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ソーシャルレンディングには大損のリスクがある
ソーシャルレンディングには、大損してしまう可能性があるのでしょうか?
結論から言えば、リスクを知らずに投資すれば大損する可能性はあります。
具体的なリスク対策については、これから紹介しますが、まずは次の3つのリスクについて理解しておきましょう。
- 元本割れ(貸し倒れ)リスク
- 償還遅延、早期償還リスク
- 投資先の匿名リスク
①元本割れ(貸し倒れ)リスク
ソーシャルレンディングには元本保証はありません。
そのため、貸したお金が返ってこなくなる元本割れ(貸し倒れ)リスクは常につきまといます。
元本割れは、借り手側の資金繰りの悪化や、事業者自体の倒産などで起こります。
ソーシャルレンディングには銀行や証券会社のような投資家保護制度がありません。
近年のソーシャルレンディング市場では貸し倒れ案件は起きていません。
ただ、これからお伝えする「みんなのクレジット事件」のようなトラブルはありました。
慎重な事業者や案件選びを怠れば、簡単に元本を失うということを肝に銘じておきましょう!
②償還遅延・早期償還リスク
貸し付けたお金が返還期限日までに返ってこない「償還遅延リスク」、予定より早く返ってきてしまう「早期償還リスク」があります。
償還遅延になれば投資計画に狂いが生じ、早期償還になればリターンが少なくなるという影響が出ます。
これらは実際の市場でも頻繁に起きているうえ、一度貸し付けたお金は期限が来るまで使えません。
投資する資金は「数年間使わなくても問題ない余剰資金のみ」を充てるようにしましょう。
③投資先の匿名リスク
ソーシャルレンディングは、投資先である借り手の情報が匿名です。
そのため、投資した資金の流れが不透明になるというリスクがあります。
匿名性からトラブルに発展し、実際に行政処分になった事業者も複数あるため、やっかいなリスクです。
ただ、2018年6月に行われた内閣府の閣議決定(※)により、今後匿名性が廃止される可能性が出てきました。
今後の政府の動きを注視しておきましょう!
※出典:「規制改革実施計画」(内閣府)
【2019年3月19日更新】:匿名性の解除が発表されました。
実際にあったトラブルや不祥事
ソーシャルレンディングで、実際に起きたトラブルや不祥事、大損といえる事件を紹介していきましょう。
事業者の不祥事やトラブル歴
日本クラウド証券株式会社(クラウドバンク)行政処分(2015年、2017年)
・業務停止命令、業務改善指導
⇒管理体制の不備、募集説明に誤解を与える表現があったため。
株式会社みんなのクレジット行政処分(2017年)
・業務停止命令、業務改善命令
⇒資金が経営者の口座に流れていた、虚偽の担保表記があった、集めた資金を違う案件の返済に流用していたなど。
ラッキーバンク・インベストメント株式会社行政処分(2018年)
・業務改善命令
⇒資金の不正流用があったため。
maneoマーケット株式会社行政処分(2018年)
・業務改善命令
⇒案件の募集に虚偽の説明があった、管理体制の不備があったため。
不祥事やトラブルの規模感はさまざま
一口に「行政処分」と言っても、その内容や事件の重さは大きく異なります。
クラウドバンクの管理体制の不備などは、新興企業ゆえの事情を感じますが、ラッキーバンクやみんなのクレジットは匿名性を利用した悪質な資金流用です。
特に、覚えておきたいのは「みんなのクレジット事件」です。
ソーシャルレンディング史上最悪の大損を出した事件です。
みんなのクレジット事件とは
みんなのクレジット事件は、約30億円もの貸付金がいまだに返還されていない事件です。
きっかけは、2017年に資金の不正流用などにより、みんなのクレジットが行政処分を受けたことで、そこから案件の返還が滞りはじめたことです。
結果的に代表者は雲隠れして債権は譲渡され、貸付金31億円のうち1億円(3%)しか返還されていません。
みんなのクレジットは、高額なキャッシュバックを大々的に実施して急速に資金を集めており、当時から過度なキャンペーンや派手な広告を怪しむ声は出ていました。
この事件を反面教師に、高額なキャッシュバックや高い利回りの案件に惑わされない投資を心がけましょう。
ソーシャルレンディングで大損回避するリスク対策
それでは、ソーシャルレンディングで大損を回避するためのリスク対策を紹介しましょう。
対策①:適切な事業者を選ぶ
情報の透明性に不安があるソーシャルレンディングでは、適切な事業者選びが欠かせません。
事業者選びのポイントは、
- 実績の豊富さ(業界内シェア)
- 経営基盤の安定度(親会社が上場企業など)
- みんなのクレジットのように過度なキャンペーンをしていないか
- 過去の行政処分に悪質性がないか
という点です。
おすすめの業者と選定ポイント
たとえば、業界シェア大手の「maneo」と証券会社運営の「クラウドバンク」は、過去の行政処分こそあれ、確かな支払実績や案件の豊富さなどは安定感があります。
- 「SBIソーシャルレンディング」:大手SBIグループの傘下
- 「LCレンディング」:上場企業である親会社の保証付き案件あり
- 「オーナーズブック」:上場企業の不動産開発会社が運営
の3社は、安定した経営母体が強みです。
また、海外の案件がメインの「クラウドクレジット」は、主要株主が伊藤忠商事など名だたる企業で資本関係にあります。
経営陣の顔が見える経営姿勢には信頼性があります。
ただ、もちろん上記6社であってもリスクは付き物です。
どれか1社を選ぶのではなく、6社それぞれの案件を上手に組み合わせるようにすると良いでしょう。
対策②:手堅い案件(ファンド)を選ぶ
投資する案件(ファンド)選びも重要です。
利回りだけで案件を選ばず、手堅い「担保」や「保証」付き案件を狙うようにしましょう!
担保付き案件
担保とは、借り手が返済不能になったときに代わりに提供されるものです。
不動産を担保にするものが多いです。
保証付き案件
保証とは、借り手の返済義務を代わりに負う契約のことです。
それぞれどのように設定されているかを確認して案件を選びましょう!
対策③:分散投資する
投資におけるリスク対策の基本は、分散投資です。
ひとつの事業者やひとつの案件だけに資金を集中してしまえば、大損する可能性は高くなります。
資金は集中させず、複数の事業者と案件を組み合わせて投資すると良いでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディングの大損を回避するには、次の3つが重要です。
- 最適な事業者を複数選ぶ
- 目先の利回りやキャンペーンに踊らされず、担保や保証付きの手堅い案件を選ぶ
- 事業者も案件も分散させて投資する
注意すべき点は意外と少なく、簡単にできそうと思われたのではないでしょうか?
そう、ソーシャルレンディングのリスク対策に複雑な知識や投資の経験は要りません。
今回紹介したポイントをしっかりと抑え、大損を回避した手堅いソーシャルレンディング投資を実践してください!