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アメリカンファンディングの評判
出典:アメリカンファンディング
maneoファミリーの事業者「アメリカンファンディング」の評判について解説していきます。
アメリカンファンディングは、アメリカの不動産投資案件に特化したソーシャルレンディング事業者で、今までの成立ローン総額は約26億円です。
同じくmaneoファミリーの事業者で、アメリカの不動産投資案件に特化した「ガイアファンディング」がありますが、ガイア社の成立ローン総額は約93億円(大規模遅延中ですが)。
アメリカンファンディングのローン総額の3倍以上あります。
ガイアファンディングやその他のソーシャルレンディング事業者の存在もあり、実績が少ないアメリカンファンディングは正直、地味で目立ちにくい存在です。
ただ、以前のアメリカンファンディングは地味ながらも、次の特徴があり、決して評判は悪くはありませんでした。
- ほぼ全件に不動産担保が付いていること
- 過度なキャンペーンや広告は特になく地道に投資家を集めていたこと
- 1回の募集総額は小さいが逆に堅実性を感じさせること
- 事業者が為替リスクを負担する円建てのファンドの募集が多いこと
実際、遅延も貸し倒れもゼロで、派手さはないけど堅実な印象がありました。
と、ここまで「過去形」で話してきたのには理由があります。
実は、地道に事業継続してきたアメリカンファンディングにおいて、ついに2019年4月に遅延が発生しました。
maneoファミリー、やはり……と言うべきでしょうか。
アメリカンファンディングの遅延内容
先ほどお伝えしたとおり、以前のアメリカンファンディングの評判は悪くなかったと思います。
事実、2016年にサービスを開始したアメリカンファンディングでは、2019年4月まで遅延も貸し倒れもありませんでした。
事の発端は2019年3月、サイト上でファンドキャンセルのお知らせが掲載されたことです。
▼以下引用▼
弊社で募集、運用を行っておりますテキサス州の案件につきまして、貸付先事業者より委託をしております建築工事業者による工事の進捗状況が芳しくなく、物件により工事作業が当初の建築スケジュールに比べて大幅に遅延していることが判明いたしましたため、
同一業者による案件の募集をキャンセルとさせていただき、現在、状況確認を進めております。
このお知らせを見て、不穏な空気を感じ取った投資家は多かったことでしょう。
「工事の進捗状況が良くないって……。ガイアファンディングの二の舞になるのでは!?」
そして、2019年4月、その予感は的中しました。
2019年3月にファンドキャンセルとなったテキサス州の複数案件において、遅延が発生したのです。
▼以下引用▼
本案件を含む当社が運用しておりますテキサス州の複数案件につき、貸付先事業者が委託している建築工事業者の工事作業が当初のスケジュールに比べて大幅に遅延していることが判明いたしました。貸付先事業者からは、調査の結果、今後の進捗を引き続き委ねることは危険が伴う状況であると判断し、別の業者への委託に切り替えて工事を進めることにしたとの報告を受けました。
また、「1.融資案件の概要」の案件につきましては期間延長のための再募集を計画しておりましたが、maneoマーケット社との協議により、上記の状況を前提としての再募集は適切ではないとの判断に至りました。その結果、元金の最終返済期日を迎えるにあたり返済資金の確保がしきれず延滞に至りました。
遅延のお知らせを要約すると、次のようになるでしょう。
- 貸付先事業者の委託先工事業者のスケジュールが大幅に遅延
- 委託先変更
- 結果的に遅延
- アメリカンファンディングとしてはリファイナンス(再募集)したいがmaneoはリファイナンス禁止
- 遅延しました
「リファイナンス(※)したいけど、maneo(マネオ)が厳しいから」とでも言うようなアメリカンファンディング側の切々とした訴えがにじみ出てきています。
(※)「リファイナンス」とは、「借り換え」とも呼ばれる融資の専門用語です。ソーシャルレンディングにおいては、あるファンドの返済をするために別のファンドを組成して資金を再調達することを指します。
maneo(マネオ)が2018年7月に行政処分を受けて以降、各ファミリーへのリファイナンスを禁止したことが引き金となり、多くの事業者で遅延が発生することになってしまいました。
そんな中でも、アメリカンファンディングは順調に運営していると思っていたのですが、やはりという結果になってしまいました。
アメリカンファンディングは新規募集停止
かつては評判の悪くなかったアメリカンファンディング。
maneo(マネオ)のリファイナンス禁止のため、一転遅延を発生させることになりました。
そして、遅延発生から1ヶ月も経たないうちに、maneo側からアメリカンファンディングの新規案件募集停止が発表されたのです。
出典:【新規募集終了に係るお知らせ】(2019年4月16日)
▼以下引用▼
“当社は、アメリカンファンディング株式会社との間で業務提携合意書を締結し、当該契約に基づきシステムの提供及びファンドの募集・私募の取扱いを行ってまいりましたが、当該契約に基づく新規のファンド募集・私募の取扱いにつきまして、同社との協議により終了することと致しました。”
遅延発生のお知らせがあってから2週間、かなり早い幕引きとなってしまいました。
2019年5月現在、大規模な遅延を起こしている「ガイアファンディング」もそうですが、アメリカンファンディングもソーシャルレンディング業界では数少ない海外投資専門事業者だったため、投資かとしてはとても残念です。
ただ、アメリカンファンディングで現在遅延中のテキサス州の案件についてはそれほど悪質性を感じませんし、他のソーシャルレンディング事業者であるような「代表者と連絡がつかない」「事業者とmaneoの協議が長引きすぎて決着がつかない」といったこともありません。
募集終了はとても残念ですが、遅延中の案件回収見込みはまだ持てるのではないでしょうか。
2019年現在のアメリカンファンディングの評判
新規募集停止でサービス終了のアメリカンファンディングですが、現在の評判はどうなっているのでしょうか。
遅延と未返済の状況
アメリカンファンディングの遅延や未返済資金の総額は約4億1000万円です。
- 未返済案件:99件(未返済額は3億0328万円)
- 遅延中案件:4件(遅延総額は1億0740万2876円)
※2019年5月現在の情報です
未返済案件は、アメリカンファンディングの定番ファンドであるカリフォルニア州の複数案件などです。
ただ、こちらに関しては今のところ問題なく運用しているようで、工事が遅延しているなどといったお知らせもありません。
遅延中案件は、先ほどお伝えしたとおりテキサス州の複数案件です。
遅延の理由は、
- 委託業者の変更などプロジェクトの計画進行に遅れが生じたこと
- リファイナンス禁止で資金再調達がうまくできなくなったこと
があります。
遅延に関しても悪質性を感じることはなく、詐欺まがいな点は特に見当たりません。
もちろん、現時点で怪しい情報がないだけなので油断はできませんし、遅延中の被害を被っている投資家にとっては許せない事態だと思います。
しかし、他のmaneoファミリーの状況があまりにもひどいので、比べるとずいぶんマシというか、穏便な状況に思えてきます。
遅延中maneoファミリーの状況
アメリカンファンディング以外で、他のmaneoファミリーの遅延状況についても触れておきましょう。
①ガイアファンディング
出典:ガイアファンディング
遅延総額40億円以上。
ほぼ全案件で遅延発生。
「ガイア社とmaneoの間で利息の支払方法に認識の食い違いがあった」⇒「maneoがガイアファンディングに対し訴訟を起こす」
②グリーンインフラレンディング
遅延総額は100億円以上。
グリーンインフラレンディング(グリフラ)から親会社へ資金の不正流用があり、募集時の説明に虚偽があったとされている(親会社は資金の不正流用を否定)。
そのため、投資家集団がグリーンインフラレンディングやmaneo(マネオ)に対し訴訟を起こす。
③クラウドリース
出典:クラウドリース
遅延総額50億円以上。
社長は遅延騒動を弁護士に丸投げして退散。
投資家への支払を全件停止中。
2019年5月現在のmaneoファミリーの状況は深刻
他のmaneoファミリー事業者の状況はとても深刻で、まずmaneoと事業者の間で連携が全く取れていないといった大きな問題があります。
アメリカンファンディングおよびmaneo(マネオ)の報告を見ていると、リファイナンス禁止で両社の折り合いが合わなかったこと以外に、深刻な問題がある様子はありません。
プロジェクトの進行さえこのままうまくいけば、未返済案件も遅延中案件の資金も無事回収できるのではないかと考えられます。
というか、そう思いたいところです。
アメリカンファンディングは、他に遅延を起こしているソーシャルレンディング事業者と違い、悪質性を感じないこと、遅延理由に不明瞭な点がないことから、以前と比べて大きく評判が下がっているということはなさそうです。
今回の遅延で評判がより悪くなったことは、むしろどんどん締め付けを強化してファミリーを切り捨てているように見えるmaneo(マネオ)ではないでしょうか?
ただ、maneoとしても行政処分を受けた手前、慎重にならざるを得ないのはわかります。
maneoは瀧本社長退任により、現在安達新社長の元で態勢を立て直しています
アメリカンファンディングの遅延問題は残念ですが、早く態勢を立て直し、アメリカンファンディングを含む他の遅延事業者の問題を解決してほしいところです。
まとめ
アメリカンファンディングの評判や遅延、新規募集停止の内容について解説してきました。
ポイントは次の4点です。
- アメリカンファンディングはアメリカの不動産投資専門事業者で、遅延前も遅延後も評判はそこまで悪くない
- 遅延総額は約1億円、未返済案件は約3億円
- 遅延発生は委託先工事事業者の遅れとリファイナンス禁止によるもの
- 遅延発生後は新規募集停止(サービス停止)しているが、まだ資金回収の見込みはありそう
アメリカンファンディングを始めとする「maneoファミリー」の一連のトラブルを受け、ソーシャルレンディングの事業者選びは今まで以上に慎重に行う必要が出てきました。
ソーシャルレンディングは元本保証がなく、投資は自己責任です。
当記事や複数のブログなどで情報を得ながら、投資家個人でしっかりと事業者リスクを見極めて判断することが大切です!
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