ソーシャルレンディング投資対象を選ぶ上で、利用者・投資家が信頼できる業者かどうかを判断する際の1つのポイントとなるのが「第二種金融商品取引業」の登録です。
ソーシャルレンディング投資で昨今さまざまな問題が起きているだけに、注目をするべきポイントの一つになっています。
今回は、第二種金融商品取引業の内容や特徴、条件などについて紹介していきます。
ソーシャルレンディング投資に興味のある方は、ぜひ参考にしてください!
目次
第二種金融商品取引業とは?登録されるとできること
第二種金融商品取引業は、2007年に施工された金融商品取引法で新たに定められました。
第二種金融商品取引業の登録を受けると、不動産信託受益権などの信託受益権、匿名組合出資持分などの集団投資スキーム持分など、みなし有価証券の売買その他取引等をおこなうことができます。
第二種金融商品取引業の登録を受けた場合、主にできることは次のとおりです。
①みなし有価証券の売買やその他取引
第二種金融商品取引業に登録をすれば、信託の受益権や外国信託の受益権、合同会社の社員権など、いわゆるみなし有価証券の売買・その他の取引が可能です。
具体的には、みなし有価証券の売買や売買の仲介・取り次ぎ・代理、募集、私募の取り扱いなどです。
投資運用業者によるファンドの販売や他の第二種金融商品取引業者のファンド販売もできます。
②海外を含む商品取引所市場に上場されているデリバティブ取引
通貨に関する市場デリバティブ取引、媒介・取り次ぎ・代理など、有価証券に関連しない市場デリバティブ取引が可能です。
第二種金融商品取引業は有価証券以外の金融商品となりますが、有価証券に関連した市場デリバティブ取引の場合は「第一種金融商品取引業」となります。
③ファンドの自己募集
第二種金融商品取引業に登録をすることで、集団投資スキーム持分や投資信託の受益証券など、一定の有価証券の募集ができ、私募の定義の範囲でおこなわれます。
所有者ベースで、事業に投資するものに関しては500名未満、金融商品に半分以上投資する場合は50名未満となっています。
④その他法令で定める行為
投資信託の受益証券などについての転売を目的としていない買い取りです。
第二種金融商品取引業に登録を受けることで、以上のような業務が可能となります。
第二種金融商品取引業を取得するための条件
第二種金融商品取引業は、第一種金融商品取引業に比べて緩く設計されています。
登録を受けるためには、次の条件を確実に満たしておく必要があります。
条件①:資本金1,000万円以上
第二種金融商品取引業の登録を受けるための財産的要件として、会社の資本金が1,000万円以上であることが必要です。また、会社としてではなく、個人で登録を希望する場合は営業保証金として1,000万円を供託する必要があります。
条件②:役員に金融関連の知識や経験がある人が2名以上
第二種金融商品取引業登録の人的要件として、以下のようなものがあります。
- 経営者が金融商品取引業者としての業務を公正・的確に遂行できる資質があるかどうか
- 役員が金融商品取引法等の監督指針や関連諸規制で示す経営管理の内容を理解していて、コンプライアンスやリスク管理に関する知識・経験を十分に持っているかどうか
- 実施する業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置されている。そして、内部管理などの責任者が適正に配置された人員構成、組織体制
- コンプライアンス部門が営業部門から独立して設置されていて、知識・経験を持つ担当者が確保されていること
- 実施する業務について、以下1〜9の体制整備ができる要員確保ができてること
- 帳簿書類や報告書などの作成・管理
- リスク管理
- 広告審査
- ディスクロージャー
- 電算システム管理
- 顧客情報管理
- 内部監査
- 苦情・トラブル処理
- 売買管理、顧客管理
つまり、第二種金融商品取引業を受けるためには、経営者とコンプライアンス責任者の2名に金融関連の知識・経験があることが重要です。
この点は金融庁が重視する条件でもあり、勉強して得た知識だけでなく、経歴・経験が必要になってきます。
第二種金融商品取引業と第一種金融商品取引業との違い
第一種金融商品取引業は、株式や債券などを取り扱います。
証券会社のように、有価証券の売買、勧誘、引受け、そして、有価証券や資金を顧客から預かり管理する業務が可能です。
そのため、上場株式の推奨や提案、顧客へのアドバイス、企業の新株の引受けなどできます。
第一種金融商品取引業の登録を受けると、FXや証券CFDなどの店頭デリバティブ取引の提供も可能です。
一方で、第二種金融商品取引業は、信託受益権や集団投資スキーム持分など、第一種金融商品取引業よりも比較的流動性が低いものの販売・勧誘が業務対象となります。
第一種金融商品取引業は流動性が高く、第二種金融商品取引業は流動性が低いなど取り扱うものが異なるのです。
また、第一種金融商品取引業は、第二種金融商品取引業よりも登録要件が以下のように厳しめです。
- 株式会社であること(取締役会・監査役または委員会設置会社)
- 資金金が5,000万円以上
- 純資産が5,000万円以上
- 自己資本規制比率が120パーセント以上
- 主要株主が一定の欠格者でない
- 業務を適確に遂行できる人的構成である
たとえば、第二種金融商品取引業の場合は財産的要件が資本金1,000万円以上(または営業保証金1,000万円以上)となりますが、第一種の場合は資本金・純資産ともに5,000万円以上必要です。
そして、第一種金融商品取引業は、第二種金融商品取引業にはない自己資本規制比率による規制が設けられています。
自己資本規制比率100%未満:3ヶ月以下の業務停止命令もしくは登録取り消し命令
- 自己資本規制比率120%未満:業務改善命令
- 自己資本規制比率140%未満:金融庁への届出
他に行う事業の規制や主要株主に対する規制など、第二種金融商品取引業にはないものが設けられています。
項目 | 第一種金融商品取引業 | 第二種金融商品取引業 |
資本金 | 5,000万円以上 | 1,000万円以上 |
純資産 | 5,000万円以上 | なし |
他の事業の規制 | あり | なし |
主要株主への規制 | あり | なし |
自己資本規制比率 | あり | なし |
法人格の要否 | あり | なし |
取り扱う有価証券 | 流動性が高い | 流動性が低い |
取り扱う内容や規制、財政的・人的要件のハードルが高さに第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業の違いがあります。
まとめ
第二種金融商品取引業は第一種金融商品取引業と比べると、制限がやや緩やかです。
その分業務内容も限定されますが、インターネットで完結できる金融投資商品の提供を行うためには必須とも言える登録になっています。
この第二種金融商品取引業を取得していないと、基本的にソーシャルレンディング案件を組成して、資金募集を行うことができません。
この免許を取得していない業者をまず利用しないこと、またmaneoマーケットのように他社の募集を代行しているケースはトラブル発生時に、資金を集めている企業が誠実に対応してくれるとは限りません。
最低限企業の安全性を測るための指標として、第二種金融商品取引業登録を行っているソーシャルレンディング会社を選んでいきましょう。