新型コロナウイルスの流行により、各種の経済活動が抑制され、さまざまな方面に影響が発生しています。
特に影響が大きいのが、日本のREIT(リート)市場です。
短期間で大幅な価格下落が発生し、多くの投資家が損失を被る事態になっています。
しかし、そのような状況下でも手堅く稼げる銘柄は存在します。
そこで、ここでは景気の影響を受けにくく、手堅く稼ぐことができるJ-REIT銘柄とは何なのかについて解説していきましょう。
目次
コロナショックによるJ-REIT市場の暴落・反発
まず、コロナショックが、実際にJ-REIT市場にどの程度の影響を及ぼしたのかについて確認してみましょう。
1ヶ月で50%の下落
J-REIT市場は2012年のアベノミクス以降順調な回復を続けており、2020年2月21日(金)には、東証REIT指数で2,250を記録しました。
しかし、アメリカの株式市場暴落の影響を受け、2020年3月19日(木)には直近の最安値である1,145を記録したのです。
わずか1ヶ月で、50%近く相場が下落したことになります。
4月に入り反発
直近の最安値である1,145を記録したあと、買い戻しがあり2020年4月8日(水)時点では、東証REIT指数は1,559まで値を戻しています。
その理由としては、次の2つが挙げられるでしょう。
- 割安感が生まれたこと
- アメリカと日本の株式市場が値を戻していること
日経平均株価も、東証REIT指数と同じく2020年3月19日(木)に年内の最安値16,559円を付けたあと、2020年4月8日(水)時点では19,353円まで回復しています。
REITの相場は不動産市場の影響を受けるのではなく、株式市場の影響を非常に大きく受けると言えるでしょう
緊急事態宣言により「観光業」の先行きは暗雲が立ち込める
2020年4月7日(火)には、東京都や大阪府、神奈川県など7都府県で「緊急事態宣言」が発令されました。
これにより、住人への外出自粛が要請され、飲食店やレジャー施設、人が集まる大型店舗などの営業は休止傾向にあります。
営業停止状態になることにより、観光業はこれまで以上に収益が悪化することは想像に難くありません。
REITには、「ホテルREIT」というホテルを専門に運用するREITがあります。
それらの銘柄は、これから先さらに下落することが予測されます。
REITの種類で見るコロナショックの影響
実際に各種REITの中でも、コロナショックの影響をそれほど受けてないものはどういった銘柄になのでしょうか?
REITの種類別にチェックしてみましょう。
ホテルREIT:大幅な暴落
最も大きく影響を受けているのが、宿泊・観光施設などを運用する「ホテルREIT」です。
2020年4月現在上場している主要なホテルREITのここ1年の騰落率は次のとおりです。
銘柄 | 価格騰落率 |
ジャパン・ホテル・リート投資法人 | -64.53% |
いちごホテルリート投資法人 | -58.32% |
インヴィンシブル投資法人 | -54.98% |
星野リゾート・リート投資法人 | -40.42% |
森トラスト・ホテルリート投資法人 | -39.98% |
大江戸温泉リート投資法人 | -39.17% |
福岡リート投資法人 | -38.56% |
多くの銘柄が、非常に大きく下落していることがわかります。
その後、J-REIT市場の落ち着きによりやや値段は戻っているものの、短期間で大きく値を下げていることには変わりません。
住居主体REIT:手堅い値動き
一方、住居主体J-REITの価格を確認してみましょう。
主要な住居主体J-REITの騰落率は次のようになっています。
銘柄 | 価格騰落率 |
アドバンス・レジデンス投資法人 | -0.16% |
日本アコモデーションファンド投資法人 | 5.01% |
コンフォリア・レジデンシャル投資法人 | 0.52% |
大和証券リビング投資法人 | 0.57% |
サムティ・レジデンシャル投資法人 | -13.15% |
スターツプロシード投資法人 | 1.46% |
直近ではさすがに値段が下がっているものの、ここ1年間の推移で見れば大きく値を下げておらず、比較的安定しています。
マンションなどの居住用物件を運営するREITは、景気で需要が変動しないため手堅い運営が見込めるのです。
物流不動産REIT:ここ1年で大きく上昇
そして、注目したいのが「物流不動産REIT」です。
物流不動産REITのここ1年の騰落率は次のとおりです。
銘柄 | 価格騰落率 |
ラサールロジポート投資法人 | 33.70% |
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 | 31.97% |
三菱地所物流リート投資法人 | 26.07% |
日本プロロジスリート投資法人 | 18.01% |
CREロジスティクスファンド投資法人 | 15.21% |
いずれの銘柄も大きく値段を上げていることがわかります。
景気の動きとは無関係に値上がりしているのです。
物流不動産REITが不景気に強い理由
なぜ、物流不動産REITはこれほど相場が上昇しているのでしょうか?
その理由について考察してみましょう。
理由①:ネットショッピング市場の拡大で倉庫の需要が増加しているから
物流不動産REITは、倉庫を運営して得られた利益を投資家に配分するREITです。
倉庫の需要は、ネットショッピングの拡大により大幅に上昇しています。
施工された倉庫面積は2019年で908万平方メートルと、店舗の437万平方メートルを大きく上回っています。
倉庫物流は実店舗を上回る需要があり、その傾向はこれから先も変わらないものと見られています。
それだけに、手堅い投資先として人気があるのです。
理由②:物流不動産はインフラの一種だから
物流不動産は、今やインフラの一種だと言えます。
物流不動産は人々の生活に不可欠です。
非常事態宣言が発令されても、スーパーやコンビニなど人々の生活に欠かせない店舗の営業は中止要請されていません。
それらのスーパーやコンビニに納品を行うのが、物流不動産です。
物流不動産がもし機能しなくなれば人々の生活がたちまちパニックに陥るでしょう。
すでに物流不動産は人々の生活に欠かせないインフラとなっているだけに、不景気でも大きな需要があり、REITの相場も安定しているのです。
まとめ:総論
REITには、ホテルやオフィス、居住用不動産、そして物流不動産など、運用不動産の種類によってさまざまな種類があります。
また、それらを複合した複合型REITもあります。
コロナショックの影響で観光業が大きく売上を下げる中、居住用不動産や物流など人々の生活に密着した不動産を運営するREITは、価格が安定しています。
これから先も手堅い収入を見込めることでしょう。
もちろん、それらのREITもコロナショックの影響で一時的には値を下げています。
しかし、だからこそ今こそが最適な購入タイミングと言えるかもしれません。
この機会に、物流REITの購入を検討してみてはいかがでしょうか?