※当記事は、2023年10月6日(金)時点の公開情報に基づき執筆しています。
未上場のベンチャー企業に投資できる「株式投資型クラウドファンディング」は、投資した企業が上場すれば莫大な利益を得られる可能性がある投資先として人気を得ています。
「イークラウド」は、その株式投資型クラウドファンディングの一つです。
このイークラウドは、どのような特徴を持った株式投資型クラウドファンディングサイトでしょうか?
目次
イークラウドの実績
画像引用元:イークラウド
イークラウドには、これまで25件の募集実績があります。
イークラウドの募集実績 |
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募集ペースは2ヶ月から3ヶ月に1回と、さほど高くはありません。
他の株式投資型クラウドファンディングサイトに比べると、募集ペースはやや遅めだと言えます。
ただし、これまでに募集した24案件ともに募集目標を達成しています。
また、2021年2月は2案件の募集を行うなど、ペースが徐々に上がりつつあります。
イークラウドの総評
では、イークラウドを総合的に評価してみましょう。
利回り:3
株式投資型クラウドファンディングは、利回りは設定されていません。
株を購入した企業が上場やM&Aに成功したときに、初めて利益が出ます。
サイトとしての利回りの評価はつけられませんので、平均的な値である3としています。
実績:3
イークラウドでは、2023年10月6日(金)現在、27案件のベンチャー企業の募集をした実績があります。
募集実績としては多くはないため、実績についての評価はあまり高いものではありません。
安全性:5
イークラウドでは、法律やITなど、各分野のプロフェッショナルが厳正な審査を行った企業にのみ出資募集が行われています。
株式投資型クラウドファンディングの性質上、担保など資産の保全についての保証はありませんが、審査面での信用性は高いです。
情報開示:5
株式投資型クラウドファンディングは、情報開示が入念に行われていることが特徴の一つです。
イークラウドでは、資金を募集するベンチャー企業の経営者のインタビューや事業内容の詳細な紹介など、豊富な情報が投資家に提供されます。
そのため、投資家はその情報を見て投資の是非を判断できます。
したがって、情報開示性については満点をつけることができるでしょう。
総合評価:4
イークラウドは、実績以外は十分な評価をつけることができる株式投資型クラウドファンディングサイトです。
実績は徐々に積み重ねていくものであるため、これから1年後にはかなりの数のベンチャー企業の株式が募集されているかもしれません。
安全性や情報開示においては十分なものが行われているため、その点を評価した場合には、他の株式投資型クラウドファンディングサイトにも決して引けを取るものではないでしょう。
イークラウドの特徴
公開されている情報から、イークラウドの特徴について解説してきましょう。
そのような特徴を持った株式投資型クラウドファンディングでしょうか?
特徴
- XTech株式会社の新規事業
- 大和証券グループから資金調達を実施
- エンジェル節税の利用が可能
特徴①:XTech株式会社の新規事業
イークラウド株式会社は、スタートアップスタジオを運営する XTech(クロステック)株式会社が2018年11月21日に設立した会社です。
XTech(クロステック)株式会社は既存産業×テクノロジーで新規事業を算出することを、ビジネスコンセプトに掲げています。
新規事業としての株式投資型クラウドファンディング運営のために、イークラウド株式会社が設立されたと言えるでしょう。
イークラウドの既存サイトに対する優位性としては、初代代表取締役である西條晋一氏は「クラウドファンディング案件のディールソースにおいて、豊富な人的ネットワークが有効に機能するだろう」と表明しています。
2021年9月現在、日本の株式投資型クラウドファンディングでは一個人から上限50万円、総額1億円までの資金調達が可能です。
イークラウドを利用することで、多くのベンチャー企業が1億円の資金調達に成功することが期待されます。
特徴②:大和証券グループから資金調達を実施
イークラウド株式会社の会社概要には、関連会社として大手証券会社「株式会社大和証券グループ本社」の名前があります。
2018年11月21日のプレスリリースを見ると、大和証券グループのフィンテック専門子会社 「Fintertech株式会社」から1億8,500万円を調達したとの記載があります。
大和証券という大手証券会社が関係していることで、多様な方面からの案件調達、また資金調達ルートが開拓される期待が持たれます。
また、投資家にとっても有利な条件につながる可能性もあるでしょう。
特徴③:エンジェル節税の利用が可能
2020年10月から、イークラウドではエンジェル税制による節税(エンジェル節税)を利用できるようになりました。
エンジェル節税とは、ベンチャー企業など、これからの成長が望める企業に投資した時に、投資した資金の一部が所得税や住民税の控除対象となる制度です。
投資家にとって、イークラウドに投資した資金の一部が控除されて還元されるメリットがあります。
株式投資型クラウドファンディングは、その性質上利益が出るまでにはかなりの時間を要します。
しかし、エンジェル節税を利用できれば、毎年所得税や住民税から還元を受けることができるのです。
イークラウドの2023年7月~9月の募集実績
イークラウドでは、実際にどれほどの頃まで募集実績があるのでしょうか?
直近3ヶ月(2023年7月~9月)の募集実績を紹介していきます。
2023年9月の募集実績
イークラウドでは2023年9月の募集はありませんでした。
2023年8月の募集実績
2023年8月の募集内容は次のとおりです。
- 募集案件数:2件
- 募集金額:1,900万円
2ヶ月連続で複数件の募集がありました。
No. | 案件名 | 運用期間 | 募集金額 | 利回り |
---|---|---|---|---|
1 | 粗利率約50%!産地と消費者をつなぐ都市型八百屋を展開する青果スタートアップ「アグリゲート」 | 設定なし | 1,000万円 | 設定なし |
2023年7月の募集実績
2023年7月の募集内容は次のとおりです。
- 募集案件数:2件
- 募集金額:4,060万円
久しぶりに複数件の募集がありました。
No. | 案件名 | 運用期間 | 募集金額 | 利回り |
---|---|---|---|---|
1 | 有名投資家も多数参加。全国270か所以上の家で多拠点生活を叶える住まいのサブスク「ADDress」 | 設定なし | 3,000万円 | 設定なし |
イークラウドのメリット
投資家の視点から見て、イークラウドを利用してベンチャー企業の株を購入するメリットには、何が挙げられるでしょうか?
株式投資型クラウドファンディングならではの数々のメリットを利用できる点がポイントとなってきます。
メリット
- 大きな上場益を期待できる
- 株主優待を期待できる
- エンジェル節税を利用できる
メリット①:大きな上場益を期待できる
株式投資型クラウドファンディングの最大のメリットは、安い金額でベンチャー企業の株を購入できることです。
そして、そのベンチャー企業が株式上場に成功すれば、上場時の値上がりで、大きな売却益を期待できます。
例えば、1株500円でベンチャー企業の株を購入し、上場後に1万円にもなれば、なんと20倍もの値段になり、1株あたり9,500円の利益が出ます。
上場してしまうと、安い値段で株を購入できるチャンスはなかなかありません。
しかし、上場前であれば、格安の値段で企業の株を購入ができます。
一攫千金を狙いたい人にとっては、イークラウドは有力なベンチャー企業に投資できるサイトとして利用価値が高いです。
メリット②:株主優待を期待できる
株式投資型クラウドファンディングは大きな利益を狙うことができますが、その代わりに投資した企業が上場、もしくはM&Aで株式譲渡しないと投資家の利益は生まれません。
そのため、短期間で利益を得ることは難しい投資方法だと言えます。
一方で、ベンチャー企業によっては株を購入してくれた投資家に対し、株主優待の提供を行っている企業もあります。
イークラウドでも、第1号案件・第2号案件ともに株主優待がついています。
一般の株式投資と同じように、株式優待目当てに株を購入するという運用も考えられるでしょう。
メリット③:エンジェル節税を利用できる
イークラウドに投資したお金の一部は、エンジェル節税を利用し、年間最大50万円の控除が受けられます。
投資したお金から、最大で所得税・住民税の50万円もの控除を受けることができるため、キャッシュフローを改善する効果があります。
エンジェル節税を利用すれば、投資での利益が出なくても節税によるメリットを享受できるのです。
イークラウドのデメリット
イークラウドの投資前には、デメリットも十分によく知っておく必要があるでしょう。
イークラウドのデメリットは、株式投資型クラウドファンディングサイトならではのデメリットだと言えそうです。
デメリット
- 50万円までしか投資できない
- イグジット実績がない
- 募集案件数が少ない
デメリット①:50万円までしか投資できない
イークラウドでは、1社あたり個人投資家は50万円までしか投資できません。
これは、株式投資型クラウドファンディングサイトすべてに共通するデメリットです。
仮に大きな可能性を感じて「この会社は絶対に上場する」と期待する企業でも、一人が投資できる金額は法律で定められているのです。
大きな利益を狙う方にとっては、50万円という数字は物足りなく感じることでしょう。
大きな利益を狙う場合には、いろいろなベンチャー企業に投資しなければいけません。
デメリット②:イグジット実績がない
残念ながら、イークラウドではこれまで2案件の募集しか行われておらず、イグジット実績はまだありません。
イグジットとは、上場やM&Aで投資家に対し金銭的な利益を提供することです。
ただし、まだ株式投資型クラウドファンディングの運営を始めてから半年程度しか経過していないため、その過程ではイグジット実績がないのは仕方ないと言えるでしょう。
デメリット③:募集案件数が少ない
イークラウドの2020年内の案件募集は2件でした。
募集数には物足りなさを感じる投資家の方もいるでしょう。
他の株式投資型クラウドファンディングサイトを見ると、月間5件程度の募集を行っている「FUNDINNO(ファンディーノ)」のようなサイトもあります。
この点においては、早急に改善が望まれるところです。
2021年2月には月間で2件の募集が行われました。
徐々に募集うペースは上がってきていると言えそうです。
イークラウドのリスク対策
イークラウドは、どのようなリスク対策を行っているでしょうか。
株式投資型クラウドファンディングは、もともとインカムゲイン目的の投資ではなく、相場の上下を利用した売買益(キャピタルゲイン)を狙う投資です。
そのため、保証や担保は設定されません。
それだけに、情報開示面でのリスク対策が重要となってきます。
リスク対策
- 豊富に情報が開示されている
- 経験豊富なスタッフが多数在籍して案件の審査を行っている
リスク対策①:豊富に情報が開示されている
イークラウドの案件では、募集企業の製品やサービス、そして経営者のインタビューなど大変多くの情報が提供されています。
また、企業の業績なども公開されているため、募集企業の情報をすべてといって良いほど知ることが可能です。
投資家は、この情報を見て投資の是非を判断しましょう。
リスク対策②:経験豊富なスタッフが多数在籍して案件の審査を行っている
イークラウドでは、弁護士などの数々の専門家が在籍し、案件の募集に際して、その企業への募集が適正かどうかの判断を行っています。
そのため、問題のある企業の募集は行われることがなく、一定の信用性や将来性のある企業のみに投資することができます。
イークラウドのポジティブな評判
イークラウドは、投資家から実際にどのような評価を受けているでしょうか?
SNSなどからピックアップしてみました。
ポジティブな評判
- 募集が行われる企業の質が良い
- 運営側の顔が良く見える
ポジティブな評判①:募集が行われる企業の質が良い
イークラウドで募集が行われた会社は2社だけですが、いずれも将来性のある有望なビジネスであるという評価を受けています。
厳正な審査を行っているだけに、有力な企業をしっかり選んでいると言えます。
ポジティブな評判②:運営側の顔が良く見える
イークラウドの経営陣は、社長の波多江直彦氏を中心に、メディアに頻繁に登場しています。
イークラウドの考えがわかるだけではなく、顔をきちんと出して投資家の信頼を得るための努力をしています。
イークラウドのネガティブな評判
イークラウドでは、2020年12月には第3号案件の募集が行われる予定でした。
しかし、2021年1月に延期になっており、イークラウドの募集がスケジュールどおりに進んでいないという声がSNSではあがっています。
そのため、実務のスピードに疑問を持っている人もいるようです。
その後第3号案件は2021年2月に募集が行われ、2021年2月後半には第4号案件の募集が行われています。
イークラウドをおすすめする人
イークラウドをおすすめする人は、節税を利用しながら投資を拡大したい人です。
イークラウドでは、年間最大50万円まで所得税からの控除が受けられる、エンジェル税制による節税を利用できます。
この点を利用すれば、たとえ株式投資で利益が出なくても、投資家は50万円のキャッシュフローの改善を見込むことができます。
もちろん、募集が行われているのは専門家による審査を通過した会社ばかりであり、将来性に満ちた企業ばかりです。
ただ、株式投資型クラウドファンディングは上場しないと利益が出ないため、ロマンを求める性質の高い投資だと言えます。
大金を得るというロマンと、節税面による短期に得られる利益、その両方を実現できるのがイークラウドの最大のメリットでしょう。
イークラウドの口座開設の手順
では、イークラウドに口座を開設するためには、どのような手順を経る必要があるでしょうか?
スクリーンショットを見ながら説明していきます。
パソコンの場合
出典:イークラウド
トップ画面の「投資家登録をする」をクリックすると、メールアドレス入力画面に遷移します。
スマホの場合
出典:イークラウド
パソコンと同じように、スマホの場合も「投資家登録をする」をクリックしましょう。
メールアドレスの入力
遷移先の画面でメールアドレスとパスワードを入力し、投資家登録を行います。
確認用メールが送られてくるので、その中のURLをクリックすると、投資家認証が行われます。
クリック先のURLで投資家申請を行います。
個人情報の入力
氏名、住所、連絡先、勤務先、投資経験など個人情報を入力します。
また、振り込み用の銀行口座情報も入力します。
画像認証による本人確認
イークラウドでは、eKYC技術によるウェブ上での本人確認が可能です。
まず、画面上のQRコードをスマホで撮影します。
その後の画面で写真入りの本人確認書類として、運転免許証か写真入りマイナンバーカードをアップロードします。
そして、自分の顔写真もアップし、本人確認や審査を通過すれば、投資家登録は完了です。
イークラウドとは
出典:イークラウド
最後に、イークラウドの運営会社である「イークラウド株式会社」の概要、および代表者の経歴について確認しておきましょう。
運営元のイークラウド株式会社の会社概要
会社名 | イークラウド株式会社 |
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代表者 | 波多江直彦 |
住所 | 東京都中央区八重洲1-5-20 東京建物八重洲さくら通りビル3F |
設立 | 2018年7月 |
事業内容 | 株式投資型クラウドファンディングの運営 |
関連会社 |
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代表者の経歴
代表者の波多江直彦氏の経歴を、代表者就任時のプレスリリースから抜粋します。
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。
広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。
その後XTech Venturesにおいてパートナーとして、VR・SaaS・モビリティ・HRTech・シェアリングエコノミー・サブスクリプションサービス等への投資実行を担当。
2018年7月にイークラウド株式会社を創業、2019年12月代表取締役就任。
サイバーエージェントに就職し、その後数々のITサービスの投資に携わり事業を創設してきたことがわかります。
そして、イークラウド株式会社を創業し、2019年末に代表取締役に就任。
創業者兼代表取締役という立場から、サービスとしてのイークラウドに携わっています。
まとめ
株式投資型クラウドファンディングサイトとしてのイークラウドのサービスは、実績がまだ浅いため、評価はこれからというところです。
一方で、運営元のイークラウド株式会社を見ると、大和証券グループから出資を受けていたり、サイバーエージェント出身の経歴豊富な代表取締役が在籍していたりなど、ネットワークの面でさまざまなメリットを持っていることがわかります。
エンジェル節税が利用できたり、株主優待付き案件があったり、上場益以外のメリットも十分にあります。
本格的な始動が始まる、2021年のイークラウドに注目していきたいところです。
良い案件が登場した際にすぐに投資ができるように、今のうちから口座を解説しておくことをおすすめします。
下の「サービスサイト」から無料で解説することができますよ。