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ソーシャルレンディングには住民税がかかる
ソーシャルレンディング投資に住民税はかかるのでしょうか?
結論からいえば、ソーシャルレンディングで利益を得れば所得税と住民税がかかります。
ただ、ほとんどのサイトでは所得税のことばかり取り上げられていて、住民税についての情報は少ないですよね。
そのため、「ソーシャルレンディングでの住民税はどうなっているの?払わなくていいの?」と思ってしまう人もいると思います。
しかしながら、ソーシャルレンディングで利益が発生した場合は、「所得税」と「住民税」の両方が発生します。
「所得税に気を取られて、住民税の納付を忘れていた」なんてことにならないよう、所得税と住民税の納付はしっかりと行いましょう!
ソーシャルレンディングの税金体系
ソーシャルレンディングにかかる住民税と所得税は、それぞれ税率や納付方法が異なります。
全体の税金体系を理解するためには、まずは「分配金」と「一時金」にかかる税金について知っておく必要があります。
①「分配金」にかかる税金
「分配金」とは、貸し付けたお金(償還金)とは別に受け取るお金です。
分配金は、ソーシャルレンディング投資の利益の柱となります。
分配金にかかる税金
「所得税」と「住民税」の両方がかかります。
所得区分は「雑所得」です。
税金がかかるといっても、受け取った分配金全額に課税されるわけではありません。
課税対象になある雑所得金額は次のように計算されます。
(雑所得金額)=(雑所得※)-(必要経費)
※ソーシャルレンディングの分配金や仮想通貨など、「雑所得」分類される収入(公的年金以外)の合計金額
課税のポイント
年間の雑所得金額が20万円以下の場合、「所得税」の確定申告は不要です。
ただし、「住民税」の場合は雑所得金額が20万円以下でも、雑所得金額が1円以上あるなら申告が必要です。
②一時金にかかる税金
「一時金」とは、キャンペーンなどで得られるキャッシュバックなど、一時的に受け取るお金や、資産価値があるものを指します
一時金にかかる税金
「所得税」と「住民税」の両方がかかります。
所得税区分は「一時所得」です。
一時所得の場合も、受け取ったお金すべてに課税されるわけではありません。
課税対象となる一時所得の金額は、次のように計算されます。
(一時所得の金額)=(一時所得による総収入金額※)-(収入を得るために支出した金額)-(特別控除額:最高50万円)
※キャッシュバックやその他の一時所得金額の合計
課税のポイント
一時所得には50万円の特別控除があるため、50万円以下のキャッシュバックであればそもそも課税対象にはなりません。
2019年現在、ソーシャルレンディング投資市場で50万円以上もの巨額なキャッシュバックをしている業者はありません。
そのため、所得税・住民税ともに課税されることはほとんどないでしょう。
課税されるのは主に「分配金」
ソーシャルレンディングの利益には分配金と一時金があり、それぞれに税金がかかります。
しかし、先ほどお伝えしたように、一時金で課税されることはほとんどありません。
ソーシャルレンディングの税金で気をつけなくてはいけないのは分配金の方です。
分配金はソーシャルレンディング投資の収益の要になるので、課税のポイントをしっかりと抑えておきましょう!
ソーシャルレンディングの住民税の支払いと申告方法
ソーシャルレンディングの分配金には「住民税」と「所得税」がかかりますが、納税の方法がそれぞれ異なるので注意が必要です。
- 所得税:前払い(源泉徴収)
- 住民税:後払い
ここが多くのソーシャルレンディング投資家を混乱させるポイントといえます。
所得税から順に支払方法を解説していきましょう。
①所得税は前払い
ソーシャルレンディングにかかる所得税は前払い(源泉徴収)方式です。
分配金が投資家の口座に振り込まれるとき、実は所得税20%+復興特別所得税2.1%(2つを掛け合わせて20.42%)が差し引きされた状態で振り込まれているのです。
所得税の税率は、投資家の所得額に応じて5%から45%まで税率が異なります。
そのため、前払いで支払っている20%の所得税はあくまで「仮」の税額です。
確定申告により、本来の税率による納税を完了させることになっています。
会社員の方は、毎月源泉徴収で一定の所得税が給与から差し引かれ、1年の終わりに年末調整を行い、本来の納税額を確定させるという仕組みがとられていますよね。
ソーシャルレンディングの所得税前払いも同じようなイメージです。
初めに仮の税額を払っておき、確定申告で調整するという流れなのです。
②住民税は後払い
所得税とは異なり、ソーシャルレンディングの住民税は源泉徴収されていないので、後払いが必要です。
1年間の利益が確定したら住民税の申告をし、住民税を納めることになります。
ただし、先ほどお伝えしたように、所得税の確定申告をした人の場合、所得額のデータが市町村に連携されることになっているため、個別に住民税の申告をする必要はありません。
つまり、
・所得税の確定申告をした人:住民税の申告は不要
・所得税の確定申告をしていない人:住民税の申告が必要※
※分配金が発生していない場合は申告不要
ということです。
所得税の確定申告をしないケースとしては、1年間の雑所得金額が20万円以下の場合などが考えられます。
この場合、税務署から市町村にデータが連携されることがないため、自ら市町村に住民税を申告しないというわけなのです。
「住民税」は、分配金の受取が少額でも発生したら申告必要です。
「給与以外の雑所得等が年間20万円以下の場合、確定申告不要」という特例は「所得税」のことだけなので、気をつけてくださいね!
住民税の申告方法
住民税の申告は、所得税の確定申告時期と同じで、1年間の利益が確定した翌年の2月16日〜3月15日までの間に行います。
ただ、申告先は税務署ではなく、お住まいの自治体の市民税課などです。
申告先の窓口は自治体によって異なるので、住んでいる市町村や区のホームページなどを確認するようにしてくださいね。
住民税の申告が終われば、6月ごろに住民税額が決まります。
会社員の人は給与天引き、自営業者の人は年数回に分けて住民税を納めることになるのです。
住民税の税率
ソーシャルレンディングにかかる住民税は、他の所得と合算したうえで計算されます。
住民税の税率は固定になっており、
(住民税)=(課税所得)×10%
と決まっています。
所得税の場合、所得が多くなるにつれて税率が5%から45%まで変動しますが、住民税は所得が多くても少なくても、基本的に10%の税率※なのでわかりやすいですね。
※名古屋市など、一部の自治体で住民税の税率が0.数%違うことがありますが、極端に変動することはありません。
他の投資の住民税
ソーシャルレンディングと他の投資手法では、住民税や所得税の取扱いが異なります。
他の投資手法にかかる税金を見てみましょう。
投資手法別の税金の取扱い
投資手法 | 利益の種類 | 所得分類 | 課税方式 | 税率 |
株・投資信託 | 売買益 | 譲渡所得 | 分離課税 | 一律【20.315%】で、他の所得と分離されて課税される
・所得税:15%+復興特別所得税 ・住民税:5% |
FX | 為替差益 | 雑所得 | 分離課税 | |
仮想通貨 | 売買益 | 雑所得 | 総合課税 | 所得税も住民税も、他の所得と合算されたうえで課税される
・所得税:5%~45%+復興特別所得税 ・住民税:10%(自治体により若干差あり) |
ソーシャルレンディング | 分配金 | 雑所得 | 総合課税 |
*復興特別所得税とは:東日本大震災の復興財源として徴収される税金です。各年の所得税額に2.1%を掛け合わせて課税されます
株式投資や投資信託、FX投資などによる利益は、他の収入とは分離したうえで税金が課される「分離課税」という方法がとられています。
税率は一律で、給与や事業所得で変動することがありません。
一方、ソーシャルレンディングと仮想通貨は、他の収入と合算したうえで税金が課される「総合課税」方式です。
給与や事業所得により税金額が変動するのがソーシャルレンディングなので、他の投資と誤認しないよう気をつけてくださいね。
まとめ
ソーシャルレンディングと住民税のかかり方について解説してきました。
会社員の人は自分で税金を納めることがないので、所得税ならまだしも、住民税となると理解するのが大変かもしれません。
大切なポイントをまとめると、次の4点を押さえておけば良いでしょう。
- ソーシャルレンディングの「分配金」には、「所得税」も「住民税」もかかる
- 分配金から差し引かれるのは「所得税」のみ。「住民税」は後払いになる
- 所得額も住民税も、給与など他の所得額と合算して計算される
- 年間の雑所得金額が20万円以下なら、「所得税」の確定申告は不要、「住民税」は申告必要
税金の基本は、投資を楽しむためにも必要不可欠です。
基本を知り、ソーシャルレンディング投資を楽しんでくださいね。
今回の記事を読んでいただけた方は、税金対策について解説したこちらも併せて読んでおくとさらに知識が深まりますよ。