クラウドアンサー編集部は、オンラインファンド・プラットフォーム事業の運営を開始したFUEL株式会社への取材を行いました。
FUEL株式会社がオンラインファンドのプラットフォームを起ち上げた狙いや今後の目標、ソーシャルレンディング業界についての展望など、お伺いしたことについてお届けします。
目次
FUEL株式会社の会社概要
まずは、FUEL株式会社の概要を紹介しておきましょう。
会社名 | FUEL株式会社 |
所在地 | 東京都渋谷区道玄坂1-22-9AD-O渋谷道玄坂2階 |
設立年月日 | 2016年10月 |
ホームページ | https://www.fuelgr.co.jp/ |
代表者 | 代表取締役 細澤聡希 代表取締役 徳毛雄一 |
事業内容 | クラウドファンディング事業システム開発、Webサイト運営 |
FUEL株式会社は、オンラインファンドのプラットフォームを立ち上げることを目的に創設された会社です。
第二種金融商品取引業を持っています。
それでは、早速インタビューの内容をお伝えしていきましょう!
なお、取材にご対応頂いたのは、次の3名です。
- 代表取締役 細澤聡希様(左)
- 代表取締役 徳毛雄一様(中央)
- 取締役 小川喜之様(右)
なお、どなたがご回答頂いたかわかるように、ご回答頂いた方の名字を( )で記載しています(敬称略)。
オンラインファンドのプラットフォーム事業について
FUEL株式会社ではソーシャルレンディングのプラットフォーム事業のことを、「オンラインファンド事業」と呼んでいます。
そのオンラインファンド事業への参入を決めた理由は何なのかでしょうか?
まずは、この事業の魅力や意義などについて伺いました。
この事業に興味を持ったきっかけを教えてください。
(細澤)まず、すでに一定の市場が確立されており、とても再現性の高いビジネスだということです。
2016年に事業開始の準備を始めたときから、情報開示などの問題点があることはわかっていました。
それでも、次の2点から取り組む意義があると感じ、事業開始の準備を始めたのです。
- 資金を必要とする事業者と、投資したい個人を結ぶビジネスの需要が絶対にあること
- 利回りがあらかじめ決まっているため、個人投資家が安定して収益を獲得しやすいこと
一般的に、不動産ファンドへの投資は、会社単位や富裕層など、個人投資家が参入するには障壁の高いものです。
しかし、ソーシャルレンディングやオンラインファンドのスキームであれば、不動産ファンドへの投資を個人投資家にも開放できます。
そのため、我々がビジネスとして取り組み、利益を出す構造を生み出しやすいとも言えます。
そして、不動産小口投資市場の需要と成長性など、さまざまな面でメリットがあると感じました。
準備にあたり3年間の時間を要したということですがその理由をお聞かせください。
(細澤)準備段階でオンラインファンド事業に必要な「第二種金融商品取引業」登録の会社を買収し、2016年に会社を創業しました。
最初はスムーズにプラットフォームをローンチするための準備を進められていたのです。
しかし、2017年に入り、ソーシャルレンディングサイトを運営する会社で、行政処分を受ける会社が出てきました。
そのこともあって、事業に対する審査が厳しくなったり登録のための課題の追加があったりしたため、サービス開始までの時間が長期化しました。
そして、ようやく2020年に入り正式な許可が出てサービスをローンチすることができました。
大変な苦労があったと感じます。金融庁の審査の変化は、どう感じましたか?
(小川)当時は折衝に苦労しましたが、今考えると必要なものだったと感じます。
(徳毛)特に、2016年ごろのソーシャルレンディング業界は、情報開示などの点で問題があり、ある意味で問題が起こるきっかけを抱えたような状態でした。
しかし、2019年の匿名化解除により一気に情報開示が進み、企業側そして投資家の方々の意識が、「収益」だけではなく「安全性」を強く意識するようになったと思っています。
これは大変有意義であり、この先発展していくために情報開示は絶対必要であると思っています。
FUELオンラインファンドについて
オンラインファンドの成長性を感じて事業を立ち上げたFUEL株式会社。
そのFUEL株式会社が提供するプラットフォームはどのようなものなのでしょうか?
多くの投資家の方が気になるであろうこのポイントについても伺ってみました。
プラットフォームとしてのFUELオンラインファンドはどういったものになるのでしょうか?
(細澤)我々は上場している不動産会社様に限定して、このプラットフォームを提供します。
不動産会社様はプラットフォーム上で案件を組成し、不動産購入用などの資金を集めます。
そして、投資家の方々は小口投資を行い、配当を受け収益を得るというモデルです。
FUELオンラインファンドを利用できる会社を不動産限定としているのはなぜでしょうか?
(徳毛)このオンラインファンドでの資金調達が、不動産ビジネスと最も相性が良く市場が大きいからです。
現在、日本のソーシャルレンディング市場は1,500億円から2,000億円程度の市場規模です。
一方で、J-REITは資産規模ベースで約20兆円もあります。
私募ファンドも同程度ですね。
そして、証券化されていない収益用不動産の市場規模は200兆円以上と推測されます。
それだけの市場に乗り出せる、まさにブルーオーシャンです。
このFUELオンラインファンドを利用すれば、不動産会社様はシニアローンだけでは不足している資金を、メザニンローンの形で容易に資金調達できます。
この資金調達需要は、いろいろな会社様からあります。
また、メザニンローン中心であれば、不動産会社様に貸し出す際の金利も高く設定できます。
不動産専門オンラインファンド・プラットフォーム運営側として、貴社はどういったメリットを不動産会社と投資家の双方に提供されますか?
(徳毛)まず、当プラットフォームを利用していただく不動産会社様には、「システムや第二種金融商品取引業登録の内製化不要」という、時間的・リソース的なメリットの提供ができます。
オンラインファンドのプラットフォーム提供ビジネスは、希少性もあります。
マーケティングまで当社が行うため、集客からスキームの構築、投資家の方々への返済、そしてその継続などをワンストップでお任せ頂けます。
もちろん、サポートも万全体制で実施します。
(細澤)投資家の方へは、信用できる投資先の提供と情報の公開です。
我々のメンバーには不動産の専門家がいます。
システムと金融、不動産の専門家がそろった集団として、価値ある案件を提供してくれる不動産会社様と提携します。
そして、その案件を個人投資家の方々のお手元に届けます。
ソーシャルレンディング投資においては、数々の問題が発生していたことも事実です。
そこで、我々は幸いにもその問題を他山の石として、自社のオンラインファンド・プラットフォームの構築に活かすことができました。
投資家の方が求める情報をしっかり提供し、プラットフォームを利用する不動産会社様、投資家のみなさまがハッピーになれるWin-Winの関係を築いていきます。
不動産オンラインファンドで提供される案件について
FUEL株式会社の取り組みがわかったところで、実際にどういった案件が提供されるのか気になっている投資家の方も多いことでしょう。
そこで、FUELオンラインファンドを通じて提供される投資案件について、具体的な内容を聞いてみました!
第1号案件を提供される不動産会社様はどちらでしょうか?
(細澤)株式会社シーアールイー様です。
こちらは、2020年2月4日(火)に公開致しました。
株式会社シーアールイー様は、物流不動産を専門とする不動産会社であり、東証一部上場企業です。
当社との提携については、2019年8月29日(木)に発表済みです。
株式会社シーアールイー様に当社のFUELオンラインファンドをご利用頂き、その後継続的に案件の提供が行われる予定です。
予定利回りや募集規模など投資に関する条件はどういったものでしょうか?
(細澤)低すぎず、かといって高すぎもしない年間予定利回り2パーセントから5パーセントが多くなるのではないかと思っています。
最初はどうしても会員数が少ないため、募集は月1回ほど、金額は1億円未満でしょうが、投資家様の数が増えれば数億円単位の案件も提供できる見込みです。
投資は、1万円という小口から申し込めます。
会員数の短期的な目標は設定されていますか?
(細澤)「KPI必達!」という数字はないですが、他社さんを見るとファンズ株式会社さんなどは短期で会員数1万人を達成されていましたね。
当オンラインファンドの利用者様も上場企業ですから、少なくともそれくらいのボリューム感は目指さなくてはならないと思っています。
情報の開示についてはどれほど行う予定ですか?統一されますか?
(細澤)投資家の方々が求める運用物件の所在地などはきちんと公開する必要があると思います。
また、資金を調達するのは、プラットフォームを利用される会社様自身、つまり株式会社シーアールイー様の運営サイトの場合、投資家の方から集めた資金の貸付を受けるのは株式会社シーアールイー様、もしくはその関連する会社です。
そこは自動的に公開されます。
詳細については案件ごとに異なることもあるでしょうが、不動産会社様と相談の上、可能な限り公開したいです。
「最低限ここまでは公開する」という案件を通じた統一性は必要だと考えています。
投資家獲得のためのマーケティング戦略もお聞かせ願えますか?
(細澤)大規模な記者会見や大型の広告よりも、まずはインターネット上のSNSで拡散などを利用した地道な宣伝活動が重要だと思っています。
プレスリリースについては2018年から都度配信しており、さまざまな媒体様に取り上げて頂いているため、公開後にも一定の領域まで拡散される手応えは感じています。
また、投資関係のブロガーや、インフルエンサーの方にも注目をして頂けるのではないかと思っています。
不動産業界を取り巻く環境の変化をどのように捉えているのか
FUELオンラインファンドは、現状上場不動産会社に利用先を絞ったプラットフォームです。
不動産業界に限定した投資となると、リスクを感じる人もいるかもしれません。
そこで、FUEL株式会社として不動産業界の現状や投資先としての今後の可能性、展望についてどう捉えているのかについても伺ってみました。
東京オリンピック終了後や海外との関係など不動産市況の先行きに不安を感じる人が少なからずいます。その影響は投資の市場にもありそうでしょうか?
(徳毛)長期間に渡り高値圏で推移している状況下ですので市場の動きには注視しております。
現時点では不動産ファンドやJ-REITが投資をする大規模不動産市場では取引が活況であり安定しており、大きな影響はないと思います。
あえて言うなら、個人投資家向けの商品は停滞気味ですが、それは金融機関の融資引き締めの結果ですね。
不動産ファンドにはまだ金融機関も積極的に融資していますし、その融資を補う形でオンラインファンドの需要もあると思われます。
短期的な浮き沈みはあるかもしれませんが、何よりも数十兆円規模の市場があります。
我々が挑むオンラインファンドは、まずはその一部を切り取っていく形で市場を拡大させます。
個人投資家の方が小口から投資できる先として、オンラインファンドの需要は増していくのではないでしょうか。
また、株式会社シーアールイー様は物流不動産を専門としています。
物流は景気の影響を受けにくい業界ですし、賃貸物件関係の案件も今後は当社から出てくるでしょう。
そういった実需要に沿った不動産は安定性があるので、大きな浮き沈みは起こりにくいです。
さらに、売買市場は確立されているため、流動性が高くリスクは大きくありません。
将来的には不動産関係以外の案件も扱う予定などもあるのでしょうか?
(徳毛)もちろん、プラットフォームの提供先を不動産業界に限定しなければならない理由はありません。
ただ、不動産は市場の大きさや安定性にメリットがあります。
それがすなわち投資家様のメリットにもなります。
無理に他業界案件に手を出すのではなく、不動産に近しい事業、例えば医療施設やヘルスケア施設の物件取得費用の融資案件なといった内容であれば十分あり得ると思います。
投資家の方へ向けてのメッセージ
FUEL株式会社として、投資家の方にアピールしたいポイント、また長期的な視点に立った目標などを最後に聞いてみました!
FUEL株式会社は今後どのような方向で成長していくのでしょうか?
中長期的な目標やその数値はありますか?
(細澤)まずは会員数を1万人、そして10万人という規模を目指します。
日本の個人投資家や同業他社様の会員数などを見れば、これは決して達成が難しい数字ではないと思います。
不動産関係の事業者は、先にも申し上げたとおり、金融機関以外のさまざまなところからも資金調達をしたいと考えている会社が多いです。
いずれ10億円規模の案件も提供できるようになるでしょうし、会員数獲得のためにはマーケティング以上に安定した案件の提供が必要だと思います。
どういった投資家の方に利用してもらいたいなどの想いがあればぜひ聞かせてください!
(細澤)オンラインファンドはBtoBではない、個人投資家の方向けの投資サービスです。
その事実を知っていただき、いままで一部の投資家しかできなかった大規模な不動産ファンドへの投資を多くの方に開放していきたいと思います。
今は3社様と利用に関するお話が済んでいますが、これを10社以上に増やし、運用残高1,000億円といった規模にしていきたいと思います。
(徳毛)エキセントリックなことをやる必要はないと思っています。
安心して投資頂ける対象であり、そこで他の投資を比較しても満足頂ける利益を提供していきます。
また、多様性のある投資企画として、富裕層向けのファンドなどもやっていきたいですね。
当社のサービスを通じてさまざまな不動産会社様、そして個人投資家の方の資産形成のお手伝いをできれば幸いです。
まとめ
オンラインファンドのプラットフォーム「FUELオンラインファンド」を運営されるFUEL株式会社にインタビューさせて頂きました。
サイトのローンチまで3年の時間を要したとのことでしたが、かえってそれが法整備や融資スキームの安定、強化につながったということもあり、幸先の良いスタートが切れそうな予感がします。
後発のサービスにはなりますが、それだけに既存のサービスの問題点を研究していたり、差別化に取り組んだりしています。
何よりも、提携先が「上場企業」という安心感は、投資家の方にも歓迎されるのではないでしょうか。
昨今、ソーシャルレンディング関係のサービスは、募集を行えばあっという間に上限金額に達してしまう状況です。
ソーシャルレンディング投資家の方の投資欲は強く、今後は個人不動産投資家の方の資金はこの分野に集まっていくかもしれません。
「FUELオンラインファンド」の登場は、ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングのような「インターネットを通じたインカムゲインを得られる小口投資」市場に大きな影響を与えそうです。
今回の取材記事を通して、「FUELオンラインファンド」に興味を持った方も多いことでしょう。
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