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ソーシャルレンディングの利益は「雑所得」扱い
ソーシャルレンディングの利益(分配金)は所得税法上「雑所得」という扱いになり、税金が課されます。
では、そもそも「雑所得」とは何なのでしょうか?
これから詳しく解説していきます。
雑所得とは
収入の種類にはいろいろありますよね。
投資で得た収入もあれば、会社勤めで得た給与収入、預貯金に付く利子収入。
私たちは日々、さまざまな形で収入を得ています。
所得税では、収入(所得)の種類をそれぞれ「給与所得」、「事業所得」、「利子所得」など、10個の所得区分に分類しています。
そして、所得の分類ごとに税金のかかり方が決まっているため、「収入の種類でかかる税金が違う」ということになるのです。
所得の種類は10個ありますが、他の9個の所得区分のどれにもあてはまらない所得を「雑所得」といいます。
雑所得の例
雑所得の代表例は公的年金があり、仮想通貨などで得た収入も雑所得扱いになります。
- 公的年金
- アフィリエイト収入
- インターネットオークションによる収入
- 仮想通貨の売買収入
仮想通貨とソーシャルレンディングは、税法上の扱いがまったく同じです。
そのため、すでに仮想通貨投資をしている人はピンとくるでしょう。
雑所得の金額と所得税の支払
雑所得の金額は、次のの計算式で求めることができます。
会社員の場合、上記の雑所得金額が年間20万円を超えれば、所得税が発生します。
そのため、確定申告が必要となります。
雑所得金額が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。
ただし、住民税の申告は、20万円以下でも必要です。
また、所得金額によって確定申告不要なケースもあります。
もしソーシャルレンディングのほかに仮想通貨に投資していたり、アフィリエイト収入などがあったりする場合、それらの収入を合算(足し算)して雑所得の金額を計算しなければいけないため、気をつけてくださいね。
収入に応じて税率が変わる雑所得の注意点
ソーシャルレンディングでは、他の雑所得と合算した年間の雑所得金額が20万円以上あれば所得税が発生します。
ここで注意しなければいけないのが、ソーシャルレンディングの雑所得は「総合課税」になるということです。
つまり、次の2点に気をつける必要があります。
- 収入に応じて税率が変わる
- 収入が多ければ多いほど税率が高くなる(つまり多くの税金がかかる)
同じ「雑所得」でも、FX投資や先物取引は「分離課税」ですし、株や投資信託なども「分離課税」です。
分離課税の場合、他の所得とは分けて税金が計算されるため、投資と本業の収入にかかる税率はそれぞれ異なります。
投資の分だけ切り離して考えられるため、納める税金額がわかりやすいのが分離課税なのです。
ソーシャルレンディングの雑所得は総合課税扱いなので、本業の収入や他の収入とすべて合算されて所得税額が決まります。
他の収入がいくらあるかによって税率が決まるため、人によってかかる税金額は大きく異なるということを覚えておきましょう。
雑所得金額が20万円超えると所得税発生!税率は?
ソーシャルレンディングなど、雑所得金額が20万円を超えると所得税が発生します。
雑所得は総合課税なので、他の所得額と合算した課税所得額で税率が決まります。
所得税の税率は、5%から45%の7段階あります。
株式投資やFX投資など、分離課税される金融所得の税率はいくら稼ごうが一律で、
- 所得税:15%
- 住民税:5%
と決まっています。
総合課税、分離課税それぞれで、税金のかかり方がまったく異なることがわかりますね!
所得税の税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 180万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、給与所得が250万円(年収)の人を例に、所得税額を計算してみました。
- ソーシャルレンディングの雑所得=50万円
- 課税される所得金額の合計(総所得金額)=(給与所得)+(雑所得)=250万円+50万円=300万円
- 税率:「所得税の税率」の表の「課税される所得金額」が「195万円を超え 330万円以下」に該当するため、
- 税率=10%
- 控除額=9万7500円
- 所得税額=(総所得金額)×(税率)-(控除額)=300万円×10%-9万7500円=20万2500円
※別途、復興特別所得税が2.1%かかります。
上記の例は、全体の所得金額が300万円のため、所得税の税率は10%です。
仮に、ソーシャルレンディングではなく株式投資やFX投資をしている場合、給与などの所得金額は税率「10%」ですが、投資にかかる所得税の税率は一律「15%」になります。
そのため、ソーシャルレンディングの方が税率が5%低く、お得になるということですね。
しかし、総所得金額が695万円を超えると、所得税の税率は「23%」になります。
この場合は、逆に株式投資やFX投資の方がお得(税率が「15%」であり「23%」より低いため)になるといえるでしょう。
このように、給与収入など、他の収入の金額によってかかる税金は大きく異なります。
ソーシャルレンディングをする場合、個別の利益だけではなく、全体の収入額を常に把握しておくことが大切です。
ソーシャルレンディングで雑所得金額を抑えて節税する方法
ソーシャルレンディングの税金を少なく節税するために、雑所得の金額を計算するときの「必要経費」を少しでも計上するという方法があります。
ただし、なんでもかんでも必要経費にできるというわけではありません。
国税庁の定義では、次の2つが必要経費となっています。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
たとえば、ソーシャルレンディングを始めるために関連本を買ったり、有料のセミナーを受けたりすれば、それは必要経費として認められる可能性があります
必要経費の判断をするのは税務署なので、何が認められるか一概にいうことはできません。
ただ、少しでも関連する支出が発生したら領収書を取っておき、確定申告の際に提出して雑所得金額を抑えるようにしましょう。
まとめ
ソーシャルレンディングの利益と雑所得について解説しました。
大切なポイントをまとめておきましょう。
- ソーシャルレンディングの利益(分配金)は雑所得になる
- 雑所得は年間20万円以上で所得税が発生する
- 雑所得は総合課税のため、収入(所得)の額によって税率が5%から45%と大きく異なる
- ソーシャルレンディングは稼げば稼ぐほど税金がかかる
- 税金を抑えるために必要経費の算入は忘れずしておく
投資で得た利益には、なんらかの税金がかかります。
税金のかかり方や仕組みを知っておくことは、投資のトータルリターンを有利にするうえでとても重要なことです。
ソーシャルレンディング投資を有利にするために、雑所得についても必ず理解するようにしてくださいね。