ソーシャルレンディングに投資をする上での魅力は、
- 手軽に始められる
- 利回りが高い
- 大金を必要としない(少額から始められる)
など、なんといっても初心者の方でも比較的始めやすい投資だということがあります。
また、株式投資や為替取引(FX)、不動産投資などとは異なり、投資する案件やサービスを決めたら、案件を選択して自分が投資したい金額を設定するだけで大丈夫なのです。
あとは、運用期間内に毎月入ってくる分配金を待てば良いだけで、決められたリターンが入ってくるため、「果報は寝て待て」のような投資です。
しかし、この側面だけを見て「ソーシャルレンディング=簡単・安全」などと間違った解釈をされることがあります。
ソーシャルレンディング投資にも危険と言われるポイントや、他の投資と同様にリクスはついてまわります。
ソーシャルレンディングを安易に捉えてしまうと、結果として利益を得るどころか損することも当然あります。
今回は、初心者の方でも理解できるように、ソーシャルレンディングに投資を行う上で、想定されるリスクや危険ポイントなどをまとめて解説していきます。
「そんなとこまで?」と思う点も多々存在しますが、ソーシャルレンディングでの投資を成功させるには「避けては通れない道」です。
ぜひ参考にしてみてください!
目次
ソーシャルレンディングのリスク
ソーシャルレンディングで投資する上で考えられるリスクについて、6つに分けて一挙に解説していきます。
ソーシャルレンディング投資を行う上で、「当然のリクス・危険性」から、「細部に至るリスク」まで隅々までお伝えします。
リスク①:元本保証されていない
ソーシャルレンディングは、元本保証された商品ではありません。
必要最低投資金額が低く設定され、利回りが高い点が前面に出されているため、一見誰にとっても魅力的な投資案件に見えますが、リクスがないわけではないのです。
投資案件先が上手くいかない場合、元本割れが起こるのです。
リスク②:貸し倒れ(デフォルト)リスクが存在する
クラウドポート調べによると、貸し倒れ率が1.47%(2018年1月25日時点)となっています。
この数値だけをみると比較的安全と思われるかもしれません。
しかし、ソーシャルレンディングの貸し倒れ率には、
- 為替差損
- 返済遅延
は含まれていません。
また、投資期間と案件内容によってはデフォルト(貸し倒れ)リスクは想定されます。
そのため、ソーシャルレンディングに投資する際(投資の場合は)余剰資金で始められることをおすすめします。
ソーシャルレンディングは、あくまで当初決められた運用期間内での「配当」が主なリターン(インカムゲイン)です。
株式投資や為替取引(FX)とは異なり、値上がり益(キャピタルゲイン)ではないため、ソーシャルレンディングの利益の確実性や利回りの高さから、つい必要以上にお金を投資したりひとつの案件に集中投資しがちになります。
人によっては余剰資金ではなく、生活費を投資してしまう人もいるほどです。
いくら貸し倒れ率が1パーセント台と低くても、貸し倒れや返済の遅延などがないわけではないのです。
目の前に利益に目がくらむのではなく、現実な戦略のもと投資を行うことをおすすめします。
リスク③:一度投資すると満期まで現金化できない
ソーシャルレンディングは、株式投資や為替取引(FX)とは異なり、保有資産を解約・売却することができません。
そのため、基本的には満期が来るまで現金化することができないのです。
これを投資の世界では、「流動性が低い」と言います。
流動性が低いことでどういった事態に陥るかというと、急な資金を必要とした場合にお金がおろせなかったり、途中解約や売却等もできないため、緊急を要する際には困ってしまうことになります。
そのため、ソーシャルレンディングは投資の観点からは流動性がある投資とはいえません。
投資に充てている資金が余剰資金でない場合、日常生活におけるイベントごとに柔軟に対応することができなくなる可能性があります。
将来的に必要となる資金をソーシャルレンディング投資に充てることは避けた方が良いでしょう。
リスク④:行政処分・返済遅延の可能性がある
ソーシャルレンディングが他の金融商品と最も異なる点は、行政処分や返済遅延の可能性が顕在化したことが挙げられます。
近年最も多く取り上げられており、投資を行う上で最大のリスクになりかねません。
事業者が行政処分や返済遅延を繰り返すと、近年盛り上がってきているソーシャルレンディング自体の熱が冷めてしまうことにつながります。
この点も、失敗やリスクとして挙げられます。
リスク⑤:ソーシャルレンディング自体が理解されていない
ソーシャルレンディングで失敗に陥る方の多くが、ソーシャルレンディング投資自体の仕組みやリスクを理解していないことが大きな要因のひとつとして挙げられます。
多くの方が、ソーシャルレンディングの
- 利回りが高い
- 投資やFXと比べて商品が比較的安全
- デフォルトリスクが1%台と低い
というの謳い文句に魅力を感じて投資していることが多く、その他のリスクや失敗に対してフォーカスが甘いという現実があります。
投資には必ずリスクがつきものです。
投資を行う上では、投資対象の仕組みや内容を必ず把握して、リクス・リターンの許容度を確認してから行うようにしましょう。
リスク⑥:「担保=安全」とは限らない
日本市場においては、ソーシャルレンディングの多くは、不動産融資をメインに拡大してきた背景があります。
そのため、目に見える形で不動産といった担保が存在しているケースが一般的です。
安全な運用を心がけるのであれば、担保付きの案件を狙うと良いでしょう。
担保付きの案件を選ぶことで、リスクを最小限にすることができます。
「担保有り」とだけ書かれたものではなく、担保の詳細がより具体的に明示されている案件を選ぶとよりリスクを抑えることができます。
しかし、この担保については、各運営会社によって情報開示の度合いが異なります。
担保があることによって一定の保全性は確保されますが、全ての元本を保証してくれるわけではありません。
また、ファンドによっては、
- 全てに担保が設定されていない
- 担保である不動産が必ず売却できるわけではない
など、不動産を所有するリスクも存在します。
そのため、担保や保証があるからといって鵜呑みにしてしまうことは危険です。
ソーシャルレンディングで投資する際の注意点
ソーシャルレンディングで投資する上で考えられるリスクを6つお伝えしましたが、さらに知っておくべき注意点についても解説しておきましょう。
3つに分けて紹介します。
注意点①:分配・返済方法
案件に投資することを決めるときに注目する項目の中に、
- 投資期間
- 利回り
- 分配方法
が挙げられます。
それと同時に、
- 元本の償還方法
- リターン分配のタイミング
などにも気をつける必要があります。
現在、ソーシャルレンディングに投資を行う上で取られている分配方法は次の3つです。
- 元本一括返済
- 元利均等返済
- 満期一括返済
3つそれぞれの方式の概要とメリット・デメリットについて解説しましょう。
それぞれの分配方法の特徴を把握した上で、ご自身にあった投資戦略や運用方法に合った形で選択することをおすすめします。
1.元本一括返済
元本一括返済は、ソーシャルレンディングの中で最も多く採用されている分配方法です。
原則として、借入期間の満期日に元本を一括して返済することが特徴です。
そのため、元本の運用パフォーマンスが高いことや、ファンドの運用、利息の計算がしやすいことが挙げられます。
しかし、デメリットとしては、早期償還が多く、当初の見込みよりリターンが少なくなってしまったり、デフォルトが起きた場合に損失額が大きくなる点があります。
2.元利均等返済
元利均等返済は、運用期間が1〜2年間と比較的長期間に及ぶ場合に採用されている分配方法です。
元利均等返済は、元本とリターンが毎月償還される方式のことで、運用期間中、常に一定のリターン金額を得られることになります。
安全性が高く、デフォルトなどのリスクに陥っても、それまでの元本などの支払いは済んでいるため、元本毀損等のリスクを最小限にとどめることができます。
しかし、投資効率が元本一括返済と比べると悪かったり、利息の計算がしにくい、トータルのリターンが小さいなどがデメリットととして挙げられます。
3.満期一括返済
満期一括返済は、元本の償還とリターン金額の分配が償還満期時にまとめて返済される方式です。
そのため、投資効率が最も高い方法とも言い換えることができます。
毎月分配がもらえない分、投資家にも事業会社にもデメリットがあります。
しかし、両者の面倒な手間を省き、そのぶん運用効率を高めることにつながるため、投資に着目した場合はこの方法が最も優れていると言えます。
反対に、毎月一定額を分配金として得られないため、投資家、事業者にとっては「ハイリスク・ハイリターン」と言っても過言ではありません。
また、現在のソーシャルレンディングを行う上で、リスクやデメリットを加味した場合、満期一括返済の方式ではリスクが高いと思われます。
注意点②:「高利回り」ということばに惑わされない
投資家は、投資を行う上でリスクとリターンの許容度を精査するものです。
また投資自体も、利回りとリスクの関係性はある程度比例するものです。
そのため、一方が「利回り5%」、もう一方が「利回り10%」となった場合、「利回りが高いからリスクが高く危険である」、「利回りが低いからその分リスクも低く安全」と解釈する人がいますが、決してそうではありません。
実際に、この利回りの数値には「事業者の手数料」も含まれています。
運営会社や事業者によって、手数料のパーセンテージはさまざまに異なります。
そのため、一概に「利回りが低いからリスクも低い」ということにはなりませんので注意してください。
あくまで、投資を行う際は事業手数料の観点から判断することもひとつですが、案件自体の危険性、その他のリスクも考慮された上で投資を行うようにしましょう。
注意点③:「信託保全」されない
はじめに、「信託保全」について解説しましょう。
信託保全とは、ソーシャルレンディング事業会社が投資家から預かった資産や証拠金などを、会社の資産と分けて管理・保護を目的として外部機関(信託銀行等)に預けること、信託契約を締結することを指します。
これによって、万が一ソーシャルレンディング事業会社が破綻しても、顧客の資産については安全が保障されることになります。
通常、株式投資やFXなどで取られている管理方法です。
しかし、この「信託保全」という制度は、ソーシャルレンディングではほとんど設けられていません(分別管理はされてはいます)。
そのため、株式投資や為替取引(FX)とは異なり、危険性やリスクが伴うため注意が必要です。
信託保全の対応の有無も、ソーシャルレンディング事業者によって異なります。
信用できる運営会社を見つけられるか、どのように顧客の資産を管理・保全しているのかをしっかりと見極める必要性があります。
投資効率を念頭においたうえで投資を検討しよう
ソーシャルレンディングは、あらかじめ運用期間が決まっていたり、今後の手順などが決まっていたりすることが大多数です。
そのため、リスクに巻き込まれなければ決まったリターンを得ることはできますが、投資の効率性の面から考えると、必ずしも効率が良いとは言い切れません。
ソーシャルレンディングの場合、融資先から返却された資金が、自分の手元に届くまでには、ある程度のタイムラグが生じます。
もちろん、この期間については運用期間外のためリターンは発生しません。
タイムラグがあり、その期間はリターン対象外であるということを念頭に入れておく必要があります。
まとめ
ソーシャルレンディング投資を行う上でのリスクと危険ポイントについて解説しました。
簡潔に列挙しただけでも、これだけの多くの危険性が存在しています。
もちろん、今回紹介した注意点がソーシャルレンディングの全てのリスクではなく、代表的なものだけをかいつまんでお伝えしました。
今回解説したものをしっかり見極められるかどうかだけでも、ソーシャルレンディング投資で成功するかどうかが変わってくるでしょう。
ソーシャルレンディングも、あくまで金融商品のひとつです。
そのため、他の商品と比較したときに「リスクがない」、「勉強しなくても稼げる」といったことはまずありません。
必ず投資を始める前に、ソーシャルレンディングについての知識や、危険性などを正しく理解した上で投資を始めることをおすすめします。
ソーシャルレンディングの危険性についてもっと把握しておきたい方は、こちらの記事も読んでおいた方が良いでしょう。