maneoで2019年7月3日(水)にも新たに3件の返済遅延が発生しました。
今回の返済遅延の内容を確認し、それぞれの案件の返済の見込みを推測してみました。
①事業者DEの返済遅延
出典:maneo(マネオ)
この事業者DEは、maneo(マネオ)が融資している得意先の中でもかなりの大手です。
経過
以下、引用。
DE社は長野県内で開発途中の太陽光発電施設の対象地及び売電に係る設備認定を保有する会社の株式を購入した上で、開発に必要な許認可等を取得した後に太陽光発電事業者に一体として売却する計画の下、2018年7月2日にmaneo社からの融資により対象案件を取得しました。
本件については、同業他社などへの相場に関する聞き取り調査やマーケットでの成約実績を踏まえ、融資の担保評価としても適正な価値が見込めるとの判断の下、融資を実行いたしました。DE社は、本件対象案件の取得後、林地開発の許可取得に向けて行政と調整を進めたほか、対象地域での事業遂行に伴う要請や協力事項への対応を進めて参りましたが、当初の事業計画期間内での完遂が困難なものとなりました。
融資期間中、DE社は利息の支払いにおいて遅延はなく、事業としても安定した業績で推移しており、会社与信としては大きな変動はありませんでした。
しかしながら、DE社に対しては融資の返済期日が迫ってきていることを申し伝え、返済に向けた対策を取るように交渉を続けておりましたが、自己資金での返済や借換え等の対応ができず、また、当社としても期日内での回収に向けた活動をして参りましたが、対象案件の売却による返済以外には回収は困難なものと判断いたしました。
以上の経緯から、最終弁済期日である6月28日時点で元金の入金が確認できず、延滞の取り扱いに至りました。
引用終わり。
太陽光発電の用地開発が計画どおりに進行せず、その結果返済が行わなかったという理由です。
今後、太陽光発電の買取がストップする見込みは高く、用地を売却することが困難になる可能性があります。
返済の見込み
以下、引用。
当該案件について、現時点で複数社から購入の意向表明を受けているとDE社より報告を受けています。
うち1社とは包括サービス契約書を取り交わしており、同契約書によれば、林地開発許可の取得及び権利関係の取りまとめが出来れば融資金額を上回る金額で本件対象案件の売買が行われる予定です。
DE社からは、当該案件を管轄する行政との林地開発に係る事前相談は完了していることの報告を受けております。
今後の売却に向けた課題として、開発許可申請が受理されることが挙げられ、DE社は現在その対応中です。
当社では回収の一環として内容証明郵便の発送などを行っておりますが、引き続きDE社から進捗状況の報告を受け、その状況に応じた回収対応を検討して参ります。
引用終わり。
この案件では、売却が可能だとmaneoは提示しています。
②不動産事業者BTの遅延案件
出典:maneo(マネオ)
続いての返済遅延案件は、不動産事業者BTです。
経過
以下、引用。
事業者C社は2018年4月に不動産事業者BTに対して借換資金として8,000万円を融資いたしました。
「maneo」では79,999,028円のファンド募集をし、そのファンド募集資金を事業者C社に融資いたしました。
不動産事業者BTは、賃貸アパートやマンションの売買・仲介を主たる事業としております。
本件の対象不動産である賃貸アパートの仕入及び建築費用として金融機関から融資を受けておりましたが、その期限到来時に事業者C社からの融資に切り替えて以降、アパートの賃貸付け及び管理を行いながら、アパート投資を行う顧客に対して売却活動を行って参りました。
この融資期間中、複数の購入候補者からの申込がありました。当初の販売計画に沿った金額帯での購入意向もありましたが、購入者に対する銀行の融資承認が得られ難い状況から、売買契約が成就しない事例が連続して発生し、結果として、本件の期限までに売却による返済には至りませんでした。
なお、不動産事業者BTは、賃料収入を継続して得ており、事業者C社との間の金銭消費貸借契約については、延長合意がなされております。
従いまして、不動産事業者BTから事業者C社に対しては、現在も正常な状態で返済が継続されております。
一方、maneoマーケット社におけるmaneo社のリファイナンス案件としてのファンド募集につきましては、不動産の収入状況やこれまでの販売活動状況における評価は得ているものの、現状の金融機関の融資姿勢や当初想定した期間内での販売の未了等を踏まえ、新規投資家からのファンド出資による延長対応は募集審査規程上の要件を満たしきれませんでしたので、実施せず延滞の取扱いとさせていただきました。
引用終わり。
当該案件はアパート建築の資金であり、その後アパートは運用され続けています。
購入意思があったものの売却ができなかったのは、昨今の金融機関の不正融資に伴う引き締めの影響と見られます。
リファイナンスしなかったことが理由となっているので、極端に不安材料は大きくはありません。
回収の見込み
以下、引用。
対象不動産は、平成30年築の築浅の賃貸アパートです。
現状満室稼働状態であり、私鉄急行停車駅から徒歩5分程度の収益物件として、不動産投資家からも継続的に引き合いはございます。
不動産事業者BTは、今後は段階的に販売価格の見直し(値下げ)を行いながら、早期の売却に向けた販売活動を行っていくとともに、金融機関やノンバンク等からの借換えについても検討に着手しております。
また、不動産事業者BTから事業者C社に対しては利息の入金が継続されておりますので、これが継続される限りにおいて事業者C社から回収し、投資家の皆様への分配原資といたします。
引用終わり。
家賃収入から生まれる利息の分配行いながら、販売価格を下げることで売却活動を行おうとしています。
軽微な損失が発生する可能性はありますが、大幅な損失が発生する可能性は低いとみられます。
③不動産事業者DRの返済遅延
出典:maneo(マネオ)
3件目は、maneo(マネオ)の大手融資先である不動産事業者DRです。
経過
以下、引用。
事業者C社は2019年1月に不動産事業者DRに対して仕入資金として1億2,300万円を融資いたしました。
「maneo」では122,994,864円のファンド募集をし、そのファンド募集資金を事業者C社に融資いたしました。
不動産事業者DRは都内でアパート建築に適する用地を仕入れ、アパート投資を行う一般顧客に向けて、土地の売却から建築業者の紹介・斡旋を行う事業形態をとっております。
代表者は同業経験者であり、その経験とネットワークを活かして独立当初から短期売却による事業を推進し、その過程で事業者C社の短期融資を利用しておりました。
しかしながら、投資用不動産に対する融資基準の厳格化や新規融資の抑制、一部アパートブランドの施工不良に係る報道などの影響が急速に市場に広がり、不動産事業者DRの見込み顧客においても、銀行融資の大幅減額査定ないし最終承認段階での否決といった結果が重なるようになりました。
これにより、高回転経営に基づく不動産事業者DRの在庫状況と販売状況のバランスが崩れる事態となりました。
利息の支払いについては、従前の資金余力の限り続けてきておりましたが、上記の状況から資金繰りにも支障を来して参りました。
事業者C社から不動産事業者DRに販売状況及び今後の販売見通しを確認してきた中で、早期返済に努めること及び完済に対する態度は確認しておりましたが、組織内部における不和や代表者の一変した態度を含む経営状態の悪化から、事業者C社から不動産事業者DRへの連絡にも支障が生じて参りました。
不動産事業者DRからは代表者を変更し事業の再構築を図るとの報告もありましたが、一方で事業者C社への利息の支払いは出来ずに延滞に至りました。
引用終わり。
組織内部の問題が理由になっているので、回収に時間がかかる可能性が高いです。
回収の見込み
以下、引用。
事業者C社からは、既存顧客や取引先などを中心に、投資用不動産を取り扱う事業者にも物件の販売協力を求めると共に、募集ページに記載した法的対応としての競売手続きにも取り掛かり、任意売却と競売とで回収を行っていくとの報告を受けております。
引用終わり。
物件の売却が終わるまで、資金回収の時間がかかることが予測されます。
まとめ
1、2件目(事業者DE、不動産事業者BT)に関しては、具体的な回収の見込みが立っているため回収にそこまで時間がかからないものと思われます。
3件目(不動産事業者DR)に関しては、融資先の内部の問題で売却活動が満足に行われていない状況です。
今回の3つの案件から得られる教訓としては
- 融資引き締めによる返済遅延が増えており、個人向け不動産案件は返済遅延が非常に起こりやすい
というところでしょう。
状況をよく注視し、投資対象を吟味していきましょう。