目次
ソーシャルレンディングにかかる手数料の種類
ソーシャルレンディング投資にかかる手数料にはどのようなものがあるのでしょうか?
これから投資を始めたいと思っている方は気になるところですよね。
そもそも手数料とは
手数料とは、投資に関連して発生するさまざまな諸費用のことです。
株式投資や投資信託でもそうですが、投資で利益を得ようとすれば当然、金融商品の売買や運用に一定の手数料がかかるものです。
ソーシャルレンディング運営事業者にしても、無償で投資の場を提供しているわけではなく、サイトの運営やサービスの提供には費用がかかります。
ソーシャルレンディングの場合
しかし、ソーシャルレンディングにおいては、各事業者に対して投資家が直接手数料を支払うことはありません。
なぜなら、各事業者は資金の借り手から支払われる貸付金の利息から、事業者の取り分を差し引いたうえで投資家に利益を還元しているからです。
つまり、事業者がサービスを提供するために必要な手数料はすでに資金の借り手から支払われているということです。
たとえば、資金の借り手が支払う貸付金の利息が10パーセントのファンド(案件)があるとします。
事業者は10パーセントの利息をそのまま投資家へ還元するわけではなく、自分たちの取り分として一定の利息を手数料として差し引き、投資家へ残りの利息を還元します。
ファンド募集画面で表示されている利回りが7パーセントだとすると、3パーセントが事業者の取り分ということになります。
ただ、投資家にとっては3パーセントを差し引いた後の予定利回りが表示されているため、投資家自身が「投資に関する手数料」を実感することはありません。
ソーシャルレンディングのおもな手数料の種類
ソーシャルレンディングにおいて投資家が直接支払いをする手数料としては、以下の3つがあります。
- 入金手数料:投資用口座に投資資金を入れるときの振込手数料
- 出金手数料:分配金などを払い戻しするときの振込手数料
- 管理手数料・運用手数料:※一部の事業者のみ発生※ファンドごとに定められた手数料
ソーシャルレンディング投資にかかるトータルコストを抑えるためには、各手数料についてきちんと理解しておく必要があります。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
ソーシャルレンディングの手数料①:入金手数料
入金手数料とは、ソーシャルレンディングの投資資金を入金する際にかかる振込手数料のことです。
入金先に指定されている銀行は事業者によってばらばらで、指定されている銀行と同一の銀行であれば入金手数料(振込手数料)が無料になることがほとんどです。
ただ、事業者ごとに複数の金融機関を使い分けるのは大変ですよね。
そこでおすすめなのが、他行宛の振込手数料が無料になるネット銀行を使って入金することです。
- 住信SBIネット銀行
- ソニー銀行
- 楽天銀行
はサイトの使い勝手も良く、一定の条件を満たすと他行への振込手数料が一定回数無料になるのでおすすめですよ。
ソーシャルレンディングの手数料②:出金手数料
出金手数料とは、ソーシャルレンディングの投資資金を投資家の普通預金口座へ引き出すときにかかる手数料です。
ほとんどの事業者では、投資で発生した分配金や貸し付けた資金の償還金は事業者が用意した投資用口座にプールされ、投資家が引き出すまではどんどん投資用口座に資金がたまっていく仕組みになっています。
投資家が資金を引き出すときは、好きなタイミング(引き出す際の最低下限金額が設定されていたり、振込日に制限があったりもする)で引き出すことができるものの、同時に出金手数料がかかるのが一般的です。
ただし、投資用口座を用意していない一部の事業者では、分配金や償還金は投資家が登録した口座に直接支払われることになります。
この場合、出金手数料という概念がないので基本的に出金にかかる費用は無料になります。
投資家の口座へ支払われる振込日は事業者によって異なりますし、分配金を再投資したい人にとっては再度自分の口座から入金をしなければいけないという手間が発生します。
「手数料がかかるか、かからないか、」という点だけを考えると投資用口座がないほうが良いように思えますが、再投資のしやすさを考えると投資用口座に資金をプールできる仕組みは便利なものです。
出金手数料について事業者を比較するときはこうした「再投資のしやすさ」という点もふまえて、自分の投資スタイルにあった事業者を選ぶようにしましょう。
ソーシャルレンディングの手数料③:管理手数料・運用手数料
管理手数料・運用手数料とは、「SBIソーシャルレンディング」と「クラウドクレジット」のファンド募集画面で記載されている手数料のことです。
SBIソーシャルレンディングの場合は「管理手数料」、クラウドクレジットの場合は「運用手数料」と記載され、投資するファンドごとに手数料額は異なります。
どちらの事業者についても、ファンド募集画面に記載されている想定利回りは手数料を差し引いたものが記載されています。
そのため、投資家にとっての取り分が大きく変わるわけではありませんし、この手数料を強く意識する必要はないと言えます。
ソーシャルレンディング各事業者の出金手数料
ソーシャルレンディングで投資家が支払うおもな手数料には、「入金手数料」と「出金手数料」、「管理手数料(運用手数料)」の3種類があるということをお話してきました。
上述のとおり、入金手数料はすべての事業者でかかりますし、管理手数料は大きく意識する必要はないものです。
事業者を比較するうえで大切なのは「出金手数料と投資用口座の有無」です。
主要な事業者の出金手数料と投資用口座の有無を以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
【2020年版】ソーシャルレンディング各事業者の手数料
ソーシャルレンディング事業者 | 出金手数料※税込価格 | 投資用口座 |
maneo(マネオ) | ・三菱UFJ銀行 | ある |
55円〜220円 | ||
・他行 | ||
330円〜440円 | ||
Crowd Bank(クラウドバンク) |
無料 (日本円のみ) |
ある |
SBIソーシャルレンディング | 無料 | ない |
LCレンディング | ・GMOあおぞらネット銀行 | ある |
無料 | ||
・他行 | ||
166円~261円 | ||
クラウドクレジット | ・毎月1回目まで無料 | ある |
・2回目以降の出金は770円 | ||
オーナーズブック | 330円 | ある |
スマートレンド | ・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
CREAL(クリアル) | ・楽天銀行 | ある |
52円 | ||
・他行 | ||
168円~262円 | ||
LENDEX(レンデックス) | 無料 | ある |
SAMURAI FUND | 無料 | ない |
Funds(ファンズ) | 無料 | ある |
J.LENDING(ジェイ・レンディング) | 無料 | ある |
Pocket Funding(ポケットファンディング) | ・みずほ銀行 | ある |
220円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
CRE Funding | ・GMOあおぞらネット銀行 | ある |
無料 | ||
・他行 | ||
166円〜261円 | ||
プレリートファンド | ・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
クラウドリアルティ | 無料 | ない |
アメリカンファンディング | ・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
さくらソーシャルレンディング | ・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
クラウドリース
※多数の案件で延滞が発生中。 事実上新規募集ゼロの状態 |
・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
TATERU FUNDING(タテルファンディング) ※2018年8月、顧客預金データの改ざんが行われたことが発覚。以後新規募集停止中 |
無料 | ない |
アップルバンク | ・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
グリーンインフラレンディング ※2018年7月に行政処分を受け、新規募集停止中 |
・みずほ銀行 | ある |
0円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 | ||
トラストレンディング ※2018年12月に行政処分を受け、今後新規募集は一切行われないことが決定 |
無料 | なし |
キャッシュフローファイナンス ※多数の案件で延滞が発生中 事実上新規募集ゼロの状態 |
・三井住友銀行 | ある |
110円〜440円 | ||
・他行 | ||
550円〜770円 |
※2020年12月時点の情報です。
ソーシャルレンディングの出金手数料が無料になる事業者は、次の10社です。
- クラウドバンク(Crowd Bank)
- SBIソーシャルレンディング
- クラウドクレジット(CrowdCredit)(毎月1回まで)
- レンデックス(LENDEX)
- SAMURAI(サムライ)※旧:スマートエクイティ
- Funds(ファンズ)
- ジェイ・レンディング
- TATERU FUNDING(タテルファンディング)
- クラウドリアルティ
- トラストレンディング
取扱いファンドが豊富な大手事業者のクラウドバンク、SBIソーシャルレンディング、クラウドクレジットの出金手数料無料はうれしいですね。
ただ、先ほどもお伝えしたとおり出金手数料が無料というだけで事業者を選ぶのはやめましょう。
事業者を選ぶ際は、
- 投資用口座の有無や投資のしやすさ
- 出金のタイミング(振込日)がいつなのか
などをふまえて比較するようにしてください。
出金手数料がかかる事業者の場合は、みずほ銀行などいわゆる3大メガバンクのいずれかが指定銀行になっていることが多いです。
ソーシャルレンディングで幅広く分散投資をする場合は、いずれか自分が使いやすい銀行を選んで開設しておくのもひとつの方法ですね。
各金融商品の手数料との比較
ソーシャルレンディングの手数料体系は他の金融商品と比べてどうなっているのでしょうか?
手数料の種類
まず、投資性のある金融商品にかかる手数料としては次のものがあります。
- 口座開設手数料:投資用口座を開設する際にかかる手数料
- 口座維持手数料:投資用口座を維持するためにかかる手数料
- 購入手数料:金融商品購入時にかかる手数料
- 運用手数料:金融商品の運用にかかる手数料(運用をプロに任せる投資信託独自の手数料)
- 売却手数料:金融商品の売却時にかかる手数料
- 入金手数料:投資用口座へ入金する際にかかる振込手数料
- 出金手数料:投資家の預金口座へ出金する際にかかる振込手数料
各金融商品の手数料との比較表
手数料 | ソーシャルレンディング | 株式投資 | 投資信託(REIT含) | FX |
口座開設料 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
口座維持手数料 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
購入手数料 | 不要 | 必要 | 必要※ | 必要 |
運用手数料 | 不要※一部の事業者では必要 | 不要 | 必要 | 不要 |
売却手数料 | 基本的に途中解約ができないため発生しない
※途中解約可能なファンドの場合はかかることもある |
必要 | 必要※ | 必要 |
入金手数料※ | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
出金手数料 | 事業者により異なる | 不要 | 不要 | 不要 |
※入金手数料は投資家負担だが、事業者や証券会社の指定口座からの入金であれば手数料がかからないことがほとんど
※インデックス型の投資信託は購入時や売却時の手数料がかからない商品が多い
各金融商品の手数料との比較の考察
各金融商品と比べると、ソーシャルレンディングは元々事業者の取り分が差し引かれているという手数料体系もあり、投資家が支払う手数料はほとんどないということがわかりますね。
他の金融商品ではどうしても購入時や売却時に手数料がかかるため、それぞれの手数料を細かく比較して証券会社や銀行を選ばなければいけません。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は比較する手数料が出金手数料や投資用口座の有無など限られた項目だけです。
そのため、事業者選びがそれほど複雑にならないのも、ソーシャルレンディングのメリットといえますね。
手数料は経費に含めることができる
ソーシャルレンディングの手数料はできるだけ発生することがないようにしたいものです。
ただ、万一手数料が発生した場合には投資の利益から手数料分を経費として差し引くことができます。
もし手数料を負担した場合は必ず経費として申告し、少しでも課税所得額が減るようにすることが大切です。
まとめ
ソーシャルレンディングの手数料体系や、事業者の手数料一覧、各金融商品との手数料を比較してきました。
大切な点は以下の4点です。
- ソーシャルレンディングで投資家が負担する手数料は入金手数料と出金手数料がメイン
- 入金手数料は他行あての振込が無料になるネット銀行を賢く使うのがおすすめ
- 出金手数料が無料の事業者は意外と多い(10社)
- 出勤手数料の有無だけでなく、投資用口座の有無など再投資のしやすさもふまえて事業者を選ぶのが大切
ソーシャルレンディングで得たせっかくの利益を手数料の支払いで無駄にしないために、各事業者の手数料体系を知り、自分に適した事業者を賢く使うことが大切です。
ソーシャルレンディングの税金対策に関しては、こちらをしっかり読んでおきましょう!