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maneo(マネオ)の貸し倒れが怖い理由
ソーシャルレンディング業界最大手のmaneo(マネオ)に対し、「貸し倒れが怖い」「安全性は大丈夫なのか」といったネガティブな声が出てきています。
業界最大手であり、リーディングカンパニーであるmaneoになぜそのような声が出ているのでしょうか?
それは2018年7月、maneoの運営会社であるmaneoマーケット株式会社が行政処分を受けたことが発端です。
今まで順調に投資資金を集めてきたmaneoですが、行政処分によってmaneo系事業者(maneoのプラットフォームを利用してサービスを提供していた事業者。
「maneoファミリー」と呼ばれる)の不正や大規模遅延が次々に発覚しました。
各トラブルについてはまず以下をご覧ください。
【maneo本体とファミリーのトラブルまとめ】
- ※2019年3月28日時点の情報です
2018年7月:maneoマーケット株式会社が行政処分
maneoファミリーのグリーンインフラレンディングでファンド募集時に虚偽の説明があったことや、資金管理がまったくできていなかった問題が発覚。maneoマーケットが不正を働いたわけではないが、事業者の管理責任を問われる形で業務改善命令を受けた。
- 2018年7月:グリーンインフラレンディングで遅延発生(現在の遅延総額134.6億円)
- 2018年10月:キャッシュフローファイナンスで遅延が発生(現在の遅延総額7.2億円
- 2018年11月:ガイアファンディングで遅延発生(現在の遅延総額41.5億円)
- 2018年11月:maneo本体で遅延発生(現在の遅延総額61億円)
- 2019年1月:クラウドリースで遅延発生(現在の遅延総額約51.5億円)
- 2019年3月:グリーンインフラレンディングの投資家集団がmaneoマーケットなどを相手取り、集団訴訟を開始(訴訟総額 約11億円)
2019円3月28日現在、maneo本体とファミリーの遅延総額は約295.8億円です
ここまで遅延が大規模なものになると、「もう貸し倒れは避けられない」
「maneoはもう信用できない」と思う投資家が増えて当然ですよね。
一連のトラブルにより、非常に厳しい状況に立っているmaneoは今後どうなるのでしょうか?
過去の貸し倒れやmaneo本体の遅延状況を見て、maneoの貸し倒れリスクについて考えていきます。
maneo(マネオ)で貸し倒れが起きたことはある?
maneoで貸し倒れが起きたことはあるのでしょうか?
結論からいうと、maneoは過去に個人向け融資事業で貸し倒れを発生させています。
貸し倒れが起きたのはmaneoがサービスを開始した当初で、当時は欧米で話題になっていたインターネット経由の個人向け融資(P2Pレンディングということが多い。融資型クラウドファンディングという位置づけはソーシャルレンディングと同じ)をメイン事業としていました。
しかし、2011年貸し倒れや複数の遅延発生により、maneoは個人向け融資事業から撤退しました。
その後経営陣を刷新し、現在の事業者向け融資事業に方向転換したのです。
現在の事業者向け融資事業に切り替わってからのmaneoは成長を続け、今のところ貸し倒れの発生はありません。
成立ローン総額は1,600億円超と、ほかの事業者と比べても頭ひとつとびぬけた実績を誇っています。
▼maneo 事業性ローンデフォルト(貸し倒れ)発生件数はゼロ▼
maneoで過去貸し倒れが起きたといっても、それは個人向け融資のことです。
2018年から遅延が起きているファンドはすべて事業者向け融資なので、そもそもの性質が異なります。
maneoの場合、過去の貸し倒れ率がそのまま現在の貸し倒れリスクにつながるとは言い難いですね。
maneo(マネオ)本体の遅延状況
maneo(マネオ)は、過去に個人向け融資で貸し倒れを発生させていますが、事業者向け融資での貸し倒れはまだ発生していません。
つまり、過去に貸し倒れがあったからといって今回の遅延ファンドがすべて貸し倒れになるかどうかはまだわからないのです。
また、maneoファミリーの不正や遅延についてmaneo本体は管理責任を問われていますが、maneoが不正をしたわけではありません。
サービスの営業責任はmaneoのプラットフォームを借りていた各事業者にあるため、maneo本体とファミリーの不正・遅延は別物と考えてmaneoの貸し倒れリスクを考える必要があります。
貸し倒れリスクについて考えるために、下記に現在の遅延状況をまとめました。
【maneo本体の遅延ファンド状況】
※2019年3月28日時点の情報です
ファンド名 | 借り手の事業内容 | 担保の設定 | 遅延状況とコメント |
①不動産担保付きローンファンド
(事業者U社向け案件) |
太陽光発電事業 | 不動産担保有り | しっかりした評価の不動産担保が設定されており、遅延金回収は期待できる |
②maneoの虎ローンファンド
(ラーメン店開業案件) |
飲食店経営業 | 無し | 担保がなく、飲食店の売り上げにより回収状況が左右されるので厳しい状況。回収にはかなり時間がかかると思われる |
③ガイアファンディングセレクトファンド
|
米国向け不動産事業 | 無し | maneoファミリーのガイアファンディングによる遅延。maneoはガイアファンディングに対し遅延の原因や状況を確認中。調査に時間がかかっており、最悪貸し倒れの可能性もある |
④事業性資金支援ローンファンド
(事業者EO社向け案件) |
太陽光発電設備開発事業 | 不動産担保有り | もともと対象予定物件価格内での融資だったため、売却によって97%以上の回収が済んでおり、全回収が期待できる |
⑤1000億円/1100億円/120億円突破記念ローンファンド
(事業者C社およびCU社向け案件) |
不動産事業
※事業者C社から不動産事業者CU社に対する不動産担保融資というスキーム |
不動産担保有り | 担保不動産の競売と任意売却による資金回収中。
担保に設定されている不動産の場所がばらばらで、評価額も低いことが懸念材料。東京都内などの物件は売却ができているが、ほかの物件は売却が困難で回収に支障が出る可能性がある |
⑥不動産担保付きローンファンド
(事業者C社およびDE社向け案件) |
不動産事業
※事業者C社から不動産事業者DE社に対する不動産担保融資というスキーム |
不動産担保有り | 担保不動産の売却を進めており、すでに売却した物件によって回収が進んでいる |
⑦不動産担保付きローンファンド
(事業者C社およびCS社向け案件) |
不動産事業
※事業者C社から不動産事業者CS社に対する不動産担保融資というスキーム |
不動産担保有り | 設定されている担保物件の評価額が融資額以上となっているため、売却交渉がうまくいけば回収はできる見込み |
※maneo公式HPの「延滞債権/デフォルト債権一覧」と、過去の遅延発生状況お知らせより筆者が作成
資金の借り手単位で見ると、現在7つの案件で遅延が発生していることがわかります。
この中でも回収が長引く可能性、最悪貸し倒れになる可能性があるのは
- ②maneoの虎ローンファンド(ラーメン店開業案件)
- ③ガイアファンディングセレクトファンド
- ⑤1000億円/1100億円/120億円突破記念ローンファンド(事業者C社およびCU社向け案件)
の3つではないでしょうか。
②は担保設定がないうえに飲食店という売上変動が激しい事業ですし、③はそもそもの事業実態が把握できていないという状況です。
⑤に至っては担保不動産の評価額が低いのが致命的といえます。
もちろん、これは筆者の予測なので本当に貸し倒れになるかどうかはまだわかりません。
ただ、こうして遅延ファンドの状況を見ていると担保の重要性や資金の借り手事業者者の実態把握がどれほど大切なことかがよくわかると思います。
ソーシャルレンディングは元本保証がない投資ですので、遅延や貸し倒れは付き物です。
大切なのは、担保設定などのリスク対策や分散投資を行い、遅延や貸し倒れが起きてもトータルリターンがマイナスにならないような工夫をすることです。
まとめ
maneo(マネオ)の貸し倒れリスクについて、過去の貸し倒れと現在の遅延状況をふまえて解説してきました。
重要なポイントをまとめると、次の5点です。
- maneoは過去個人向け融資で貸し倒れを起こしているが、事業者向け融資での貸し倒れはない
- maneoファミリーのトラブルはmaneoに管理責任があるが、maneoが不正をしたわけではない
- maneoの遅延とmaneoファミリーの遅延は別物
- maneoで遅延中案件のうち、ガイアファンディングなどは貸し倒れ可能性ある
- 貸し倒れを100パーセント防ぐことはできないので、しっかりとリスク対策しておくことが大切
貸し倒れというものは、過去の貸し倒れ率などの実績だけではわかりません。
maneoの遅延中のファンドを見ていると順調に元本回収できているファンドもありますし、maneoファミリーがトラブルを起こしたからといってmaneo本体も貸し倒れリスクが高くなるとは言えません。
もちろん、一連のトラブルを受けてmaneoへの信頼をなくした投資家は、いったん投資を保留にするのも選択肢のひとつです。
貸し倒れはどんな事業者・どんなファンドでも起こる可能性があるため、貸し倒れが万一起きても大丈夫な投資を心がけ、できる限りのリスク対策をしておくことが大切です。