2017年に行政処分を受け、その後案件募集停止。
そして返済ストップに陥った「みんなのクレジット」。
現在、さまざまな問題が渦巻いているソーシャルレンディング業界ですが、その中で最初に大きな問題を起こしたのがこの「みんなのクレジット」でした。
会社自体は存続しているものの、投資家に対してなんと募集金額の3パーセントしか返済できないという事態を巻き起こし、現在投資家から訴訟起こされています。
そのみんなのクレジットの裁判の行方は、今後どうなるのでしょうか?
目次
みんなのクレジットの罪状
みんなのクレジットは、2017年2月に行政処分を受けました。
投資家への対応がずさん
2017年5月から返済停止状態に陥り、最終的には全債権をサービサーに譲渡。
その金額が募集金額のわずか3パーセントにしかならず、投資家から大きな不満を買っています。
その後、訴訟を差し控えることを条件に投資家に対して調停策を申し出たり、仮想通貨で返済を行おうとするなど、投資家に対して誠意のある行動を取っていません。
行政処分を受けるに至った経緯
みんなのクレジットが行政処分を受けた具体的な理由は次のようになっています。
- 身内への貸付、また融資を受けたお金の分別管理といったずさんな運営
- 不動産担保を設定しているとの虚偽の説明(実際は担保が設定されていなかった)
- 身内の会社への融資ばかりであり、融資先を分散していなかった
- 集めたお金を社長が個人的な返済に使っていたという資金流用
はっきりと言って、どれも言語道断ともいえる内容であり、行政処分を受けたのは至極当然の結果だと言えます。
みんなのクレジットは刑事と民事で告訴されている
2019年4月現在、みんなのクレジットは、民事訴訟と刑事訴訟の2つで訴訟を受けています。
エンジンという少額訴訟のための組織と、アセットカフェという被害を受けた方達が団結して訴訟をする組織。
この2つの組織が訴訟を起こしており、
- エンジンは民事告訴
- アセットカフェは刑事告訴
を目指しています。
実際に裁判も行われており、このことはテレビ東京系のワールドビジネスサテライトでも放送されました。
しかし、その後の進展については現在明らかになっておらず、訴訟に参加しない人間にとってはインターネット上で評判を探るしかない状態です。
最初から詐欺目的であったと刑事事件扱いにするのは難しい
ソーシャルレンディングに投資している筆者は、みんなのクレジットには投資していませんでした。
しかし、第二種金融商品取引業免許に関わる人間として、アセットカフェのみんなのクレジット被害者の会の集まりには参加したことがあります。
当事者ではなかったので話を聞くだけでしたが、その中でクローズアップされていたのは、最初から虚偽の内容とはっきりしていない限りは、詐欺事件扱いにして刑事告訴するのは非常に難しいということでした。
ソーシャルレンディングでは、投資前に利用規約や個人情報保護方針、匿名組合契約などの書類を読むことになります。
しかし、これらを実際に読んでいる人は非常に少なく、それをまた一つひとつ全部保存している人もなかなかいないのです。
そこで、証拠となるこれらの書面を保存しておく必要があるということがアセットカフェに関わる弁護士の見解でした。
しかしながら、こういった事件で刑事訴訟に踏み切り、賠償金請求や代表の逮捕に踏み切った事例も実際に数多くあります。
それゆえ、アセットカフェは、みんなのクレジット刑事告訴に踏み切ったと言えます。
金融庁的は信用できるソーシャルレンディング会社以外を残す気は薄い
筆者が入手した金融庁の方針としては、現在ソーシャルレンディング会社に対して金融庁は非常に厳しい方針を取っているということです。
はっきり言ってしまえば、大企業のバックが付いているソーシャルレンディング会社以外は、みな事業を停止しても構わないというぐらいの指導が今後行われる可能性があるということです。
金融庁が見本として示しているのは「SBIソーシャルレンディング」ということです。
SBIソーシャルレンディングは、金融庁が手本としている安全に投資できる対象だということでした。
また、上場会社が運営しているロードスターキャピタルの「オーナーズブック」も特に問題はなさそうだと言えます。
それ以外のソーシャルレンディング会社は、SBIソーシャルレンディング並みの体制を整えることを要求されています。
きっちりとした監視体制、そして貸金の回収ができない会社は業務を停止させられ改善が実行されるので、業務を再開できない可能性もあるという話です。
2017年のみんなのクレジットに端を発してから、
- ラッキーバンク
- Maneo(マネオ)
- グリーンインフラレンディング
- クラウドリース
- キャッシュフローファイナンス
- ガイアファンディング
最近ではアメリカンファンディングまでも、返済遅延が発生するに至りました。
もちろん、返済遅延が起こること自体は大きな問題ではありません。
問題は、返済遅延起こした後どのように資金を回収し、投資家に対して説明及び資金の返済を行うかです。
特に、maneo(マネオ)及びmaneoファミリーは、グリーンインフラレンディングの僅かな資金を返済したのみであり、まったくと言って良いほど投資家保護を行っていません。
そして、資金回収の見込みも立っていない状態になっています。
金融庁の見方としては、maneo(マネオ)は預かっている金額が多いため、即座に取り潰しことは問題があるとのことです。
一方で、結果的にmaneoが第二種金融商品取引業事業のうち、ソーシャルレンディング事業を運営することができなくなったとしても、大きな問題にはならないのです。
むしろ、このような大きな会社を残していくことは、後々の禍根になるのではないかとみているようです。
投資家へ返済を行った後は、フェードアウトしていくことになるでしょう。
こういった問題が最初に発覚したのはみんなのクレジットであり、みんなのクレジットが2017年2月の段階で問題起こしました。
それにに対し、maneo(マネオ)は2018年7月まで自社の監視体制の強化を行っていませんでした。
ソーシャルレンディング業界のトップ企業としての矜持が、まったくなかったとも判断できます。
maneo(マネオ)も現在、みんなのクレジットと同様に訴訟を起こされています。
みんなのクレジットの裁判の結果が先に出るか、maneoの裁判の結果が気になるかまだわかりません。
maneoの保証に関しては、みんなのクレジットと違ってさすがに代表が資金を流用していたということはありませんが、悪質というよりあまりにもずさんな体制が問題視されています。
みんなのクレジットの今後はまずは第二種免許の取り消しからか
みんなのクレジットの今後について考えてみましょう。
ラッキーバンクそしてエーアイトラストが運営するトラストレンディングが第二種金融商品取引業免許の取り消しを受けたように、みんなのクレジットも同様の措置を受けることは時間の問題だと言えます。
そして、投資家の訴訟を受け刑事告訴をされている段階ですから、元代表である白石氏は逮捕される事態に至るのも時間の問題でしょう。
何よりも、個人用途に資金を流用していたというのがあまりにも悪質であり、これは詐欺目的であった証拠さえ見つけられれば、簡単に刑事事件として立件できます。
あとは弁護士の腕次第になりますが、みんなのクレジットの代表が逮捕される事態に陥れば、他のソーシャルレンディング会社もより襟元を正して、ソーシャルレンディング事業の運営に臨むようになるのではないでしょうか。
残念ながら結果が出るのが遅かったため、他のソーシャルレンディング会社の問題が発覚起きたとも言えます。
ソーシャルレンディング業界の正常化のためには、ぜひとも諸悪の根源ともいえるみんなのクレジットの代表である白石氏を逮捕するという結果に落ち着いて欲しいものです。