金融メディアや金融関連のサービスを運営する株式会社ZUU。
そのZUUが、アジアビジネスへの融資案件に特化したソーシャルレンディング会社COOLを運営する株式会社COOL SERVICESの株式を取得し、その子会社である株式会社COOLを子会社化したことを2019年10月18日(金)に発表しました。
COOL子会社化の背景や、ZUUの買収目的をリリースから見ていきましょう。
ZUUのこれまでのソーシャルレンディング関連の動き
出典:ZUU
ZUUは資産運用の総合プラットフォーム運営企業を標榜しており、数々の金融メディアを取り扱っています。
その一環として、クラウドポートからソーシャルレンディングメディアサイトを買収し、「ZUU FUNDING」を現在運営しています。
今回は、メディアではなく実際にソーシャルレンディングを運営する会社を買収したことで、ソーシャルレンディング事業への進出が予測されます。
ZUUではリリースの中で買収の背景を以下のように発表しています。
今後の更なる成長に向けて、当社は、2019年5月14日に開示した「決算説明資料」の中で、金融サービスの直接展開のために、許認可取得とシステム構築を成長投資分野のひとつとして掲げておりました。株式会社COOLSERVICESは貸金業の登録を、その子会社である株式会社COOLは、金融商品取引業における第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業の登録をしており、アジアビジネスの投資案件に特化したソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)の運営に関しての経験と、実績を有しております。
今回の子会社化により、当社の強みである、「金融に関する興味関心の高いユーザーの囲い込み」及び「購読履歴データを活用した潜在層の顕在層化」を生かして、事業運営のノウハウを共有し、相互の顧客紹介や当社メディア・プラットフォームと連携したユーザーの獲得を通じて、事業基盤の強化へ一層注力してまいります。
ZUUでは以前から自社で直接的に金融サービスを展開することを目標としていました。
そこで、第二種金融商品取引業と貸金業登録を行っている株式会社COOLおよび株式会社COOL SERVICESの買収で、即座にソーシャルレンディング事業を開始できるという狙いがあると考えられます。
まず、自社の顧客をソーシャルレンディングサービスにに誘導。
そして、金融プラットフォームとしてのノウハウを活用し、さらなるソーシャルレンディング投資家獲得や、自社のメディア展開との相乗効果を発揮させる狙いも見えてきます。
ZUUがソーシャルレンディングサービスを展開する意味
ZUUが直接ソーシャルレンディングサービスを展開することで、ソーシャルレンディング投資家にはどんな影響があるでしょうか?
意味①:ソーシャルレンディングの知名度向上
ZUUは会員数100万人を超えるメディアを有しています。
その中で自社のソーシャルレンディングサービスを紹介すれば、多くの投資に関心を持つ層が、ソーシャルレンディングのことを知るようになるでしょう。
市場規模は成長はしているものの、まだまだ知名度が高いとはいえないソーシャルレンディング。
ZUUという巨大メディアを持つ企業が直接運営することで、ソーシャルレンディングの知名度も向上するでしょう。
雑誌やメディアにソーシャルレンディングが取り上げられる機会も増えるかもしれません。
意味②:ソーシャルレンディング投資機会の増加
COOLは2019年7月にサービスを開始しましたが、その間はわずか1案件の募集しか行っていません。
投資家からすれば、物足りなさも感じられたでしょう。
ZUUの子会社になり人員や資金的な余裕ができれば、積極的な案件の組成、顧客開拓、会員登録が行われ、ソーシャルレンディングサイトとして活性化する効果が期待されます。
ソーシャルレンディングの案件も増え、投資機会も増えるでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディング投資家からすれば、サービスを開始したばかりのCOOLをZUUが買収したことは大きな衝撃ともいえる出来事です。
ただし、ZUU側では以前から金融事業進出を表明しており、ZUUの動向をチェックしていた人からすれば、自然な流れだと捉えられるでしょう。
COOLは第二種金融商品取引業と貸金業に登録しています。
ZUUにすれば、ソーシャルレンディングに必要な2つの登録済みのCOOLが、実績を重ねる前に買収することで、買収費用を抑える狙いがあったとも考えられます。
メディアサイトの買収、そしてソーシャルレンディング会社の買収と本格的にソーシャルレンディングに進出してきたZUU。
まさにソーシャルレンディング業界の風雲児として、目が離せないところでしょう。
メディアを抱える会社として、ソーシャルレンディングをこれまでと違った角度から世間に広めていくかもしれません。