複利運用とは
「ソーシャルレンディングの運用成果を高めるためには、複利運用が効果的」
という話を聞いたことがありませんか?
複利運用とは、投資元本に付いた利子を含めて運用することです。
どのような金融商品でも、複利運用をすれば利子に利子がつき、利益が雪だるま式にどんどん増えていくと言われています。
たとえば、100万円を元本に1年間金利2%で運用すると、1年後に利子が2万円発生し、合計102万円になります。
この102万円を元にしてさらに1年間2%の金利で運用すると、1年後には104万400円になります。
上記の400円は、2万円の利子に対して発生した利子です。
このように、運用で発生した利子をさらに運用することで、「利子に利子がつく」ことが複利効果なのです。
ただ、1年間で400円では、決して大きな利益とは言えませんよね。
そう、複利の効果が大きく発揮されるのは、長期間運用を続けたときなのです
具体的な効果について解説していきましょう。
複利運用の効果
複利運用は、1年や2年続けただけではあまり効果が発揮できません。
複利運用の効果は、長期間の運用でこそ発揮されるものなのです。
100万円を複利運用した場合としなかった場合(利子は運用せず、毎年100万円を運用する方法(単利運用)を続けた場合)の、将来の成果を経過年数別に見てみまょう。
- 投資元本:100万円
- 金利:年2%
※計算結果は概算値です
1年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 25年後 | |
複利運用の場合 | 102万円 | 121.9万円 | 134.6万円 | 148.6万円 | 164.1万円 |
複利運用でない場合
(単利運用) |
102万円 | 120万円 | 130万円 | 140万円 | 150万円 |
上記の例を見ると、最初の10年は1万円ほどの差しかなかったのが、20年後には8万円、25年後には14万円もの差が出ることがわかりますよね。
もし、年間の金利を、ソーシャルレンディングの平均的な利回りである年7%で運用した場合はどうでしょうか?
7%で運用した場合、25年後の総額は
- 複利運用した場合:542.7万円
- 複利運用しなかった場合:275万円
となり、その差額はなんと267.7万円です。
ソーシャルレンディングでうまく7%の運用ができ、25年間複利運用を続けることができれば、これだけ大きな差になるのです。
これから長くソーシャルレンディングでの運用を続けるのであれば、できるだけ複利運用を活用し、投資効果をより高めるようにしたいですね。
ソーシャルレンディングの複利運用
ソーシャルレンディングで複利運用するには、ソーシャルレンディングの分配金を再度投資に回す必要があります。
具体的には、次の流れで行います。
- ソーシャルレンディングサイトで投資する案件を選び、資金を貸し付ける。
- 事業者から分配金(投資で得た利子)が振り込まれる。(毎月分配型、分割分配型など案件により受取時期は異なる)
- 振り込まれた分配金を元に投資する案件を選び、資金を貸し付ける。
- 事業者から償還金(元々貸し付けていた資金。投資元本)が振り込まれる。
- 償還金を元に投資する案件を選び、資金を貸し付ける。
ソーシャルレンディングで複利運用をしていくためには、投資して得た分配金・償還金を使ってしまうのではなく、延々と1.から5.を繰り返して投資を続けていくことが大切です。
ソーシャルレンディングで複利運用の注意点
ソーシャルレンディングの複利運用には、次の3つの注意点があります。
- 複利運用は成果が出るまでに時間がかかる
- 複利運用は再投資に手間がかかる
- すぐに再投資できない可能性がある
「複利運用で成果を出したい」「トータルリターンを少しでも有利にしたい」と考えている人は、これらの注意点を踏まえたうえで複利運用をしていかなければいけません。
大切なポイントなので、ひとつひとつ説明していきましょう。
1.複利運用は時間がかかる
先ほどもお伝えしたように、複利運用は時間がかかります。
これは、ソーシャルレンディングに限らずどの投資でも同じで、1年、2年といった短期間では大きな複利効果は得ることができません。
複利効果を得るには、地道にコツコツ長期間の運用を続けることが大切です。
また、分配金と償還金を再投資するだけでなく、定期的に投資額を増やしていくことも、複利効果を大きくするコツです。
もし、ソーシャルレンディングに投入する資金を2から3年以内に使う予定があったり、分配金を日々の生活費に充てたいという目的があったりするなら、無理に再投資せず、できる範囲で運用をするようにしましょう。
トータルリターンで差が出るのは、複利運用を長期間続けられる場合だけです。
「複利運用をしなければソーシャルレンディングで稼げない」ということではありませんし、絶対に複利運用しなくてはいけないということでもありません。
ソーシャルレンディングは、短期間で投資成果が得られる魅力的な投資です。
せっかく得た分配金を使うのは、決して悪いことではありません。
自分のライフスタイルに合うのはどちらか考え、無理のない運用方法を選んでください!
2.複利運用は手間がかかる
ソーシャルレンディングの複利運用は、正直なところ手間がかかります。
その原因には次のようなことがあります。
- 事業者や案件ごとに分配金や償還金を受け取る日(振込日)が異なること
- 振り込まれる口座が自分の預金口座だったり、事業者が用意する預り金口座だったりとバラバラなこと
ソーシャルレンディングで運用をする人は、複数の案件と事業者に分散投資をしていることでしょう。
複数案件の運用成果を見るだけなら、「マネーフォワードMe」などのアプリを使えば簡単にできます。
しかし、再投資するとなると、分配金を受け取った事業者ごとにサイトにログインし、再度投資する案件を選ばなければいけません。
事業者の用意した預り金口座があれば、その口座からそのまま投資することができます。
しかし、自分の預金口座に分配金が振り込まれる場合、そこから再度事業者の口座へ資金を入れて投資に回さなければいけないので、二度手間になるのです。
自分の預金口座に直接分配金が振り込まれるのは、投資の成果をダイレクトに感じられてうれしい反面、再投資が面倒くさくなるといった手間が発生するのです。
ソーシャルレンディング自体は資産価値の変動が少なく、手間がかかりにくい投資です。
しかし、ソーシャルレンディングで複利運用をしようとする場合は、こうした手間がかかることは覚えておいてください。
3.すぐに再投資できない場合がある
先ほど、分散投資をしていると事業者や案件ごとに分配金や償還金の受取日(振込日)が違うことについてはお話しました。
受取日が違えば、当然どこかで「投資する案件がまったくない」日も出てくるでしょう。
特に、ソーシャルレンディングでは貸し倒れリスク(デフォルト)を避けるために、多くの投資家が「担保付き案件」に投資をします。
当然、資金が集中しやすい人気案件はすぐ募集が終了してしまいます。
よって、時期によっては投資したいと思える案件がない、または案件の募集自体がまったくない可能性があります。
ソーシャルレンディングは元本保証がない投資なので、分散投資と手堅い案件選びが重要です。
しかし、分散投資や案件選びを慎重にすればするほど、再投資できない場合も出てくることは複利運用の大きなデメリットといえます。
こうした事態も想定し、案件の募集ニュースはこまめにチェックしておくようにしましょう!
まとめ
ソーシャルレンディングで複利運用をするための方法や、注意点についてお話ししてきました。
複利運用を一言で表すと、「時間も手間もある程度かかるけど、長期間続ければ確実にリターンが大きくなる」運用手法です。
投資と分配、再投資をコツコツ繰り返していけば、複利効果による投資成果を存分に得られるでしょう。
ソーシャルレンディングで複利運用をするときは、時間がかかることを前提にコツコツ、長く続けるようにしてくださいね。
今回お伝えした中で良く登場した「分散投資」については、こちらを参考にしてくださいね。