目次
ソーシャルレンディングは元本保証ではない
ソーシャルレンディングは投資であり、元本保証はされていません。
「ソーシャルレンディングはミドルリスク・ミドルリターン」と表現されることが多いため、安全性が高く、元本も保証されると勘違いしてしまう人もいます。
しかし、ミドルリスクとはリスクが比較的低いだけであり、元本保証はないのです。
同じミドルリスク投資といわれる不動産投資や、金投資も同様です。
投資と名の付くものにはリスクが付き物ということを覚えておきましょう!
ソーシャルレンディングの元本割れリスク
ソーシャルレンディングには元本保証がなく、常に元本割れになるリスクをはらんでいます。
元本割れになるおもな要因は、主に次の2点です。
- 投資案件の貸し倒れ(デフォルトリスクともいう)
- 運営事業者の破綻
ソーシャルレンディングは、投資家から集めた資金を元手にして、運営事業者が資金の借り手企業に高金利で融資するというスキームの投資です。
借り手企業の資金繰りが悪化すれば貸し倒れになる可能性がありますし、運営事業者自体も融資した資金を回収できない事態が続けば財政状況が悪化し、最悪破綻、倒産という事態になることもありえるでしょう。
ただ、これだけリスク要因がはっきりしているのは、ソーシャルレンディングの良い面でもあります。
リスク要因が明確なことで、事前にしておくべきリスク対策もわかりやすいからです。
リスク対策については次項で説明しましょう。
ソーシャルレンディングで元本割れリスクを抑える方法
ソーシャルレンディングは元本保証がない分、できるだけ元本割れのリスクを抑える対策が重要です。
先述したとおり、リスク要因は次のいずれかですので、するべきリスク対策は明確です。
- 投資案件の貸し倒れ(デフォルトリスクともいう)
- 運営事業者の破綻
ここは非常に重要なポイントですので、ひとつひとつ説明していきましょう。
リスク対策①:保全性が高い案件を選ぶ
保全性が高い案件とは、担保や保証などが設定されており、貸付金がきちんと返済される仕組みがある案件のことです。
ただ、担保や保証付き案件ならなんでも良いわけではありません。
担保や保証付き案件の中でもより手堅い案件を見極めるポイントを解説しましょう。
不動産担保の見極め方
担保とは、借り手企業が返済不能状態になった場合、貸付金の返済に充当するために設定する資産価値のあるものを指します。
ソーシャルレンディングでもっとも多い担保は不動産担保ですので、不動産担保を見るときに重要なポイントを3つ説明しましょう。
1.LTV(loan to value:貸付金額÷担保評価額)を見る
担保の強固さを示す指標で、数値が低いほうがより貸付の安全性が高くなります。
ただ、たとえLTVが低くても担保不動産の場所が地方であり、需要が少なければ評価額通りに売れないこともありえます。
事業者が公開している担保評価額が適正額でないこともあるため、LTVだけ見るのではなく、他のポイントも確認しましょう。
※オーナーズブックのサイトでもLTVについて記載があります。ぜひ参考にしてください。
▼「ソーシャルレンディングにおける担保の分析の重要性」▼
https://www.ownersbook.jp/blog/crowdfunding/importance_of_collateral_analysis_in_social_lending/
2.担保順位を見る
担保の設定順位は高ければ高いほうが万一の際の貸付金返済に有利です。
担保順位はできるだけ第一順位、第二順位と高い案件を選ぶようにしたいですね。
3.担保不動産の場所を見る
担保として設定されている不動産の場所は、需要があるエリアのものほど有利です。
事業者が公開している担保評価額は絶対ではなく、日々変動します。
首都圏や観光需要の高い京都市など、安定して人気があるエリアの担保不動産の方が、万一の際に滞りなく売却し、貸付金の返済に充てやすくなるのです。
1.と2.のところで説明した「LTV」や「担保順位」とあわせて、担保不動産の場所は都市部なのか、地方なのかを確認するようにしましょう。
保証付き案件の見極め方
保証とは、資金の借り手である企業が返済不能状態に陥った場合、代わりに返済する義務を負う契約のことをいいます。
保証付き案件には個人連帯保証付き案件に関係会社保証付き案件、保証会社付き案件があり、それぞれ安全性が違うので気をつけましょう。
1.個人連帯保証付き案件
名前のとおり個人レベルの連帯保証なので、安全性は低いです。
個人連帯保証付き案件の多くは、資金の借り手企業の経営者や役員などが連帯保証人になっています。
借りた資金を返済できないくらい企業の資金繰りが悪化しているときに、経営者や役員に返済能力が十分にあるとは思えませんよね。
個人連帯保証に過度な期待は禁物でしょう。
2.関係会社保証付き案件
関係会社の規模によっても変わりますが、個人ではなく会社が保証を背負うことになるため、比較的安全性は高いといえる案件です。
関係会社保証付き案件としてはLCレンディングの「LCギャランティーファンド(LCGF)」が有名です。
親会社であるLCホールディングスが上場企業ということもあり、非常に人気が高い案件となっています。
3.保証会社付き案件
貸付金の保証を専門に行う、保証会社の保証が付いている案件です。
保証会社は信用力を見るプロであり、厳正な審査も行われているはずなので安全性は高いと思われますが、保証会社名が非公開のため過信はできません。
保証会社付き案件を取り扱っている事業者はmaneoやスマートレンドで、保証会社付きの案件は人気が高いのですぐ募集が終わってしまう傾向があります。
担保については、こちらの記事を参照してください。
リスク対策②:複数の案件や事業者に分散投資する
分散投資は、ソーシャルレンディング投資の肝となるリスク対策です。
ただし、保全性が高い案件を選び、かつ人気のある事業者を選んで慎重に投資をしていても、100%の元本保証があるということにはなりません。
投資した案件が貸し倒れしたり、投資している事業者が破綻したりしてしまえば大きな損失を被ることになります。
くれぐれも1案件集中、1事業者集中というような集中投資は避け、投資対象は分散させるようにしてください。
投資対象を分散させておけば、万一損失が出た場合も、他の案件の収益で補填することが可能です。
分散投資の注意点は、資金の借り手企業が複数の事業者を利用している可能性があるということ。
つまり、投資家が複数の事業者を使い分け、投資先を分けているつもりで投資していても、実は投資先の企業が同じだったということもありえます。
「実は同じだった」という事態を防ぐために、似たような投資案件ばかりに投資することはやめ、投資案件の詳細を細かく確認して重複を避けるようにしましょう。
ソーシャルレンディングと元本保証型の金融商品との比較
元本保証がないソーシャルレンディングと、元本保証型の金融商品とを比較してみましょう。
元本保証型の金融商品の代表格といえば「定期預金」です。
定期預金は名前のとおり、一定期間資金を預けることで一定の利息が得られる預金で、預けた資金が元本割れすることはありません。
ソーシャルレンディングと定期預金の比較表
項目 | ソーシャルレンディング | 定期預金 |
元本保証 | ない | ある |
運用期間 | 数ヶ月~3年未満が多い | 1ヶ月~10年が多い。 |
※投資案件により異なる | ※銀行により異なる | |
利益 | 貸付金に対し一定の分配金が発生する | 預金に一定の利息が発生する |
途中引き出し | できない | できない |
利回り | 平均8%※1 | 平均0.01%※2 |
税金 (所得税+住民税) | 所得税5%~45% | 利息に対し一律20.315% |
※所得により変動 | ||
+ | ||
住民税約10% |
(※1)国内のソーシャルレンディング事業者の利回り表記を元に記載
(※2)日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」2019年2月現在、1000万円以下の資金を1年預けた場合を参照
上記の比較表を見てみると、ソーシャルレンディングと定期預金の大きな違いは次の2点であることがわかります。
- 元本保証の有無
- 利回り
ソーシャルレンディングは投資である分、元本割れのリスクもありますが、その分高い利回りを得られます。
対して、定期預金は投資ではないので元本割れリスクはないものの、1年預けても1%以下という低い利回りで、資産運用というより、あくまで預金商品です。
それぞれメリットがある一方でデメリットもあるため、資金の目的に応じて使い分けることがおすすめです。
- 定期預金は「しばらく使わないけどいつか使う予定のある資金」の預け先として
- ソーシャルレンディングは「効率的に資産を増やすための余裕資金」の投資先として
といったように、それぞれ資産を分散して持てば、より資産形成の安全度が高まるのではないでしょうか?
まとめ
元本保証がないソーシャルレンディングのリスク対策や、元本保証型の金融商品との比較についてお伝えしてきました。
ソーシャルレンディングは投資である以上、元本保証がないですし、リスクもあります。
しかし、適切な対策を施すことで、ある程度リスクを抑え元本割れの可能性を低くすることができます。
リスク対策の基本は、次の2点を守ることです。
- 保全性を高める
- 複数の案件や事業者に分散投資する
たったの2点なので、わかりやすいですよね。
ソーシャルレンディングの魅力は、高い利回りと、取るべきリスク対策が明確でわかりやすいことです。
元本保証がなくても、ソーシャルレンディングが魅力的な資産形成であることに変わりはありません。
適切なリスク対策を取り、元本割れリスクを低くしてソーシャルレンディング投資を楽しんでください!
なお、ソーシャルレンディングのリスクについてはこちらでさらに詳しく解説しています。
ソーシャルレンディングで投資しようとしている方は、チェックしておくことをおすすめします。