不動産投資で初めてアパートを購入する場合、複雑な手続きや費用で不安になる方が多いです。
「購入完了までの流れと手続きの仕組みが知りたい」「アパート購入までにどのくらいの費用が必要で相場はいくらなのか?」
そんな疑問に答えられるよう、アパート購入の流れや引き渡しまでにかかる費用と相場までを詳しく紹介していきます。
新築・中古アパートそれぞれのメリット・デメリットについても解説するので、物件選びの参考にしてくださいね。
新築のアパート購入は失敗しやすい
最初に、「新築アパートを購入すると不動産投資は失敗しやすい?」というよくある質問に答えていきましょう。
不動産投資の初心者がアパート購入をする場合、新築アパート投資は失敗しやすいということは事実です。
なぜなら、中古アパートの方がリスクと費用を少なく運用することができるからです。
中古と比べて新築アパートは購入価格が高く、高額なローンを組むことが必須となるにもかかわらず、購入後の資産価値の減少も著しい傾向にあります。
さらに、すべての管理を不動産会社に任せる副業サラリーマンでは、支払う手数料によって利益金額が目減りしてしまうのです。
そのため、初心者は新築ではなく中古アパートを安く購入し、少ない融資金額で利回りを高く保つ方法がおすすめです。
どうしても新築アパートを購入したいという方でも、まずは中古アパート運用を経験してノウハウを得てから挑戦していきましょう。
新築アパート投資は、一度の失敗だけで投資家として再起不能に陥ってしまう可能性が高いです。
焦らず一歩ずつ進めるように、これからお伝えすることを参考にしてみてください。
中古アパート購入のメリット
先ほどから、「不動産投資の初心者には中古アパートがおすすめ」とお伝えしました。
ここからは、具体的に中古アパート購入がおすすめな理由とメリットを紹介していきます。
- 新築アパートと比べて利回りが高い
- 家賃収入が途切れにくい
- 相場より安く購入できるチャンスが多い
詳しく知るだけで、中古アパートが良い理由がわかっていただけるはずです。
メリット①:新築アパートと比べて利回りが高い
新築アパートと比べて、中古アパートの方が利回りが高いというメリットがあります。
新築アパートの販売価格には、不動産会社の「広告費」と「営業経費」が上乗せされた金額で売られています。
新築アパートを売り出すのは、ほとんどが不動産会社です。
不動産会社はアパートが完成後すぐに販売したいため、たくさんの営業マンが動き回り、広告費も多く使っています。
そのため、営業活動に使った費用をアパート価格に上乗せしないと、不動産会社は利益を出せません。
新築を好む日本人には魅力的に映りますが、どう頑張っても利回りが低くなります。
その点、中古アパートでは売主が個人の場合が多く相場を知らないため、事情によっては安く購入することができるというメリットがあります。
新築アパートは入居者が短期間で退去しにくいという一面もありますが、それを差し引いても中古アパートで高利回りを目指すことを推奨します。
メリット②:家賃収入が途切れにくい
中古アパートは家賃収入が簡単に途切れにくいというメリットがあります。
一戸建て物件や区分所有マンションで一部屋のみを運用する場合と中古アパートの比較です。
新築区分マンションなどは、中古アパート一棟と同じくらいの値段で購入することも多いです。
同じ値段で一部屋だけの家賃収入がある場合と、一部屋ごとの家賃は少なくても複数の家賃が入る場合では、空室時のリスクが異なります。
一部屋だけ所有している場合、空室の期間は家賃収入がゼロでローン支払いだけが残ります。
しかし、アパート一棟で複数の家賃がある場合、すべての家賃収入がなくなることは考えにくいです。
借入れしたローンの支払いができなくなるリスクを抑えるためにも、複数の家賃収入でリスク分散をしておくことが大切です。
メリット③:相場より安く購入できるチャンスが多い
中古アパートは、個人が売主の場合が多いため、相場より安く購入するチャンスがあるというメリットがあります。
個人が売主の場合、アパートを売却する理由はさまざまです。
「親から相続したアパートを早く売って現金にしたい」といったように、時間の制約がある売主も多いため、相場より安くしてでもすぐ購入してくれる買主を探している場合があります。
売主の事情をよくリサーチして、安くなる情報がないか探してみましょう。
その他、安く購入するための方法として修繕が必要な箇所を見つけて指摘する方法もあります。
屋根の修繕費用や外壁破損などが指摘しやすい事例として挙げられるため、価格交渉の参考にしてみてください。
中古アパート購入のデメリット・リスク
続いては、中古アパート購入のデメリットとリスクを解説していきます。
- 都市圏では利益物件が見つけにくい
- リフォーム・修繕費がかかる
- 空室が出やすい
- 売却したいときにすぐに売れない
新築よりも中古アパートがおすすめだからと言って、全てメリットばかりとは限りません。
ここから解説するデメリットとリスクをよく理解してからアパート購入まで進めていくことをおすすめします。
デメリット①:都市圏では利益物件が見つけにくい
まず知ってもらいたいデメリットとして、都市圏では利益物件が見つかりにくいということです。
都市圏はライバルが多いため、中古アパートであったとしても収益物件がすぐに売れてしまいます。
そもそも、人口の多い都市圏では空室リスクが低いため、物件そのものの価値以上の価格で売却されることが多いです。
都市圏の場合、値引き交渉も通らない可能性があるので、可能な限り都市圏を除いた地方で物件を探すことを意識していきましょう。
デメリット②:リフォーム・修繕費がかかる
新築とは異なり、中古物件では建物の老朽化があるため、場合によっては購入後リフォーム費用が必要となるというデメリットがあります。
リフォームは、単純に壊れた部分を直すだけではなく、耐震補強やバリアフリーなどの自治体から助成金が受け取れる場合があったり、減税が可能になったりする場合があります。
使える資金を最大限に生かすため、修繕以外の部分まで最新の情報を集めておく必要があります。
入居者の満足度を上げるためにも、単純な購入価格だけではなくリフォーム費用まで事前に計算してから購入することをおすすめします。
なお、購入してから隠れた修繕箇所が見つかった場合、修繕費用を保証してもらう「瑕疵担保責任」について事前に不動産会社と話し合っておくことで、このトラブルは未然に防ぐことが可能です。
デメリット③:空室が出やすい
中古物件では、新築物件と比べて空室が出やすいというデメリットがあります。
新築物件に入居すると簡単には退去しませんが、中古物件は短期間での退去も考えられます。
そして、一度退去するとすぐに新たな入居者が見つけにくいという特徴があります。
空室期間はじっとしていても入居者が見つからないため、自分で不動産会社を回って営業をする努力でカバーする必要があります。
言い換えると、自分の努力によってある程度カバーできるデメリットとも言えます。
日頃から不動産会社や関係者とコミュニケーションを取ることで、空室リスクを減らしていきましょう。
デメリット④:売却したいときにすぐ売れない
中古アパートは、売却したくてもすぐに売れないことがあるというデメリットがあります。
中古アパートは、一戸建て物件に比べて購入金額が高くなる傾向にあるため、すぐには買い手が見つかりません。
売って現金にする必要のないよう、ローンの支払いなどの余裕を持った経営計画が必要です。
ローンの返済に首が回らなくなるような返済計画を立てることのないよう、確実な収支計算を行っておきましょう。
首都圏以外による中古アパート投資では、売却による利益を目指すのではなく賃貸で安定した家賃収入を目的に運用していく計画が大切です。
アパートを購入する際の一般的な流れ
ここからは、具体的にアパートを購入して家賃収入を得るまでの一般的な流れを8ステップに分けて紹介していきます。
アパート購入までの全体の流れを理解しておけば、手順を踏みながら安心して進めていくことができるはずです。
- 購入できる物件を把握する
- 物件を探す・現地調査する
- 買い付けを出す
- 融資の審査を受ける
- 売買契約を締結する
- 管理会社と契約する
- ローン契約を結ぶ
- 決済・引き渡しする
ステップ①:購入できる物件を把握する
最初のステップは、自分が購入できる物件を把握することからスタートします。
アパートを購入するにあたって、
- 自分の予算
- 融資できる金額
- 毎月の返済に必要な家賃収入
を決める必要があります。
予算から希望の地域、種類など希望の条件をまとめておきましょう。
不動産を初めて購入する場合は、2,000万円から5,000万円の中古アパート購入を目指すことをおすすめします。
築年数20年から35年であれば、希望価格で購入できるチャンスがあるでしょう。
ステップ②:物件を探す・現地調査する
次のステップでは、物件を探して現地調査します。
中古アパート購入の場合、物件を探す方法は2種類あります。
- 不動産会社ホームページで探す
- 不動産会社に直接行く
この2つ方法で不動産を探していきます。
ホームページの情報だけではなく、資料請求や不動産会社の営業に直接聞くことでリアルな情報を知ることができます。
購入したい物件が見つかったら、現地調査を必ず行いましょう。
現地調査では、不動産会社の立ち合いのもと物件を視察したり、詳細を確認できます。
入居者がいる場合は、部屋の内部を確認することはできませんが、できる限り外壁や屋根など見学できる範囲で見ていきましょう。
物件の周辺状況や設備、間取りを実際の物件と見比べることも必要です。
ステップ③:買い付けを出す
購入したい物件が見つかったら、売主に対して買い付けを出すというステップに移行します。
買い付け(買付証明書)とは、売主に対して購入の意思を示す証明書のことです。
ローンを組んでアパートを購入する場合は「融資特約付き」の買付証明書を出す必要があります。
融資特約とは、金融機関のローンが通らなかった場合、無条件で買い付けをキャンセルできる特約です。
融資特約を付けずに買い付けを出し、後からローンが通らなかった場合、違約金を取られることがあるので注意してください。
ステップ④:融資の審査を受ける
次は、買い付けを出した直後のタイミングで金融機関に融資の審査を受けます。
融資の審査とは、金融機関にアパートの購入資金を貸してもらえるかを確認することです。
審査が通るまでには、数週間から数ヶ月かかる場合が多いため、余裕を持った対応が必要です。
融資金額は、勤務先や勤続年数などさまざまな理由によって決定されます。
アパートを一棟購入する場合、購入金額が高額になるため、審査は難航する場合も考えられます。
一つの銀行に断られたからと言ってすぐに諦めず、複数の金融機関に相談してみる覚悟が必要です。
ステップ⑤:売買契約を締結する
無事に融資の審査が通ったら、続いては売買契約を締結するステップに移行します。
売買契約とは、法的な効力のもとにアパート購入の契約を取り決めることです。
売買契約は買付証明書とは異なり、「手付金」が必要です。
万が一契約解除になった際は、手付金が戻ってこなくなるリスクがあります。
手付金の一般的な相場は物件価格の5パーセントほどです。
例えば、中古アパートを2,000万円で購入する場合、手付金は100万円ほどが目安となります。
手付金の金額は、交渉次第で減らすことが可能ですが、他に購入したい買主が現れた場合、手付金が高い方を優先することもあるため駆け引きが必要です。
取引の状況に応じて、事前に不動産会社と相談することをおすすめします。
ステップ⑥:管理会社と契約する
売買契約が完了したあとは、物件引き渡し後にアパートを管理してもらう管理会社と契約します。
管理会社に任せる業務には次のようなものがあり、物件によりさまざまです。
- 家賃回収
- 家賃滞納者への対応
- 入居者募集
- 退去立ち合い
- クレーム対応
- 入居書のカギ紛失等の緊急対応
どこに決めれば良いかわからないという方は、まず大手の賃貸専門会社にお願いすると良いでしょう。
名前が知られている会社の方が客付けがしやすい特徴があるため、空室リスクに素早く対応してくれる可能性が高いからです。
会社員ではなく専業で不動産業を始めたいという方は、管理会社と契約せずに自分ですべて管理することで経費削減をすることが可能です。
アパート購入後のライフスタイルに合わせて検討していきましょう。
ステップ⑦:ローン契約を結ぶ
続いて、審査が通った金融機関と正式なローン契約を結んでいくことになります。
ローンの審査以外に、返済を弁済するための保証会社による審査が必要になる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
保証会社は金融機関によって指定があったり、ローンに元々組み込まれている場合もあります。
金融機関にローン審査を申し込む時点で、保証会社について担当者に確認しておくことが大切です。
何よりも、銀行から借入れしたローンを確実に返済していける金額とプランを選んでいきましょう。
ステップ⑧:決済・引き渡しする
最後に、物件の決済・引き渡しを行っていきます。
ここがアパート購入の一般的な流れの最終ステップです。
不動産売買契約の正式な決済なので、銀行の応接室に銀行担当者や不動産会社などが集まり決済を行います。
初めての経験だと緊張する場面ですが、ここからがアパート経営の第一歩です。
実印や通帳など必要な持ち物を忘れないように注意しましょう。
決済が正式に完成すると、現在の所有者からご自身に物件が引き渡され、アパート購入までのすべての流れが完了します。
もし、アパート購入後のリフォームを考えている場合「決済・引き渡し」が正式に終了してから工事に着手していく必要があります。
決済の前にリフォーム業者選びを進めておき、引き渡しから入居までの空室期間を開けないようにしましょう。
アパート購入にかかる費用と相場
ここまで、アパートを購入するまでの一般的な流れについて解説してきました。
続いては、アパート購入のために必要な具体的な費用、相場やかかる費用にはどのような意味があるのかを個別に解説していきます。
費用 | 相場 |
---|---|
土地と建物の取得費用 | 物件価格の5%~10% |
ローン手数料 | ローン借入額の1%~1.5% |
仲介手数料 | 物件価格の3% + 6万円 + 消費税10% |
登記費用 | 物件価格の2% |
印紙代 | 物件価額により異なる |
火災保険 | 30万円~50万円 |
土地と建物の取得費用
アパート購入には、土地と建物を取得する際にかかる取得費用が発生します。
アパート購入にかかる取得費用は、物件価格の5パーセントから10パーセントが相場です。
個別に解説していきますが、全額が購入時にまとめて必要になるのではありません。
購入から半年後にかかってくる「不動産取得税」もあるため、必要になってから慌てないために忘れず事前に準備しておきましょう。
ローン手数料
アパートを購入するためにローンを組むと必要になるのがローン手数料です。
金額は、ローン借入額の1パーセントから1.5パーセントが相場です。
その他、借入したローンが途中で返済できなくなった場合、保証会社が代わりに支払うための保証料が事前に発生する場合があります。
保証料の相場は借入額の0.1パーセントから0.2パーセントですが、金融機関のローンに保証料が組み込まれていたり、一括払いだったりとローンによって違いがあります。
事前知識として頭に入れておきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、物件の売買を仲介してくれた不動産会社に対して支払う手数料です。
この仲介手数料には、明確な上限金額が決まっており、計算方法は次のとおりです。
- 仲介手数料 = 物件価格の3% + 6万円 + 消費税10%
購入するアパートの物件価格を計算式に当てはめると、正確な上限金額を出すことができます。
ただし、この仲介手数料は支払う手数料の上限金額です。
不動産会社の利益となるため値引きは難しいですが、交渉次第で抑えることも可能です。
登記費用
登記費用とは、不動産所有者や抵当権の記録をするための登記にかかる費用のことです。
中古アパートを購入した場合は、前の所有者から購入者へ「所有権移転登記」という手続きが必要です。
この所有権移転登記にかかる費用は、物件価格の2パーセントです。
次に、金融機関からローンでアパートを購入した場合「抵当権登記」が必要になります。
「抵当権登記」にかかる費用は、借入額の0.4パーセントです。
その他、書類を作成してくれる司法書士への手数料や登録免許税として4万円から6万円が必要となることがあります。
印紙代
アパート購入の売買契約を結ぶとき、契約書に貼り付ける印紙にかかる費用のことを印紙税と呼びます。
印紙代は売買契約書に必ず必要となり、物件価格によって金額が異なります。
アパート購入にかかる印紙税は次のとおりです。
購入するアパートの価格を上記に当てはめて費用を計算してみましょう。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 60,000円 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 100,000円 | 60,000円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 200,000円 | 160,000円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 400,000円 | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 600,000円 | 480,000円 |
なお、売買契約書に記載される金額が10万円を超えるもので、平成26年(2014年)4月1日から令和2年(2020年)3月31日までの間に作成される契約書に関しては、「軽減税率」が適用されます(国税庁ホームページ参照)。
火災保険料
火災保険料は、アパート購入後に天災が原因で損害が発生した場合の対策として加入する保険です。
近年は、火災保険だけではなく地震保険がセットになったものが一般的なため、必ず地震保険付きを選ぶようにしてください。
保険料は最長10年契約(地震保険付き)で30万円から50万円が費用の相場です。
一括で支払う必要はなく、分割で支払うものが一般的です。
鉄筋コンクリートのアパートに比べて木造アパートの方が火災保険料が高くなります。
まとめ
中古アパートを購入するまでの一般的な取引の流れから、かかる費用と相場についてまでを解説してきました。
不動産投資は、業界独自の用語も多く、複雑な費用計算が必要となります。
初めてのアパート購入には不安なことが多いかと思いますが、購入までの流れと検討すべき費用を事前にチェックしておくことができれば安心して契約を進めていくことができます。
新築アパートと中古アパートの違い、そしてメリット・デメリットを理解した上で自分のライフプランと照らし合わせていkば、最適な物件が何か見えてくるはずです。
この記事を参考にして、不動産投資家としての着実な一歩を進めていただけたらと思っています。