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ソーシャルレンディングにおける「失敗」とは
ソーシャルレンディングは元本保証ではないので、投資で失敗することもあります。
ここでの「失敗」とは、事前のリスク対策を怠りやみくもに投資した結果、元本を失うことを指します。
逆に言えば、ソーシャルレンディングでは事前にリスク対策をしっかりとしておけば、ある程度失敗を回避することができるということです。
ソーシャルレンディングでの無益な失敗を防ぐため、投資を始める前にしておくべき対策を6つご紹介します。
ソーシャルレンディングで失敗しないために①:事業者リスクを重視する
ソーシャルレンディングで失敗を防ぐためには、案件を取り扱う「事業者リスク」を重視することが大切です。
2017年から2018年にかけてソーシャルレンディング界でおきた数々の不祥事やトラブルでは、事業者のずさんな資金管理や詐欺まがいの運用が大きな問題になりました。
投資家に大きな損失を与えた
- みんなのクレジット
- ラッキーバンク
- グリーンインフラレンディング
などはすべて、資金の借り手というより運用体制そのものに問題があった事業者です。
問題のある案件への投資を防ぐためには、案件管理に信頼を持てる事業者に投資をするしかないのです。
投資をする際は、
- 案件管理や運用体制はどうなっているのか
- 遅延時の対応はどうなっているのか
- 情報開示の姿勢はどうなっているのか
など、さまざまな点で信頼できる事業者かどうか確認しておきましょう!
過去に遅延や元本割れの発生があったとしても、投資家に対し誠実な説明と迅速な対応をしている事業者であれば信頼を失うことなく営業を続けているはずです。
元本割れはどんなソーシャルレンディング事業者でも起こりえる事態です。
大切なことは、過去の実績ではなく何か起きたときの対処術、対応をどのようにしてきているかという事業者の姿勢を見ることと言えます。
また、事業者によっては、財務状況を公表している場合もあります。
公表されている情報、投資家の口コミなどをつぶさに確認し、投資先事業者の選定は慎重に行いましょう。
ソーシャルレンディングで失敗しないために②:偏った事業者、偏った案件に投資しない
ソーシャルレンディングで初心者がしがちな失敗例として、「分散投資をしているつもりでもできていない」ということがあります。
分散投資は、ただ複数の案件・複数の事業者に分けて投資すれば良いというわけではありません。
資金の借り手は複数の事業者を通して資金を借りている場合も考えられるため、偏った案件に投資していると、気づかずに同じ借り手に投資をしていたという可能性があります。
また、同じソーシャルレンディング事業者のサイトで複数の案件に投資をしていても、事業者そのものの運用体制が悪ければ複数の案件で一気に遅延や元本割れが発生する可能性があります。
分散投資をする際は、できる限り同じ事業者に資金が集中しないように事業者を分散させ、かつ似た案件に偏らないように投資先もうまく分散させるようにしましょう。
2019年3月に、金融庁が匿名化解除を認める発表をし、借り手先企業の企業名など情報を公開する事業者が増えてきました。
公開されている情報を元に、借り手先企業が重複しないように投資の分散先をコントロールすることも、失敗回避をするうえでとても重要です。
【2019年5月】金融庁の「匿名化解除」で融資先情報公開しているソーシャルレンディング会社
ソーシャルレンディングで失敗しないために③:長期案件に気をつける
ソーシャルレンディングで投資を始めると、いざ失敗したとわかったときにできる対策はありません。
投資が始まってから満期がくるまでは、いくら遅延が長引こうが解約をすることはできませんし、資金を途中で引き出すこともできません。
つまり、運用期間が長い長期案件ほど、資金を長期間固定されて何もできない状態が長引くため、大きなリスクになるのです。
株や投資信託であれば、資産価値が下落していても早めに損切りして損失を最小限にしたり相場が再び持ち直すまで資産を保有し、資産価値の回復を目指したりできます。
しかし、ソーシャルレンディングはそもそも相場の変動による値動きがない商品です。
投資したあとに「投資先を失敗した」と思っても、損失をさらに抑える対策は何もなく、ただ満期まで待つしかないのです。
満期まで待つ期間が長ければ長いほど、精神的にも資産的にも大きなダメージを受けます。
ソーシャルレンディングで投資をする際は、1年以上の長期案件は特にリスクが高くなることを意識に、できるだけ短い案件から投資を始めましょう。
ソーシャルレンディングで失敗しないために④:担保付きでも安心しない
ソーシャルレンディングでありがちな失敗例ですが、担保付きだからといって安心し、投資先を安易に決めてはいけません。
担保とは、資金の借り手が返済不能状態になった際に代わりに返済原資とする「何か」を指し、ソーシャルレンディングでは不動産担保が設定されている案件が多いです。
確かに、完全担保なしの案件よりは担保があるほうが万一の際も安心できる部分は大きいです。
しかし、担保不動産の価値がそもそも適正かどうか、返済原資として十分かどうかの保証はありません。
設定されている担保不動産がスムーズに売却できない可能性もあれば、売却価格が想定より下回る可能性もあります。
「全件担保付き」というキャッチフレーズで資金を集めながら、多額の遅延でmaneoから訴訟を起こされているガイアファンディング、免許取り消しに至ったラッキーバンクという事例もあます。
担保付きということばに安心せず、設定されている担保価値は適正なのか、どのような評価を行っているのか、公表されている情報から担保の価値をしっかりと見極めるようにしましょう!
また、担保の他に多い「保証付き案件」の場合も安心してはいけません。
保証付き案件とは、資金の借り手に代わって第三者が返済する義務を負う契約が付いている案件のことです。
保証付き案件の場合、万一の際に誰が保証してくれる契約なのかを確認しましょう。
たとえば、返済不能状態に陥っている借り手企業の経営者個人の保証なんて付いていても、あてにならないのは目に見えています。
関係会社の保証がある場合はその会社の財務状況など経営状態をしっかり見ておき、万一の際に保証が果たされる可能性があるかどうかを確認しておくことが大切です。
ソーシャルレンディングで失敗しないために⑤:高利回りにつられてはいけない
ソーシャルレンディングで高利回り案件に投資すると、失敗する可能性は高くなります。
「リターンが高い案件はそれだけリスクが高くなる」ということはほとんどの投資家がわかっていると思いますが、それでも多くの投資家が投資して失敗したラッキーバンクという事例があります。
ラッキーバンクは高利回りなうえに全件不動産担保付きというありえない好条件で資金を急速に集めていましたが、投資家に約33億円もの損失を与えた結果、金融商品登録業の登録が取り消されました。
当時から条件が良すぎて怪しいという声は一部ありましたが、それでも利回りの良さから多くの投資家がラッキーバンクに投資をし、損失を被ったのです。
利回りが高い案件が悪いということではありません。大切なのは、利回りの高さの裏にあるリスクをしっかり把握しておくことなのです。
高利回り案件に投資するときは、リスクを理解したうえで分散投資を強化したり、投資額を調整したりして、リスク対策をより強化して投資をし、万一の事態に備えましょう。
本当の意味での分散投資とは、一方の案件で元本割れが起きても、他の案件のリターンにより投資資金全体のトータルリターンがマイナスにならないようにすることです。
ソーシャルレンディングで失敗しないために⑥:投資は余裕資金で行う
ソーシャルレンディングに限らず、投資を失敗しないための基本は、投資はあくまで余裕資金で行うということです。
先ほどお伝えしたように、ソーシャルレンディングは一度投資をすると満期まで資金を動かすことができません。
そのため、運用に回す資金はあくまで余裕資金で、生活資金とは別に投資をするようにしましょう。
投資をするときは、ある程度心の余裕が必要です。
生活資金のほとんどを投資につぎ込んでしまえば日常生活に負担が及ぶだけでなく、リスクを気にするあまり精神面でも負担がかかってしまいます。
日常生活や精神面で影響があると、正常な状態での投資判断ができなくなってしまう可能性があります。
正常な状態で適切な投資判断を行うためには、精神的にも資金的にもある程度ゆとりを持った状態でいることが大切です。
ソーシャルレンディングでは無理な資金繰りはせず、あくまで「当面使う予定のない資金」だけを投資に回すようにしましょう。
まとめ
ソーシャルレンディングで失敗を防ぐために、投資前にしておくべき6つの対策をお伝えしました。
改めて、各対策の重要なポイントをおさらいしましょう。
投資の失敗を防ぐために重要な事前対策6選
- 事業者リスクを重視する
∟信頼できる事業者選びが何より大切になる - 偏った事業者、偏った案件に投資しない
∟事業者も案件も複数、借り手企業はしっかり分散してリスクを抑えよう - 長期案件に気をつける
∟ソーシャルレンディングは投資を始めると満期まで資金を動かせないため、長期案件ほどリスクが高くなる - 担保付きでも安心してはいけない
∟担保付き・保証付き案件と言っても元本保証にはならない。担保や保証の中身を見極めることが大切 - 高利回りにつられてはいけない
∟利回りの高さはリスクの高さにつながる。リスクを理解したうえで分散投資などを強化し、高利回り案件に投資しよう - 投資はあくまで余裕資金で行う
∟投資は日常生活や精神面に負担のない範囲で行うこと。少しでも負担を感じてしまう投資は正常な投資判断ができなくなるため危険
ソーシャルレンディングは、運用が始まってからの手間がほとんどかからない投資です。
つまり、運用中に知識や経験を活かして投資の成果を高くするということもできませんし、失敗したと気づいても何も対処することができません。
運用前に行う事前のリスク対策こそが、投資の成功と失敗を大きく左右するのです。
ソーシャルレンディングで投資を始める前にはご紹介した対策をしっかりと行い、リスクを抑えて投資の失敗を防ぎましょう!