数ある投資の中でも、投資信託は大きな損をしにくい投資だと言われています。
そのため、投資初心者にも人気で、金融機関でもおすすめされることが多いです。
しかし、実は知らないだけで損してしまうポイントがあります。
この記事では、投資信託で失敗した経験のある筆者が、気付かずに損してしまう原因と対策方法を解説していきます。
目次
【体験談】分配金目当てに投資信託を選んで失敗した経験
まずは、筆者のプロフィールと投資信託で失敗した経験を紹介していきます。
筆者プロフィール
筆者は、北海道で2人の子供を育てながら、投資収入と小さなビジネス収入のみで生活している30代前半のライターです。
約10年前の大学生時代に投資をスタートし、サラリーマンとして勤めてからも資産を少しずつ増やすことができました。
投資生活すべてが順風満帆だったわけではなく、投資歴10年のうち半分以上は損失ばかりで借金をした経験もあるほどです。
何度も試行錯誤しながら成功と失敗を繰り返してきましたが、今でも確実に成功する投資方法は見つけられていません。
一方で、損しやすい原因と対策方法だけはわかってきました。
筆者が投資信託で損してしまった失敗談と、そこから学んだものをできるだけわかりやすい言葉で紹介していきます。
失敗談
筆者が初めて購入した投資信託は、アジアの新興国中心に社債を運用する投資ファンドでした。
新興国中心だったのでリスクが高いですが、当時はまったく投資の知識がなかったため、「中国経済が成長してるし大丈夫か」と軽い気持ちで約10万円分を購入しました。
この投資信託が魅力的だと思った理由は次の2点です。
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投資しておけば毎月分配金をもらえるとは「なんてすばらしい商品なんだ!」と思いました。
1年くらい待っていれば10万円が15万円くらいになるんじゃないかと期待し、購入後はそのまま半年ほど放置していました。
半年間放置した後、証券会社のマイページを確認して衝撃を受けます。
「評価額がマイナスになっている!」増えているどころか損失になっていたのです。
損失を抱えた原因は2つあります。
1つ目は、単純にリスクが高めのファンドだったため、価格の上下が激しく運用益がマイナスだったこと。
2つ目は、他の投資信託と比べて高い手数料を取られていたことです。
リスクが高いことが理由で損失が出ることには納得できますが、高額な手数料を証券会社に支払っていることには納得がいきません。
それからというもの、手数料の仕組みや投資ファンドの選び方を猛勉強し、自分なりの投資方法を考え出しました。
毎月もらえる「分配金」を再投資していたことも高い手数料の原因となっていました。
分配金については後半で詳しく解説しています。
ここから先の内容は、筆者が考える投資信託で損する原因と、知らないと損する知識を解説していきます。
投資信託における「損」とは
まずは、投資信託での「損」とは何かを明確化しておきましょう。
投資信託の損とは、「投資金額よりも基準価額が減少してしまうこと」です。
基準価額とは、投資信託(ファンド)の値段のことです。
投資信託の価格に分配金や手数料などを引いた金額です。
買った時点の価格と現在の価格を比べ、そこから手数料などを引いてプラスになっていれば損はしないということです。
投資信託で損する主な原因
続いて、投資信託で「損失」が発生する原因を5つ解説していきします。
次の5つの原因を押さえておきましょう。
- 手数料を確認せずに買ってしまう
- すぐに儲かると思ってしまう
- 全資産を投資信託に使ってしまう
- 分配金を目当てに買ってしまう
原因①:手数料を確認せずに買ってしまう
投資信託は、他の投資と比べて手数料が高くなっています。
投資判断や管理をすべて証券会社に一任しているため、一定の手数料が発生することには納得できます。
しかし、本来は利益が出るはずの運用利益が高額な手数料によって損失になってしまうのでは投資する意味がなくなってしまいます。
損失を防ぐためには、運用での基準価額上昇を期待でき、手数料の安い投資信託を見つける必要があります。
手数料は商品によって変化するため、詳しい仕組みは後ほど解説していきます。
原因②:すぐに儲かると思ってしまう
投資信託は、資産を失うリスクが低く投資初心者におすすめされやすい投資です。
しかし、投資ですぐに稼ぎたい方にとっては不向きな投資方法だと事前に理解しておきましょう。
なぜなら、投資信託は好みのファンドを選び、お金を預けるだけでプロが自分の代わりに運用してくれる投資商品だからです。
投資は本来、自身で経済市況を見ながら株式や国債などを購入・運用するものです。
しかし、投資信託はその手間を他人に任せているため、手数料が他の投資よりも高くなります。
さらに、資金を預かり運用しているファンド側も顧客から預かった大切なお金を失うことを避けるための運用をします。
結果的に、リスクを抑えて安定した運用をする場合が多くなり、大きな利益が発生することも少なくなります。
投資信託は、株式投資やFXなどのハイリスク・ハイリターンな投資ではなく、ローリスク・ローリターンだということを理解しておきましょう。
原因③:全資産を投資信託に使ってしまう
貯金してある全資産や退職金を投資信託に使ってしまい、大きな損をするパターンです。
他の投資と比べてリスクが少ないからといって、全資産を一つの投資信託に使うべきではありません。
なぜなら、一つの投資信託だけに全資金を使ってしまうと、万が一大きく価格が下落した場合に大損失となってしまうからです。
投資家の格言として有名なものに、「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉があります。
卵を一つのカゴにまとめて入れていると、カゴを落としたときにすべての卵が割れてしまいます。
しかし、複数のカゴに分けて盛っていれば、一つのカゴを落としたときに全体の被害を少なくできます。
この格言は、資金を分散させて投資することの重要性を表しています。
まずは、特徴の違う2つ以上の投資信託に分散するだけでも大きな損失を防ぐことができます。
原因④:分配金を目当てに買ってしまう
投資信託には、定期的に分配金をもらえる商品があります。
分配金をもらえるペースは「毎月分配」から「一年に一度の分配」まで商品によりさまざまです。
「毎月分配型」と聞くと得した気分になりますが、実は投資信託の分配金は投資元本から支払われる場合が多いです。
つまり、全額が運用利益からの分配ではなく払い戻しに近いのです。
さらに、その分配金を再投資すると、追加で購入手数料も発生します。
投資信託の手数料で損したくなければ、分配金の支払い間隔が長い商品か分配金無しの商品をおすすめします。
投資信託で損ばかりする人が知らない知識
続いて、投資信託で損している人が知らない基礎知識を紹介します。
わかっていたつもりでも、実は認識が違ったり、専門用語の勉強を後回しにしていた方もいると思います。
ここでは、特に大切な4つだけを要点だけ紹介していきますので、ぜひ勉強していってください。
- 購入にかかる手数料
- アクティブ型とインデックス型の違い
- つみたてNISA
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
知識①:購入にかかる手数料
投資信託を購入したり、運用するには主に2つの手数料が発生します。
1つ目は、「購入手数料」です。
購入手数料は、投資信託を購入するときにだけ発生する手数料です。
一般的に0パーセントから3パーセントの間で設定されおり、証券会社や投資信託の種類によってさまざまです。一部購入手数料が無料の投資信託もあります。
2つ目は、「信託報酬(運用手数料)」です。
信託報酬は、投資信託を購入して運用している間に発生する手数料です。
投資信託の購入後、運用している間、毎日少しずつ発生します。
投資信託の種類によって変化し、0.1パーセントから2パーセントほどです。
「報酬」と名付けられていますが、個人投資家の代わりに投資判断を行ってくれている証券会社への手数料と管理費だと考えて良いでしょう。
購入手数料を節約することは難しいですが、信託報酬は投資信託によって異なるため、誤って手数料の高い商品を買ってしまうと、手数料分だけ投資家は損してしまいます。
投資信託の種類による手数料の違いは続きで紹介していきます。
知識②:アクティブ型とインデックス型の違い
投資信託で購入できる商品は、アクティブ型とインデックス型の2つのファンドに分けられます。
この2つには大きな違いがあるため、事前に理解しておきましょう。
アクティブ型ファンドは、市場の平均よりも高い利回りを目指してさまざまな銘柄や投資手法を選定して取引をするファンドです。
平均よりも高い利回りを目指せますが、取引に手間とコストがかかるため手数料が高くなる特徴があります。
インデックス型ファンドは、日経平均株価やTOPIXなどに代表される指数や指標に合わせて取引するファンドです。
どんな相場でも指標に合わせて機械的な取引をするため、平均的な利回りを目指せる特徴があります。
積極的に高い利益を目指すアクティブ型と違い、リスクを抑えやすく手数料が低いため長期投資に向いています。
投資信託で損してしまう人はアクティブ型ファンドを選んでしまい、リスクと手数料が高い商品を選んでいることが多いため注意が必要です。
知識③:つみたてNISA
つみたてNISAとは、投資信託を少額で積み立て運用する場合、年間20万円までの利益が非課税になる制度です。
年間で積み立て投資できる上限金額は40万円です。
本来、投資信託で得られた利益からは20パーセントの税金がかかりますが、この積み立てNISAを利用して購入した投資信託からの利益が一定額非課税となります。
投資信託を購入したい方は必ず知っておくべき知識ですが、金融庁から積み立てNISAが可能だと認められた商品しか購入できない仕組みとなっています。
購入を決めてから対象外だと気付く場合があるため注意が必要です。
知識④:iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、ご自身の老後のために個人で年金を積み立てておける制度です。
金融機関で口座を開設し、毎月一定額を積み立てることが可能です。
積み立て方法は、投資信託や定期預金などを選択できます。
iDeCoの主なメリットは、「積み立てた資金の所得控除」と「売却益の非課税」の2点です。
一方で、「原則、60歳まで引き出せない」という大きなデメリットがあります。
働き方によって積み立てできる金額に上限がありますが、毎年の積み立て資金を所得控除できるという税制優遇があるため、まずはご自身の投資上限額を確認してみてください。
いつでも引き出せないという大きなデメリットを補うため、引き出し可能なつみたてNISAと組み合わせて上手に運用することをおすすめします。
投資信託で損失が出ているときにおすすめの方法
続いて、運用中の投資信託に損失が出てしまっているときにおすすめな対処方法を紹介します。
- 損切りは不要
- 損失が出ているときは買い増しのチャンス
- 損失を気にせず別の投資に集中する
方法①:損切りは不要
基本的に、投資信託の運用中は損失が出ても売却や解約をする必要はありません。
運用中の投資信託に損失が出てしまうと、投資初心者ほど気持ちが焦り損切りしたくなっていきます。
しかし、投資信託はそもそも余剰資金で長期的に運用することを想定した商品が多いです。
「損切り」という言葉は、株式投資やFXなどで短期間でトレードする投資手法に有効なリスク回避です。
投資信託はトレードではないため、一時的に損失が発生しても時間をかけて見守っていられる心の余裕を持ちましょう。
方法②:損失が出ているときは買い増しのチャンス
損切りは不要だという話をしましたが、むしろ買い増しをするチャンスでもあります。
価格が下がっているからといって安易に買い増しするべきではありませんが、損失があるタイミングで余剰資金があるのなら買い増しも検討することも一つの戦略です。
低い価格で買い増ししていくことで、賢く平均購入価額を下げて運用することが可能です。
方法③:損失を気にせず別の投資に集中する
投資信託の損失は気にせず、別の投資に集中することで結果的に全体の投資利益を増やすことができるかもしれません。
投資信託の運用は、ローリスク・ローリターンだと割り切って貯金に近い感覚で運用することが大切です。
筆者も、投資信託を所有していますが基本的にはほったらかしにしてあります。
たくさんの投資商品を毎日チェックすると労力も必要で、判断ミスにもつながりかねません。
投資信託よりも大きな利回りを目指せる別の投資については、後述していきます。
投資信託で損しないための考え方
投資信託で損しないために必要な考え方を2つ紹介します。
- 稼ぐためではなく節税のために買う
- ほったらかしで長期投資が大前提
考え方①:稼ぐためではなく節税のために買う
投資信託は、先ほど紹介した「つみたてNISA」や「iDeCo」など政府が推進する節税可能な制度が多いです。
基本的に利回りが低いため投資の運用益があまり期待できなくても、節税効果を考えると一定額までは他の投資よりも安定した利回りを得られます。
ご自身の年齢や働き方によって、年間上限いくらまで節税効果を得ながら投資できるかを調べることができるため、まずは確認してみてください。
投資による運用は、投資金額と利益金額が増えれば増えるほど納税額も増えていくことを知っておきましょう。
考え方②:ほったらかしで長期投資が大前提
投資信託は、長期投資で積み立てすることがもっとも効果的な方法です。
何度も売買したり、頻繁に新たな商品を探す必要はないため「ほったらかし」で問題ありません。
投資信託での利益が出た場合も、すべてを再投資して投資元本を増やしていけば、長期間をかけて雪だるまのように資産が増加していきます(複利効果と呼びます)。
短期的に解約したり、売却することが最大の損失になりかねないと事前に理解しておきましょう。
投資信託よりも失敗しにくいおすすめ投資
投資信託以外に、さまざまな投資を経験してきた筆者がおすすめしたい投資を紹介します。
筆者は、投資信託は節税目的でしか行っていません。
理由は利回りが低く利益が少ないからです。
収入を得るための投資は、99%投資信託以外の投資で稼いでいます。
そんな筆者が今だからこそおすすめしたい投資を2つだけ紹介します。
あまり聞き慣れない投資だと思いますが、初心者にも優しい投資なのでぜひ覚えていってください。
投資①:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい企業(借主)と個人投資家(貸主)をマッチングするサービスです。
個人投資家は、投資した企業から分配金を定期的に受け取ることができます。
ソーシャルレンディングは、分配金利回りと分配期間が明記された状態で案件を選択できます。
気に入った案件に投資が完了したあとは、分配金が入るのを待つだけという手軽さがメリットです。
投資したあとは、ほったらかしで大丈夫ということです。
人気の案件は投資できる枠がすぐに埋まってしまうデメリットがありますが、それは平均5パーセント以上の高利回りだからです。
案件によっては利回り10%以上も目指すことができるため、資産を増やしたい方には絶対におすすめしたい投資です。
ソーシャルレンディングの内容についてはこちらで詳しく解説されています。
投資②:不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングとは、不動産運用したい企業に対し、個人投資家が運用資金を投資できる商品です。
投資したお金は、実際に不動産の運用収益から配当金として受け取ることができます。
1万円から少額で投資を始められ、利回りは投資信託よりも高い5パーセント以上を目指せるためおすすめです。
不動産投資型クラウドファンディングは近年新しくできた投資方法なので、まだ知らない人が多いです。
今後人気が出てくると、ライバルが増えてしまうため良い案件に投資しづらくなっていくと予想されます。
ぜひ今のうちに、少額から投資をしてみてください。
まとめ
投資信託で筆者が損した経験から学んだことや知っておくべき基礎知識を紹介してきました。
何度もお伝えしますが、投資信託は「節税対策」と「長期運用」を前提にコツコツと行うのが最適な方法です。
ローリスク・ローリターンで貯金よりは少しおトクな投資という感覚が正しいかもしれません。
もし、筆者のように投資で少しでも生活を楽にしたいと考えていたり、セミリタイアしたいと考えているのなら投資信託以外の投資は必須となります。
ぜひ、最後に紹介した今おすすめの投資方法「ソーシャルレンディング」「不動産投資型クラウドファンディング」を試してみてください。