みなさんは、「ソーシャルレンディング 」や「クラウドファンディング」ということばをご存知でしょうか?
これは近年、「新しい金融インフラ」として、日本国内だけでなく世界各国でも注目されている投資手法のひとつです。
これまでも、投資家・借りてそれぞれに
- 投資家は「安定して運用したいけれど国内の商品ではあまり金利がつかない」
- 借り手は「凄い技術や魅力ある商品が提供できるものの、金融機関から融資がおりずアイデアを頓挫させなければならない」
といった特有の悩みや問題がありました。
これらの問題を解決させるために生まれた手段が、ソーシャルレンディング とクラウドファンディングです。
今回は、ソーシャルレンディングが一体どういったものなのかを具体的に解説していくとともに、メリットやデメリット、他のクラウドファンディングとの違いついて解説します。
今後着実に伸びるサービスとして頭の片隅に置くだけでなく、借り手・貸し手を問わず、有益な選択肢として活用できるチャンスが訪れたことを知ってもらえれば幸いです。
目次
ソーシャルレンディングの基本知識
はじめに、基本となるソーシャルレンディング の内容について解説します。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、インターネット上で「お金を借りたい企業や個人」と、「お金を運用したいと考える企業や個人」を結びつける融資仲介サービスのことです。
インターネット上の各社のプラットホームにおいて、「ソーシャルレンディング事業を運営する会社」が、不特定多数の「投資家」から集めた資金を、借りたい「企業や個人」に貸して運用する仕組みです。
最少投資額は1万円ほどのものがあり、リターンは年利換算だとおおよそ3.00〜10%、高いものであれば15%とも言われています。
借り手のメリット
- 少ない金利でお金を借りることができる
- 今まで借りることのできなかった企業や個人でも資金提供を受けることができる
貸し手のメリット
- リスクに応じて出資した分の配当金を得ることができる
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングの概要についてお伝えしたところで、次にメリット・デメリットについて解説しましょう。
まずは、メリットを3つに分けてお伝えします。
①他の商品と比べて利回りが高い
近年は、銀行や国債に投資しても良いリターンは見込めません。
しかし、先ほどお伝えしたようにソーシャルレンディングの利回りは、平均値としても8%前後で、比較的高いリターンを見込むことができます。
従来の金融機関とは異なり、裾野を広げ融資を行っているため、このような理想的なリターンが実現できるのです。
②初心者でも安心安全
ソーシャルレンディング における過去3年の貸し倒れ率は、「1.47%」(2018年2月7日現在、クラウドポート調べによる)と言われています。
近年急成長しているサービスとはいえ、かなりの保全性が確保できていると言えるでしょう。
③学習する手間を省ける
株式投資やFX投資、ビットコインとなると、今日からすぐに簡単に始められるといったことはまずありません。
学習する手間や、勝つための手法を地道に編み出したりとかなりの時間を要します。
しかし、ソーシャルレンディングは元本の価格変動はなく、「投資を行ったら運用期間が終わるまで待つだけ」といった、いわゆる「手間のかからない投資」です。
ソーシャルレンディングのデメリット
ソーシャルレンディングにはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。
2つに分けてデメリットを解説します。
①貸し倒れが起こる
先ほど保全性について触れましたが、ソーシャルレンディングも投資なので、「確実に起こらない」というわけではありません。
返済不可能(貸し倒れ)や、元本の毀損といった部分は一定数存在していますので、もちろん注意が必要です。
②投資効率が悪い
ソーシャルレンディングは、一度投資を行うと満期を迎えるまで資金の出し入れは行うことができません。
そのため、株式投資やFX投資とは異なり、元手資金を数倍にすることは難しく、あくまで安定的な投資運用になります。
そのため、資産の拡大を狙う方にとっては、投資効率が悪いと言えます。
クラウドファンディングの基本知識と種類
ソーシャルレンディングの概念について深く解説したところで、クラウドファンディングの基本について解説しましょう。
クラウドファンディングはいくつかの種類に分かれていますので、そちらも合わせて紹介していきます。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、群衆を意味する「Crowd」と、資金調達の「Funding」を組み合わせた造語です。
各社のプラットフォームを通じて、アイデアやプロジェクトを持つ起案者が多くの人から資金を募り、プロジェクトを具現化させていく資金調達方法です。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、大きく次の4つに分けることができます。
- 寄付型クラウドファンディング
- 購入型クラウドファンディング
- 投資型クラウドファンディング
- 融資型クラウドファンディング
それぞれの資金調達方法について、「貸し手」と「借り手」の目線から概要を解説します。
1.寄付型クラウドファンディング
ひとつめのクラウドファンディングは、「寄附型」です。
貸し手
対価性のあるリターンは受け取ることができないものの、寄付により税制優遇を受けることができます。
借り手
一般的に、リターンはない、または対価性のないものに限りますが、寄附金を募ることができます。
2.購入型クラウドファンディング
2つめのクラウドファンディングは、「購入型」です。
貸し手
支援者は、対価として金銭ではなく体験やサービス、権利といった特典を受け取ることができます。
借り手
リターンとして、権利やモノ、サービスを販売することができます。
クラウドファンディングを指す場合、こちらの「購入型」が一般的とされており、最も多岐にわたるタイプがこちらです。
3.投資型クラウドファンディング
3つめのクラウドファンディングは、「投資型」です。
貸し手
資金の支援の対価として、該当する企業の株式を受け取ることができます。
借り手
株式発行やファンドと同様の仕組みを利用して、資金調達をすることができます。
4.融資型クラウドファンディング
4つめのクラウドファンディングは、「融資型」です。
貸し手
支援した資金に対して、利子という形で一定のリターンを受け取ることができます。
借り手
支援者に融資を募り、利子・配当を支払う形で資金調達が可能になります。
日本では、融資する性質や、金銭的対価を得られることから、「ソーシャルレンディング」という認識をされています。
クラウドファンディングのメリット
ソーシャルレンディングと同様に、クラウドファンディングのメリット・デメリットを解説しましょう。
まずは、メリットを2つ紹介します。
①個人や団体、企業側は大小問わず手軽に起案できる
最も大きなメリットとなることは、資金調達のあらゆる障壁が低いということです。
クラウドファンディングは資金調達やマーケティングの手段として多く活用することができるため、アイデアやビジネスを起案してから形にするまでのハードルをぐっと下げたことが何よりの功績です。
これにより、現在では国内外問わず、プラットフォーム数の拡大、業界自体が急成長を遂げています。
②他の投資商品にはない魅力的なリターン
これまで金融商品でリターンというと、
- 売却益
- 配当金
- 株主優待
といったものが一般的でした。
しかし、クラウドファンディングでは、各プロジェクト自体を成功に導くために、それぞれに魅力的なリターンが用意されています。
お金として配当されるリターンはもちろん、
- 完成した商品を優先的に手に入れられる
- 企画に参加できる
など、これまでになかった特別なリターンを得ることができるのです。
クラウドファンディングのデメリット
続いて、クラウドファンディングのデメリットお伝えします。
2つに分けて解説しましょう。
①プロジェクトが頓挫する可能性がある
最も多いリスクとしては、プロジェクト自体が頓挫し、資金の回収が行えない事態に陥る可能性があることです。
また、資金の使用用途が正しいかどうかなど、クラウドファンディングの仕組みを悪用するというケースも想定されます。
②各スタイルにとってリスクが異なる
クラウドファンディングは投資とは一線を画すため、タイプによってリスクが存在します。
共通のリスクとしては、支援や出資を取り下げることができないことが挙げられます。
また、投資期間が固定されているため、プロジェクトの内容によっては先ほどのプロジェクトが頓挫するリスク以外にも、想定できないリスクもあります。
投資を行う際は、リスクを把握して適切に投資されることをおすすめします。
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの違い
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングそれぞれについて、基本概念や仕組み、メリット・デメリットについて解説しました。
では、それぞれの違いはどのようなところでしょうか?
次の2つに分けて説明することができるでしょう。
違い①:金融商品扱いかどうか
ソーシャルレンディングはリターンが金銭のため、原則的に金融商品取引法に沿って行われるため、事業者は業者登録する必要があります。
一方、クラウドファンディング(内容によって異なる)は、支援者が受け取る対価は金銭に限らず、サービスや物である場合もあることから、金融商品といった位置付けには該当しません。
そのため、似通ったサービス内容であっても取り扱いが異なります。
違い②:出資者が「投資家」か「支援者」
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングのリターンが「金融商品」か「それ以外か」と区分されるように、出資者側も区分することができます。
- ソーシャルレンディング :投資家
- クラウドファンディング:支援者
先ほどお伝えしたように、各サービスの貸し手側のリターンも分配金などの「金銭的な対価か」、「モノやサービスで受け取る対価か」ではかなり異なるのです。
まとめ
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングについて、基本概念と仕組み、メリット・デメリット、そして両者の違いについて解説しました。
サービス内容にそこまで大きな差はありませんが、最後に伝えたように、
- 「投資」か「支援」か
といった違いや、
- 受け取ることのできる対価が「金銭」か「金銭以外」か
によって、全く別物となるサービスであることをわかってもらえたと思います。
まだ馴染みのないプラットフォームであるがゆえに、一般的にこれらを混合して一括りとしてしまう傾向がありますが、位置付けははっきりと異なります。