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ソーシャルレンディングにかかる税金
ソーシャルレンディング投資には税金がかかるため、適切な税金対策をすることで、トータルのリターンをより有利にすることができます。
税金対策についてお話しする前に、ソーシャルレンディングにかかる税金の種類についておさらいしておきましょう。
ソーシャルレンディング投資では、貸し付けた資金が返ってくる「償還金」とは別に、利益として受け取る「分配金」に対し、
- 所得税
- 住民税
がそれぞれ税金として発生します。
所得税と住民税の課税体系は少し異なります。
これらの違いについて説明します。
「分配金」にかかる所得税と住民税
ソーシャルレンディングの分配金に発生する税金である「所得税」と「住民税」について解説しましょう。
所得税
分配金の金額と、他の雑所得金額(仮装通貨やアフィリエイトの収入など)を合算(足し算)し、必要経費を引いた残りの雑所得金額が年間20万円以上になれば、所得税が発生します。
所得税額は、他の収入と合算して決まります。
住民税
分配金の金額に関わらず、確定申告が必要です。
住民税額は他の収入と合算して決まります。
所得税と住民税の違い
「所得税」は雑所得金額が少なければ申告不要です。
つまり、税金が発生しないケースがあります。
一方で、「住民税」はどれだけ分配金の額が低くても確定申告が必要で、他の収入と合算して住民税額が決まります。
それぞれ課税方式が微妙に異なるので、しっかり覚えておいてくださいね。
ソーシャルレンディングの税金は所得税だけ前払い
ソーシャルレンディングの税金対策をするうえで知っておきたいことは、所得税だけ前払いになっているという点です。
実は、ソーシャルレンディングの分配金を受け取るとき、あらかじめ一定の所得税が引かれています(源泉徴収)。
源泉徴収で引かれる税金は、次の2つの税金をあわせた20.42%です。
- 所得税
- 復興特別所得税
住民税は含まれていません(だからこそ、住民税の申告が必須なのです)。
ここで注意したいのが、所得税の税率です。
本来、所得税の税率は給与収入などの課税所得の合計金額に応じて変動します。
所得額によっては、本来の所得税率が納めている20%より低い人もいるのです。
所得税の税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 180万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
上記の税率表を見てもわかると思いますが、課税所得金額が330万円以下の人の所得税率は5%から10%なので、前払いしている所得税は「納めすぎ」ということになります。
課税所得金額330万円といえば、額面の年収で500万円ほどです。
一般的な会社員の多くはこの「納めすぎ所得層」に当てはまるのではないでしょうか。
ソーシャルレンディングを始めてまだ利益が少ない場合、「雑所得金額20万円以下だから、確定申告は必要ない」と思う人が多くいます。
しかし、先ほど説明したように、所得税は前払いなので、本来払わなくても良い税金を払っている可能性があります。
ソーシャルレンディングで税金対策を考える人は、まず「税金を払いすぎていないかどうか」を確認することが大切です!
ソーシャルレンディングの税金対策①:還付申告
ソーシャルレンディングの税金対策の基本は、税金の払いすぎをしていないかを確認し、払いすぎた場合は確定申告をして税金を取り戻すことです。
税金を取り戻す一連の申告を還付申告といい、確定申告期間に関わらず提出することができます。
還付申告については、国税庁のホームページに記載されています。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
引用元:「還付申告」(国税庁)
前払いした所得税の金額が、本来の税額と一致していないという人は多いはずです。
会社員の場合、所得税も住民税も給与から差し引かれているため、税率や税金対策についての意識が薄くなりがちです。
しかし、税金の払いすぎを抑えるのは基本の税金対策です。
国税庁が提供している「確定申告書コーナー」は非常に使い勝手がよく、確定申告初心者でも簡単にできるので、これを機に確定申告・還付申告をマスターしておきましょう。
ソーシャルレンディングの税金対策②:必要経費の算入
ソーシャルレンディングの税金対策では、必要経費の算入も欠かせません。
必要経費とは
必要経費とは、ソーシャルレンディングでその収入金額を得るために要した費用です。
利益を雑所得の金額として計算するとき、差し引ける費用です。
(雑所得の金額)=(公的年金以外の雑所得による収入金額) -(必要経費)
必要経費の例
ソーシャルレンディングの場合、次のような費用は必要経費として取り扱うことができるケースが多いです。
- ソーシャルレンディングの攻略本など関連書籍
- ソーシャルレンディングの有料セミナーの参加費、交通費
- ソーシャルレンディングの振込や出金に必要な手数料
- ソーシャルレンディングのために発生したパソコンやスマホの通信費(※)
※パソコンやスマホの通信費など、私的な目的でも使用しているとみなされる費用については、全額計上できないことがほとんどです。
必要経費かどうかは税務署が判断する
これらの必要経費を認めるのは税務署です。
場合によっては経費として認められなかったり、一部のみの認められたりすることもあります。
関連する費用が発生したら、できる限り領収書を取っておき、確定申告の際に税務署に確認するようにしておきましょう。
地道な作業ですが、この積み重ねが課税所得金額を下げ、税金を少なくする節税のコツなのです。
まとめ
ソーシャルレンディングの税金対策の基本を2つ紹介しました。
節税方法をまとめると、次の2つが可能です。
- 還付申告
- 必要経費への計上
還付申告も、必要経費の計上も、するかしないかで将来的なリターンは大きく変わります。
せっかくソーシャルレンディングで投資をするのなら、払う必要のない無駄な税金は抑え、その分投資に回してリターンを大きくしましょう!
税金対策と同様に、ソーシャルレンディングでの収入がどのように扱われるかについて、こちらの記事も併せて読んでおくことをおすすめします。