経営者にとって、今後の事業拡大や安定したキャッシュフローの確保のために、融資を受けることはとても重要です。
法人向け融資・資金調達方法の代表格が銀行融資であり、小口から大口まで対応してくれます。
今回は、銀行の法人融資を受けるために知っておきたいポイントについて紹介します。
条件の良いプロパー融資や審査内容、必要書類、保証人や抵当権などについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
融資を受けるメリット・デメリット
まず、融資を受けるメリットとデメリットを解説していきます。
融資に頼りすぎると倒産のリスクが高くなるため、適度な金額の利用に留められるよう、メリットとデメリットなど融資の基礎知識を押さえておきましょう。
そもそも本当に融資が必要なのか?
融資は借入ですが、簡単な言葉で言うと「借金」です。
借りたお金は返さなければなりませんし、それだけでなく利息も支払うので、借入金額よりも返済金額の合計の方が大きくなってしまいます。
そのため、できれば融資に頼らずに自社の事業だけでお金を回せた方が良いです。
そもそも本当に融資が必要なのか、経営者はよく考えてから申し込みをする必要があるでしょう。
融資に頼ることを覚えてしまい、経営努力を怠ってしまう人もいます。
資金繰りが苦しくなったとき、事業の中で改善点を探すのではなく、「とりあえず融資を引いてこの場をしのごう」と考えてしまうのですね。
融資に頼りすぎ本業のビジネスで利益を出せなくなってしまえば、倒産の可能性もあります。
実際には銀行からも早い段階で見限られて、融資をしてもらえなくなるため、倒産や自己破産は思っているよりも早く訪れます。
こうならないようにするためにも、融資の金額は最小限にするべきです。
自社のお金だけで何とかなるなら、そもそも借入をしないという選択もあります。
経営者の方は、融資を引くことが最善なのかを考えてから申し込みをしましょう。
メリット
融資のメリットは、事業に必要なまとまったお金が手に入ることです。
例えば、最新の設備を購入するのに1,000万円が必要な場合、創業間もない会社や中小企業では自社のお金だけで購入するのが難しいことが多いでしょう。
しかし、融資を引けば設備を購入することができるため、すぐに事業を始めることができます。
もらったお金ではないので融資は返済する必要がありますが、最新の設備を使ったビジネスを軌道に乗せれば、返済は大きな問題にはなりません。
後払いのようなイメージで必要な機材を購入できるのが、融資の大きなメリットと言えます。
デメリット
融資のデメリットは、利益が出ていなくても返済する必要があることです。
メリットの項目では1,000万円の最新設備を買うために融資を引いた例を出しましたが、事業が上手く行かず利益が出ていなくても、融資の返済を行う必要があります。
しかも、元金に加えて金利を返済しなければならないため、基本的には借入金額よりも返済金額の合計の方が大きくなります。
さらに、返済が滞ると信用情報の格付けが下がり、次回以降の融資を受けづらくなるデメリットもあります。
融資を引いて事業を始められても、ビジネスが必ず上手く行くとは保証されていません。
しかし、融資の返済は必ず行わなければならないので、借入は最低限の金額に留めるといったリスク管理が必要です。
法人が受けられる融資の種類
一口に「融資」といっても、実は1種類ではありません。
銀行の融資は「保証付き融資」と「プロパー融資」の2種類に大別することができます。
「保証付き融資」は、信用保証協会が連帯保証人になってくれる融資で、中小企業や創業したばかりの企業でも審査に通りやすいメリットがあります。
信用保証協会に信用保証料を支払うデメリットがありますが、融資実績のない法人でも受けやすいため、まずは保証付き融資から受けると良いでしょう。
融資金額の上限は2億8,000万円です。
「プロパー融資」は信用保証協会を通さずに銀行から直接受ける融資のことです。
融資金額の上限がなく大規模な資金調達に向いていますが、審査がとても厳しいです。
事業が上手く行っていることに加え、銀行との信頼関係が既にできている法人でないと、プロパー融資は難しいでしょう。
以上のように「保証付き融資」と「プロパー融資」に大別できますが、さらに融資の種類を細かく分けることができます。
仕組みや担保の種類によって、融資の種類が分けられているのです。
法人が受けられる融資にはどんな種類があるのかを知ることで、自分の状況に合った融資を選びましょう。
よく使われている主な融資の種類を6つ解説していきます。
融資の種類
- 証書貸付
- 当座貸越
- 手形貸付
- 手形割引
- 売掛債権担保融資
- 不動産担保融資
証書貸付
証書貸付は一般的な借り入れの方法で、「金銭消費賃借契約書(借用証書)」を提出して融資を受ける方法です。
借用証書は契約書なので、借入金額や金利、借入日、返済回数などが記載されています。
証書貸付は、1年を超える長期の融資で利用されることが多いです。
運転資金や設備資金など、長く借り入れたい資金の調達に使うと良いでしょう。
返済方法は、融資金額を返済回数で等分し、その金額と利息を返済していく「元金均等返済」が一般的です。
返済すれば元金が減って利息が少なくなるため、返済が進むほど1回あたりの返済額が少なくなる返済方法です。
当座貸越
当座貸越は、あらかじめ決めた金額を上限として、いつでも好きな時にお金を借り入れたり返済したりできる融資の種類です。
審査は厳しめですが、無事に通過すればいちいち銀行に申請しなくても好きなときにお金を借りることができます。
ATMでも融資を引き出せるようになっているため、利便性が非常に高いです。
当座貸越には「一般当座貸越」と「専用当座貸越」の2種類があります。
「一般当座貸越」とは、法人が利用している当座預金の残高を超えて引き出そうとしたときに、超過分が自動で貸越になる方法です。
口座にお金がなくても引き出すことができますが、足りない分は自動で融資になるため、いずれは返済する必要があります。
「専用当座貸越」とは、普通預金や当座預金とは異なる貸越専用の口座を作成して、ここから貸越を行う方法です。
当座貸越の融資を受けるためには、担保を差し出すことがあります。
担保の評価額を上限として当座貸越の借り入れができるため、大きな金額の融資を受けたい方は、担保を設定することをおすすめします。
手形貸付
手形貸付は、自社の約束手形を担保に銀行から融資を受ける方法です。
最短即日で換金できるため、一時的な資金の調達に使うことが多いです。
返済期間も数ヶ月から1年以内と短く設定されることが一般的です。
期日までに返済できなかった場合、手形が「不渡り」となります。
半年以内に2回の不渡りを出すと、銀行からの融資が停止されてしまうリスクがあります。
手形貸付はあくまでも短期の融資に使うこととし、短い期間で返済できる金額に留めておきましょう。
融資金額は10万円から500万円ほどです。
手形割引
手形割引とは、銀行に約束手形を買い取ってもらって現金化することです。
手形貸付は自社の約束手形を使いましたが、他社が降り出した手形を使うのが手形割引です。
手形割引は数日から1週間でスピーディーに現金化できるため、資金繰りに困ったら使いたい手段です。
金融商品の売却といった換金のイメージが近いですが、「手形を担保にお金を借り入れる」ということなので、手形割引も融資の一種です。
約束手形は、取引先が支払いのために現金の代わりに振り出して受け取るケースが多いです。
現金化の期日が来る前に銀行に譲渡する場合、手形の額面から期日までの利息や手数料を差し引いた金額を融資として受けることができます。
つまり、約束手形の額面が1万円だった場合でも、期日前に現金化すると1万円より少なくなります。
この点は理解した上で手形割引を活用してみてください。
約束手形で融資を受けるには、振り出した法人の信用が重要です。
万が一、振り出した法人に手形の支払いができず不渡りとなった場合、手形割引を依頼した法人が銀行に全額返済を行います。
銀行も不渡りになりそうな手形を担保にしたくないので、振り出した法人の信用力によっては、手形割引を断られることもあります。
売掛債権担保融資
売掛債権担保融資は、法人の資産に計上されている売掛債権を担保に融資を受ける方法です。
売掛債権は売掛金や受取手形のことで、企業が営業によって出した売上のうち、これから現金で回収できる権利となる金額のことです。
まだ現金として支払われてはいないものの、これから回収できる見込みがあるので、権利ですが法人の資産となります。
いくらたくさん売り上げることができても、現金が入ってくる前にお金が必要になることはあるでしょう。
このような場合に使うのが売掛債権担保融資で、現金が入ってきたら返済するのが一般的です。
売掛債権を担保にすることは売掛先に通知せず、法務局で売掛債権譲渡登記をする方法が一般的です。
審査の期間は3週間程度で、売掛金や受取手形の金額を上限に融資を受けることができます。
不動産担保融資
不動産担保融資とは、不動産や土地を担保にして融資を受ける方法です。
融資の上限は不動産や土地の評価額となるため、数億円単位の大規模な融資を受けることも可能です。
返済期間は10年以上とすることが多く、期間が長いので設備投資など長期の事業計画に使いやすい融資です。
ただし、審査にかかる期間が長いため、すぐに借り入れたい場合には不向きです。
低金利で長期で借りられるメリットを生かし、長期的な事業のために借り入れましょう。
なお、返済ができなくなった場合、担保として差し出した不動産を失う可能性があります。
不動産を売却することで現金化し、融資の返済に充てられるためです。
銀行で法人向けプロパー融資を受ける場合のポイント・審査項目
では、一般的な銀行の法人向け融資と審査の内容についてお伝えしていきましょう。
特に、銀行の法人融資として利用希望が多いプロパー融資の内容を紹介していきます。
融資を受ける際の格付け
銀行は、各取引先の決算書をもとに毎年格付けをしています。
信用力のランキングのようなもので、各取引先の融資方針にも影響があります。
また、取引先の格付け結果は金融庁のもと作成された基準で債務者区分されます。
もし、決算が悪く一定基準以下の債務者区分となった場合は、銀行融資の制限を受ける可能性があります。
場合によっては、信用力がないと判断されて融資がまったく受けられなくなる恐れもあるため注意が必要です。
会社の業績・決算書の内容によって、銀行の格付け評価が下がり、融資の受けやすさが変わることを覚えておきましょう。
融資を受ける際の担保
銀行の法人向け融資だけではありませんが、法人が融資を受ける際は土地や建物に根抵当権が設定されます。
「抵当権」と「根抵当権」で内容が異なるため、融資を受けるのであれば違いを知っておく必要があります。
抵当権
抵当権とは、住宅ローンなど金融機関から融資を受ける際、不動産に設定された担保権のことです。
特定の債権のみ担保として機能する権利であり、特定の債権が消滅してしまうと、担保していた抵当権はなくなります。
たとえば、住宅ローンを借りる場合は土地や建物に抵当権を設定します。
そのため、ローン返済ができなかったときは、銀行から差し押さえられてしまいます。
ローンを完済すれば、抵当権も消滅するのです。
根抵当権
根抵当権は、抵当権のように特定の債権に限定されず、不特定多数の債権を一括して担保する機能を持っています。
抵当権のように設定する際に特定の被担保債権は必要ありませんし、被担保債権が弁済されて消滅したとしても、根抵当権は存続しています。
そのため、ローンを完済した場合でも権利は生きており、次に融資を受ける際にそのまま担保として利用可能です。
抵当権のように、融資の度に改めて設定する必要がありません。
毎回抵当権を設定するとなると、企業には多くの費用負担があります。
しかし、根抵当権であれば最初の1回分だけで済むため、登録免許税や司法書士報酬を節約することが可能です。
もし、根抵当権を抹消したい場合は法務局で手続きをする必要があり、手続きをしなければ永久に権利は残ります。
融資を受ける際の審査項目
銀行から融資を受ける際は、一般的に次のような項目を審査されます。
審査項目 |
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審査項目①:財務内容
財務内容は、プロパー融資に限らず銀行の法人向け融資を受ける際に必ずチェックされるポイントです。
金融機関にもよりますが、一般的に3期分の決算書の提出が必要です。
収益性や成長性、安全性などをチェックされ、信用力があるかどうか調査されます。
債務超過寸前や負債が多い場合は、プロパー融資は難しい可能性が高いです。
審査項目②:保証人・担保
銀行のプロパー融資の審査において保証人や担保が用意できるかは絶対的な要因ではありませんが、安心材料の一つになります。
銀行としては、プロパー融資をした場合でもリスクを考え、万が一に備えておきたいもの。
そのため、保証人や担保があることで審査が通りやすくなる可能性があります。
審査項目③:資金使途
銀行の法人向けプロパー融資の審査では、資金使途についてチェックがあります。
事業拡大や設備投資など、何に使うお金なのか、そして融資の希望金額も含めて妥当なものかどうかが審査されます。
資金使途や希望金額が適正でないと判断された場合は、審査が通らない可能性があります。
審査項目④:返済能力
企業の財務状況やキャッシュフローを確認し、返済能力があるかどうかチェックされます。
売上や資産規模など、返済財源が十分か調査が行われます。
返済能力がないと判断されると、銀行側としては貸し倒れリスクが高くなるため、融資が見送られる可能性があります。
銀行から法人融資を受ける際の必要書類
銀行のプロパー融資を受ける場合、一般的な必要書類は次のとおりです。
一般的な必要書類 |
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必要書類は企業の状況や金融機関によって異なりますが、これらが一般的に必要とされる書類です。
書類の準備に時間がかかるものもありますので、早めに用意するようにしましょう。
自社名義の不動産がある場合
担保となる自社名義の不動産を所有している場合は、銀行から法人向け融資を受ける際に利用することができます。
銀行にとって、担保があることで貸し倒れリスクを軽減できるため、融資を検討しやすくなります。
担保があると、低金利・長期間・高額など、通常よりも良い条件で融資を受けられる可能性があります。
ただし、担保については注意点もあります。
それは、銀行の担保評価は非常に低いことです。
そのため、借り手側が期待しているような担保価値で評価はされず、借入金額が想定よりも少なくなる可能性があります。
金融機関や状況にもよりますが、銀行が根抵当権を設定する場合、担保評価は時価の6割ほどしかありません。
融資取引先が倒産した場合、銀行は担保物権を売却して売却代金でローン残金を回収するために、根抵当権を設定しています。
もし、担保評価を高くしていた場合は、物件価値の下落によって未回収が多く残る可能性があります。
そのため、物件価値が下落しても問題がないように、時価の6割前後という低い担保価値で評価しているのです。
仮に、根抵当権が高く設定されていたとしても、そこまでの金額を借り入れできるとは限りません。
担保がある場合は融資を受けやすくなりますが、銀行の担保評価は低いことを認識しておきましょう。
経営者個人名義の不動産は担保にできる?
もちろん、法人名義の不動産がある場合は担保として利用できます。
ただ、経営者の中には本人名義の不動産を持っているという場合も少なくなく、その物件を担保として利用できるか気になるところでしょう。
実は、経営者個人名義の物件でも担保として利用することが可能です。
ただし、実際に経営者本人が所有する物件を法人融資の担保とする場合は、事前に銀行の担当者と面談をおこなう必要があります。
面談をおこない、所有者である経営者に担保提供の意思が間違いなくあるのかを確認したうえで、担保として評価され、審査・融資が実行されます。
なお、面談時の意思確認などの内容は、後のトラブル防止のために契約書に残されます。
経営者本人名義の物件でも法人融資の担保になること、そして内容が契約書に残ることを把握しておきましょう。
借り換えした場合は他の銀行に根抵当権を移せる?
常に同じ銀行から法人融資を受け続けられるとは限りません。
企業としては、少しでも支払利息を減らすために有利な融資条件を求めるものです。
そのため、より良い融資条件の金融機関が見つかった場合や取引銀行と折り合いが悪くなったときは、他行へ借り換えを検討するケースが多いです。
ただし、借り換えを検討する際に気になることとして、過去の融資で設定をした根抵当権の存在があるでしょう。
根抵当権は抹消手続きをしない限り、ずっと設定され続けたままです。
銀行で設定された根抵当権は、借り換えに伴い全部譲渡という方法で別の銀行に移すことが可能です。
ただし、注意点があります。
それは、全部譲渡をするには借り換え前の銀行と借り換え先銀行の2行の承諾が必要であることです。
銀行の立場やメンツがあるため、承諾してくれないケースは少なくありません。
承諾してもらえない限り全部譲渡ができないため、結局は根抵当権の抹消手続きをして、借り換え先で新たに根抵当権を設定する必要があります。
根抵当権を全部譲渡で借り換え先に移す場合に比べて費用が2倍ほどかかるため、コストがかさみます。
法人融資の借り換えをする場合に気を付けるべきポイントとして把握しておきましょう。
法人向け融資を受ける際に保証人は必要?
法人向け融資を受ける際は、保証人を立てる必要があるか気になる方も多いでしょう。
そもそも保証人とは何か、そして使いやすさについても理解しておいた方が良いところです。
保証人と連帯保証人
「保証人」と「連帯保証人」を同じものだと思っている人は少なくないでしょう。
実は、保証人と連帯保証人では立場がまったく異なります。
銀行の法人融資を利用するにあたり、万が一の際に責任の重さも違ってくるため、これらの違いは知っておくべきです。
それぞれの特徴・違いについて説明してきましょう。
保証人
保証人の責任は、連帯保証人ほど重くありません。
保証人には催告の抗弁権や検索の抗弁権などがあります。
つまり、債権者からの請求を受けた場合は、先に主債務者に請求するよう主張できます。
また、主債務者には返済できる資産があるのに返済を拒んだ場合は、先に主債務者の資産に強制執行するよう主張することが可能です。
さらに、保証人が複数いる場合は人数で割った金額だけの返済で済みます。
連帯保証人
連帯保証人は、保証人同様主債務者が返済できなくなった場合に代わりに返済する義務を負います。
連帯保証人は、保証人のように催告の抗弁権や検索の抗弁権、そして分別の利益が認められていません。
そのため、債権者から請求を求められても主債務者に請求するよう主張することもできませんし、全額を一人で返済しなければなりません。
また、主債務者が民事再生や任意整理、破産・免責手続きなどをした場合でも責任はついてまわるため、債権者から請求を受けてしまいます。
主債務者が借金返済を免れたとしても、連帯保証人の返済義務はなくならないため注意が必要です。
保証人と連帯保証人の違い
保証人も連帯保証人も、債務の返済義務があります。
主債務者へ返済請求が可能なのが保証人、主債務者に返済しれもらうための請求権がないのが連帯保証人です。
つまり、貸金業者がお金を返すように言ってきた場合に、「先に主債務者に請求してください」「主債務者の資産から返済してください」など、主張できることが保証人と連帯保証人の大きな違いです。
そして、返済の責任を分割できるのが保証人で、債務全額の返済責任を負うのが連帯保証人です。
主債務者に返済能力がある状態では、保証人は責任を負わされませんが、連帯保証人は主債務者が返済しなかった場合、返済能力の有無に関わらず債務全額を返済する義務があります。
このように連帯保証人の責任は、保証人より大変重いのです。
保証人がいない場合は他の制度を検討
金融機関としては、貸し倒れリスクを回避するために保証人や連帯保証人をつけるよう求めてきます。
しかし、保証人や連帯保証人になるにはリスクがあるため、借り手側は必ずしも用意できるわけではありません。
どうしても保証人や連帯保証人が用意できず、経営者自身も連帯保証人になりたくない場合は、信用保証協会の保証制度や日本政策金融公庫の制度融資などを検討してみてみると良いでしょう。
これらであれば、連帯保証人不要で法人融資を受けることが可能だからです。
また、売掛債権がある場合はファクタリングも選択肢に入れると良いでしょう。
毎月の返済負担を減らすための方法
法人融資を受ける場合は、少しでも安定したキャッシュフローを確保できるように、毎月の返済負担を減らすようにしましょう。
そのための主な方法は次のとおりです。
毎月の返済負担を減らすための方法
- 返済期間を長くしてもらう
- 金利を低くしてもらう
方法①:返済期間を長くしてもらう
毎月の返済負担を減らしたいのであれば、返済期間は長くするべきです。
返済期間が短い方が早く完済でき総返済額は少なくなりますが、毎月の返済負担が大きくなります。
それでも十分なキャッシュフローを確保できるのであれば良いですが、そうでない場合は返済期間を長くしましょう。
利息は多くなりますが、毎月の負担が減るためキャッシュフローが安定しやすくなります。
会社の業績が急激に悪化するなど、何が起こるかわかりません。
そのため、少しでも余裕を持てるようにすることが大切です。
方法②:金利を低くしてもらう
金利が低い方が利息は少なく、毎月の返済負担を抑えることができます。
銀行の法人融資がプロパー融資の場合、金利は決まっているわけではありません。
各銀行で基準となる金利はありますが、融資先の格付けや融資実績などによって適用金利が決められます。
そのため、融資を希望する際は粘り強く交渉をして少しでも金利を低くしてもらいましょう。
銀行で融資を受けられない法人におすすめの資金調達方法
銀行で融資を受けられなかった場合や、融資額が足りなかった場合は、他の方法も使って資金調達をしていきましょう。
法人が使えるおすすめの方法を3つ紹介していきます。
おすすめ資金調達方法
- ソーシャルレンディング
- ファクタリング
- ビジネスローン
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種で、お金を借りたい企業と投資をしたい個人をインターネット上で結びつけるサービスです。
個人が少額ずつ融資してくれることでまとまったお金になります。
1人1万円の融資でも、1,000人集まれば1,000万円の融資になりますよね。
ソーシャルレンディングのメリットは、銀行の融資に比べて資金調達しやすいことです。
無数にいる個人投資家に融資してもらうので、間口が非常に広いのです。
一方のデメリットは、金利が高いことです。
ソーシャルレンディングで資金調達しようとすると、金利が5パーセントから20パーセントと高めです。
しかし、金利が高く設定されているぶん、個人投資家にとっては高利回りというメリットがあって資金を集めやすいのです。
銀行の融資を受けられなかった場合は、ソーシャルレンディングの活用をおすすめします。
ファクタリング
ファクタリングとは、企業の売掛債権を買い取るサービスのことです。
企業は売掛金や受取手形を現金化できるので、当座の資金に使うことができます。
ファクタリングのメリットは、最短で即日現金が手に入ることです。
売掛債権がスピーディーに現金になるので、今すぐに現金が必要な状況で使うことをおすすめします。
デメリットは、売掛債権の評価額が上限となることです。
つまり、売掛金や受取手形が少ない場合、ファクタリングで得られる現金も少なくなります。
ファクタリングは、あまり大きな金額の資金調達には向いていません。
単発で今すぐ現金が欲しい状況のときに使うと良いでしょう。
ビジネスローン
ビジネスローンは、事業者を対象にしたキャッシングのようなサービスです。
基本的には無担保で利用でき、かつ審査も銀行の融資よりは簡便的です。
ビジネスローンのメリットは、数日で利用できるようになることです。
審査がスピーディーに行われるので、急にお金が必要になったときに利用すると良いでしょう。
デメリットとしては、金利が高めに設定されていることです。
銀行のビジネスローンだと5パーセントから10パーセント、クレジットカード会社などノンバンク系のビジネスローンだと10パーセントから15パーセントほどが相場です。
ビジネスローンは審査がスピーディーなのが大きなメリットなので、急に資金が必要になった場合に活用したいサービスです。
ソーシャルレンディングがおすすめの理由
ソーシャルレンディングには他の資金調達にはない特徴があり、企業にとってメリットになります。
では、なぜソーシャルレンディングが新たな資金調達方法として注目されているのか知るために、おすすめの理由について3つ紹介していきましょう。
- 短期返済がしやすい
- 担保がなくても融資を受けられることがある
- 審査や融資スピードが早い
理由①:短期返済がしやすい
法人の資金調達にソーシャルレンディングがおすすめの理由の一つが、短期返済が容易だからです。
他の調達方法だと、融資の際に高い事務手数料がかかります。
しかし、ソーシャルレンディングであれば事務手数料が安く、融資金利の中に含まれています。
また、繰り上げ返済でも手数料を取られません。
コストを抑えることができるため、そのぶん返済がしやすいことが特徴です。
投資家に支払う金利負担は小さいものではありませんが、事務手数料が安いため効率良く返済していくことができます。
短期的な資金調達・返済を希望する企業にとっては、非常にメリットが大きい調達方法です。
理由②:担保がなくても融資を受けられることがある
銀行融資など他の資金調達方法の場合、融資を受けるために担保が必要になるケースが少なくありません。
不動産など担保が必要になると、借入れのハードルは高くなります。
特に、スタートしたばかりの企業であれば、担保として評価されるものがない場合は多いでしょう。
しかし、ソーシャルレンディングであれば、短期であれば担保なしでも融資を受けることが可能です。
多くの借入れをしたい場合は、投資家への金利水準を高めにしておけば資金も集まりやすくなります。
担保設定の必要がなく利用できることで、より手軽に資金調達をすることができます。
理由③:審査や融資スピードが早い
ソーシャルレンディングは審査や融資スピードが早いため、緊急で資金調達が必要な場合でも対応できます。
資金調達方法によっては、申し込みから融資まで2週間から3週間以上かかるケースもあります。
スケジュールに余裕がある場合は良いですが、緊急を要する場合には対応できません。
一方で、ソーシャルレンディングの場合は申し込みから審査まで1日から3日ほどで完了することも可能です。
そのため、融資を受けるまでに1週間もかかりません。
審査や融資までのスピードが早いことは、企業にとって非常に大きなメリットです。
こんな場合にソーシャルレンディングがおすすめ
ソーシャルレンディングが資金調達の方法としておすすめであることはご理解いただけたでしょう。
では、どういったケースにおいてソーシャルレンディングが特におすすめできるのかについてお伝えしていきますね。
ケース①:融資を受けたくても担保評価が低い場合
不動産担保ローンで資金調達をしようと考えると、相応の担保評価のある土地や建物などを所有していなければなりません。
仮に、融資希望額が5,000万円だったとしても、担保評価が低ければ希望額を借入れすることは難しいです。
また、評価の高い不動産を所有していても、すでに他のローンで担保にしているケースもあるでしょう。
- 所有する不動産等の担保評価が低い
- 評価の付くような担保は所有していない
といった場合であっても、担保不要のソーシャルレンディングであれば融資を受けることが可能です。
そのため、十分な担保評価を受けられそうにない場合は、ソーシャルレンディングで資金調達を目指すことをおすすめします。
担保を気にすることなく、融資を受けることができますよ。
ケース②:早期に返済が見込める場合
資金調達をした後に、早期に返済が見込める場合はソーシャルレンディングがおすすめです。
ソーシャルレンディングは投資家への金利は低くありませんが、融資事務手数料は低めです。
また、早期返済が自由にできるため、余計なコスト負担が増える前に返済を完了させることができます。
まとまって資金が入ってくる事業や財務に余裕がある場合は、早期返済をしてコスト負担を和らげることが可能です。
早期返済が見込める場合は、ソーシャルレンディングのデメリットをあまり感じることなく活用できるでしょう。
ケース③:できるだけ早く融資を受けたい場合
「事業拡大のために早急に資金が必要」「設備投資のためにまとまった資金がいる」など、できるだけ早く融資を受けたい場合にもソーシャルレンディングによる資金調達はおすすめです。
審査・融資スピードが早いため、1週間もあれば融資まで完了できます。
他の資金調達方法だと間に合わない可能性がある場合は、ソーシャルレンディングを検討してみると良いでしょう。
まとめ
銀行の法人融資を受けるために知っておきたいポイントについて紹介しました。
安定したキャッシュフローを確保したり、事業拡大していくためにも法人融資は非常に重要です。
融資を検討している方は、ぜひ今回紹介した内容を参考にしてみてください。
なお、銀行の法人融資の審査のハードルが高い場合や、できる限り早く資金調達を行いたい場合は、今回おすすめしたソーシャルレンディングを検討してみると良いでしょう。
資金調達に関するご相談は下の問い合わせフォームから受け付けています。
必要事項にご記入してお送り頂ければ幸いです。