2019年6月に金融庁が行った「年金だけでは老後の生活資金が約2,000万円足りない」という発表が話題になりました。
誰しも「貯金を増やして余裕のある老後を過ごしたい」「会社員からリタイアしたい」と思う気持ちがあるはずです。
今回は、そんな方に向けて「サラリーマンでも貯金4,000万円を貯められるのか?」「4,000万円を貯めるには毎月いくらの積み立て貯金が必要か?」といった疑問に答えていきます。
そして、具体的に貯金を4,000万を貯めることはできるのか、どんな方法でいくら貯めれば良いのかについて解説します。
目次
貯金4,000万円以上を達成することはできる?
そもそも、一般人が4,000万円以上の貯金を達成することはできるのかを考えてみましょう。
結論からお伝えすると、普通のサラリーマンで年収400万円ほどだとしても、貯金4,000万円を達成することは可能です。
毎月積み立てる貯金額が少ない場合は長期間が必要ですが、贅沢せずに貯金をするだけでも達成可能な金額です。
では、人生の中で貯金を妨げるものや貯めたあとの目標を明確にすることの重要性について考えていきましょう。
加えて、単純に現金貯金するよりも、効率良く貯金を増やす方法はないのかまで解説していきます。
サラリーマンが貯金4,000万円を貯めるには?
利用シミュレーター:楽天証券
まずは、サラリーマンが貯金4,000万円を貯めるには毎月のいくらの貯金が必要かを算出していきましょう。
上記の積み立てシミュレーションをもとに、次の2種類を解説します。
- 現金積み立てのみで貯金する場合
- 資産運用の利回りを含めた場合
どのような違いが出るのかを確認してみてください。
方法①:現金積み立てのみで4,000万円貯金する場合
現金のみを毎月積み立て、4,000万円を達成するまでを計算してみます。
現金積み立てによる貯金を毎月行う場合、毎月9万5,238円貯金しても4,000万円達成まで35年間が必要だとわかります。
35年間というと、30歳のサラリーマンが65歳の定年退職するまでの期間です。
毎月一度も欠かさず9万円の現金を積み立てることは、よほど給料が高い会社員でない限りは現実的ではありません。
4,000万円達成までの目標期間が短ければ短いほど、単純に毎月の積み立て金額が大きくなり、実現するハードルが高くなります。
方法②:資産運用の利回りを含めて4,000万円貯金する場合
次に、現金ではなく毎月一定額を資産運用に投資し、その利回りを含めて4,000万円を達成するまでを計算してみます。
資産運用の種類によって利回りが変化するため、ここでは「利回り3%」と「利回り5%」の2種類を算出しています。
まず、利回り3%では毎月5万3,940円を毎月積み立てると、35年間で4,000万円を達成できます。
現金のみの積み立てと比べると、毎月の積み立て額が4万円ほど少なくなっていることが分かります。
続いて、利回り5%では毎月3万5,208円を毎月積み立てると35年間で4,000万円を達成できます。
現金のみの積み立てと比べて毎月の積み立て額が6万円も少なくなっています。
たった3%や5%の利回りが、なぜこれほどの価格差を生んでいるのか不思議に感じる方も多いはずです。
次の項目では、現金と資産運用の差を生み出している「複利効果」について解説します。
貯金より資産運用が増えやすいのは「複利効果」が理由
「複利効果」とは、資産運用で発生した利益を再投資することで、毎年利益を増やしていく投資方法です。
複利と反対の意味を持つ言葉に「単利」があります。
「単利」とは、利益を再投資しない資産運用の方法です。
利益を再投資しなければ毎年発生する利益は「複利」運用のようには増えていきません。
現金積み立てでは、元本が増えても増加する金額や利益が増えるものではないため、「単利」に似た性質があります。
さらに、資産運用の利回りが高く長期の運用を目的としている場合は、複利の効果を最大限発揮させることが可能です。
この複利効果が、現金積み立てよりも資産運用の方が4,000万円を達成する速度が早い理由となっています。
なお、複利効果についてはこちらで具体的な数値シミュレーションを出しながら、わかりやすく解説しています。
初めて聞いたという方は、一度目を通しておくと良いでしょう。
何のために貯金4,000万円を貯めるのか明確にしておこう
ここまでお伝えした内容で、一般的な会社員でも貯金4,000万円を貯めることが可能だと理解していただけたと思います。
「じゃあ、いますぐに貯金や資産運用を始めよう!」と思われるかもしれませんが、その前に明確にしておくべきことがあります。
それは、「なんのために4,000万円を貯めるのか?」です。
明確な目標がなければ、毎月の積み立てを継続することが難しくなるかもしれません。
ここでは、主な2パターンの目標設定を紹介します。
目標①:老後の不安を減らすため
貯金を貯める理由でもっとも一般的な目標設定は、老後の生活に不安があるからです。
老後を充実させるための貯金なので、目標は明確に定年退職までという方が多いでしょう。
65歳の定年退職までに貯金4,000万円を目標とするのであれば、単純計算で毎月の貯金額や投資の利回りが計算可能です。
長期的な計画なら安定した利回りで複利効果も出すことができる資産運用と現金積み立てを併用することをおすすめします。
目標②:アーリーリタイアのため
次に、アーリーリタイアを目標設定に4,000万円を貯金する例です。
アーリーリタイアとは、一言でいうと「早期退職」のことです。
定年退職まで勤めず、若いうちに退職をして自由な時間を生きるという選択肢です。
一般的に言われる早期退職と異なる点は、定年退職の2年前や3年前などに辞めるのではなく、10年・20年も先に退職することを意味する言葉として使われることが多いです。
そして、同じような言葉に「セミリタイア」がありますが、こちらは退職後も自分のペースで仕事をしたり継続的な収入を得られることが前提の言葉となっているため、「アーリーリタイア」とは大きな違いがあります。
アーリーリタイアのために貯金4,000万円を目標設定にする場合、定年退職までに貯める場合と比べると貯められる期間が短くなります。
期間が短いということは、毎月の負担額を大きくするか、利回りの高い資産運用を行うことが必須となります。
アーリーリタイアするためには貯金4,000万円が必要な理由
では、アーリーリタイアするために、貯金4,000万円が必要な2つの理由を紹介していきましょう。
セミリタイアとは大きな違いがあるため、事前の準備が必要だということを理解しておきましょう。
理由①:病気などの急なリスクに対応するため
アーリーリタイアとは言っても、年齢を重ねているため20代のときのように健康である人は少ないはずです。
そのため、病気などの急なリスクに対応する準備をする必要があります。
病気には保険に加入するなどのリスク対策をすることができます。
アーリーリタイアの場合、継続的な収入や仕事がないため、生活資金が不足する危険性があります。
減っていく資金がストレスになる場合もあるため、余裕を持った資金計画とリスク対策が必要です。
理由②:家族が増えたときのため
独身の方は別ですが、家族がいる状態でアーリーリタイアをする場合、自分以外の動向も生活費の減少に影響します。
新たに子供が増える可能性や、すでに子供がいる方でも独り立ちしていた子供が孫を連れて実家に帰ってくるパターンも予測できます。
さらに、孫の学費を工面しなくてはならない場合も家庭の事情によっては考えられます。
家族がいることは素晴らしいことですが、意外と貯金減少に直結するということを忘れずに計画を立てましょう。
アーリーリタイアの場合は、やはり貯金が減っていくことにストレスを感じてしまうはずです。
安心したリタイア生活を送るためには、ただ減っていくだけの貯金通帳を見ているのではなく、貯金を元手にして運用した利益を得ながら生活することがセットだと考えられます。
サラリーマンが4,000万円貯金を目指すおすすめの方法
4,000万円を貯めるまでの流れや、貯金達成後の目標設定ができたでしょうか?
続いて、サラリーマンが4,000万円の貯金を目指すためにおすすめな方法を紹介します。
4つの中から、ご自身に合った方法を選択するヒントにしてみてください。
- 独立して起業する
- サラリーマンをやりながら副業する
- サラリーマンをやりながら投資する
- 独身 or 夫婦共働き子供なし
方法①:独立して起業する
現在勤めている会社から独立して起業する方法です。
サラリーマンとして蓄積したノウハウを活かして独立に成功すれば、短期間で4,000万円以上の貯金と名誉を獲得できる可能性があります。
しかし、この方法は行動力とスキルが必要です。
失敗したときのリスクも高いため、誰にでもできる方法ではありません。
方法②:サラリーマンをやりながら副業する
サラリーマンとして働きながら空いた時間で副業をする方法です。
近年は副業が解禁されている起業も多く、帰宅後の時間や休日に稼ぎやすい環境になっています。
年功序列や終身雇用などの制度が少なくなり、年収も過去のようには上がりにくくなっています。
会社からの給料だけに依存せず、個人の力で複数の収入源を作ると貯金スピードも加速して4,000万円の目標を早期に達成することが可能になります。
ただし、休日を副業に使うことで忙しくなるというデメリットがあります。
働きすぎて本業や家族との関係に支障が出ないよう注意しましょう。
方法③:サラリーマンをやりながら投資する
サラリーマンで得た給料を投資していく方法です。
記事前半で示した運用シミュレーションでもわかるように、現金積み立てのみで資産を増やすよりも投資で運用益を再投資することで短期間で4,000万円を貯めることができます。
さらに、サラリーマンが投資をするメリットは時間や手間を取られずほったらかしで運用することもできる点です。
投資の種類によっては、毎日取引をしたり運用益を確認する場合もあります。
事前に種類と性質を知っておくことで、貴重な時間を取られずに、運用益を増やしていくことができるでしょう。
手間のかからないおすすめな投資商品は後半で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
方法④:独身 or 夫婦共働き子供なし
「独身」で固定費を徹底的に抑えて貯金する方法と「夫婦共働き子供なし」で世帯単位で貯金する方法です。
独身でいることは、固定費を抑えるためにもっとも適した方法です。
貯金やアーリーリタイアを目指すために敢えて独身を選ぶ方もいます。
割り切って実家に住むことで、家賃を抑えることも可能です。
明確な目標があるのなら一つの選択肢になってくるでしょう。
また、「夫婦共働き子供なし」という方法もあります。
近年は、夫婦が子供なしで生きていくことを選択するDINKS(ディンクス)という言葉が生まれています。
子供を一人育てるための養育費は1,000万円以上とも言われます。
さらに、子育て期間中に女性は働けない期間があるなど、世帯収入としては減少してしまいます。
夫婦共働きで、協力して貯金をしてくことができれば、目標金額を4,000万円以上に設定することもできるでしょう。
貯金4,000万円を目指すためにおすすめな資産運用
4,000万円の貯金を目指すためには、運用利回りだけでなく税金面でも効率良く資産運用することが必要です。
ここでは、4,000万円貯金を目指している会社員におすすめできる2つの資産運用を紹介します。
- iDeCo(イデコ)
- 投資信託
資産運用①:iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金とも呼ばれる資産運用です。
「老後のために個人で作る年金」という位置づけで、国が推進している資産運用方法です。
iDeCoを使うと、「投資信託」や「保険」など、リスクとリターンに合わせて選択することができます。
さらに、投資した金額を年間の所得金額から控除することができるため、節税面でメリットが大きくなっています。
一方で、投資した資金を引き出せるのが最低60歳というデメリットがあります。
節税をしながら資産運用が可能なので、4,000万円の貯金を目指す方は行った方が良いでしょう。
特に、アーリーリタイアを考えている方は、定年退職する場合と比較して将来の年金支給額は減少します。
老後のために自分で作る保証として、iDeCoで積み立て投資を行っておきましょう。
資産運用②:投資信託
投資信託とは、個人が金融機関などが運用するファンドにお金を預けることで、自分の代わりに資産運用をしてくれる金融商品です。
それぞれの商品(ファンド)に、投資の傾向やリスクが明記されているため、自分の好みに合った投資商品にお金を預けることができます。
投資信託は、iDeCoを利用して購入することもできます。
利回りの期待できない「保険」などを選択するよりも、「投資信託」を購入して利回りを目指すことをおすすめします。
投資信託のことがよくわからなくて不安だという方は、少額から始められる商品を選択して運用してみてください。
株式投資やFXと比べて低リスクで始めることができるため、長期的な運用に最適な商品です。
貯金4,000万円を目指すのにおすすめの高利回り投資
ここからは、高利回りなおすすめ投資を3つ紹介します。
貯金4,000万円を目指すためには、リスクを分散した投資が基本です。
「低リスク投資」と「高利回り投資」をバランス良く組み合わせていきましょう。
- 不動産投資
- REIT(不動産投資信託)
- ソーシャルレンディング
投資①:不動産投資
不動産投資とは、アパートやマンションを購入して貸し出すことで家賃を得る投資方法です。
不動産は購入金額が高額ですが、入居者がいる限り安定して収入を得ることができます。
場合によっては、ローンを組んで購入するためリスクが高いと思われがちですが、低金利で借りることができればローン返済金額よりも収入を高く保つことが可能です。
ローンを完済すると不動産が自身の資産となる点も大きなメリットです。
完済後に売却して現金にしても良いかもしれません。
サラリーマンで融資可能枠を確保できそうなら、高利回りな不動産投資を検討してみましょう。
しかし、ただ闇雲に不動産を買うだけでは、高利回りを実現することはできません。
新築ワンルームマンション等をフルローンで購入して、返済にサラリーマンの給与を利用する方法をおすすめする不動産会社もありますが、毎月の給与より返済額が大きくなるような投資はリスクが高いためおすすめしません。
購入金額を抑えられる中古物件を選んだり、頭金を用意してから購入しましょう。
貯金額は4,000万円になりませんが、不動産投資を行えば保有資産額ではすぐに4,000万円を超えることができるでしょう。
投資②:REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)とは、不動産に特化した投資信託です。
投資信託と同様に、投資のプロトレーダーが運用して利益を投資家に分配する仕組みです。
REITで投資できる商品は、一般人にはなかなか手を出すことができない商業ビルや都心マンションなどに少額から投資できるという特徴があります。
投資信託と比較すると初期資金が必要になりますが、利回りが4%以上を目指すことが可能です。
属性の違う複数の商品に分散させることでリスクを抑えることをおすすめします。
投資③:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい企業とお金を貸してくれる個人をオン来場でつなげるサービスです。
お金を貸した個人は、貸した金額に対して利息を上乗せした金額を定期的に受け取ることができます。
ソーシャルレンディングは、5パーセント以上と高利回りを目指すことができるほか、投資後にほったらかしにしておくことができるというメリットがあります。
一方で、高利回りということは同時に貸し倒れなどのデメリットもあります。
全ての貯金をソーシャルレンディングで運用するとリスクが高いため、低リスクな投資と並行した運用を心がけましょう。
ソーシャルレンディングについてはこちらで詳しく解説しています。
一度目を通しておくと良いでしょう。
まとめ
貯金を4,000万円貯めるための方法や考え方を解説してきました。
単純に現金を積み立てるだけでも、生活費を切り詰めて長期間の貯金ができれば達成可能です。
しかし、資産運用を上手に使えば現金だけの場合よりも確実に早く4,000万円を貯めることができます。
4,000万円の貯金や老後の贅沢を考えていない方にとっても、お金の不安は拭えない問題となります。
今回お伝えしたことをきっかけに、効率良くお金を貯めるための方法を知り、お金の不安を減らすきっかけにしてもらえれば幸いです。