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ソーシャルレンディングは危ない?
ソーシャルレンディング投資が気になり調べていると、「危ない」ということばを目にすることがあるでしょう。
ソーシャルレンディングにはハイリターン投資の「仮想通貨」や「FX」などのように激しい値動きがなく、むしろミドルリスクといえる投資法です。
もちろん、投資である以上ある程度のリスクはありますが、やみくもに「危ない!怪しい!」というほど危険な投資ではありません。
それなのになぜ、「危ない」と言われるのでしょうか?
ソーシャルレンディングが危ないといわれる背景
ソーシャルレンディングが危ないと言われるのは、
- まだ新しい投資法で情報が少ないこと
- ミドルリスクなのに利回りは高いというメリットばかり注目されていること
が背景にあります。
しかし、利回りの高さや、情報の少なさにはそれぞれ理由があります。
①利回りが高い
ソーシャルレンディングは、「貸し手(投資家)が資金を投資(貸付け)したら、あとは分配金を得ながら貸付金が返ってくるのを待つだけ」という、とてもシンプルな投資法です。
仕組みも利益もシンプルな仕組みながら、年間の平均利回りは5%~8%ほどと高い水準を維持しています。
そんのため、「こんなに簡単な仕組みなのに利回りが高いなんて、おかしい。危ないのでは」と思う人が出てくるのです。
しかし、利回りが高いのは、次の理由があるからです。
- 事業者の多くはインターネット上で展開しているため、コストがかかりにくい
- 事業者は、大手銀行が融資しにくい中小企業者向けに高金利で融資しており、その分投資家に入ってくる利益も高い
コストがかかりにくく、高金利で融資しているからこそ、ソーシャルレンディング事業者の取り分を差し引いても、貸し手(投資家)が得られる利回りも高い状態を維持できているのです。
インターネットという場で、資金の借り手(大手銀行では融資してもらえない中小企業)と貸し手(普段使わない余剰資金を元に投資がしたいと思っている投資家)の需要と供給のバランスを見事につなげたことが高利回りの理由です。
決して、危ない秘密があるわけではないのです。
②情報量が少ない
まだ、ソーシャルレンディング自体が新しい投資です。
まだ始まって10年弱ほどで、仮想通貨と同じくらい歴史が浅い市場です。
リターンが何十、何百倍と大きくなることで一気に広まった仮想通貨とは異なり、ソーシャルレンディングはミドルリスク・ミドルリターン投資です。
そのため、市場自体の成長性に反して一般的な認知度はそれほど高くありません。
「周りにしている人も少ないし、情報があまりないから余計怪しい、危ない。」そう思う人が出てくるものです。
しかし、ソーシャルレンディングの市場規模は2018年ですでに2000億円以上で、2014年の市場規模143億円から約20倍もの勢いで伸びています。
これだけの成長を見せているにも関わらず、情報が少ない(と感じる)のには、次の理由があるのです。
- 仮想通貨やFXのように値動きや売買タイミングなどの複雑な予想が要らないから
- 投資家間で利益を狙い合って競う必要もない投資だから
ソーシャルレンディングに情報が少ないのは、シンプルな仕組みであるがゆえ、に最低限の情報だけで投資できるからとも言えます。
注意点と対策方法
仕組みや事情を知れば、「ソーシャルレンディングは危ない!」と一概には言えないことがわかったと思います。
もちろん、冒頭でお話ししたとおり、どんな投資にもリスクはありますし、何も知らずに投資するのは危ない行為そのものです。
危ない投資をしてしまわないように、ソーシャルレンディングの注意点と、それぞれの対策方法を6つに分けて解説していきましょう。
①元本保証がない
ソーシャルレンディングには基本、元本保証がありません。
貸付先が返済不能状態になって貸し倒れが起きたり、事業者が倒産したりすれば投資した資金をすべて失うこともありえます。
事業者は、できるだけ元本割れのリスクを緩和するべく、担保や保証付きの案件を用意しています。
担保や保証付き案件を選ぶ方が安心は大きいのですが、それでも100%元本が保証されているわけではありません。
そのため、倒産リスクはどんな事業者でもあるものです。
投資する際は、担保や保証付きの手堅い案件を選びつつ、案件や事業者を複数組み合わせて分散投資することが大切です。
②資金の流動性が低い
ソーシャルレンディングでは、一度貸付けた(投資した)資金は期間が満了するまで使えません。
しかも、投資期間は早まったり遅れたりする可能性もあり、貸し手(投資家)にとっては資金の流動性が低い投資なのです。
投資する際は、数年間使わなくても問題のない余剰資金を使い、無理のない範囲で投資するようにしましょう。
③手数料が発生する
他の投資と同様に、ソーシャルレンディングでは手数料が発生します。
ただ、ソーシャルレンディング運営事業者の運営コストは、融資先の企業(借り手)が負ったうえで融資仲介をします。
そのため、投資家(貸し手)が直接的なコストの支払いを実感することはありません(間接的に投資金から差し引かれているとも考えられますが)。
「ソーシャルレンディングでは手数料がかからない!」と思いがちですが、まったくかからないわけではありません。
投資資金を投資口座に振り込む際の「振込手数料」、投資口座から自分の口座に資金を引き出す際の「出金手数料」がありますし、SBIソーシャルレンディングなど、まれに口座管理手数料が必要となる事業者もあります。
たとえ数百円の手数料でも、長い目で見れば投資のリターンに大きく影響します。
投資する際は、こうした手数料面も比較したうえで、自分にとって使いやすくお得な事業者を選ぶようにしましょう。
④投資先の情報が不透明
ソーシャルレンディングでは、投資先企業については匿名性となっています。
投資先(資金の借り手)保護を目的とした貸金業法がからんでいるためです。
投資先企業の名前がわからないということは、企業の健全性や安定度、資金の流れといった情報が不透明になるということです。
匿名性については、今後廃止する可能性が出てきましたが、現段階ではまだどうなるかわかりません。
投資する際は、投資先企業の選定をする事業者選び、案件選びをしっかりすること、複数の案件を組み合わせて分散投資することが大切です。
【2019年3月19日更新】:匿名性の解除が発表されました。
⑤運営事業者が若い
ソーシャルレンディングという業界自体が新しいため、事業者自体がまだ若い成長企業であり、業務管理態勢や財務状況に対する不安があります。
また、ソーシャルレンディングには証券会社や銀行のような投資家(預金者)保護制度(金融機関が破綻した場合、投資家の預かり資産が1000万円を上限に保証される制度)もありません。
万一事業者が破綻すれば、投資資金をすべて失うリスクがあります。
投資する際は、財務状況を公開しており安定して成長している事業者を選ぶことと、1社に集中するのではなく複数選んで分散投資することが大切です。
⑥分散投資でも投資先が重複する可能性がある
ソーシャルレンディングでは分散投資がいかに大切かをお伝えしてきましたが、複数の事業者や案件に分散投資する際は注意点があります。
それは、投資先が匿名のため、同じテーマの案件を選ぶと投資先が知らず知らずのうちに重複する(つまり同じ企業に投資している)可能性があることです。
分散投資の際は、案件をばらけさせたり、融資先の企業名のアルファベットを公開している事業者を使ったりして、「分散投資のつもりが投資先が重複していた」というリスクに気をつけましょう。
⑦分散投資の口座管理に手間がかかる
分散投資する場合、事業者ごとの口座を開設し、それぞれに案件を抱えて管理しなければなりません。
運用の最中にしなければいけないことは特にないのですが、複数の口座をひとつひとつ確認しなければいけないのは面倒です。
分散投資の際は、複数の金融機関の口座を一元管理できるマネーフォワードMEがおすすめです。
マネーフォワードMEであれば、主要なソーシャルレンディング事業者(maneoやクラウドバンクなど)はほぼ連携することができます。
そのため、連携した事業者の口座情報を一覧で見ることができます。
「今、トータルでいくら貸し付けていたっけ?」と思ったときにさっと確認できるので、登録しておくと便利ですよ。
ソーシャルレンディングのメリットもおさらいしておこう
ソーシャルレンディングは、注意点を知らなければ危ない点もありますが、そのうえで魅力的なメリットもあります。
- ミドルリスクなのに高い利回りが得られる
- 投資した後は満期を待つだけなので、手間や時間がかからない
- 1万円から気軽に投資できる
- 値動きを気にする精神的負担が少ない
- 初心者でも簡単にできる
初心者でも試しやすい気軽さと手間がかからない簡単さが、ソーシャルレンディングの特徴であり、大きなメリットでもあります。
最初に適切なリスク対策(事業者や案件選び、分散投資など)を取る必要はありますが、投資を開始したあとにすることは口座をたまにチェックするくらいです。
毎日のように日経平均や世界情勢をチェックして情報を仕入れたり、相場を読んだりといった手間やテクニックは必要ありません!
ソーシャルレンディングでの投資を考える際は、これらのメリットと、先にお伝えした注意点を踏まえて検討することが大切です。
まとめ
ソーシャルレンディングが危ないといわれる背景と理由、本当に注意すべき点とその対策方法、そして振り返っておきたいメリットについて解説しました。
ひとつひとつきちんと理解していけば、なんとなく感じていた危なさ、怪しさは薄くなったのではないでしょうか?
繰り返しますが、ソーシャルレンディングでもほかの投資でも、何も知らずに投資することこそがもっとも危ない行為です。
どんな投資をするにしても、必ず注意点と対処法について理解しておき、メリットと合わせて自分に適した投資法を選択することが大切なのです。