クラウドアンサー編集部では、ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングを運営する会社様にインタビューを行い、事業の詳細や目標、そして事業に対する想いなどを記事にしています。
不動産投資型クラウドファンディングは、新規参入する不動産会社が続々と登場し、投資家の立場では「どこの不動産投資型クラウドファンディングサイトに投資いたら良いだろう?」と悩んでいる方もいることでしょう。
今回ご紹介する TECROWD(テクラウド)は、TECRA株式会社が運営する2020年2月から運営を開始した不動産投資型クラウドファンディングサイトです。
日本国内ではなく、中央アジアの不動産を運用するという他の不動産投資型クラウドファンディングサイトにはない特徴を持っています。
そこで、TECROWDを運営するTECRA株式会社取締役遠藤幸一郎氏に話をお伺いしてきました。
目次
運営会社のTECRA株式会社とは
出典: TECROWD(テクラウド)
中央アジアの不動産を扱うという独自性を持つTECROWD。
まずは、運営会社のTECRA株式会社の概要を確認しておきましょう。
会社名 | TECRA株式会社 |
---|---|
代表者 | 代表取締役社長 今井 豊和 |
資本金 | 1億5,660万円 |
本社 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA4F |
免許 | 建設業許可(特-30)第74708号宅地建物取引業者免許(3)26122号
不動産特定共同事業許可番号 神奈川県知事 第12号 |
一級建築士事務所登録 | M design+architect一級建築士事務所
神奈川県知事登録 第17479号 |
TECRA株式会社について
まずは、 TECROWD(テクラウド)の運営会社である、TECRA株式会社について聞いてみました。なぜモンゴルなど中央アジアで不動産開発を手掛けるようになったのでしょうか。
内装業から事業をスタートし、建設業から不動産開発業へ進出されたのでしょうか?
そのとおりです。
横須賀市の内装業者からスタートし、総合建設や開発を手掛けるようになり、不動産投資型クラウドファンディング事業に進出を行っています。
海外、特に中央アジアの不動産市場に興味を持ったきっかけはありますか?
成長著しい市場だからです。
この地域は、いわゆる新興国に該当しますが、それだけに人口も増加しており、経済成長が進んでいます。
私たちの取引会社でもこの地域へ進出している会社がありそのご縁でお仕事をさせていただく事になりました。
ただし、日本と同じような工期や予算遵守の上で同程度の品質の物件を建てるには、日本の企業が監修をすることが必要だと考えました。
そこで、当社が進出することにより、日本の施工管理と同じクオリティで物件を建て、クラウドファンディングで運用すれば、投資家の皆様にとっても安心して投資できる対象になるのではないかと考えました。
第1号ファンドに選定されたモンゴルの不動産市場はどのような状況でしょうか?
まだ人口の7割がゲル(移動式住居)に住んでいます。
首都ではマンション建設も進んでいますが、インフラの整ってない地域もあり、貧困層も多くいます。
それだけに、当社ではものづくりの側面でそういった国の発展に寄与していきたいという想いを持っていました。
大手ゼネコンは東南アジアへの進出は進んでいますが、まだまだ中央アジアへ進出している企業はほとんどありません。
それだけに、当社が進出する意味は大きく、またビジネスの開拓の余地も残されています。
他の国にも進出する予定はありますか?
モンゴル以外ですと、ウクライナやカザフスタンにチャレンジする準備を進めています。
不動産投資型クラウドファンディング事業について
日本の大手ゼネコンが進出していない地域である中央アジア。
それだけに、ビジネスとしての進出の意味は大きく、また新興国の発展にも寄与していきたいと考える TECROWD(テクラウド)。
では、なぜ中央アジア新興国への進出の手段として、不動産投資型クラウドファンディングを選んだのでしょうか?
モンゴルの不動産を開発するにあたり「不動産投資型クラウドファンディング」を選んだ理由を教えてください
日本国内での不動産開発は、金融機関からの融資がつきます。
しかし、モンゴルで不動産を建てるとなると、なかなか日本の銀行は融資をしてくれません。
そこで着目したのが不動産投資型クラウドファンディングです。
すでに多くの不動産会社が不動産投資型クラウドファンディングを立ち上げていましたが、投資家の方にきちんとメリットを提供し、情報の透明性を確保すれば新興国の不動産でも資金を集めて運用できるのではないかと考えました。
それが、2020年頃です。
不動産投資型クラウドファンディング事業に乗り出す狙いは何でしょうか?
まず、クラウドファンディングの市場を見る限り、投資家の投資意欲に対する案件の供給が追いついていないと感じました。
そのため、まだ新規参入の余地はあると考え、特に独自性のある案件を供給できれば、投資家の皆様に受け入れられると思っていました。
実際投資家の皆様の反応も大変良く、手応えを感じています。
投資家の皆様からの出資を集め、モンゴルなどの中央アジアに日本企業が施工管理する質の高い不動産を提供しモンゴルなどの新興国の成長に貢献していく。当社としての目標を達成するために、不動産投資型クラウドファンディングは最適な手法だと感じています。
不動産投資型クラウドファンディング事業の開始にあたり最も大変だったことは何でしょうか?
中央アジアというエリアでの施工管理は、物理的な距離もそうですし、人材を用意したり、現地の法制度などを理解したりすることに苦労が伴いました。
コンストラクション・マネジメントを行うためには、予算や工期、安全管理において日本と同じ体制、クオリティを構築しなければなりません。
モンゴルでは、大きな建物を立てようとしても、途中で資金不足に陥り、放置されている建物などもあります。
そういったことが起こらないように、日本のいわゆるゼネコンが行っている建築フローを再現するための努力に時間を掛けました。
日本人社員も現地にいき、現地には日本語が話せるモンゴル人スタッフもいます。
日本国内の案件を扱わず、新興国の案件を扱う理由を教えてください
モンゴルなど中央アジアは不動産の開発コストが低いです。
そのため、日本の物件に比べて高い利回りの商品を提供できます。また、人口が年々増加するいわゆるボーナス期であり、賃貸物件の需要は今後もさらに増えていきます。
総合的に見て、不動産投資の市場として魅力的だということです。
また私どもは新興国の暮らしの向上にきっかけを提供することが会社のミッションになっています。TECROWDを通じて投資活動で新興国の成長に貢献するという社会貢献性も投資家の方々には感じでいただきたいと考えています。
多数の不動産会社がクラウドファンディング事業に乗り出していますが、この分野はさらに発展するでしょうか?
多くの不動産会社様が不動産投資型クラウドファンディングに進出していますがまだ、不動産投資型クラウドファンディングの認知度は高くありません。
なので、多くの会社が進出することで、不動産投資型クラウドファンディングという投資の認知度が上がっていきますし、投資家の需要に対する案件の供給も行なっていくことができます。
資産形成の手段においてよりメジャーなものになっていきたいと考えています。
不動産投資型クラウドファンディングサイト「TECROWD」について
魅力的な市場であるというモンゴルの不動産市場。
そういった、今後発展が望まれる地域の不動産案件を扱う「 TECROWD(テクラウド)」について詳しく伺いました。
投資家に訴求したい特徴やメリットは何でしょうか?
海外案件を扱っているのは、数ある日本の不動産投資型クラウドファンディングでも現状ではTECROWDだけかと思います。投資対象が差別化につながっていると考えています。
また、もう一点着目して頂きたいのが、TECROWDに投資することで、品質の良い住宅をモンゴルに増やし、新興国の生活レベルの向上に寄与できるという点です。
TECROWDを通じて社会貢献を行うことができて、同時に金銭的な収益も得ることができる。
投資をすれば金銭的にも豊かになりますが、“他者貢献”を行うことで心も豊かになると私達は考えます。
そのような考えがもっと世の中に普及して欲しいと思っています。
投資家に対して社会貢献の側面も知って欲しいということでしょうか?
もちろん、前提は小口投資商品として、投資家の皆様に確かな利益を提供しなくてはならないと考えています。
ただ、それと同時に現地のレポートなども配布して、皆様からお預かりした資金がどのように現地に貢献しているかという事も知って欲しいと思います。モンゴルに行ったことがあるという方はあまり多くはないと思いますが、TECROWDを通じてモンゴルや中央アジアの事もより知っていただければ嬉しいです。
2021年2月にTECROWDを公開して投資家からの反響はいかがですか?
第1号ファンドは15分で完売し、投資商品として期待していただいているという手応えを感じています。
ただ、不動産投資型クラウドファンディング自体はまだ余り知名度が高くありません。
現在、TECROWDに注目してくださっている投資家の皆様は、すでに不動産投資型クラウドファンディングのことをよく知っている方々だと思います。
ですから今後はまだ不動産投資型クラウドファンディングに投資したことのない投資家様にもアピールしていきたいと考えています。
そのためにはどういった方法を考えていますか?
まずは、実績を作って信用を得る、これが前提です。
募集から配当、償還を繰り返して、投資家の皆様に信頼されるサービスにならなくてはいけません。そして、情報公開をしっかりと行なっていくことです。
日本から遠く情報も限定的なので、積極的に情報を提供し、投資家の皆様にはより現地のこと、物件のことを知っていただく必要があると考えます。そのため、コラムやセミナー等投資家の皆様への発信も行っていきます。
途上国案件ならではの難しさはありますか?
日本とは異なる、現地の法律や税制に適応した案件を組成することです。
日本で投資商品にするにはきちんとした基準が定められていますので、新興国の物件をその基準に適合させていくには時間がかかります。
為替変動の影響に関して投資家は影響を受けないでしょうか?
現地企業が為替リスクをとり、円建てでの取引になるので為替リスクは軽減されています。
TECROWDの今後の目標について
投資家の方にお伝えしたい想いやメッセージがあればお願い致します。
「投資で社会貢献ができる」というのがTECROWDの強みであり魅力です。
その願いに共感してくれる投資家の方々が増えて欲しいと考えます。
当社としては、モンゴルやウクライナなど、成長過程にある国の発展に寄与したいと強く思っています。
そして、不動産投資型クラウドファンディング市場の拡大につながり、多くの人が社会貢献と資産形成をより身近なものにできればと考えています。
まとめ
海外案件を扱うという唯一無二の特徴を持つ TECROWD(テクラウド)。
その独自性の背景には、投資家にとって確かな価値のある案件を提供すること、そして新興国の住環境に貢献したいという想いがあります。
まだまだ市場が成長途中にある不動産投資型クラウドファンディング。
TECROWDでも、より多くの人に不動産投資型クラウドファンディングが広まっていくように、案件の提供と情報発信を続けていきたいということです。
TECROWDが不動産投資型クラウドファンディングの可能性を広げ市場を牽引していく。
そのような未来の到来も、決して遠くはないでしょう。