ラッキーバンクが登録取り消し処分
「2018年に行政処分を受けたラッキーバンクは、今後どうなるのか?」
多くの投資家がラッキーバンクの今後について懸念を抱いていた中で、ラッキーバンクを運営しているラッキーバンク・インベストメント株式会社に2度目の行政処分が下されました。
2度目の行政処分内容は
- 金融商品取引業の登録取り消し
- 業務改善命令
と非常に重い内容です。
ラッキーバンクに先立つ2019年3月8日(金)に、トラストレンディングも登録取り消しを受けており、ソーシャルレンディング事業者で登録取り消しを受けたのはラッキーバンクで2社目です。
では、ラッキーバンクは処分を受けて今後どうなるのでしょうか?
ラッキーバンクが起こした事件の内容を振り返りながら、同社の今後について考えていきます。
ラッキーバンク事件とは
ラッキーバンクの今後を考える前に、まずラッキーバンク事件について振り返りましょう。
ラッキーバンク事件の概要
2014年:ラッキーバンクがソーシャルレンディングサービスを開始。
不動産に特化した高利回りの案件を多数取扱い、キャンペーンも多数実施。
勢いに乗って投資額を伸ばしていた(2019年3月現在までの累計調達金額は155億円超)。
2018年3月:ラッキーバンクを運営するラッキーバンク・インベストメント株式会社に行政処分。
その後貸付金の遅延が続々と発生。
参考:「ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について」(関東財務局)
1度目の行政処分内容
①資金の不正流用があった
代表取締役の田中氏の親族が経営する会社に資金が流れていた。
②貸付審査がずさんだった
書類の不正などがあることを見逃していながら、募集時には「適正な貸付審査」を強調していた。
③担保不動産の評価がいい加減なものだった
ファンドの募集時には不動産担保の設定により保全性の高さをうたっていたが、実際は担保不動産の評価はいい加減なもので、正式な不動産鑑定評価に基づくものではなかった。
2018年12月:貸付金の債権総額約50億のうち、3割にあたる16億円の債権譲渡を発表。つまり、投資家は34億円(投資元本の約7割)もの損失を受けた。
2019年1月:ラッキーバンクで被害を被った投資家が募り、同社を相手取って合計2億7千万円の賠償を求める訴訟を起こした。
2019年3月:ラッキーバンク・インベストメント株式会社に2度目の行政処分
→今ここの段階
資金の不正流用という悪質性だけでなく、投資家に与えた損失額34億円という規模の大きさもラッキーバンク事件の衝撃さを物語っています。
ラッキーバンクの行政処分内容
投資家に大きな損失を与え、現在投資家と訴訟中のラッキーバンクは今後どうなるのか?
というところで、2度目の行政処分が下されました。
2度目の行政処分内容を簡単にまとめると、次のとおりです。
2度目の行政処分内容
1度目の行政処分で貸付金の回収に向けて適正な取り組みを行うよう指摘を受けたにも関わらず、実際には適正な取り組みは行われず、早々に担保不動産の債権譲渡を行った。
もっとわかりやすく言えば、担保として設定されていた不動産の債権をもっと高い金額で回収できたかもしれないのに、回収に向けた努力をすると言いながら、実際はしていなかった。
つまり、投資家が受ける損失を最小にする努力を一切していなかったため、
金融商品取引業者の登録取り消しと業務改善命令が下されたということです。
ラッキーバンクによって大きな損害を被った投資家にとっては今さらの行政処分、という感じかもしれません。
登録が取り消しされたからといって、虚偽の募集で投資した資金が戻ると保証されたわけではないですから。
ただ、今回はっきりと「貸付金回収の努力を怠っていた」ことが公に認められたことは、投資家の集団訴訟にとって追い風になるのではないでしょうか?
貸付金回収努力を怠っていたということは、初めから投資家に資金を返すつもりなんてなかったということです。
詐欺をするつもりでラッキーバンクを作り、詐欺を指摘されて行政処分を受けてもなお、投資家に対して一切の誠実さはなかった。
この事実は今後間違いなくラッキーバンクの訴訟で追求されるはずです。
まとめ
ラッキーバンク事件を振り返り、ラッキーバンクの今後についてまとめてきました。
ラッキーバンクの起こした事件は「虚偽の募集や資金の不正流用」に加え、「貸付金(債権)回収の努力さえも怠った」意図的かつ大規模な詐欺事件です。
しかし、今思えば、
- 不動産を取り扱うファンドで10%を超える利回りが多かった
- リスクがないように見える過剰な表記があった
など、ラッキーバンクの募集姿勢そのものに怪しい片りんがあったことは事実です。
今後ソーシャルレンディングでこのような詐欺事業者に引っ掛からないためには、過剰な表現やキャンペーン、高額利回りに惑わされない冷静な視点を持つことが大切です。
少しでも怪しいと感じたら投資をする前に再度考え直してください。