ソーシャルレンディングという投資手法は、世間一般から見たときにどのような評価・評判を得ているのでしょうか?2019年3月時点での評判を確認してみました。
目次
ソーシャルレンディングの「投資手法」としての評判
まず気になるのは、ソーシャルレンディングの投資としての評価です。
株式投資やFX(外国為替)といったポピュラーかつキャピタルゲインを得る目的の投資手法は一般の人にも多く利用されており、毎日新聞などにも為替や株式市場の情報が掲載されています。
一方で、ソーシャルレンディングは市場規模が年々増加しているものの、まだまだ知名度は低く、ソーシャルレンディングという投資手法を知らないという人も多くいます。
それでもソーシャルレンディングが評価を受けているのは、どのような点でしょうか?
不労所得としての評判が良い
ソーシャルレンディングが最も評価を受けているポイントは、不労所得としてほぼ手間がかからないという点です。
ソーシャルレンディングは投資信託などと同様に、お金を投資した後は自分でその資金の運用を行う必要がありません。
そのため、お金を預けただけで自動的に毎月お金が増えるという、ほぼ不労所得に近い感覚を味わった投資手法となっています。
そして、投資信託のように運用実績自体で損失や手数料が発生することもありません。
特に、ソーシャルレンディングは毎月分配金が支払われるため再投資もしやすく、複利効果を発揮させやすいことも大きな魅力のひとつになっています。
普段から相場を常時監視していることができないような多忙なサラリーマンの方でも、毎月少額からの投資を始め、少しずつ資産運用を行っていくことができます。
そういった投資に書ける労力の少なさや収益の安定性での評価が高いです。
不労所得でありながら収益性が高い
現在一般的に運用されているソーシャルレンディングの案件の利回りはどれくらいでしょうか?
日本のソーシャルレンディング会社では、投資家の金利収入を年利5パーセントから10パーセントとしています。
この利回りは、他の不労所得から得られるインカムゲイン投資よりも高めの数字です。
例えば、株式投資の分配金は2パーセントから3パーセントが一般的。
不動産投資でも、リスクが低いマンション投資では、年利は5パーセントあれば良い方です。
さらに、融資を受けていれば手元に残る最終的な利回りは2パーセントということも珍しくありません。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は、年利7パーセントといった高めの案件が数多くあり、他のインカムゲイン目的の投資手法よりもかなり高い利回りとなっています。
借入を受けて投資するということができないデメリットはありますが、手堅く自分の貯金でコツコツ資産を増やしたい人にはソーシャルレンディングは収益性の高さも相まってかなり評価が良いです。
ソーシャルレンディングのリスク評価
一方で、ソーシャルレンディングのリスク評価についても確認しておかなければいけません。
貸付先が匿名であるリスク
最も大きなリスクは貸付先が匿名であるリスクです。
ソーシャルレンディング業界で現在起こっている問題の大半も、この貸付先の匿名性によって巻き起こっていると言えます。
投資家から集めた資金を政治家の献金に利用したり、代表者の個人的な借金の返済にあてたりしているなど、投資家から見れば言語道断ともいえる不祥事が多数発覚しています。
貸付先の企業名が明らかになっていれば、融資を受けた企業も用途以外の利用することができずまたソーシャルレンディング会社もきちんと審査を行います。
現在資金の流用問題や、募集案件の虚偽に関しては第二種金融商品取引業の免許剥奪や、投資家がソーシャルレンディング会社を訴訟する問題にも発展してしまっています。
運用期間中に出金ができないリスク
もうひとつ大きいリスクとして、案件の運用期間中に出金ができないことがあります。
たとえ不祥事が起きたとしても、出金が自由に依頼できるのであれば、何か問題が起きた時点で即座に資金を戻すことができます。
売買が可能な株式投資やFX(外国為替)の場合、相場が下落した場合はすぐに損切りを行うことで、損失を最小限にすることができます。
しかし、ソーシャルレンディングはそういった損切りのような行動を取ることができません。
問題が起きた後も、投資した資金をずっと拘束されてしまうリスクがあるのです。
最悪の場合、投資したお金が「みんなのクレジットの事件」のように、ほとんど戻ってこないことも考えられます。
残念ながら最近は良い評判より悪い評判が目立つ
最近では、残念ながらソーシャルレンディングは良い評判より悪い評判が目立つ状態になっています。
それは2017年から2018年にかけて数々の業者が行政処分を受け、現在返済ち停止中、案件募集停止中の事態に追い込まれているからです。
大手メディアでは問題を伝えるニュース中心
2019年に入り、NHKのニュースのトップでソーシャルレンディング事業者に関する不祥事が報道されたことがありました。
それに伴い、朝日新聞や日本経済新聞、毎日新聞といった大手メディアでも数多くの問題が報道されています。
それは、ソーシャルレンディングの投資手法としての魅力ではなく、
- ソーシャルレンディング事業者が虚偽の案件で募集を行っている
- 管理状態が行き届いていない
という内容が中心となっています。
残念ながら、良い意味での評価による報道がされている状況とは言えません。
ほぼ「投資詐欺」としての扱いといっても過言ではありません。
案件を継続的に提供できるソーシャルレンディング会社も減っている
そして、行政処分を受けたソーシャルレンディング会社は、ほぼ業務停止状態に追い込まれています。
案件を継続的に募集しているソーシャルレンディング会社はどんどん減っているのです。
maneo(マネオ)のシステムを利用している会社で案件の募集を行っているところもありますが、もしmaneoが第二種金融商品取引業免許を剥奪された場合、それらの会社も募集を行えなくなってしまいます。
そのため、継続的に安全に投資できるのは、この辺りの会社しかなくなってしまうでしょう。
- SBIソーシャルレンディング
- オーナーズブック(OwnersBook)
- クラウドバンク(Crowd Bank)
- クラウドクレジット(CrowdCredit)
- レンデックス(LENDEX)
- ポケットファンディング(Pocket Funding)
一方で、新興のFundsは、投資手法としてはソーシャルレンディングとは必ずしも言えないものの、ソーシャルレンディングに非常に似た性質を持っている投資サイトを提供しています。
Fundsは安全性の確保や、融資先の透明性の確保も精力的に行っています
情報開示方針の変更により健全な投資となることが急務
ソーシャルレンディングの評判は、現在決して芳しいものではありません。
しかし、ある意味ではこれはソーシャルレンディングという投資手法が、より健全で安全なもとになっていくための膿を吐き出している状態とも言えます。
投資家が不利益を被るような行為を平気で行う業者が排除され、投資家の安全性が隠された状態でソーシャルレンディングがより普及していくためには、必要悪であったとも言えるでしょう。
そして、2019年3月18日(月)には、金融庁からソーシャルレンディング業者各社に対し貸付先の情報を行う旨の指導が行われました。
それを受けて、Fundsやクラウドバンク、SAMURAIなどでは、今後融資先の情報を可能な限り開示していくとの方針を発表しています。
利回りは下がるかもしれませんが、ソーシャルレンディング全体の大変大きなリスクを避け少額か気軽にできる投資手法として、ソーシャルレンディングが日本に普及していくような未来が待ち望まれます。
そうすれば、ソーシャルレンディングの評判は良くなり、投資家にとっても選択肢が増えるという好ましい事態になるでしょう。