまかなうことは難しいことでしょう。
そこで、不動産投資ローンを組めば資金が少なくても物件を購入できるのです。
1億円の物件をローンで購入し、利回り5パーセントで運用できれば、家賃収入は500万円にも上ります。
もちろん、ローンで購入すれば返済もしなければなりませんが、「レバレッジが効く」とはこのようなメリットのことです。
メリット③:生命保険の代わりになる
不動産投資を始めてから不安なのが、ローンの返済です。
返済途中に不慮の事故で投資家が死亡してしまった場合、「家族が返済しなければならないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、団体信用生命保険(いわゆる団信)に加入していれば、家族は返済を免除されます。
その上、不動産は家族のものになるため、不労所得は家族のものになります。
この意味で、「収益物件は生命保険の代わりになる」と言われています。
不動産投資ローンを組むとき、団体信用生命保険への加入が条件になっているケースがほとんどです。
ただし、団体信用生命保険の補償範囲はよく確認しておく必要があります。
三大疾病やがんが保証されるかなど、保険商品によって異なります。
メリット④:節税対策になる
不動産投資は、「所得税」と「相続税」の2つの節税効果が期待できるメリットがあります。
所得税の節税
まず、所得税の節税について解説しましょう。
収益物件を購入した後に発生した費用は経費として控除できます。
ざっくり言えば、家賃収入から経費を差し引いたものが不動産所得として課税されるため、経費に使った分の収入には課税されません。
また、不動産投資で赤字が出た場合も節税に使えます。
不動産投資の場合、会社からの「給与所得」(給料)とは異なり「不動産所得」に分類されます。
修繕費などが多くかかりすぎるなどのため、「不動産所得」が赤字になった場合、その分の損失を「給与所得」で支払っていた源泉徴収の「所得税」から還付してもらうことができるのです(「損益通算」と呼びます)。
相続税の節税
また、相続税を軽減することもできます。
不動産も相続税の対象となりますが、価値を算出する際に実際の価値よりも少なく見積もられる傾向が高いのです。
したがって、現金で相続するよりも不動産で相続した方が、相続税が少なくなりやすいです。
収益物件のデメリット
続いて、収益物件のデメリットについて解説していきます。
- 空室リスクがある
- 物件価格・家賃が下落する
- ローンの支払いがある
- 金利変動のリスクがある
不動産投資会社はメリットを強調して甘い言葉で誘ってくるでしょうが、これらのデメリットを理解して冷静に判断するようにしてください。
デメリット①:空室リスクがある
住宅、テナント、オフィスのいずれの物件でも、空室ができたら家賃収入を得られなくなるリスクがあります。
また、期待していた家賃収入に届かないリスクもあるため、理解した上で収益物件への投資を始めましょう。
不動産投資会社の提案資料では、すべて満室の状態での予想収益が記載されていることがほとんどです。
その収益に届かない可能性も十分にあるので、注意しましょう。
デメリット②:物件価格・家賃が下落する
収益物件は現物なので、物件の劣化やエリアの需要の低下によって、物件に魅力がなくなってしまうことがあります。
すると、物件の価値が下がりますし、家賃も下げなければ入居者が集まらなくなります。
新築の不動産を購入しても、時間とともに価値は下落していきます。
時間とともに家賃収入が下がっていくことを理解しておきましょう。
デメリット③:ローンの支払いがある
先ほどもお伝えしたように、不動産投資を始めるには数千万円から数億円といったお金がかかるので、ほとんどの人はローンを組みます。
返済期間中はローンを返済しなければならないため、家賃収入をすべて自分のものにできないというデメリットがあります。
ローンの支払いがある期間は、家賃による不労所得だけで生計を立てるのは難しい場合も多いでしょう。
入居者が入らない期間などはローンを支払えず、本業の給料からもローンの返済額を捻出しなければならない可能性もあります。
デメリット④:金利変動のリスクがある
不動産投資ローンを変動金利で組むと、金利が上昇したときに返済額が大きくなるリスクがあります。
近年の日本は低金利の状態が続いているため、変動金利で問題ないと思いますが、気になる方は固定金利で借り入れた方が良いでしょう。
ただし、固定金利は変動金利より高く設定されることが多いです。
決して固定金利の方がお得という意味ではありませんので、しっかりと金利を比較したうえで判断する必要があります。
収益物件の種類
収益物件は大きく3種類に分けることができます。
そして、それぞれにメリット・デメリットがあります。次の3種類の収益物件について、詳しく解説していきましょう。
- 住宅
- オフィス
- テナント
種類①:住宅
収益物件の中でも最も一般的なのが住宅です。
つまり、マンションやアパートのオーナーになり、入居者から家賃を得る投資方法です。
住宅物件のメリットは、価格交渉されづらく家賃が下落しにくいことです。
不動産に詳しくない入居者が多いため、家賃を決めるときに価格交渉にはなりにくく、オーナーが決めた値段で入居してくれる人だけが集まるのです。
自分が入居者だった場合を想像すれば、家賃交渉されにくいことはおわかりいただけると思います。
住宅物件のデメリットは、リフォーム費用を負担しなければならないことです。
入居者が退去する場合、壁紙が傷つき張替えが必要な場合など入居者の過失の場合は敷金からまかなうことができますが、壁紙の日焼けのように入居者の責任でない劣化はオーナーが負担する必要があります。
日焼けをそのまま放置して次の入居者を募集することもできますが、見た目が新しくないと中古らしさが出て家賃を引き下げなければ入居したがる人がいなくなり、収入の減少につながります。
リフォーム費用を工面するか、家賃を引き下げるか、苦しい判断を迫られるでしょう。
とはいえ、住宅物件への投資は不動産投資の中で最も基本的なので、初心者におすすめです。
ノウハウがネット上にも蓄積されており、勉強しやすいですよ。
種類②:オフィス
オフィス物件は、会社の事業所として使ってもらうことを想定した不動産です。
従来はビル1棟を購入して貸し出す方法が一般的でしたが、最近は1フロアのみ、または1区分のみ所有して貸し出すこともできるようになってきました。
オフィス物件のメリットは、保証金を高額に設定できることです。
保証金とは、住宅物件における敷金のようなもので、入居者の過失によって物件がダメージを受けた場合などの修繕費に充てるものです。
一般の住宅物件の敷金よりも高額で、家賃の半年から1年分の金額を設定することができます。
しかも、修繕が少なく保証金を使い切らなくても、返還しなくて良い場合もあるのです。
オフィス物件のデメリットは、空室リスクが高いことです。
入居している会社は、経費を削減するために好条件の物件やより安い物件を常に探しています。
より良い物件が見つかれば、住宅物件の入居者とは異なり身軽に引っ越しをしてしまうのです。
オフィス物件への投資は、住宅物件に比べてハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。
住宅物件で安定した収入を得られるようになったら、2つめ以降の物件として候補に入れると良いでしょう。
種類③:テナント
テナントとは、飲食店やコンビニ、美容室などの店舗を営業するための物件です。
街中にある店舗の多くは、不動産オーナーに利用料を支払って場所を借りているのです。
テナントのメリットは、住宅物件への投資よりも利回りが高い傾向にあることです。
入居者が店舗を営業して収益を生む物件なので、家賃を高く設定することができるのです。
テナントのデメリットは、融資の審査が厳しくなることです。
融資で見られるポイントは、物件の価値やオーナーの属性だけではなく、入居者の属性まで含まれます。
住宅物件であれば物件とオーナーの属性しか審査されませんが、テナントでは入居者まで含めて審査されるためハードルが高くなります。
テナントへの投資は、融資が厳しくて始めにくいことが大きなネックとなります。
まずは住宅物件で安定した収益を得られるようになってから、利回りの高いテナントにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
収益物件を選ぶポイント
最後に、収益物件を選ぶときにどのようなポイントに気をつけたら良いのかについてお伝えします。
次の3点のポイントに特に気をつけてください。
- 需要の多いエリアを選ぶ
- 実質利回りを確認する
- 築年数や修繕をしたか確認する
ポイント①:需要の多いエリアを選ぶ
収益物件を選ぶ際に最も重要なのが、人気のあるエリアかどうかです。
需要の多いエリアに物件を構えれば、ある程度家賃を高く設定しても入居者がつくと考えられるからです。
また、一人が退去しても別の入居者がすぐに見つかるというメリットがあります。
住宅物件なら、都心ではなくても「住みやすい街」として人気のエリアが良いでしょう。
オフィスなら都心、テナントなら人口が多いエリアが良いと考えられます。
また、駅に近いなどの利便性も考慮する必要があります。
ポイント②:実質利回りを確認する
不動産投資会社の提案で掲載されているのは「表面利回り」なので、「実質利回り」を確認しましょう。
表面利回りとは、「家賃収入÷物件の購入費用」で求められる利回りで、経費・維持費が考慮されていません。
実質利回りは、「(家賃収入-経費・維持費)÷物件の購入費用」で割り算して求められます。
経費・維持費を支払うと収入は少なくなるので、オーナーが得られる実際の利回りは実質利回りの方が近くなります。
したがって、実質利回りを確認する必要があるのです。
ポイント③:築年数や修繕をしたか確認する
中古の物件を購入する場合、築年数や修繕したかどうかを確認しましょう。
築年数が1年や2年であれば新築とほぼ同様ですが、10年以上の場合はオーナーが修繕する必要があると考えられます。
物件の購入費用の他に、修繕費がかかる可能性が高いのです。
そのため、修繕をしたかどうかも確認しておきましょう。
古い物件で、前回の修繕がかなり前なのであれば、オーナーが修繕費を負担することになるでしょう。
まとめ
収益物件のメリットやデメリット、選ぶときのポイントなどについてお伝えしてきました。
不労所得を得られる憧れの収益物件ですが、ローンを組むため長期にわたる負債を抱えるリスクもあります。
メリットとデメリットの両方を理解して、不動産投資を始めるようにしましょう。