目次
貯金ではなく資産を運用しよう
生活費に対する悩みがない人は、まずいないでしょう。
自分が働けなくなったときや退職後の生活費を考えると、不安な気持ちを抱える人は多いはずです。
そのために多くの人が貯金を行います。
貯金が将来の生活の保証になり、安心して生活できると考えるからです。
しかし、必ずしも貯金は将来への万全な保証になるとは限りません。
なぜなら、基本的に物価は上昇するからです。
いま手元に1,000万円を持っていたとしても、貯金しているだけでは10年後、20年後に相対的な貨幣の価値は大きく下がってしまうことがあります。
例えば、30年前は缶ジュースは1本あたり100円で買えましたが、いまは150円です。
同じ1,000万円でも買うことができる本数は減っています。
将来を盤石なものにするには、物価の上昇に伴って現金などの資産価値を高めていくことを考えましょう。
では、現金などの資産価値を高めるには何をすれば良いのでしょうか?
ズバリ、資産運用です。
資産運用を行えば、市況や経済環境の変化に伴って現金や資産を増やすことが可能です。
そこで、1,000万円の貯金を持つ方が、現状でどのように資産運用をしていくべきかについて解説します。
具体的な投資手法や資産運用のシミュレーションを紹介していきます。
1,000万円を運用する前に目的を考えよう
1,000万円と言えば、平均的な収入の方にとってはかなりの大金でしょう。
コツコツと貯めた1,000万円、できるならば失いたくないはずです。
そこで、運用元本の1,000万円を失うことなく、しかもお金を増やすことを念頭に置いて資産運用に臨みましょう。
まずは、10年後までに現金をどれくらい増やすのか、そして20年後までに資産をどれくらい築くのか目標を定めましょう。
無理のない目標を定めれば、リスクが高い投資に手を出す必要はありません。
逆に、資産運用してもまったくお金が増えていない場合、別の投資手法を模索したり、収入そのもの増やしたりするなどの対策を取る必要があることがわかります。
そのため、資産運用を始める前に、何のために現金を増やしたいのか、そして現金をどれくらい持ちたいのか、あらかじめ目的と目標を決めておく必要があるのです。
ローリスク・ローリターンを狙いたい人向けの考え方
投資における「リスク」と「リターン」は、大抵の場合には比例関係にあります。
100万円を投資して、年間1万円、つまり「利回り1パーセント」の資産運用であれば、さほどリスクは大きくありません。
1万円得することもあれば1万円を失うこともありますが、リスクの度合いはさほど高いものではありません。
基本的に、サラリーマンを定年まで勤め上げる予定の方は、リスクを取らずにローリスク・ローリターンの投資手法を選ぶことをおすすめします。
元々一定の収入があるため、稼ぎを資産運用に依存する必要がないからです。
そのため、インカムゲイン目的の投資が向いています。
インカムゲインとは、一定の収入を毎月得る投資手法です。
例えば、不動産投資の家賃収入や投資信託の分配金が該当します。
インカムゲインでは、売買を通じて利益を得るのではなく、所有する資産を貸出して対価を得ます。
権利を渡す代わりに対価を得るため、作業がそれほど発生しないことがメリットです。
会社員は一定の収入があるわけですから、リスクを取って無理に資産を運用する必要はありません。
現在の収入に数万円の副収入を毎月上乗せするだけでも、目的を達成できるはずです。
ハイリスク・ハイリターンを狙いたい人向けの考え方
積極的に資産を増やし、近いうちにサラリーマンをリタイアしたい方は、リスクを取る投資手法を検討しましょう。
その場合は、「キャピタルゲイン」目的の投資手法を選ぶべきです。
キャピタルゲインとは、売買によって利益を得る投資手法です。
株式投資やFX、先物取引などが該当します。
相場の変動を利用することによって利益を狙うため、安定した利益は保証されません。
売買を成功させるには知識・経験・相場感などが必要不可欠です。
それでも、誰しもが必ずしも成功できるわけでありません。
一流と言われる株式やFXのトレーダーでも、毎年安定した成績を収めることは難しいと言われています。
一般的にハイリスク・ハイリターン狙いの投資家は成功後、手にした利益をインカムゲインが得られる不動産などの購入費に充てるケースが目立ちます。
インカムゲインが期待できる資産を得るために、先にキャピタルゲインで大きな利益を狙うという投資方針は堅実だと言えるでしょう。
積極的に取引を行いたいか・不労所得を増やしたいか
「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2つの投資手法について考えてみましょう。
キャピタルゲインは積極的な取引に重きを置き、一方のインカムゲインは不労所得を増やすことを目的とした投資の方法です。
目指す方向性としてどちらが向いているのか、自分の性格や生活習慣に合わせて考えましょう。
キャピタルゲインは、相場が動いている間、常に監視しておく必要があります。
株式は日中の間ずっと株価が動いていますし、FXに至っては月曜日から金曜日の深夜まで24時間動き続けています。
相場の監視ができる環境の人でなければ、安定した利益を得るのは難しいでしょう。
一方で、インカムゲインのデメリットに利回りの低さがあります。
例えば1,000万円を不動産投資で運用する場合、不動産投資の利回りは5パーセント前後が一般的ですので、年間収入は50万円にしかなりません。
しかし、FXで1,000万円をレバレッジ10倍で投資した場合、どのような結果がもたらされるでしょうか?
1,000万円×レバレッジ10倍は、なんと1億円相当の通貨ペアを保有できます。
2019年10月現在はドル円が110円弱ですので、90万ドルほどのドル円ポジションを持つことができます。
相場が1円思惑通りに動けば、一瞬で90万円の利益を得ることができるわけです。
インカムゲイン投資に比べ、キャピタルゲイン投資ではわずか1日、1時間の取引だけで莫大な利益を得ることができるのです。
ただし、同時に損失を発生させる可能性も大いにはらんでいます。
どちらが目指そうとする資産運用に近いのか、よく考えてから選びましょう。
一つの対象への集中投資は避ける
資産運用でもう一つ重要なことがあります。
それは、一つの投資手法への集中投資を避けることです。
資産運用で資産を失わないためには、さまざまな投資手法・投資対象に資産を分散して投資することが重要です。
例を挙げましょう。
A社の評判が良いという理由で、1,000万円分の株式を購入したとします。
ところが、A社の株式が暴落した場合、あなたは一度に資産を失ってしまうかもしれません。
しかし、A・B・Cの3社の株式に分散していたとしましょう。
そうすれば、A社の株式が下がったとしても、B社の株式がそのままでC社が値上がりしていれば、トータルで資産を失わずに済むのです。
1,000万円は、普通の収入の人が5年、10年、15年もかけてようやく貯められる金額です。
大切な資産を一度に失わないためにも、慎重な分散投資を心がけましょう。
資産運用で失敗しないために知っておくべき分散投資の鉄則
では、1,000万円もの大金を効果的に分散投資していくためには、どのような点に気をつけておけば良いのでしょうか?
3つのポイントに分けて解説します。
鉄則①:投資する国を分散する
投資する「国」を分散すれば、国の事情による「カントリーリスク」を避けられます。
日本の経済が沈んだとき、日本の投資商品だけを持っていると大きく資産が減少します。
鉄則②:時期を分散する
投資の「タイミング」も分散しましょう。
通貨などは、投資タイミングをずらすことで、保有する通貨相場を平均化できます。
1ドル90円、1ドル100円、1ドル110円の時にそれぞれ同じ量だけ通過を持てば、平均保有ポジションを1ドル100円に平均化できます。
そのため、相場変動のリスクを避けられます。
鉄則③:投資対象を分散する
投資する「対象」も分散しましょう。
株式などの場合、購入する業界を分散すれば損失を限定できます。
不動産業界の株が下落しても、食品業界は影響はないので株価は下がりにくいです。
このように、相場の下落に相関性のない資産を持つことが理想です。
1,000万円を5つの手法に分散して運用しよう
投資手法の組み合わせることは、リスク分散につなががります。
キャピタルゲインは収入が安定しませんし、インカムゲインは元手となるお金がないと保有できません。
そこで、キャピタルゲインの投資でお金を稼ぎ、そのお金を使って不動産などインカムゲインを稼げる資産を保有する方法を取ると良いでしょう。
安定した収入を確保しやすくなりますし、収入が途絶えたり資産が減ったりするリスクを軽減できます。
では、次の5つの投資手法で分散して運用するケースを考えてみましょう。
- ソーシャルレンディング
- 投資信託
- iDeCo
- 株式投資
- REIT
運用方法①:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、事業資金を必要とする会社と少額で投資したい個人をインターネット上結びつける投資手法です。
ソーシャルレンディング会社は、事業資金を必要とする会社を探します。
そして、貸出期間や金利などの条件面を交渉し、投資案件を組成します。
投資家は、案件の利回りなどのリターンを確認してから小口での投資を行います。
利回りは平均して5パーセントから10パーセントと、他の投資方法に比べてかなり高い水準です。
もちろん、利回りが高い投資案件はリスクが高く、反対に利回りが低い投資案件は担保が手厚いなどリスクが低くなっています。
ソーシャルレンディングは運用期間中にほとんど手間がかからないため、サラリーマンの副業に向いています。
始めやすい投資であるため、ここでは1,000万円のうち300万円をソーシャルレンディングに投資してみましょう。
運用方法②:投資信託
投資信託は他社に資産の運用を任せる投資手法であり、投資対象は国内外の株式や通貨です。
運用する会社に資金を振込むと、運用会社は資金をもとに株式や通貨の取引を行います。
投資信託の平均的な利回りは3パーセントから5パーセントほどです。
新興国の投資信託であればリスクは大きいですが、10パーセントほどの高い利回りを期待できます。
投資信託も、ソーシャルレンディングと同じように運用の手間がかかりません。
ただし、運用手数料などのコストがやや割高です。
今回は、この投資信託に200万円を分散して投資するケースを考えてみます。
運用方法③:iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、個人年金を積み立てていく投資手法です。
国が定めた投資信託などの投資対象に一定額の金額を毎月投資します。
資産運用で得られた利益と積立資金は非課税です。
投資信託の種類は多く、利回りは3パーセントから5パーセントほどです。
ただし、年金なので60歳までは現金を引出せないというデメリットがあります。
また、個人事業主であれば、iDeCoの投資枠は年間80万円ほどありますが、会社員の場合年間30万円ほどです。
今回は、このiDeCoに100万円を分散して投資することを考えてみましょう。
運用方法④:株式投資
今回おすすめしている資産運用の方法は、基本的には「インカムゲイン型」の投資手法です。
しかし、「インカムゲイン型の投資手法だけでは十分に利益が得られない」と不満に思う人もいるかもしれません。
そこで、一定の資金を株式に投入することを考えましょう。
株式投資では「配当金」や「株主優待」といった「インカムゲイン」が得られますし、購入した株式の値上がりによって「キャピタルゲイン」が得られます。
株式投資の配当金の利回りは、東証一部上場企業で平均して2パーセントほどであることが多いです。
換金性が高い株主優待を提供している会社であれば、換金して利回り3パーセントから4パーセントほどでしょう。
ただし、会社の業績悪化によって配当金がなくなったり、株主優待がなくなったりすることもあります。
今回は、株式には200万円分散投資し、無理せず年間利回り5パーセントを狙います。
運用方法⑤:REIT(不動産投資信託)
REITは、不動産運用会社が販売する不動産を対象とした投資信託です。
複数の不動産を不動産運用会社が購入し、一つの投資信託として証券市場売買します。
REITでは、年利3パーセントから4パーセント前後の不動産運用益の配当と、証券取引市場での価格変動による売買益を狙うことができます。
つまり、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の両方が狙える運用方法です。
今回は、このREITには200万円を分散して投資してみましょう。
5つに分散投資した場合のシミュレーション
5つの投資手法で運用した場合のシミュレーションは次のようになります。
投資方法 | ソーシャルレンディング | 投資信託 | 株 | iDeCo | REIT | 年間利益 |
利回り | 7% | 4% | 5% | 4% | 3% | |
運用金額 | 3,000,000 | 2,000,000 | 2,000,000 | 1,000,000 | 2,000,000 | |
1年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
2年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
3年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
4年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
5年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
6年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
7年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
8年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
9年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
10年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
11年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
12年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
13年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
14年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
15年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
16年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
17年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
18年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
19年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
20年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
合計 | 4,200,000 | 1,600,000 | 2,000,000 | 800,000 | 1,200,000 | 9,800,000 |
1年間の利益は49万円(税引前)、運用利回りは4.9パーセントです。
iDeCoの所得税控除効果があるので、税金を大きく取られることはないでしょう。
ここに挙げた5つの投資手法を用いることで、不動産、海外通貨、国内外の株などさまざまな分野に分散投資しています。
さらに利益を増やすために、運用益を複利投資してみたとき(iDeCo以外)をシミュレーションしてみましょう。
投資方法 | ソーシャルレンディング | 投資信託 | 株 | iDeCo | REIT | 年間利益 |
利回り | 7% | 4% | 5% | 4% | 3% | |
運用金額 | 3,000,000 | 2,000,000 | 2,000,000 | 1,000,000 | 2,000,000 | |
1年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
2年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
3年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
4年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
5年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
6年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
7年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
8年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
9年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
10年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
11年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
12年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
13年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
14年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
15年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
16年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
17年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
18年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
19年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
20年後 | 210,000 | 80,000 | 100,000 | 40,000 | 60,000 | 490,000 |
合計 | 4,200,000 | 1,600,000 | 2,000,000 | 800,000 | 1,200,000 | 9,800,000 |
なんと、運用の結果20年間で1,700万円もの運用益を出すことができます。
20年目には130万円もの運用益が出ています。
利益全てを複利運用に回さなくても、半分複利運用に回すだけで、かなり利回りを上げられます。
複利運用も積極的に検討しましょう。
1,000万円の資金があるからこそできる運用方法
1,000万円というまとまった金額があるからこそ可能な資産運用もあります。
ここでは、1,000万円を思わず投入してみたくなるような資産運用の方法について解説していきましょう。
運用方法①:不動産投資
1,000万円のようなまとまった現金が必要な投資手法と言えば不動産投資です。
不動産投資はマンションやアパートを購入し、賃貸に出して家賃収入を得る投資手法です。
物件を購入するためには安いものでも数百万円、高いものになれば数千万円、場合によっては1億円以上の物件もあります。
仮に1,000万円を持っていたとしても、不動産を現金で買えないかもしれません。
しかし、自己資金として1,000万円を用意できれば、金融機関から融資を受けることができます。
1,000万円の自己資金を保有する年収500万円から600万円ほどの人であれば、3,000万円から4,000万円前後の融資を受けることは難しくありません。
資金を合算すれば、4,000万円から5,000万円の不動産を購入できることになります。
利回りはリスクが低い都心のマンションであれば4パーセントから5パーセントほど、ややリスクを取って木造の中古アパートであれば5パーセントから8パーセントほどです。
地方の戸建て物件やアパートの場合は10パーセント以上の高い利回りが得られますが、空室に伴うリスクも高いです。
運用方法②:ヘッジファンド
続いて紹介する資産運用方法は、ヘッジファンドへの投資です。
ヘッジファンドはまとまった資金を投資家から預かり、資産運用のプロたちが運用を代行して利益を出す投資手法です。
投資信託をさらに専門的にしたものです。
最低投資額が数百万円からのヘッジファンドが多いため、相当な額の資金が必要である点が多くの人にとってネックとなります。
その代わり、10パーセント以上の利回りを期待できるヘッジファンドは少なくありません。
ヘッジファンドは一般に情報を公開したものだけではなく、投資家間の紹介などクローズドで運用されているものが多いです。
運用方法③:FX投資(スワップ)
リスクを取っても良いのであれば、スワップ金利目当てのFXの投資を検討しましょう。
スワップ金利とは、通貨間の金利差を利用した投資手法です。
2019年現在の日本はマイナス金利が導入され、政策金利はほぼ0パーセントです。
しかし、米ドルは政策金利が2パーセントですので、ドル円ペアを持っているだけで年間2パーセントの金利収入があります。
FXの特徴として、レバレッジをかけた投資ができることです。
2倍、3倍とレバレッジをかければ、元々2パーセントの金利が年利4パーセントから6パーセントに上がります。
その代わり、相場が下落もしくは上昇時の変動幅や損失額も大きくなります。
安定した利益を出すには、相場が安いときにポジションを所有することが重要です。
また、新興国の通貨であればレバレッジをかけなくても5パーセントや6パーセントの金利になることもあります。
もちろん、相場の変動が激しいためリスクが大きくなります。
通常のレバレッジは3倍ほど、どんなにかけても5倍ほどに留めておきましょう。
リスク・リターンのバランスが良い運用方法は「ソーシャルレンディング」
ここまで、1,000万円の資産運用方法について紹介してきました。
資産運用の際は、基本的に複数の投資手法に分散して投資するべきですが、中でもおすすめできる手法はソーシャルレンディングです。
まだ日本ではあまり知られていない投資方法なので、そのメリットを解説していきますね。
特徴①:運用の手間がかからない
ソーシャルレンディングは投資案件を選んだ後、投資家は何もすることがありません。
相場の監視などの手間も、精神的な負担もかけることもなく投資することができます。
また、収益は事業者への貸付金利から分配されるため、収入額が最初から決まっています。
2019年現在、投資先の業界はさほど多くはなく、不動産案件、太陽光案件、事業用資金の融資案件などが中心です。
投資後は得にすることはありませんが、投資前には案件のリスクの評価は必要です。
投資の分野、保証や担保の内容、運用するソーシャルレンディング会社、融資先の会社の信用は確認する必要があります。
特徴②:利回りが5%~10%と高い
ソーシャルレンディングの大きなメリットの一つは、利回りが高いことです。
これまで紹介してきた「インカムゲイン」の投資手法には、次のような特徴があります。
- 投資信託は最大でも5%程度
- 株式の配当金は2%程度
- FXはレバレッジをかければ10%以上
レバレッジをかけると利回りは高くなりますが、相場変動のリスクが大きくなります。
しかし、ソーシャルレンディングは相場の変動の影響を受けず利回りは安定しています。
また、ソーシャルレンディング会社によっては、利回り10パーセント以上の高利回りの案件もあります。
投資する以上、得られるリターンの大きさが重要だという人もいるでしょう。
不動産投資でも利回りが高い物件はありますが、購入するためには数百万円の資金が必要です。
また、すべての部屋が空室になれば、収入はゼロになってしまいます。
そういった意味で、収入の高さと安定度においてソーシャルレンディングには投資する大きなメリットがあるのです。
特徴③:保全性のある投資先を選びやすい
ソーシャルレンディングを運営する事業者には、2017年・2018年において行政処分などの問題を発生させたところがあります。
しかし、今はそのような問題が解決しつつあります。
2017年から2018年にかけて行政処分を受ける会社が続発したことを受け、2019年に金融庁が新たなる指導方針を定めました。
さらに、各ソーシャルレンディング会社への監視調査を行いました。
その結果、2019年に入ってから大きな問題は起こっていません。
現在ソーシャルレンディングを運営しているのは、金融庁の厳しいチェックを通抜けた信頼できる会社が中心です。
また、金融庁の指導方針の変更に伴い、以前は公開されていなかった融資先の情報を開示するソーシャルレンディング会社が増えており、さまざまな情報を投資家が得られるようになりました。
新しい投資手法は、仮想通貨のように何かと問題が発生しがちです。
しかし、ソーシャルレンディングはそのような問題が多発した時期をすでに乗越えつつあります。
健全な投資手法として、ソーシャルレンディングは多くの人に認められつつあるのです。
また、運用会社や融資先企業の健全化が果たされたことにより、条件面においても保全性のある投資先を選びやすくなっているのです。
特徴④:運用期間が短期から長期まで選べる
ソーシャルレンディングの案件では、いずれも最初から運用期間が定められています。
投資期間は投資資金を拘束されるという不便さこそありますが、運用期間中は配当金が入ってきて収入が安定します。
ただ、2年や3年といった長期の案件の場合、長期間にわたって資金が拘束されるため、市況が悪化して運用に影響が出たり他の有利な投資手法に資金を乗換えたくなったりすることがあるでしょう。
そのため、3ヶ月や6ヶ月といった短期間の運用案件を選ぶことも重要です。
状況を見ながら投資先を変えたい人は短期の案件を中心に投資し、作業に時間を費やすことなく毎月の配当金を楽しみにしたい人は長期の案件を選ぶと良いでしょう。
このように、投資スタイルに合わせて運用期間を選べることもソーシャルレンディングのメリットです。
なお、ソーシャルレンディングについてはこちらでさらに詳しく解説しています。
概要についてまだ詳しくない方は、一度目を通しておいた方が良いでしょう。
まとめ
1,000万円を資産運用する際の注意点と、おすすめの投資方法について解説しました。
ソーシャルレンディングは、手間をかけずに高い配当を安定して受取ることのできるインカムゲインの投資手法です。
1,000万円全てをソーシャルレンディングに投資するわけにはいきませんが、1,000万円のうち1/3ほどの資金を投入しても良いでしょう。
もちろん、他の投資手法にも数多くのメリットがあります。
記事内でお伝えしているように、資産を守るためには何よりも分散投資が必須です。
一方で、むやみやたらに分散投資をすれば良いわけではありません。
投資対象のことを良く研究しなければ、リスクの高い投資対象を選んでしまうこともあります。
まずは、さまざまな投資対象のセミナーや講座に参加して、投資手法、投資対象、融資先などをじっくりと研究しましょう。
そうすれば投資で損失を出すリスクを減らしていくことができますよ。