2019年6月20日(木)、第二種金融商品取引業免許を抹消されたトラストレンディングから、投資家に対し返済遅延案件の現況についての報告が4件ありました。
それぞれの内容はホームページで確認することができます。
どの程度の返済見込みがあるのかを確認してみましょう!
目次
トラストレンディング返済遅延案件①:高速道路工事ファンド
出典:トラストレンディング
高速道路工事ファンドです。
「高速道路工事ファンド」に関する訴訟の状況報告
平素よりトラストレンディングをご利用いただき誠に有難うございます。
「高速道路工事ファンド」に関しましては、2019年4月15日付のお知らせにてご報告いたしましたとおり、貸付先との間では当社の請求を認める内容の判決が確定しましたが、元請負会社からは当社の請求を棄却する判決を求める主張がなされております。
このたび、本件訴訟に関する進捗内容を確認致しましたので、下記のとおりご報告申し上げます。
貸付先からの回収について
仮執行宣言付き判決に基づき、貸付先からの回収対象となる財産の照会を行っておりますが、現時点では具体的な回収対象は見つかっておりません。現時点の対応状況は以下のとおりです。
・当社が把握している貸付先の事務所をはじめとする不動産物件は、いずれも賃貸物件であり、現在のところ回収対象となる資産は見つかっておりません。
・当社が知り得た貸付先名義の銀行口座(2つの口座)に関しては、債務名義に基づき差押さえを行いましたが、いずれも預金残高は極少額で且つ既に行政機関からの差押さえが記録されており、回収対象となる預金資産はありませんでした。
・貸付先が第三者に対して有する債権が無いかどうかを調査中です。
元請負会社との訴訟の進捗について
元請負会社は、裁判所に書面を提出しましたが、貸付先と元請負会社との間の受発注関係が有効に成立したことが事実であるか否かという点については、元請負会社の事実認識を明らかとしませんでした。
これを受けて、当社は、以下の書類等を証拠として提出しました。
(1)貸付先より受領した、貸付先と元請負会社との間で交わされた注文書と注文請書
(2)当社・貸付先・元請負会社の3社で調印した債権譲渡承諾依頼書及び債権譲渡承諾書
今後の対応について
貸付先からの回収対象となる財産の調査を継続し、調査状況・結果については改めてご報告致します。
元請負会社との裁判については、今後、元請負会社から書面が提出される予定です。状況を確認できしだいとなりますが、7月中には次の進捗報告ができるものと考えております。
投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
引用終わり。
貸付したお金の行方が定かではない状況です。
トラストレンディング返済遅延案件②:債権買取ファンド
出典:トラストレンディング
以下、引用。
「債権買取ファンド」に関する状況報告
平素よりトラストレンディングをご利用いただき誠に有難うございます。
「債権買取ファンド」については、ファンド運用の延長期間中に延滞が生じたため、特定資材会社(A社)に対して、貸付先に代わって支払いを求める請求を行っております。
これまでの経緯と回収業務に関する状況を下記の通りご報告いたします。
経緯
(1) 2017年9月~10月にファンド資金を貸付実行、以降は予定通り毎月末に利息を受領。
(2) 2019年3月末が弁済期日であったところ、貸付先より当該債権を売却するための調整に時間を要するため運用期間延長の申入れ。
遅滞なく利息を支払うことを条件として3ヶ月の期間延長を決定。
(3) 4月分の利払いを受領。
(4) 5月分の利払いに延滞が発生したため期失扱いとなり、債権譲渡担保の債務者であり一部貸付に関する連帯保証人でもある特定資材会社
(A社)に対して債務履行の請求を実施。
現在の進捗状況
当社からの請求を受け、特定資材会社(A社)からは、自社で債権を買戻して当該債権による債務を解消する検討を行う旨の返答がありました。
一方、当社の調査では、特定資材会社(A社)が現時点ですぐに当該債権の買取を完了させること困難であると考えております。
これを踏まえて当社としては、特定資材会社(A社)が当該債権を買戻す資金を調達するまでの現実的な対応として、貸付先から譲渡を受けている債権(債権譲渡担保)に基づいて、特定資材会社(A社)の月次販売実績に応じて算出されるコンサルティング報酬を当社が回収し、これを出資者の皆様に分配することを目指して調整を進めております。
もっとも、特定資材会社(A社)による債権買戻しが早期に実現されれば、すぐに債務履行を求めて、速やかに皆様への元本償還を行う所存です。
本日時点、協議中である内容が多くありますが、引き続き回収業務を進めて、進捗は改めてご報告させていただきます。
引用終わり。
こちらに関しては、時間はかかるものの債権の回収は可能とみています。
しかし、債権自体の実態は存在するようなので、回収できないまま終わるということはないようです。
トラストレンディング返済遅延案件③:「IoT実証実験ファンド」及び「燃料卸売ファンド」
出典:トラストレンディング
3件目は IoT 実証実験ファンドと燃料卸ファンドです。
以下、引用。
「IoT実証実験ファンド」及び「燃料卸売ファンド」に関する状況報告
平素よりトラストレンディングをご利用いただき誠に有難うございます。
「IoT実証実験ファンド」及び「燃料卸売ファンド」につきましては、貸付先からの5月分の利払いに延滞が生じたため、両ファンドの対象事業を行う会社(以下、「実質的な借入人A社」といいます。)に対して、支払いの督促を行うとともに返済計画の見直しを要求しております。
今後の対応について、実質的な借入人A社との協議が継続している内容も多い状況ではありますが、本日までの進捗を下記の通りご報告いたします。
貸付先の状況
実質的な借入人A社の資力は、燃料卸売事業における需要への依存度が高い現状ですが、現在のところ需要急増は数ヶ月先になる見通しとの報告を受けており、今しばらくは事業収益からの利払いが困難な状態が継続するものと見込んでおります。
未収利息の回収について
当社としては、延滞となった5月分及び今後直近の利払いの原資確保のために、可能な限りの対応策を検討するよう申入れております。
現時点では、実質的な借入人A社が燃料卸売事業の開始時に、仕入先(総合エネルギー商社)に預入れた保証金の一部を、事業に支障の無い範囲で切崩すなどして利払いに充当する対応を検討するよう促しております。
今後、実質的な借入人A社と仕入先の折衝状況を注視するとともに、他にも具体的な対応策がないかを確認のうえ改めて状況報告させて頂きます。
引用終わり。
こちらも、指先の実体は存在する状況ではあるものの、回収見込みが目処が立たない状況であり回収できる資金の量もそれほど多くはないということがわかります。
トラストレンディング返済遅延案件④:「除染事業ファンド」「公共コンサルファンド」
出典:トラストレンディング
公共事業的な内容を謳っており、その虚偽表示が第二種金融商品取引業免許抹消のきっかけにもなった、除染事業ファンド及び公共コンサルファンドです。
以下、引用。
「除染事業ファンド」及び「公共コンサルファンド」に関する状況報告
平素よりトラストレンディングをご利用いただき誠に有難うございます。
「除染事業ファンド」に関しては、貸付先を被告とする民事訴訟と、平成31年3月25日付「除染及び公共コンサルファンドに関する状況報告」にて該当する出資者の皆様にご報告した追加担保である不動産物件(以下「本件不動産(追加担保)」といいます。)の売却による回収を進めております。
これらの進捗状況を下記のとおりご報告申し上げます。
訴訟の進捗状況
当社は、貸付先に対し、ファンドの募集審査時の貸付先からの申告が実態と異なるものであったことを前提として、当社と貸付先との間の金銭消費貸借契約について錯誤無効を主張し、貸付金相当額の返還を請求する民事訴訟を提起しました。
先般、貸付先が、裁判所に書面を提出しました。この書面において、貸付先は、事業統括会社が行うとされていた除染事業と公共事業は架空のものであることを否認し、除染事業は予算元(費用負担者)が確定しないことで着工に至っていなかったものの、事業統括会社が準備を進めていたのは事実であると主張して、当社の請求を争いました。(訴訟に至った経緯及び当社の請求についてはhttps://www.trust-lending.net/topics/2019/20190301_02.pdf)
本件不動産(追加担保)の売却に関する状況
本件不動産(追加担保)については、宅地を前提として売却することが好条件での売却につながるところ、本件不動産(追加担保)を宅地として売却するためには、事前に大規模な土地造成が必要となることなどから、短期間のうちに宅地として売却することは必ずしも現実的ではない状況が判明しました。
貸付先からは、現時点では複数の売却先候補との折衝を継続中との報告を受けましたが、当社からは、上記状況を踏まえ、7月中には売却条件の確定と契約手続に入るよう貸付先に申入れました。
今後の対応について
上記2の状況を踏まえると、本件不動産(追加担保)の売却価格は、貸付先が当社に返済すべき元金に満たない可能性が高い状況となっておりますため、本件不動産(追加担保)の売却と並行して、貸付先に対する訴訟も継続し、引き続き資金回収に向けた対応を進める方針です。
本件不動産(追加担保)の売却と訴訟の進捗等に関しましては、7月中を目処に再度ご報告する予定です。
引用終わり。
担保不動産が存在し、その売却活動を行っているため、ある程度の資金を回収できる見込みあります。
まとめ
トラストレンディングから2019年6月20日(木)に4件の報告が行われましたが、高速道路事業ファンドについては資金回収が難しい状況とも言えます。
除染事業ファンドについてはある程度回収の見込みは立ちそうなものの、まだ予定も立っておらずどの程度戻ってくるか分かりません。
他2つの案件についても事業や融資実体はありますが、残念ながら融資先の資金力が不足しているため、満足な回収は行われないかもしれません。
トラストレンディング側でも、元取締役の山本幸男氏に対して刑事告訴を行わず回収に努めたいとしていますが、回収の見込みが立たない場合は、厳然たる措置として刑事告訴を望みたいところです。
そのような厳正な対処が行われることが、数々のソーシャルレンディング会社に伝われば、どのソーシャルレンディング会社も襟を正し、投資家保護の精神のもと事業に努めるようになるでしょう。
その試金石としてトラストレンディングには最後まで責任をまっとうして欲しいものです。