国内第1位のソーシャルレンディング事業者であるmaneoマーケット。
しかしながら、昨年2018年には財務局からの指導を受け、業務改善報告を行っています。
そのmaneoマーケットは、昨年2018年から複数の返済遅延案件を発生させており、その規模は数十億円にも上っているのです。
しかし、2019年5月16日(木)、ようやくその中の1件に対し、資金の全額回収することに成功したという報告が投資家に行われました。
なぜ回収が可能であったのか、どのような案件だったのかを確認していきましょう。
目次
maneo(マネオ)で遅延が起きていた案件の概要
まず確認しておきたいのは、maneo(マネオ)で返済遅延が起きていた案件です。
出典:マネオ
- ファンド名:【不動産担保付き】1,200億円突破記念ローンファンド【第3弾】1号~70号(案件1:C社、案件2:AN社)
- 案件名:【事業者C社向け】東京都千代田区エリア不動産担保付きローンへの投資(第1次~第70次募集)
- 貸付実行日:2018年5月15日、18日、24日、31日、6月8日
- 融資金額:1,599,983,479円
以下、引用です。
2018年5月に事業者C社が不動産事業者DMに対して16億円の仕入資金融資を行うため、「maneo」では1,599,983,479円のファンド募集をし、そのファンド募集資金を事業者C社に融資いたしました。
不動産事業者DMは、対象不動産の売却による返済を想定しておりましたが、当初計画通りの売却に至りませんでした。
本件融資期間中、対象不動産の隣接地を他の不動産事業者が購入したことを契機とし、不動産事業者DMは隣地所有者と共同し、対象不動産及び隣接地を一体として売却する方針へ変更しましたが、売却に伴う調整事項の解消等に時間を要してしまい、期限での返済が履行できませんでした。
現在、不動産事業者DMは売却予定先との売買契約を締結済みであり、売買契約に伴う手付金を受領済みです。
3月下旬までを目途に最終の残金決済が行われる予定です。
引用終わり。
不動産を購入し、転売を狙っていたDM社の売却が融資期間の締めに間に合わず、返済を滞納。
そして、不動産を売却して資金を回収するという内容になっていました。
この時点で売買契約は、手付金を受け取って締結済み。
返済は遅れるものの、特に大きな問題にはなっていないというのがmaneoの見解でした。
maneo(マネオ)で遅延が起きていた案件の回収内訳
では、実際にどの程度のmaneo(マネオ)が資金を回収できたのかについても確認してみましょう。
出典:マネオ
不動産の売却により、16億1300万円の回収に成功しています。
ただし、その中からは「営業者報酬」として、maneoマーケットが425万円ほど利益を得ています。
また、遅延損害金として1,090万円が投資家の利益になっています。
投資家の視点からすれば、maneoマーケットが営業者報酬を受け取ることに納得がいかない人も多いのではないでしょうか?
確かに満額の回収に成功したことは評価できます。
しかし、現時点ではそれもこの案件のみであり、他にも返済遅延に入っている案件で返済が行われていないものは数多くあります。
なぜmaneo(マネオ)は返済遅延に陥ったのか
では、なぜmaneo(マネオ)はこのような返済が遅延する事態に陥ってしまったのでしょうか?
まず、返済遅延が起こること自体は不思議なことではありません。
特に、今回の案件については、初めから不動産の仕入資金の融資です。
資金を必要とした不動産事業者の転売が間に合わなかったことから、このような事態になりました。
それは決して珍しいことではないでしょう。
この1件のみが単独で起きたので、あれば大きな問題にはならなかったはずです。
ただし、maneoマーケットでは2019年5月にも、3件の返済遅延が相次いで発生するなど、ここ数ヶ月毎月のように不動産案件、そして事業者融資案件で返済遅延が数多く発生しています。
これは、maneo(マネオ)の投資スキーム自体に大きな問題があったからと、言わざるを得ない状況です。
例えば、これまで返済が間に合わなかった場合は、リファイナンス案件として再度資金募集を行っていました。
しかし、金融庁の指導でリファイナンスが不可能になったため、このような返済遅延案件として表に出ている状態になっていると推測できます。
maneo(マネオ)は信用できるのか?
今回、maneo(マネオ)投資家の期待に応え、16億円という非常に大きな金額の満額回収に成功したと言えます。
ただし、だからといってmaneoマーケットを無条件に今後も信用して良いのかについて考えてみました。
手付金などが受け取られていない
まず、投資家の視点として非常に気になるのは、2019年1月31日の報告時点で、「2019年3月下旬に売却が行われる予定」とありながら、実際に売却が行われたのが2019年5月だったという点でしょう。
さらに、この時点で手付金を受け取って、売買契約を結んでいるとしています。
不動産売買は、売買契約の時点において手付金として物件価格の10パーセントほどを支払うのが一般的な慣習です。
そして、契約が反故になった場合は、手付金は返済されません。
しかし、この案件に関しては、2019年3月の時点でこの売買契約が反故にされ、結局他の事業者に債権を売却することで16億円の回収に成功しています。
つまり、最初の売買契約の手付金の行方は不明であり、もしくは手付金を受け取っていなかったとも考えられます。
手付金をしっかりと受け取っていれば、16億円の10パーセントの1億6000万円程の収入がmaneoにはあったはずです。
しかし、その1億6000万円を受け取ったという話はありません。
これは、2019年1月31日時点の報告が嘘だったのか、それともmaneoが手付金を受け取ったものの、投資家には渡していないという推測も立ちます。
その点をmaneoに聞いてみても、「投資家については情報公開していない」という相変わらずの姿勢であり、情報開示方針を改善する兆候は一向に見られません。
投資家以外にこの案件が知らされていない
そして、今回の資金回収の連絡ですが、maneoマーケットのホームページ上のお知らせには掲載されていません。
この案件に投資をしていた投資家に対して2019年5月16日(木)のお昼ごろにメールが送られ、メール内のリンクからPDFファイルを確認できるようになっています。
PDFのリンクもとを知っていれば、誰でも閲覧できる状態になっているので、パスワードなどの制限をかけているわけではありません。
それでも、この案件の当事者である投資家以外に詳細を公開しないというのは、情報の公開制限をできるだけ行いたいというmaneo側の意向が透けて見えてきます。
正直なところ、今はインターネット上であっという間に情報が拡散してしまう時代です。
情報の公開先を制限したとしても、その情報が転載される可能性は非常に高いわけです。
下手に制限をかけるよりも、最初から全ての投資家に対して情報公開した方が誠意ある対応でしょう。
まとめ
今回は東京・千代田区内の案件ということもあり、住宅街がほぼないエリア。
また、駅に近い場所に不動産担保を設定していたこともあり、きちんと資金が回収されました。
残念ながら、maneo(マネオ)では金融庁からの情報開示の指導があった後も、投資家に対して詳細な情報を行うような動きは見られません。
限られた情報の中では、「不動産案件は都内中央3区を担保に設定した案件以外は投資しない」という投資家側の自衛が必要になってくるでしょう。
当サイトの公式Twitterアカウントで随時情報を公開しています。
フォローして頂ければ、ソーシャルレンディングの最新情報も見逃しにくくなります。
Facebookページでも、同様に情報を配信しています。
「いいね」して頂けましたら嬉しいです!