日本人の多くは貯金ばかりに偏っており、資産運用をしている人はわずかです。
資産運用すれば、仕事以外でも収入を得られるのに、なぜか手を出そうとしません。
そこには、「投資に手を出したら失敗してお金を失うに決まっている」という根拠のない思い込みがあるのでしょう。
確かに、投資にはリスクがありますが、適切にコントロールすれば怖いものではありません。
むしろ、銀行に預けておいてインフレ負けして現金が目減りする方が怖いです。
この記事では、インフレ負けなど資産運用をするべき理由について解説します。
その後、資産運用にはどんなリスクがあり、どのようにコントロールすれば良いのか解説していきます。
これまで貯金しかしたことがない資産運用の初心者にもおすすめできる投資方法も紹介するので、役に立ててくださいね。
目次
「貯金」と「資産運用」の両方が必要な理由
資産運用をしたことがない方にも、まずは「貯金だけではダメで、資産運用もした方が良いんだ」と理解してもらいたいです。
この項目では、なぜ資産運用をするべきなのか3つの理由を解説していきます。
- 預金は金利が低いから
- 預金ではインフレ負けするから
- 投資の方が利回りが高いから
理由①:預金は金利が低いから
預金は金利が非常に低く、銀行に預けておいてもお金はほとんど増えません。
預金の中では高金利とされる定期預金ですら、金利は0.02パーセントほどが最高です。
100万円を預金しても、1年で200円しか増やすことができません。
「200円でも増えるならラッキー」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、あまりにも非効率ではないでしょうか?
後述するように、金利0.02パーセントではインフレ負けしますし、投資の方が圧倒的に効率良くお金を増やすことができます。
お金を増やすという観点においては、預金にはほとんどメリットがありません。
理由②:預金ではインフレ負けするから
預金には、お金が増えないどころか、目減りするリスクがあります。
物価やインフレが関わってくるのですが、単語が難しいので丁寧に説明しましょう。
「物価」とは物の値段のことで、「インフレ」とは物価が上昇することです。
物の値段が上がると、普段買っているものが高くなり買えなくなってしまうかもしれません。
インフレになると、物の値段が上がったことで、相対的にお金の価値が下がってしまうのです。
例えば、今はあるお菓子が100円で売っているとします。
もちろん、100円を持っていれば購入できますね。
しかし、物価が上昇してお菓子の値段が1年後に102円になっていたら、100円では買えません。
「相対的にお金の価値が下がる」とはこのことです。
日本の金融政策では、インフレ率「2パーセント」が目標となっています。
インフレで物の値段が上がっていくなら、同じペースでお金の価値も上がっていくべきですよね。
しかし、銀行預金ではお金はほとんど増えないので、お金の価値はそのままで、物の値段だけどんどん上がっていってしまいます。
つまり、買えるはずだった物が買えない状態になり、これを「インフレ負け」と呼びます。
インフレ負けしないためには、インフレ率と同じくらいの利回りで資産運用をする必要があります。
インフレ率の目標が2パーセントなので、最低でも2パーセントの利回りを目指すべきなのです。
理由③:投資の方が利回りが高いから
上記の項目で、インフレ負け対策のため最低でも2パーセントの利回りで資産運用するべきだとお伝えしました。
預金では0.02パーセントが最高でしたが、投資なら2パーセントを超える利回りの商品はたくさんあります。
投資の方が預金よりも利回りが高いので、積極的に投資をするべきなのです。
この機会に、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか?
資産運用に関するリスクや、どのような商品に投資すれば良いのかなど、初心者がつまづきやすい点はこの記事で解説していきます。
資産運用の代表的なリスク
資産運用が預金と異なるのは、リスクを取ってお金を増やしリターンを得ることです。
預金はリスクを取らないためお金も増えないのですが、その逆が資産運用です。
資産運用は必ずリターンを得られる保証はなく、リスクが発現すると損をしてしまい、元本割れとなる可能性があります。
この項目では、資産運用のリスクの中から代表的なものを3つ紹介します。
これらのリスクがあることを理解した上で投資を始めましょう。
- 価格変動リスク
- 信用リスク
- 為替変動リスク
リスク①:価格変動リスク
価格変動リスクは、投資した商品の価格が上がったり下がったりすることです。
商品を買った後、価格が下がったときに売却すると、「高く買って、安く売る」ことになって損をしてしまいます。
ですが、価格変動リスクは単なる危険ではなく、損をすることもあれば得をすることもある可能性のことです。
商品は買ったときよりも価格が上がることもあり、売却すれば「安く買って高く売る」ことで利益が得られます。
これも価格変動リスクのおかげなのです。
商品によっては毎日のように価格が動くため、損をするのではないかと怖くなり、投資がストレスになってしまう方もいるかもしれません。
価格変動リスクを怖く感じる方は、「債券」や「ソーシャルレンディング」など放っておける投資できる商品が合っているでしょう。
投資商品については後で詳しく紹介します。
リスク②:信用リスク
信用リスクとは、投資先の企業や国、地方自治体が元本を返却できなかったり、約束した利息を支払えなかったりするリスクです。
企業や国、地方自治体の経営状態や財務状態が悪化すると、資金不足によって元本や利息の支払いができなくなることがあるのです。
信用リスクを下げるためには、経営状態や財務状態が良く、悪化しにくい投資先を選ぶ必要があります。
例えば、国に投資するなら、新興国より先進国の方が信用リスクが低いと考えられます。
リスク③:為替変動リスク
為替変動リスクは、海外に投資するときに関係するリスクです。
投資したときよりも円高になると、海外の資産を円換算したときに投資した金額を下回って損をしてしまいます。
円安の場合は逆で、投資した金額を上回り得となります。
例えば、1ドルが100円のときに100万円分の米ドルを買ったら、1万ドルの外貨預金ができます。
しかし、時間が経って1ドルが80円になってしまったら、外貨預金の1万ドルは80万円に相当します。
よって、為替変動によって100万円が80万円に減り損失が出てしまいました。
もちろん、為替が逆に動けば100万円以上にお金を増やすことができます。
運用成果と関係なく、為替変動だけで損や得をすることがあるのが、為替変動リスクです。
なお、日本国内に投資する場合、基本的には為替変動リスクは関係ありません。
為替変動リスクを避けたい人は、国内に投資しましょう。
「貯金」と「資産運用」のお金の分け方
先ほどお伝えしたとおり、資産運用にはリスクがあるため、全財産を投資するようなことは避けた方が良いです。
「守り貯金」と「攻めの資産運用」をバランス良く行うことが大切です。
そこで、貯金と資産運用にどのような配分でお金を割り振るかが重要になります。
この項目ではお金を3種類に分け、貯金すべきお金と資産運用に回して良いお金に分類していきます。
- 生活費は「貯金」
- 使い道が決まっているお金は「貯金」
- 余剰資金は「運用」
分け方①:生活費は「貯金」
食費や家賃、光熱費など生活に必要なお金を生活費と呼びます。
半年から1年分の生活費の貯金ができたら、その他のお金で投資しましょう。
つまり、当面の生活費は常に貯めておくということです。
なぜ生活費を貯金しておくのかというと、万が一会社が倒産したりリストラされたりして収入が途絶えた場合に備えるためです。
仕事がなくなったら就職活動をしなければならず、その期間を長めに見積もって半年から1年分としています。
また、生活費として貯めたお金を投資に回してはなりません。
投資は元本割れする可能性があるので、いざ生活費が必要になったタイミングで元本が減っていたら、生活に困ってしまうかもしれないからです。
倒産やリストラなど不測の事態に備えた生活費は貯金し、投資の元本割れリスクには晒さないようにしましょう。
分け方②:使い道が決まっているお金は「貯金」
「住宅の購入費用」や「子供の養育費」など、使い道が決まっているお金は貯金です。
実際に使うのは何年も先のことでも、投資に使うことは控えましょう。
投資は元本割れのリスクがあるため、いざお金が必要になったときに元本が減っていたら、理想を叶えられなくなってしまうかもしれないからです。
お金の事情で、住宅や子供の学校の選択肢が少なくなっては困りますよね。
実際に使うのは先であっても、使い道が決まっているお金は貯金しておきましょう。
投資の元本割れリスクには晒さないようにすることをおすすめします。
分け方③:余剰資金は「運用」
さきほどの「生活費」と「使い道が決まっているお金」のどちらにも当てはまらないお金が「余剰資金」です。
余剰資金は投資に回して構わないお金です。
余剰資金であれば、元本割れしてしまっても人生に大きなダメージを与えません。
投資に回すのは、この余剰資金に「限定」しましょう。
おすすめの資産運用の方法
これまで貯金しかしてこなかった人にとって、資産運用は怖いイメージがあると思います。
そのため、まずは失敗する可能性が低く、簡単な投資から始めていくと良いでしょう。
これから紹介する資産運用の方法は、いずれも難易度が低く初心者でも始めやすいものです。
8種類の資産運用について紹介していくので、どれが自分に合っているか考えながら読み進めてくださいね。
- 外貨預金
- 国債
- 株式投資
- 不動産投資
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- ソーシャルレンディング
おすすめ①:外貨預金
外貨預金とは、「米ドル」「ユーロ」「豪ドル」などで預金することです。
日本は低金利ですが、外貨預金なら高金利なことも多くお金を増やすことができます。
金利は、2020年現在は次のものが目安です。
- 米ドル:1%~2%
- ユーロ:0.02%前後
- 豪ドル:1%前後
ユーロは日本円とほとんど同じような低金利ですが、米ドルや豪ドルは日本円よりもずっと高金利です。
金利が2パーセントの米ドルの預金で100万円分のお金を運用すれば、1年後には102万円分に増えているのです。
日本円での預金と同じような感覚で始められるため、投資初心者にも外貨預金はおすすめです。
銀行口座があればできるので、証券口座を持っていない人もすぐに始められます。
最も初心者向けの外貨預金は米ドルなので、米ドルから始めてみてはいかがでしょうか?
おすすめ②:国債
国債とは国が発行している債券で、投資家は国にお金を貸し見返りとして利息をもらうことができます。
満期が来れば、貸したお金である元本が戻ってきます。
個人向け国債の利回りは、1パーセント弱です。
銀行預金よりは高利回りで、100万円分のお金を運用すれば、1年後には101万円分に増えていると期待できます。
個人向け国債は、価格変動リスクを避けたい人におすすめです。
値動きがないので、日々の価格変動がストレスになることはありません。
また、国に投資するので破綻の可能性が低く、信用リスクも極めて低いです。
投資に怖いイメージがある方は、まずは安全性の高い国債から始めてみてはいかがでしょうか?
おすすめ③:株式投資
株式投資は、投資家が株式を買うことでお金を企業に出資する投資です。
企業はそのお金で事業を行って利益を出し、投資家に「配当」という形で利益の一部を還元します。
株式投資の利回りは、3パーセントから5パーセントが目安です。
100万円を投資すると、1年後に103万円から105万円に増えることが期待できます。
株式投資がおすすめな理由は、配当金に加えて「株主優待」が得られるからです。
一部の企業では株主優待制度を導入しており、株主に自社製品やサービスの割引券を提供しています。
株主優待を上手く使えば生活費の節約にもなるので、貯金を増やすことができるのです。
おすすめ④:不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどを買って部屋を他人に貸し出し、入居者から賃料を得る投資方法です。
立地の良い物件であれば、入居者が入りやすく出ていきにくいので安定した家賃収入を得ることができます。
不動産投資の利回りは、5パーセント前後が一般的です。
100万円を投資すると、1年で105万円に成長することが期待できます。
ただし、不動産を購入するのには数千万円から数億円の資金が必要であるため、多くの方はローンを組んで始めることになります。
そのため、100万円といった少額では投資できません。
不動産投資は安定した利益を得られる投資なので、投資の初心者にもおすすめです。
サラリーマンのように安定した収入がある人ならローンの審査にとおりやすいので、始めてみても良いでしょう。
おすすめ⑤:投資信託
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。
「株式」や「債券」といったおおまかな運用方針は自分で決める必要がありますが、具体的な銘柄選びなど難しいことは投資のプロに任せることができます。
投資信託の利回りは1パーセントから3パーセントほどです。
100万円を投資すると、1年後に101万円から103万円に増えることが期待できます。
投資信託は運用のプロに任せられる商品なので、初心者でも投資に失敗する確率が低めです。
そのため、投資の知識がない初心者にもおすすめの投資方法です。
おすすめ⑥:ETF(上場投資信託)
ETF(イーティーエフ)は「上場投資信託」のことで、投資信託の一種です。
投資信託と同様、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。
投資信託と異なる点として、証券取引所で売買できるという特徴があります。
ETFの利回りは3パーセントから5パーセントほどが目安です。
100万円を投資すると、1年後に103万円から105万円に増えることが期待できます。
ETFは投資信託と同じで運用のプロに任せられる商品ですが、投資信託よりも利回りが高いです。
これは、ETFの方が手数料などのコストが抑えられているからです。
証券取引所に注文を出すため少し初心者にはハードルが高いかもしれませんが、投資に慣れてきたらぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
おすすめ⑦:REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)は「不動産投資信託」のことで、投資信託の仲間です。
投資信託と同じで、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。
REITの投資先は不動産に限定されているため、不動産投資専門のETFとイメージしてもらえれば良いでしょう。
REITの利回りは4パーセントから6パーセントほどが目安です。
100万円を投資すると、1年後に104万円から106万円に増えることが期待できます。
REITは放置しているだけで大きな利益を得やすいため、投資の初心者にもおすすめな投資方法です。
不労所得を狙いたい人におすすめの投資方法です。
おすすめ⑧:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、「お金を借りたい企業(借り手)」と「お金を貸したい人(投資家)」をインターネット上(オンライン)で結びつけるサービスです。
クラウドファンディングの一種であり、「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれます。
ソーシャルレンディングの利回りは、5パーセントから10パーセントほどと高いです。
100万円を投資すれば、1年後に105万円から110万円に増えることが期待できます。
これは、この記事で紹介している投資方法の中で最も高い利回りです。
ソーシャルレンディングは利回りが高いだけでなく価格変動がないため、投資をしたことがない人にもおすすめです。
他の投資方法と同じで元本割れのリスクはあるものの、日々の価格変動は無いので、値動きでストレスを感じることがありません。
比較的新しい投資方法のため、初めて聞いたという方もいるかもしれませんね。
ソーシャルレンディングについては、こちらで詳しく解説しているので、一度目を通してみてくださいね。
まとめ
貯金と資産運用について解説してきました。
貯金はほとんどの方がすでにやっていることですが、資産運用はまだ日本ではあまり普及していません。
ですが、「インフレ負け」を防ぐためには、銀行預金でなく投資もしていかなければならないことが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
貯金と並行して投資をすることで、お金をスピーディーに増やすことができます。
投資には元本割れのリスクもありますが、余剰資金に限定すれば万が一のことがあっても大丈夫です。
仕事でなく、投資でお金を得られる幸せを味わってもらえれば幸いです。