ソーシャルレンディング会社の中には、官公庁出身の役員や社長を就任させている会社があります。
ソーシャルレンディング会社の経営樹、官公庁出身の役人を据えることにはどのような意味があるのかを考えてみました。
官公庁時代の経歴をソーシャルレンディング会社でどう活かすか
ソーシャルレンディング会社で官公庁出身の役員を就任させることは、官公庁時代の経歴をどのようにソーシャルレンディングに生かせるかが大きなポイントと言えます。
ソーシャルレンディング会社が利益を出すためには、資金を必要とする会社に融資をしなければいけません。
社長に求められることは、融資先を探すことです。
トラストレンディングでは、まさに官公庁出身の役員を多数会社に揃え、公共事業ソーシャルレンディング案件を謳い、投資家から資金を集めていました。
しかし、この公共事業安定の実態はないことが判明し、トラストレンディングを運営するエーアイトラストは、第二種金融商品取引業免許を剥奪されています。
そのため、官公庁出身の役員だからといって、その経歴を信じることは残念ながら危険だと言わざるを得ません。
会社としてソーシャルレンディング事業を継続したいという意欲があれば、公共事業案件を取り扱っているとことはメリットになります。
しかし、トラストレンディングのように規模の大きな会社でない場合は、詐欺的な行為により、その会社を潰してしまうことで投資家に損失を与えることも想定しなくてはなりません。
官公庁出身の役員や社長がいるから大丈夫だと信頼できるのは、あくまで一定規模以上の会社だけにとどめましょう。
LENDEXは財務省出身の社長が就任
ソーシャルレンディング事業者であるLENDEX(レンデックス)では、2019年3月1日(金)から財務省出身である田川徳彦氏が社長に就任しています。
LENDEX(レンデックス)では、社長交代の理由として、次の2点を挙げています。
- 前社長が監査法人との兼務であり、ソーシャルレンディング事業に取り組む時間がなくなったこと
- 財務省出身という経歴を生かし、社内の体制強化や監査体制の見直しなどを行い、これまで以上にソーシャルレンディング事業に取り組んでいきたいこと
LENDEX(レンデックス)はまだまだ小さな会社であり、やはり官公庁の出身の人間がいるからといって信じ込むのは危険だと言えます。
ただし、官公庁の出身の社長の採用の理由がトラストレンディングよりもはっきりしています。
どのような業務に取り組むことを目的とするのかという点が分かっているため、採用の理由は納得できるものがあります。
一方、官公庁の経験しかない人間が、民間企業でその手腕をすぐに発揮できるかという点は、疑問符がつかないわけではありません。
その点に関しては、前社長である筧悦生氏が会社に残るため、サポートを継続するものと考えられます。
問題はどのような業務を担当しているのか
十分によく確認しておきたい点としては、官公庁出身の人間がソーシャルレンディング会社において、どのような業務を担当するかという点です。
トラストレンディングでは6名もの官公庁出身の役人が在籍していましたが、会社の規模から考えればそれほどの人材を雇用できるほどの規模の会社には思えません。
売上高もそれほど高くありませんし、トラストレンディングは貸付金利として2パーセントしか取っていませんでした。
これはつまり、顧問サイトなどで官公庁出身の人間を採用し、事実上名義貸しの状態で会社に在籍させていたということに他ならないでしょう。
実際に業務を行っている役員であれば問題ありませんが、官公庁での経歴もよく分からない人間が、「〇〇省出身だから」ということはまったくあてにはなりません。
もし、今後官公庁出身の人間を役員に就けるソーシャルレンディング会社があれば、実際に電話をして「この何々さんは一体どのような業務を担当し、どのような目的で採用したのですか」と聞いてみると良いでしょう。
そして、可能であればその担当役員に代わってもらい、どのような経歴を持っているかを聞いてみると良いです。
世の中には官公庁を退任した人間を、顧問として採用するための求人サイトがあります。
顧問は、名義を貸すだけで月に10万円や20万円もの報酬をもらっています。
やはり、国の組織にいた人間を採用するということは、会社の信用度を高めるための見せかけの良さを強調するポイントになるのです。
ソーシャルレンディング会社でもそのような採用を行う会社が多くなれば、投資家はより慎重になり、その会社が本当に信用に足るのかをじっくりと調べていかなければなりません。
少なくともトラストレンディングのような事態があった以上、官公庁の人間がいたからといって安全である保証は一切ありません。
それよりも、会社内部の監査体制が整っているか、著名な監査法人が入っている方などを調べた方が良いです。
その意味では、四大監査法人のひとつであるとトーマツが監査に入っているSBIソーシャルレンディングは、さすがに信用に足るサイトだと言えるでしょう。
リスクを避けるのであれば、こういった会社から口座を開設していくと良いでしょう。