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グリーンインフラレンディングが集団訴訟!
2019年3月7日(木)、集団訴訟の報道があったグリーンインフラレンディング。
今後が気になりますよね。
報道のあった集団訴訟の内容は以下のとおりです。
【2019年4月25日追記:第1回の裁判が行われました】
集団訴訟内容
- 2018年7月から大規模遅延(2019年3月現在で134.6億円)を起こしているグリーンインフラレンディングとその関連会社、同社にプラットフォームを提供していたmaneoマーケット株式会社など4社に対し、投資家集団が約11億円もの損害賠償を求める訴訟を起こした
- 訴訟の内容は、「ファンドの募集時に虚偽の説明により投資の勧誘を受け、結果損害が出たことに対する損害賠償訴訟」となっている
- 損害賠償訴訟額11億円は、ソーシャルレンディング業界で最高額とのこと
2018年のグリーンインフラレンディング事件を発端に遅延が相次いでいる「maneoファミリー」ですが、ついに業界最高額の訴訟を起こされることになってしまいました。
集団訴訟を受け、maneoやグリーンインフラレンディングはどうなるのでしょうか?
訴訟までの経緯を振り返りつつ、今後について考察していきましょう!
グリーンインフラレンディングとmaneo(マネオ)の関係
グリーンインフラレンディングの今後を考察する前に、まずmaneo(マネオ)との関係について振り返っておきましょう!
まず、グリーンインフラレンディングとは、maneoマーケット株式会社(ソーシャルレンディング業界最大手の「maneo」を運営)が提供するプラットフォームを利用してサービスを展開していたソーシャルレンディング事業者です。
maneoマーケット
maneoを運営する傍ら、自社のプラットフォームを多数のソーシャルレンディング事業者(これらの事業者をmaneoファミリーと呼ぶ)に貸し出してファンドの募集と勧誘を行う「プラットフォーム事業」を行っており、グリーンインフラレンディングはmaneoファミリーのひとつだった。
グリーンインフラレンディング
maneoのプラットフォームを利用してソーシャルレンディングサービスを展開。太陽光発電などおもに再生可能エネルギー案件に特化したファンドを提供。
つまり、maneoマーケットは「ファンドの募集責任者」であり、グリーンインフラレンディングは「ソーシャルレンディングサービスの営業者」という位置づけです。
その2社がなぜ、訴訟されることになったのでしょうか?
集団訴訟の経緯
今後が気になるグリーンインフラレンディングとmaneo(マネオ)について、訴訟の経緯をまとめました。
2016年7月
グリーンインフラレンディングがサービス開始。高利回りの案件を中心に、急速に人気を集める
2018年5月
グリーンインフラレンディングが募集総額200億円突破(業界最速)
2018年6月
NHKがグリーンインフラレンディングの募集資金運用に不適切な点があると報道。maneoマーケットがグリーンインフラレンディングによる新規ファンド募集停止を発表(事実上のmaneoファミリー追放)
2018年7月①
maneoマーケットが行政処分を受ける(おもな指摘内容は下記のとおり)
∟グリーンインフラレンディングのファンド募集に虚偽の説明があったこと
∟グリーンインフラレンディングの資金利用の実態などを把握しておらず監督責任に問題があったことが指摘された
2018年7月②
maneoマーケットで投資家説明会が開かれた(投資家ブログや掲示板で確認できるおもな内容は下記のとおり)
∟グリーンインフラレンディングは虚偽の説明で資金を集め、集めた資金を親会社(JCサービス)などに不正流用していた
∟遅延金のうち、返済が確認できている資金は約15.5億円。ただ、返済原資の確認をするまで安易に分配はできないため、この資金は法務局にて留保される(つまり投資家には当面の間返済できないということ)
2018年7月③
グリーンインフラレンディングの親会社、JCサービスは公式HP上で資金の不正流用について真っ向から否定。
▼否定文引用▼
一部報道において、ファンドで募集した資金の一部が投資家への事前の説明と異なり融資先の企業から弊社の関係会社または関係者に渡ったかのような記載がありますが、そのような事実はありません。
「グリーンインフラレンディングについて」(株式会社JCサービス)
2018年12月
maneoマーケットより遅延の続報発表。
12月時点の遅延総額は約135億円、留保されている供託金15.5億円。
ただ、返済原資についていまだに調査中なので供託金は引き続き留保となる。
2019年3月①
グリーンインフラレンディングの親会社、JCサービスが公式HP上で返済について下記のとおり発表
∟複数のファンドの契約や返済の状況により、募集総額の60%は返済の目途が経っていること
∟ファンドの資金を返済するにはmaneoマーケットのシステム再開が必要だが、maneoマーケットからシステム再開の許可がおりていないこと
2019年3月②
maneoマーケットより遅延の続報を以下のとおり発表
∟返済原資についていまだに調査中なので供託金は引き続き留保となること
∟グリーンインフラレンディング及びJCサービスと協議が難航していること
2019年3月③
グリーンインフラレンディングのファンドに投資していた投資家が募り、maneoマーケットやグリーンインフラレンディングに集団訴訟を起こす
→今この時点です
今回の大規模遅延は、グリーンインフラレンディング(JCサービス)の主張と、maneoマーケットの主張がそもそも食い違っていることでより事態が長期化しています。
JCサービスは資金の私的流用はないと言い張っており、事態の収束を早めるために早くシステム利用を再開して供託金15.5億円を返済したいというスタンスです。
対して、maneoマーケットは管理責任を問われて行政処分を受けた手前、資金の調査に慎重にならざるをえないというスタンスです。
行政処分以降、ほかのmaneoファミリーでも遅延が発生しており、maneo本体の評判や運営にも影響が出始めているので、これ以上トラブルが起こるようなことは避けたいのでしょう。
maneoマーケット自体は、直接資金の不正流用をしたり、虚偽の説明をしたりしていたわけではありませんが、報道であたかもmaneoが虚偽の説明をしたかのようにいわれることもあり、これ以上本体に傷がつくの懸念しているように思います。
ただ、maneoマーケットはファンドの募集責任者として事業者の監督責任があります。
グリーンインフラレンディングで100億円以上の資金流用があることを見逃していたのですから、その責任はかなり重いでしょう。
慎重になりたいのはわかりますが、不正発覚後数か月たっても「協議中」「調査中」と言われるだけで資金の返済に進捗が見られない状況が続いているため、投資家がmaneoマーケットも含めて訴訟に踏み切るのは無理もないと思います。
グリーンインフラレンディングとmaneoの今後
集団訴訟を受けたグリーンインフラレンディングとmaneoは今後どうなるのでしょうか?
集団訴訟に関する報道を受け、maneoマーケット株式会社とグリーンインフラレンディングの親会社、JCサービスからそれぞれ発表がありました。
▼maneoマーケット発表文 一部引用▼
3 月8 日付の弊社、JCS社、GIL社らを被告とする訴訟につきまして、3月19 日に訴状が送達されましたことをお知らせいたします。今後につきましては、訴訟への対応を含め適切に対応し、投資家の皆様への本件分配・償還を一刻も早く実現できるよう鋭意努力してまいります。
「株式会社グリーンインフラレンディングを営業者とするファンドにかかる資金の償還・分配に向けて 「(4)今後の対応について」」
▼JCサービス発表文 一部引用▼
Q:集団訴訟についてどう考えているのか。
A:訴状未達のため、コメントは致し兼ねます。
やはりというべきでしょうか、訴訟について大きなコメントはありませんね。
ただ、両社の協議はいまだ平行線のようで、
- じっくり調査したいmaneoマーケット
- 早く返済したいJCサービス(グリーンインフラレンディング)
というスタンスは変わっていません。
集団訴訟の賠償請求額は約11億円で、供託金は約15.5億円なので供託金から支払われることもありえます。
しかし、そもそも遅延中の返済金は約135億円です。
訴訟によって一部の返済がうまくいくかもしれませんが、やはり全額返済を期待するのは難しい状況といえます。
まとめ
グリーンインフラレンディングの今後について、集団訴訟の経緯やファンドの返済について考察してきました。
以下、改めて要点をまとめてみました。
- 経緯:2018年7月にグリーンインフラレンディングの資金不正流用疑惑が発覚し、maneoマーケットは管理責任を問われ行政処分。以後、両者の主張も意向も食い違っており、ファンドの資金返済も滞っている。
- 結果:2019年3月に投資家集団が集団訴訟を起こすことになった
- 今後:maneoマーケットは調査を慎重にしたいが、JCサービスは供託金15.5億円を含め早く返済をしたい。訴訟により協議が進むかどうかはまだわからないが、遅延額の全額戻ってくる可能性は低い
関わっている事業者が2者ということで、事態がより複雑になっていると感じます。
集団訴訟が事態収拾のカンフル剤になるかどうかは正直、わかりません。
maneoマーケットには業界最大手として、リーディングカンパニーとして誠意ある対応を期待したいですが、現状は慎重になりすぎて投資家ファーストという対応ではない気がしますね。
訴訟も含めて、各社の動向や対応を今後も注視していきましょう!