これからの時代は、「自分で資産形成をしなければならない」と言われることが増えてきました。
しかし、何から手を付けたら良いのかわからない方が多いのではないでしょうか?
いきなり「自力でお金を貯めてください」と突き放されても、困ってしまいますよね。
この記事では、資産形成とは何か、どうすればお金を貯めることができるのかについて解説していきます。
ご自身に当てはめながら読み進め、できそうな方法から試していってみてください。
資産形成とは
資産形成とは、貯金などの資産が少ない人が、資産を作るためにお金を貯めることです。
資産とは、基本的には現金や貯金と思って構いませんが、それだけでなく土地や住宅、証券などお金に換算できるさまざまなものを含みます。
いま資産形成をしなければならないと言われているのは、将来に使うであろうお金をあらかじめ貯めておく必要があるからです。
なぜ資産形成が必要なのか詳しくは後で解説しますが、ざっくり説明すると将来のさまざまな不安に備えるためです。
資産運用との違い
資産形成と似ている言葉に「資産運用」があります。
資産運用は、どちらかというと資産形成の後の段階です。
ある程度の貯金などが貯まって資産形成できた人は、その資産を運用(投資)することでさらに資産を増やすことができます。
資産形成の段階では、貯金に注力するため仕事を頑張ってお金を稼いだり、日常生活でお金を使いすぎないように節約したりすることが重要です。
一方、資産運用は、例えば企業などに出資して利益の一部をもらう仕組みなので、自分が働く必要はありません。
お金にお金を稼いでもらうのが資産運用だと言って良いでしょう。
とはいえ、資産形成と資産運用は同時にやることで早く資産形成ができます。
資産形成してから資産運用という順番は、絶対に守らなければならないものではありません。
どちらもお金を増やす手段なので、並行することをおすすめします。
資産形成が必要な理由
資産形成という用語の意味を押さえたところで、資産形成が必要な理由を解説していきます。
ざっくりお伝えすると「将来の自分が使うお金をあらかじめ貯めておかなければならないから」ですが、より具体的に解説していきますね。
理由①:年金だけではゆとりある老後を送れないから
2019年に金融庁が発表したレポートによると、「老後にゆとりある夫婦生活を送るには、年金の他に毎月5万円の収入が必要」ということがわかりました。
5万円とは平均なので、人によってはもっと多い金額が必要なこともあります。
毎月5万円ということは、定年退職時に夫婦で2,000万円ほどの資産形成をしておくべきと金融庁が試算しています。
実は、年金だけではゆとりある老後を送るのに不十分ということは、以前から指摘されていたことです。
年金だけでも最低限の生活は送れるかもしれませんが、老後は悠々自適に生活したい方が多いのではないでしょうか?
バリバリ仕事ができる現役世代のうちに、資産形成をしておきましょう。
理由②:長生きするとお金が足りなくなるかもしれないから
人生100年時代と言われるようになり、平均寿命も年々延びています。2018年の簡易生命表によると、男性は約81歳、女性は約87歳が平均寿命となりますが、医療の発達などのため今後も延びていくと考えられます。
寿命が延びるのは喜ばしいことですが、そのぶん老後に必要なお金も多くなります。
年を重ねてから生活費を稼ぐために働くのは大変なので、現役世代のうちに資産形成しておく必要があるのです。
上記の金融庁の資産では2,000万円ほど貯めておくべきとのことですが、寿命が延びればもっと大きな金額が必要になるかもしれません。
理由③:税金や物価は上昇すると予想されるから
日本は今後も増税される傾向にあり、また物価も上がっていくと予想されます。
すると、物の値段は現在より高くなってしまうため、老後の年金だけでは生活できなくなるかもしれません。
余裕のある生活をするためには、自力で資産形成しておく必要があるのです。
2019年に消費税が10パーセントに増税されましたが、今後も社会保障費などの支出を税収から補っていくことになると考えられるので、増税されることはあっても減税されることはないでしょう。
また、現在の金融政策では物価上昇率2パーセントを目標にしているため、これが達成される世の中になれば、現金の価値は物価上昇に置いて行かれることになります。
消費増税も物価上昇も、現在より物の値段が高くなるということなので、年金だけに頼らず自分で資産形成しておく必要があるのです。
資産形成の計画を立てるステップ
資産形成を始めるなら、まずはざっくりと計画を立てましょう。
無計画に始めると、たくさん無駄遣いをしてお金が貯まらなかったり、節約を頑張りすぎて精神を消耗してしまったりするからです。
そうならないためにも、次の2つのステップで資産形成の計画を立てましょう。
ステップ①:資産形成の目標金額を決める
まずは、資産形成のゴールとなる目標の金額を決めましょう。
手段としては資産運用も使って良いので、資産形成・資産運用のゴールと言った方が適切かもしれません。
例えば、「マイホームを買うためにはいくら必要か」など考えてみます。
「何も思いつかないけど老後のために貯金はしておきたい」という人は、金融庁のレポートに沿って2,000万円を目標にしてはいかがでしょうか。
ステップ②:給料・ボーナスの積立金額を決める
ゴールとなる金額を決めたら、給料やボーナスからいくら捻出すれば目標に到達できるのか考えましょう。
2,000万円を目標とした場合、まずはあと何年間働くことができるかを考えます。
定年を60歳だと仮定すると、現在20歳の人はあと40年、30歳の人はあと30年働くことができます。
目標金額をその年数で割ると、1年あたりに積み立てる金額が分かります。
あと40年間働ける人は、「2000万円÷40年=年間50万円」を貯めれば良い計算になります。
1年で貯めるべき金額が決まったら、給料とボーナスからいくらずつ貯めるか考えましょう。
年間50万円を貯める場合、毎月の給料から2万円ずつ、年2回のボーナスから18万円ずつ捻出すれば貯められます。
このように、給料やボーナスから具体的に何円貯めるのか決めておくことで、計画的に資産形成ができます。
もし給料やボーナスが少なくて目標金額に届かなさそうな場合、次の項目で解説する資産形成する方法をご覧ください。
資産形成する方法
資産形成したくても、「そもそも今の生活だけでいっぱいいっぱいで、お金なんて貯まらない」という方も多いと思います。
生活が苦しくて貯金ができない人は、「収入」「節約」「投資」のどれかを見直したり、新たに始めた方が良いかもしれません。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
方法①:収入の一部を貯金する
資産形成するには、収入から少しでも貯金を捻出することが重要です。
貯金がゼロ円なら、1円でも良いので貯金を頑張ってみましょう。
わずかな金額でも良いので、まずは貯金を習慣づけることが大切です。
とはいえ、小さな金額だと一向に資産を形成することができません。
目標金額が2,000万円など大きい人はなおさらです。
そこで、収入を増やす方法を考えていきましょう。
収入を増やす方法は次の記事で詳しく説明しているので、こちらもご覧ください。
方法②:節約して貯金を増やす
収入を増やすと同時に重要なのが、節約して貯金に回すことです。
家計の支出を見直し、無駄のあるお金の使い方をしていないか確認しましょう。
また、ふるさと納税による節税や、キャッシュレス決済でもらえるポイントを活用することでも、現金を節約することができます。
後ほど詳しく解説するので、これらの節約方法に取り組んでいない方はご参考ください。
方法③:投資で資産を増やす
投資は資産運用の一つですが、資産運用も資産形成の手段と考えることができます。
投資とは、自分ではなくお金にお金を稼いでもらう手段なので、すでに本業の仕事や節約を頑張っている人も、プラスアルファでお金を増やせる方法です。
ここで注意していただきたいのが、投資は元本保証ではないことです。
投資先が事業に失敗した場合などは、投資したお金が返ってこない可能性があるのです。
預金と違って元本保証ではないため元本割れのリスクがあることを理解し、少額から始めると良いでしょう。
投資商品には株式や投資信託などさまざまな種類がありますが、資産形成におすすめの商品は後ほど詳しく解説します。
「節約」で資産形成する方法
収入を増やす以外に資産形成をする方法として、節約と投資を挙げました。
まずは節約について、具体的に何をどうしたら良いのかお伝えしていきますね。
効果の高い節約方法を3つご紹介します。
節約方法①:固定費を見直す
節約するときは家計の支出の見直しを最初に行いますが、まずは固定費にメスを入れましょう。
固定費とは、毎月決まった金額の支出のことです。
「家賃」「携帯電話の使用料金」「保険料」などが挙げられます。
これらの固定費は金額が大きいことが多いです。
そのため、安いプランに変更できれば毎月数万円を節約できることがあり、資産形成に役立ちます。
例えば、携帯電話の使用料金が毎月1万円を超えている人は、プランを見直した方が良いでしょう。
全く使っていないオプションを契約している人は意外と多いため、ぜひ見直してみてくださいね。
さらに、格安スマホに変更すれば毎月の支払は3,000円ほどに抑えられます。
使用料が1万円から3,000円に下がれば、毎月7,000円も節約できるため、資産形成にも役立ちますよ。
節約方法②:ふるさと納税で節税する
ふるさと納税とは、自分が好きな自治体に寄付できる制度のことです。
2,000円は自己負担なのですが、住民税の控除や所得税の還付が受けられます。
基本的に、「自分が住んでいる自治体とは別の自治体に住民税を納めるもの」という認識で大丈夫です。
つまり、ふるさと納税をしなければ自分の自治体に、ふるさと納税をすれば好きな自治体に納税する形になるので、いずれにしろ支払うお金の行き先を決められる制度といった感覚です。
ふるさと納税の何が良いかというと、多くの自治体は返礼品を用意しているため、自己負担2,000円でさまざまな食品などをもらえることです。
通常通りに住民税を納めるだけではもらえない特典なので、生活に必要な食べ物などをもらうことで、スーパーなどでの買い物が減り、節約することができるのです。
節約方法③:キャッシュレス決済でポイントをもらう
キャッシュレス決済をすると、クレジットカードのポイントや「〇〇ペイ」などのキャッシュバックをもらうことができます。
これらのポイントなどを活用して買い物をすることで、現金を節約できるため、そのぶんを資産形成に回すことができます。
「1,000円以下の買い物でキャッシュレス決済するのは何となくダメな気がする」という意見を聞くことがあるのですが、迷う必要はありません。
100円の買い物でも1パーセントのポイントがつけば1ポイントもらえます。
塵も積もれば山となるので、キャッシュレス決済を積極的に使い現金の節約に役立てましょう。
「固定費の見直し」「ふるさと納税」「キャッシュレス決済」と節約方法を紹介してきました。
節約についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事でもっと詳しく解説していますよ。
「投資」で資産形成する方法
節約の他には、投資でも資産形成することができます。
投資は資産運用の一つですが、今回は少額で始められる投資を紹介するので、資産形成とも並行できます。
おすすめの投資方法を5つ紹介していきましょう。
投資方法①:投資信託
投資信託は、大勢の投資家のお金を投資会社が預かり、投資会社に在籍するプロの投資家が代わりに運用する商品です。
銘柄選びや実際の運用など経験を要する部分をプロにやってもらえるため、初心者にも人気がある商品です。
投資信託が資産形成に役立つのは、長期投資に向いているからです。
投資会社には多額の資金が集まるため、さまざまな銘柄に少額ずつ分散して投資をしており、ローリスク・ローリターンの投資が行われています。
したがって、短期間の一攫千金は期待できませんが、長い目で見れば安定した成果を残せる商品なのです。
投資信託は100円でも始めることができます。
投資に何となく怖いイメージがある方は、100円で投資信託を始めてみて、慣れてきたら金額を増やしてみると良いでしょう。
投資方法②:株式投資
株式投資は、投資家が企業に出資し、企業がそのお金で事業を行い利益の一部を「配当金」として投資家に還元する商品です。
投資家が企業の将来性を判断して投資しなければならないため、投資信託より難しい投資方法です。
難しいのに株式投資が人気の理由は、「株主優待制度」があるからです。
すべてではありませんが、一部の企業の株式には株主優待の制度があり、株主は企業の自社製品やサービスの割引券をもらうことができます。
例えば、飲料メーカーの優待はその会社が作る飲み物セット、外食チェーンの優待は店舗での飲食の割引券などです。
株主優待を上手に使うと、節約もすることができます。
配当金で利益をお金でもらい株主優待で節約もできるため、一石二鳥の投資方法と言えます。
投資方法③:ETF(上場投資信託)
ETFは投資信託の仲間で、投資家の資産を投資会社に在籍するプロが代わりに運用してくれる商品です。
投資信託と異なるのは、株式と同様に証券取引所に注文を出して売買することです。
注文するのが初心者にとっては難しいかもしれないので、まずは投資信託から始めて、投資に慣れてきたらETFにも挑戦すると良いでしょう。
ETFは投資信託よりも手数料が抑えられているため、利回りが高めの投資商品です。
投資信託に物足りなさを感じたら、ETFを検討してみてください。
投資方法④:ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、自動で投資先を決めて投資してくれるサービスです。
リスク許容度をアンケートで診断して投資先を決めてくれるので、個人に合った資産運用を代行してくれます。
ロボアドバイザーは、基本的にETFに投資しています。
世界中のあらゆるETFに投資する商品なので、一般的な投資信託やETFよりもさらに分散投資が効いていると考えられ、長期投資に向いています。
ただし、ロボアドバイザーがETFで運用するため、投資家はロボアドバイザーの手数料とETFの手数料の両方を負担しなければなりません。
そのため、ETFよりも利回りが低い特徴があります。
投資方法⑤:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、インターネット上で企業に出資できるサービスです。
企業は銀行の融資の延長で資金調達のために利用し、投資家は利回りの高い事業を探してソーシャルレンディングを利用します。
ソーシャルレンディングの大きな特徴は、利回りが高いことです。
これまで紹介してきた投資方法だと、利回りは高くても5パーセントほどですが、ソーシャルレンディングなら5パーセントから10パーセントの利回りを狙うことができます。
少ない資金で大きな利益を狙えるので、資産が少ない人が資産形成をするのに役立てられます。
ソーシャルレンディングについてもっと詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説していますよ。
「節約」と「投資」を両立して資産形成する方法
番外編として、節約もできる投資方法を2つ紹介します。
いずれも投資なので元本割れのリスクはありますが、少額でも始められるので投資初心者にもおすすめですよ。
おつり投資
おつり投資とは、電子マネーで買い物をしたときの端数を自動的に投資してくれるサービスです。
5円以上のおつりのとき、投資をしてくれます。
おつり投資でなく「おつり貯金」なら、多くの方は聞いたことがあると思います。
おつり貯金は小銭を強制的に貯めていくので、無駄遣いがなくなりますよね。
同じことを投資で行うサービスなので、おつり投資には節約の効果もあるのです。
ポイント投資
ポイント投資とは、買い物で貯めたポイントで投資商品を購入できるサービスです。
ポイントは次回の買い物で使う方が多いと思いますが、ポイントで投資し現金で節約することができるのです。
ポイントで買える商品は、投資信託や株式などです。
投資で最も怖いのは元本割れですが、タダで手に入れたポイントを使って投資するなら万が一運用に失敗して損をしてしまっても、現金が無くなるほどのショックはないでしょう。
元本割れのリスクが怖くないため、ポイント投資はぜひ活用していただきたい投資方法です。
まとめ
資産形成とその方法について解説してきました。
まずは目標の金額を決め、毎月どれくらいの金額を貯金するべきなのか決めてから資産形成を始めましょう。
資産形成をするためには、収入を増やす他に節約や投資といった方法もあります。
特に、仕事と節約は頑張っているけれど、投資はやったことがないという方は非常に多いので、この機会に投資も始めて資産形成に役立ててみてくださいね。